TSして最強美少女になった俺の恋姫無双道楽 作:たぬたぬたぬき
旅なんてものをしたのは、男であった頃の小学生だか中学生の時に家族としたものだったか。
荷物をトランクに放り込んでから父親の車に乗り込み向かったことを覚えている。
投げてやることが出来る位だから荷物量もたかが知れていた筈だ。
1日分の着替えに携帯ゲーム、おやつだったような気がする。
大きくないバックの中身を改めて頭の中で羅列させるとあまりの少なさに驚く。
まぁ、20だか21世紀だかは移動では汗1つ流さず1時間で100キロでも動ける車に、住だけでなく衣食プラスサービスも提供してくれる宿に泊まるのだ、コンビニまで活用すれば財布だけでも寧ろ行ける。
(だからこれはないわー)
数えるのも馬鹿らしい人数が隊列を組んで行軍。
目標は何と言ったか、なんちゃらという盗賊の討伐。
食い詰めたのか落ちぶれたのかは知らないがこういう手合いはいつの世もなくならないと趙雲さんが言っていた、なるほどなーと思った。
なんちゃらという盗賊を狩りに行くのは良いがそこは広大な中国。
あまり近い場所で盗みをやる馬鹿な盗賊ではもないのである程度遠い場所で活動している、それを狩るならつまり遠征だ。
ある程度遠い場所(1日で行って帰れる距離ではない)
広すぎる国土に改めてげんなりする、過ぎたるは及ばざるが如しという言葉が浮かぶ。
幾日にも及ぶ行軍では武器は勿論飯なども必要になる。
つまり旅先で必要なものプラス戦闘に必要なもの。
そりゃー物も多くなるというものだなぁ。
俺が運んでいる訳じゃないけど何となく重い。
なんというか、動きの鈍い集団に所属してるから自分の身体まで重くなったような気がする。
絶対一人旅のが性に合ってる。
以前からの適当な性格に、今は絶対的な武力まであるのだ。
好きにふらふらして、腕っ節を商品に生計を立てることも可能。
女になったのがあれだけど、万歳この肉体!
「どうかされましたかな?」
女になったけどメリットの方がデカイような気がするのに満足していると趙雲さんに話し掛けられる。
「………俺って滅茶苦茶強くて良いよねってかんがえてた」
「何故行軍の最中に、や、自画自賛ですかな、など思うことは多々ありますが、まぁ強いことは何よりで」
「だよねー」
自分でわちゃくちゃなと思う結論だけ話したんだけど。
納得しちゃうこの人もなかなか来てるな、この時代だと自然なのかもしれないが。
今回の行軍の目的は盗賊の塵殺である。
具体的にはこの位の規模だからこれ位は狩って頭領的なのの首を上げようって話だ。
皆殺しとかはそもそも皆って何人だよとかいう問題もあるしね、無理だね。
頭領も部外者の俺たちに分かる筈もないのだが……やっぱり分かってないと。
ああ、なるほどね、それっぽいのを確保して報告するのが重要なのか。
既成事実って重要だからね。
「しっかり数さえ減らせば、首自体は誰でもいいと」
「誰でもじゃないと思いますがねぇ」
「貫禄で髭は必要だね」
「いやいや、実際それでかなり納得するもんですよ、上も」
「まじか」
俺につけられた副官の人と突撃前に軽く話す。
見た目とかやっぱり大事なんだなぁ。
きっちりスーツにネクタイ、革靴に七三分けとか。
大学生続けてたらそっちコースで働くつもりだったんだよなぁ。
この身体でこの時代に来れてよかった。
「身分は高くなるにつれて格好も…ってのは名家も商人も、盗賊でも変わらないんですよ」
「不思議なもんだなぁ、俺は武将で良かったわ」
「いや、どうせどっかに落ち着くんですから、その実力ですと否が応でも…」
「え。なにそれ、ちょっと詳しく」
何言ってるんですかと俺の生き方に突っ込みが入り、詳しく聞こうとした所で銅鑼が鳴った。
作戦の第一段階、俺達が突っ込んで引っ掻き回す合図だ。
くそう、貴重な意見が聞けるところだったのに。
「ああもうっ、副官! 後で詳しく聴かせて貰うから死ぬなよ!」
(この人、結構抜けてるんだよなぁ…)
「おしっ、行くぞ!」
適当に突っ込んで味方を巻き込まないように気を付けて三國無双しているといつの間にか終わっていた。
ちなみに三國無双との違いは敵がほぼ確実に逃げて行くのでそれを追い掛けないといけないことね。
終わったあとに副官を捕まえて話を聞くと、どうも俺の実力だと確実に何かしらの役職を持つことになるだろうからある程度お堅い服装もするでしょうとのこと。
何言ってんだこいつは。
客将でも楽な服装を通している俺がその程度で揺らぐか。
なに、朝廷?
………それは少しまずいかもしれないな。