12月1日(土)
部屋のカレンダー見て気が付いたんだけど此処に配属されて1年が経ったのよね。ここには夕方に着いたから部屋に案内されてすぐ休んじゃったけど。そっか、長かったようで短かったな。それにしても、私ってバカだな、せっかくの一周年をこんなことでフイにしちゃうなんて。でも……。
12月2日(日)
明日、私の処分が決まるって飛龍さんが伝えてくれた。何であんなことをしたのか聞かれたけど……判らないのよね。飛龍さんには正直にモヤモヤが治まらなくて一人になって心を整理してみたかった事とか話したけど。
12月3日(月)
処分が決まった。重営倉3日間だって。逃亡罪で解体処分も覚悟はしていたけど、かなり甘い処分よね。日記とかも当然持って行っちゃだめだから置いておかないとね。書き終えたら営倉入りします。
12月4日(火)
12月5日(水)
12月6日(木)
12月7日(金)
今日、営倉から釈放されたらそのまま執務室へ連行された。
提督と飛龍さん達も同席していて、ここ最近の事情を色々と聞かれて、恥ずかしかったけど夕立や時雨の事とかモヤモヤすることとか一通り話し終えたら、皆に抱きしめられたのよね。
その後書類を渡されたの。読むように促されたんだけど、正式に養子として迎えてくれるっていうことを書いた書類だったの。
日付を見たら11月24日付。……本当に私ってバカだったのね。自分の本当に考えてることや悩んでいること、提督に話してこなかった。お父さんって呼んでも上辺だけだったのね。あの時素直に相談してたらこんなに遠回りしなくても良かったんだ。
こんなに自分勝手で我儘な私の事を本当の娘として考えてくれてたのね……。
もう……胸が一杯。
なんて書いたら良いんだろう。こんなに嬉しいの艦娘として建造されて初めて。
私、この鎮守府に来られてよかった。提督に出会えて、皆に出会えてよかった。
いつもの私らしくないかもしれないけど。でも、偶には良いよね。
12月8日(土)
なんか胸のつっかえがとれたっていうか、ふっきれたっていうか。
この鎮守府でお世話になるっていうことは、この鎮守府で家族になるっていうことを今頃になってわかるなんて、やっぱりどうかしてる。飛龍さんや五月雨ちゃん達にさんざん言われていたのに……。
私が提督の養子になったことは白露達も知っていたらしくて、白露型の皆からお祝いされちゃった。時雨と夕立には焼きもちから変な態度取った事と迷惑かけた事をしっかりと謝ったわ。私が提督の養子になった事を夕立からはかなり羨ましがられた。私も二人が鎮守府専属になったって聞いてかなり……うん、あれは嫉妬よね。嫉妬したから夕立の気持ちは解るけど何も言えないのよね。
12月9日(日)
お父さんがいる暮らし、か。正直まだ戸惑いがある。
でも、帰っていく場所がある、待っててくれる人がいる、私達にとってこんなに幸せなことはないわよね。普通の、民間の人たちには何でもない事なんだろうけど。
こんなに穏やかで暖かい気持ちになれたのって、久しぶりだな。
12月10日(月)
私が営倉入りしていた間に部隊編成があったらしいんだけど、春雨が練度40を越したことでいよいよ第二駆逐隊が結成されたみたい。そっか……沖田提督の所とはだいぶ雰囲気が違うけど、2度目の二駆。昔の二駆の皆にあった時に恥ずかしくないように頑張らないとね。何時かは会えるんだから。
12月11日(火)
今日は私だけ身体検査があったの。他の皆は私が営倉入りしてた時に済ませたんだって。
演習の後に検査したんだけど、またバストが大きくなったみたい……。あぁ、もっとスレンダーになりたいなぁ。なんて言ってたら、某先輩からお説教貰っちゃった。モグとか言われたんだけど目が怖かったよ……。
12月12日(水)
ニュースを見てたら四川省まで深海棲艦が侵入して砲撃を行ったんだって。ちょっと前にはスエズ運河やライン川、セーヌ川にも侵入したらしいわね。アイツら先の大戦までに船が航行していた所には普通に入って行けるもんね。それを防ぐ為に私達が居るんだけど、大陸には艦娘って居ないのよね。だから被害は甚大みたい。上海とかの沿岸部はもちろん、北京や南京もがれきの山らしいし。海南島の中華民国には艦娘が居るから勢力拡大のチャンスなんだけど、雷州半島と広州湾周辺を抑えるだけで手一杯みたいね。朝鮮半島も艦娘居ないし……。これはまた国際情勢が煩くなるのかな? また異動とかで騒がしくなるのは嫌だよ……。
12月13日(木)
今日は正月事始め。食事会もあって久々にお昼はお雑煮。伊勢湾の神島って所の、かんの餅っていうの。伊勢さんが作ってくれたんだ。そっか、もうそんな季節が来るのか。もう1年以上いるんだよね、ここに。色んなことがあったなぁ。初めてお父さんもできたし。沖田提督の二駆じゃないけど、ここでも二駆が結成できたし。
そして煤払いと松迎えも今日だったのよね。お昼の後に煤払いをしたんだけど、煤払いってお正月に年神様を迎えるために1年の汚れを払って清めることなのよ。昔は薪や炭を使ってたもんね。天井や壁についた煤の汚れを落とすことが大切だったのかな。
煤払いをしている途中に提督や五月雨ちゃん達と一緒にお正月の松飾り用の松を採りに行ったの。これが松迎えなんだって。ここに来て初めてだし、去年は煤払いもした覚えないのよね。提督に聞いたら去年までは大本営指定の業者に頼んでいたんだって。今年からそこら辺の予算が開発費用に回されちゃったから清掃や松飾りは自分達で行うようにって通知が来たらしいわ。此処は皆でいろいろできるから良いけど、松とか橙とか近くに生えて無い鎮守府ってどうするのかしら? 何処かで調達するんだろうけど……。
作業中に提督がいろいろお話してくれたんだけど、松は「
そう考えると、古くから神の依り代として崇められたり年神様の目印だったり、松って神様を待つ木なんだね。
12月14日(金)
テレビが忠臣蔵だらけと思ったら今日は赤穂義士祭だったのね。でも、吉良さんってホントは名君だったらしいのにいつも悪役にされてちょっと可哀そう。偶にはいぶし銀のような役回りでも良いのにね。
例えば……実は吉良と浅野は強い信頼関係にあったんだけど幕府が朝廷の供応中にやらかした色々なツケを内匠頭が犠牲となって解消。内匠頭一人を犠牲にした責任を一身に背負って黙って散っていく上野介とか。
12月15日(土)
神宮の月次祭と春日大社の春日若宮おん祭の中継があったからのんびり見ていたら、急に提督から呼び出し。
提督の他に飛龍さんしかいなかったけど、二人ともいつになく真剣な眼差しだったの。話を聞いたら、大本営が新年からの参謀教育の対象者の一人に私を指名してきたみたい。
普通は軽巡娘以上が対象の筈なんだけど半年くらい前の名取さんと一緒に参加した中部太平洋方面艦隊の演習計画策定会議。あの時の評価が駆逐艦にしては物凄く良かったらしいの。今回の指名は峯風さん以来の特例措置みたいで杉野提督達の推薦もあったみたいね。
そっか、峯風さんも受けた参謀教育を私も受けられるのか。峯風さんを追いかけられる絶好の機会よね。
ただ参謀教育を受けるなら2年間大本営に行かないといけないんだって。休みの時は帰れるらしいけど、私は遠いから帰れるとしてもお正月くらいかも。せっかくできた家族とも離れ離れか……。
参謀教育終了後は直轄鎮守府へ配属になるらしいんだけど、私は養子になっているからここに戻ってくるんだって。それならここでお父さん達と過ごしながら少しづつ学んで行っても良いよね……。香取さんとか教え方上手な先達も揃ってるし。
どうするか聞かれたけど、直ぐに答えなんて出ないよ……。どうしよう……。
次回最終話