一話も一緒に投稿したつもりでできてなかった。
特にオリジナリティ出せなかったけど、よければ読んでやってください。
それを南鷹也(みなみたかや)が知らされたのはいつものように音ノ木坂学院の屋上に行った時だった。もはや顔パスくらいの状態で昇降口を抜け、階段を昇る。
「あ、南さん。おつかれさまです」
「おつかれさま」
廃校は免れたとはいっても廃校寸前であったのは事実。生徒が少ないことは変わらないため、よく来る時間にすれ違う生徒もほとんど変わらない。半年近くも通っていれば、挨拶もされるようになる。挨拶を返しつつ、女子高に慣れてしまっている自分に小さくため息。
(今さら気にしても仕方ないけど、なんだかなぁ……)
世間一般からしたら変なことをしている自覚はあるのに、特になんとも思わないのがこの状況に慣れすぎてしまったのだなぁと実感させられる。それともそんな風に思えるならまだ慣れきっていないのだろうか。そんな余計なことを考えつつ、屋上の扉を開ける。
「にっこにっこにー♪あなたのハートににこにこにー♪笑顔届ける矢澤にこにこ♪ああっ!だめだめだめー!にこにーはみーんなのも・の♪」
「キモチワルイ」
「なによ!!昨日一生懸命考えたのにー!」
訂正。慣れることはないようである。屋上といえば音ノ木坂学院スクールアイドルμ'sの練習場所であり、そこにいたメンバーは4人。全力でキャラをつくっていた矢澤にこ(やざわにこ)とそれに辛辣なコメントをしている西木野真姫(にしきのまき)に何も言うことも出来ず、近くにいる小泉花陽(こいずみはなよ)と星空凛(ほしぞらりん)のもとに行く。一応コーチとして関わっている身なのだが、たまにあるこの子たちの突拍子もない行動にはついていけないときがある。
「あ、鷹也さん!」
「……なにあれ?」
「えっと……」
元気に手を振ってくる凛に手を振り返しつつ、花陽に問えば彼女は言い淀む。2人とも苦笑いの自覚はある。その様子に気がついたにこがこちらをビシッと指さしつつ声をかけてくる。
「遅いわよ!」
「今日はみんなが集まるの遅いって聞いてたから、ちょっと他の用事済ませてたんだよ」
「それでも来れるメンバーがいるなら早く来るのがコーチってもんでしょうが!」
「それはまぁ悪かったけど……何でこんな張り切ってるんだ?」
実際に少し遅くなったのは事実なので、謝りつつもいつもよりも元気なにこの様子について真姫に尋ねれば真姫も肩をすくめる。
「私が知るわけないでしょ」
「というか凛たちだけで何かして意味あるのー?」
「あんたたちなんも分かってないわね〜」
凛の当然の疑問に対して、にこはやれやれと首を振る。あまり期待はしていないが、とりあえずは話を聞こうと考えて黙っておく。
「これからは1年生が頑張らなくちゃいけないのよ?でも、あんたたちだけじゃあどうすればいいか分からないと思ったから私が手助けに来たの。先輩として!」
「そのビデオは?」
「何言ってるの!ネットにアップするために決まってるでしょ!」
「はい却下っと」
「なんでよ!」
途中まで正論だったので黙って見ていたが、ネットにアップすると言ったところでカメラに近づいて停止ボタン。
「勝手にそこまでさせらんないの。やる前にちゃんと一声かけてくれないと困るんだけど」
「別にいいでしょ。今やスクールアイドルもグローバル!全世界へとアピールしていく時代なのよ!ライブだけでなく、日頃のレッスンの様子だってアピールになるわ!」
「間違っちゃいないけどさ……逆に簡単に失敗も起こるってこと忘れるなよ。それと撮ったものをアップする前に俺に確認させること」
「分かってるわよ。うるさいわねえ……」
そっぽを向いたにこが不満を口にするが、それでも言わないわけにもいかない。アピールするということは人前に出るということで、人前に出るということは大きなリスクも伴うのだ。それは、痛いほど分かっている。まあ、それをわかっているのなら良いだろうと鷹也はカメラの録画を再開する。
「くっくっく……こうやって1年生を甲斐甲斐しく面倒見ている所をアピールすれば、それを見たファンの間でにこにーをセンターにとの声が上がり、やがて……」
「全部聞こえてるにゃ……」
「俺の注意聞いてた?ちなみにカメラ回したからね?」
「……にこっ!」
誤魔化すように笑顔を見せるにこにため息。例えネットにアップすることになったとしても、今の部分は完全にカットだろう。
「いや、むしろ今みたいなのを全力で前に出していった方が人気出るのかな……」
「どーでもいいわよ、そんなの」
「どーでもよくないわよ!」
「でもでも、凛はいつものにこちゃんの方が自然でいい気もするよ?」
どうせまだメンバーも揃いきっていないしと思い、鷹也も混ざってどうでもいい会話をする。いつもどおりといえばいつも通りの時間だ。練習も大事だし、にこの言うことの真意が理解できないわけでもない。たが、この時間を素直に受け入れている自分がいるのも確かだ。その感覚を心地よく思いつつ、にこをなだめていると、少し離れたところで花陽がスマートフォンを見つめて固まっていることに気が付く。
「花陽?どうした?」
「え、いや、そんな……え、ええええええええええ!!!!!!!」
「うわっ!?」
近づいて声をかけると急な大声。そんな花陽の大声に驚いて少し身体をずらせば、花陽がその脇を駆け抜けていく。その様子に他の3人と顔を見合わせる。
「なにあれ?」
「ああああ!どうしよ!凄い!凄すぎます!!!」
駆け出して行った花陽を追いかけて行ってついたのは音ノ木坂学院アイドル活動部の部室。部室ににこが設置していたパソコンの前で花陽が高速でキーボードを叩いているのを、鷹也たち4人はそれを後ろから眺める。
「……花陽ってあんなにパソコンの操作うまかったっけ?」
「……突然どうしちゃったの?」
「アイドルの話になるといつもこうね」
「凛はこっちのかよちんも好きだよ!」
そんな感想を思い思いに言いつつ、花陽の様子をみんなで眺めるが、これだけは負けないというくらいにアイドルのことが好きな花陽は夢!?夢なら夢と……とかなんとかいつもより大きな声量で言いつつこちらに見向きもしない。
「一体なんなのよ!……え!」
「教えなさい!!……な!」
結局しびれを切らすのはこちら側。にこと真姫が画面を花陽の後ろからのぞき込んで固まる。その様子を見て、凛と顔を見合わせて、後ろから画面をのぞき込み、鷹也と凛も固まる。
「えええええええええええ!!!!」
その後、鷹也の静止も聞かずに、驚きのままに部室から駆け出して行ってしまった4人を追いかけようとするとにこたちが走っていった方向と反対から声がかかる。
「ちょっとどうしたの?」
「なんや、にぎやかやね」
「あれ絵里、希。穂乃果のところに行ったんじゃなかったの?」
「さっきまでいってたわよ?でもまだ少し仕事してから来るって言ってたから。ちょっと手伝ってから先に来たの」
頑張ってたみたいよと言って笑うのは“元”生徒会長でμ'sのメンバーである絢瀬絵里(あやせえり)。ちなみに“元”である。時期としてはもう9月も後半。生徒会も交代の時期なのだ。ということは隣の生徒も“元”ということで。
「新副会長さんと新書記さんはともかく新生徒会長さんはちょーっと心配やけどね」
「もう何かやらかした?」
「焦って挨拶忘れちゃったみたいやね」
「……あんなに手伝わせといてあいつ……」
「まあ緊張するんも仕方ないんやない?」
今後に期待やねと笑う東條希(とうじょうのぞみ)もμ'sのメンバーで“元”生徒会副会長。鷹也は新生徒会の行く末に小さく不安を覚えつつ、昨日のあの時間は何だったのだろうとため息をつく。遅くまで文章を一緒に考えた上に暗記できるまで確認にも付き合ったというのに。
「それで何かあったの?なんだか急いで走っていったみたいだったけど……」
「ああ、それは……みんな揃ってからでいいかな」
「え~なんや気になるやん」
「いや、そうだろうとは思うんだけどさ。正直、俺も整理できてなくて……」
「……鷹也が整理できない事態って……」
少し表情を曇らせる絵里に、別に悪いことじゃないからと言いつつ、今更追いかけてもにこたちには追い付けないと判断して部室に戻る。そこで少しの間待っていれば、にこ、真姫、凛、花陽に背中を押されて新生徒会の面々が部室になだれ込んでくる。
「うわわっ!」
「なになになに~?」
「一体何なんですか、急に!」
「お、来た来た」
なだれ込んできたのは新生徒会長の高坂穂乃果(こうさかほのか)、新生徒会副会長の園田海未(そのだうみ)、新生徒会書記の南ことり(みなみことり)。μ'sのメンバーでもある3人に鷹也はお疲れさまと軽く声をかけてやる。
「あ、お兄ちゃん!」
「お疲れ様、ことり。仕事終わった?」
「まだちょっと残ってるけど……でもだいたい終わったよ」
それより……とあたりを見渡すのは鷹也の妹でもあることり。本当に何も説明されずにつれてこられたのだろうから、その反応も当然といえば当然だ。そんな中で鷹也のことばに思うことがあったのか、今度は海未が口を開く。
「穂乃果は終わっていませんけどね。私とことりは終わらせています」
「もう仕事溜めてんのか……」
「だってぇ~……」
「だってじゃないです!」
海未の告げ口を聞いて穂乃果に視線を向ければ、穂乃果が机に突っ伏しつつもごもごと何か言い訳をしている。その穂乃果に海未がいつものように小言を言いだしているその様子に苦笑する。生徒会長をやると聞いた時は驚いたものだが、でも向いていないとは思わなかった。傍から見れば海未の方がいいのではと思われそうな穂乃果ではあるが、小さいころから見てきた鷹也からすればリーダー向きな人だと思う。しかし、先ほどから入ってくる情報に自分の人を見る目を疑いそうである。
「穂乃果、生徒会就任あいさつも忘れたって聞いたんだけど?」
「うっ……」
「どーでもいいのよ!そんなこと!!!」
穂乃果に問い詰めようとするも、そこでにこが口をはさむ。穂乃果のこういった部分には慣れっこでもあるので、とりあえずやれやれと首を振りつつ、鷹也はあきらめてにこに視線を向ける。予定外の時間ではあるがメンバーも全員そろっているし、話は進めるべきだろう。そして興奮が収まっていない様子のにこに対して置いてきぼりの絵里が口を開く。
「それで結局何なのよ?廊下も走り回って……」
「これ!これ見るにゃ!!」
その言葉に反応したのは凛。ぴょんぴょんと飛び跳ねながら凛が指さすのは大きなパソコンの画面。なんだなんだとそこにみんなで集まっていけば、そこの画面には
「えっと……“LoveLive!”……これって!?」
「そう!A-RISEの優勝と大会の成功を持って終わったラブライブの次の大会が早くも決定したのです!!!!」
読み上げたことりの言葉に花陽が大きな声を出して熱弁をふるう。その言葉盛り上がるメンバーから少し離れ、鷹也は少し呆けつつ呟く。
「……見間違いじゃなかったのか」
「見間違いじゃないんです!!!!」
「うおっ……ほんとに花陽のテンションすごいな」
「凛はこっちのかよちんも好きにゃー!」
「それは分かってるから。で、詳細は?」
アイドル関係の話題でもあってテンションが上がりっぱなしの花陽の普段との違いとそんな花陽全肯定の凛に苦笑しつつ、気を取り直して詳細を訪ねる。嬉しいという思いは強い。強いからこそ今は冷静に。パソコンの前で花陽は画面の正面を陣取り、後ろから興味津々にのぞき込むメンバーに説明を始める。
「今回は前回を上回る大会規模で、会場の広さは数倍!ネット配信の他、ライブビューイングも計画されています!!」
「すごいわね……」
「すごいなんてもんじゃないです!!そしてここからがとっても重要!」
絵里の感想すら一蹴する様子から、誰が普段のおとなしく、気弱な花陽の様子を想像できるだろうか。熱弁そのままに花陽が指さす画面に書いてあるのは“1st tournament”と“2nd tournament”の文字。
「トーナメントが2回……?」
「はい!前回よりも規模が大きい今大会はランキング形式ではなく、各地で予選が行われ、各地区の代表となったグループが本戦に出場することとなりました!」
「つまり、人気投票による今までのランキングは関係ないということですか?」
「その通り!!これはまさにアイドル下克上!!ランキング下位のものでも地区予選のパフォーマンス次第で本戦に出場できるんです!!!」
立ち上がり、満面の笑みで説明を終えた花陽の言葉にみんなが盛り上がる。確かに喜ばしい知らせである。彼女たちは学校祭での出来事でスクールアイドルの人気を図るための公式のランキングページから名前を消している。その後再び登録を行ったとはいってもまだ日は浅いし、ランキングがここから上がるとは思えない。そんな中でのこのルールならば、一度は出場圏内まで上り詰めたこのメンバーであれば可能性は十分にあるだろう。
「よーしっ!じゃあラブライブ出場に向けて……」
「ことり、ストップ」
「お兄ちゃん?どうしたの?」
しかし、1つ忘れている。絶対に忘れてはいけないことを彼女たちは気が付いていない。それに気が付かせるために、鷹也は両手を握り、小さくガッツポーズを作って盛り上がっていることりを止める。可愛らしく首を傾げていることりの隣にいる絵里があまり盛り上がっていない所を見るに絵里は気が付いているようだが、他のメンバーは全員鷹也を見てきょとんとしている。だから、口を開く。
「……前回優勝は?」
「A-RISEでしょ?……あ……」
鷹也の問いに答えた真姫はさすがに気が付いたようで、小さく声を漏らす。ほかのメンバーも何人か気が付いたようである。その中でまだ首を傾げている凛に鷹也は確信を告げてやる。
「地区予選がどれくらいの分割をされてるのかは知らないよ?でも、音ノ木坂学院とUTXは生徒数にお互い影響するくらいの近場にある。つまりは……」
「A-RISEとぶつかる……?」
「……終わりました」
「だめだぁ~……」
その瞬間に漂う絶望ムード。仕方ないといえば仕方ないのだろうか。A-RISEは絶対王者。それは自他ともに認める絶対的評価なのだ。綺羅ツバサをリーダーとする3人のグループ。そのパフォーマンスはスクールアイドルの域を超えているというのがみんなの認識。その裏にいる人も知っている身としては正直逆風もいいところである。
「いっそのこと全員で転校しよう!!」
「できるわけないだろ」
「うぅ……」
凛の突拍子もない案を一蹴しつつ、全員を見渡す。自分が口を開くべきか否か。しかし、自分が口を出すまでもないようで、海未がそのムードを取り払う。
「確かにA-RISEとぶつかるのは厳しいですが、あきらめるのはまだ早いと思います!」
「……海未の言う通りね」
その言葉に続くのは絵里。絵里はあたりを見渡しつつ、言葉を続ける。
「やる前からあきらめていたら何も始められない」
「まあ……」
「それはそうね」
「エントリーするのは自由なんだし、やってみてもいいんじゃないかしら?」
その言葉に鷹也は少し思い出す。何かを始める。そのことを一度無理をして押し込めていた絵里がやりたいことを始めることを積極的にしようとしていて。そののびのびとした様子はとても楽しそうで。みんなが顔を見合わせて笑顔を見せている中で、こちらに確認を取るように視線を向けてくる絵里に答えるように口を開く。
「勝てないかなんてわからないし、勝ってもおかしくない。そんな中であきらめる理由はないと思うよ」
「うん……そうだよね!!大変だけど、やってみよう!!」
みんなが元気を取り戻し、盛り上がるその様子に笑みをこぼす。そこで気が付いた。1人、真っ先にこういう話題に食いついてきそうな人が全く言葉を発していないのではないか。そちらに視線を向ければ、その少女はゆっくりとお茶をすすっていて。
「穂乃果?どうした?」
「ん~……でなくてもいいんじゃないかなぁって」
「……え?」
その言葉に耳を疑う。鷹也がゆっくりと視線を周りに向ければ、他のメンバーの表情も固まっていて、聞き間違いでなかったことを教えてくれている。だけど、それでも信じられなくてことりと海未とともに聞きなおす。
「穂乃果ちゃん……」
「今……」
「………なんて言った?」
「でなくてもいいんじゃないかな、ラブライブ」
『ええええええええええええええええ!!!』
屋上での花陽の絶叫から始まって、本日3度目の驚きの叫び声が部室に響き渡った。
プロローグと同じところまでしか進んでいないという罠。
今後はオリジナルも入れつつゆっくり更新していきますよー
ひそかな目標もあるのでその達成を目指して!
頑張っていくのでよろしくです。