インフィニット・ストラトス ~唐変木に疲れる苦労人~ 作:さすらいの旅人
今回は本編と違って、アニメ二期の内容を短編としたものです。
シャルロット編 PART1 前編
とある港の倉庫街。
シャルロットの任務に同伴してる俺は、専用機の黒閃を展開して港の周囲を伺っている。
「ゴメンね、和哉。急に頼んじゃって」
「気にすんな。俺としても、こう言う経験を積んでおきたいと思ってたところだ」
『マスターの仰るとおりです、シャルロット・デュノア。余り気になさらないで下さい』
隣で俺と同じくISを展開しシャルロットが申し訳なさそうに謝ってくるも、俺は全く気にしてないように軽く手を振る。黒閃も俺と同様に、気にしてないように言い返す。
今回の任務はIS装備の護送で本来はシャルロットが行う予定だった。けれど一人だけで行うのが難しいと思ったシャルロットは、同じ女子で専用機持ちの箒達に頼んでいたが、彼女達も多忙の為に参加出来なかったようだ。箒は家の用事、セシリアはオルコット家当主としての会合、鈴とラウラは別任務など、ってところだ。
んで、箒達が参加出来ない代わりとして、俺が急遽同伴する事となった。本当なら一夏も参加する予定だったが、アイツは先日『
「ところで、何で急にこんな任務が入ってきたんだ?」
「各国の企業から試作装備のテストを頼まれたんだって。あ、そう言えば和哉にも使ってほしい試作装備もあるみたいだよ」
「相変わらずの勧誘パターンか」
『いい加減にして欲しいです。私はマスター以外に使われる気はないと言うのに』
「アハハ……」
心底ウンザリしてる俺と黒閃にシャルロットが苦笑する。
各国はいつものようにあの手この手で俺を勧誘してるので、俺と黒閃はもう辟易してる。けれど連中のやる事は間違っていないのかもしれない。
練習機から専用機となり、そして意思を持ってるIS専用機の黒閃。その黒閃のマスターとなっている
だけど俺達にしたら迷惑極まりない行動だから、いつもの如く千冬さんや学園長を通してお断りの通知をしてもらうよう頼んでいる。あの人達を通さないと、向こうは俺達の意思なんか関係無く勝手に話を進めるからな。
とまあ、そんな事はどうでもいい。今は取り敢えずシャルロットの任務を無事完遂させないと――
ドォォオオオオンッッッ!!
「「ッ!」」
すると、突然爆発音が聞こえた。
俺とシャルロットは爆発音がした方へ視線を向けると、倉庫の一つが大きな煙をあげていた。
IS操縦者じゃない護送兵達はすぐに調べようと、爆発がした倉庫へ向かおうとしている。
「シャルロット、俺達も行って――」
「待って、和哉」
『マスター、十時の方向を見て下さい』
俺が行こうとするのをシャルロットと黒閃が止める。黒閃の言うとおりにその方向を見ると、大型トレーラーが猛スピードで鉄網の壁を突き破った。
大型トレーラーは急ブレーキを掛けて止まると、その直後に荷台が開こうとする。その中から出てきたのはISの第2世代型――量産型ラファール・リヴァイヴ2機だった。
「何だアイツ等は?」
「……調べてみたけど、あの二機には国籍や識別コードがないね」
『私も調べましたが、同様の結果です』
「となるとアイツ等は……まさか一夏を襲った奴の仲間か?」
「その可能性は充分にあるね。やっぱり一夏を連れてこなくて正解だったよ」
あの連中が『
「黒閃、アイツ等以外の仲間はいるか?」
『今のところは周囲に何の反応はありません。ですので、あの二機を早急に捕縛すべきかと』
「だな。じゃあ行こうか、シャルロット!」
「OK、和哉!」
俺とシャルロットは襲撃犯を捕縛する為に分断して飛行する。こちらの接近に気付いた襲撃犯達は飛行してる俺に狙いを定めて、所持してるマシンガンを撃ってきた。
「狙いがいまいちだな」
フッ!
「なっ、消えた……!?」
「一体どこへ……!?」
マシンガンを撃ってくる襲撃犯に、俺は疾足を使って躱す。姿を見失った事に襲撃犯達は驚きの声をあげて辺りの上空を見回す。
「どこ見てる。俺はここだ」
「「ッ!?」」
「そろそろ僕にも気付いて欲しいな」
俺が同じ目線の位置から10m先にいる事に驚愕を隠し切れない襲撃犯達。更に襲撃犯達の背後には両手で二丁のマシンガンを持ち構えてるシャルロットもいる。
「IS乗り!? まさか挟まれるなんて……!」
「構うな。挟まれたところで状況は大して変わらない。始末しろ」
前後に挟まれてる事に襲撃犯の一人は焦った様子を見せるが、もう一人は状況を冷静に見て指示する。
指示の直後、二人の襲撃犯はそれぞれ俺とシャルロットに狙いを定めて再度マシンガンを撃つ。
「シャルロット、先ずは各個撃破だ!」
「了解!」
当たるつもりは毛頭無い俺とシャルロットが即座に動く。俺の方は襲撃犯A、シャルロットの方は襲撃犯Bとしよう。
そして俺は地上、シャルロットは空中でそれぞれ戦い始める。
「せいっ!」
「ぐっ!」
襲撃犯Aに接近しようと、疾足で一気に距離を詰める。その直後に拳で当てようとするも、襲撃犯Aは即座にシールドで防ぐ。
「お前はまさか……神代和哉か!?」
「へぇ。アンタが俺の事を知ってるとは光栄だね。俺も随分と有名になったもんだ」
「知ってるさ。お前は我々IS乗りの仇敵だ!」
あ、どうやら俺は悪い意味での有名人みたいだ。まぁ確かに俺は以前、世界のIS操縦者達全てに喧嘩を売ったからな。各国が俺を勧誘しても、IS操縦者の女共からすれば非常に目障りな存在だろう。
けど、生憎だが俺の知った事では無い。いずれ世界最強になると宣言した以上、ちゃんとやらないとな。
「はぁっ!」
俺の攻撃を防いだ襲撃犯Aは一旦距離を取ると、片手から近接ブレードを展開し、俺に攻撃しようと突進する。
だが――
ガシィッ!
「な、何だと!?」
「これが一夏だったら回避してるだろうが、俺からすれば単調な攻撃にすぎないよ」
俺は近接ブレードを持ってる襲撃犯Aの手首を掴み、一瞬で攻撃を防いだ。
接近戦を得意とする俺に敢えて接近戦で挑むとはいい度胸をしている。そんな襲撃犯Aには敬意を表すとしよう。
そう決めた俺は掴んでる相手の手首をグイッと引き寄せ、襲撃犯Aの懐に入り込み――
「『砕牙・零式』!」
ズドンッ!
「がはっ!!」
宮本流奥義『砕牙・零式』を腹部へ直撃させた。それを受けた襲撃犯Aは物凄い勢いで吹っ飛び、そのまま貨物に激突する。
警戒を緩めないまま近づこうとするが、襲撃犯Aは動こうとする気配を見せようとしなかった。
「おい、さっさと起きたらどうだ? アンタがあの程度の攻撃で参るわけが――」
『無理です、マスター。あの襲撃犯の意識はもう失っています』
「……は?」
黒閃の台詞を聞いた俺は思わず素っ頓狂な声を出す。
「じょ、冗談だろ黒閃? まだ戦い始めたばっかりなのに」
『冗談ではありません。以前の夏休みで竜三殿の修行もあった為か、マスターの攻撃力が上がった事で、先程の一撃はかなりの出力でした。初めてセシリア・オルコットと戦った時とは段違いです』
段違いって……あの当時の黒閃は練習機の打鉄で、俺は俺でまだ初心者だったな。んで、ISに慣れ始めてきた今の俺だと、あの頃とは全然違うって事なのか?
『そうですね。私を信頼してるマスターだからこそです』
「勝手に人の心を読むな」
だとしても早すぎだろ。出来ればもうちょっと粘って欲しかったよ。
まぁ、襲撃犯Aの意識が失った理由は分かった。一先ず俺の方は終了か。
ったく。とんだ期待外れだったな。久々に本格的なISの実戦が出来ると思ったのに、相手が思っていた以上に打たれ弱かったなんて予想外だよ。このモヤモヤを解消する為に、明日の早朝に千冬さんと組み手でもするか。
明日の予定を考えてると、少し離れたところから襲撃犯Bも貨物に激突して倒れた。あっちもあっちで思っていた以上に早く終わったようだ。
「凄いね、和哉。僕より早く終わらせてるなんて」
襲撃犯Bとの戦闘を追えたシャルロットは地上に降りながら俺にそう言ってくる。
「聞いてくれよ、シャルロット。コイツ、『砕牙・零式』一発でノックダウンだぞ。情けないと思わないか?」
「………いやいや、僕もそれを受けたら絶対に気絶するから」
気絶してる襲撃犯Aを見ながら顔を青褪めてるシャルロット。同時に気の毒そうな感じで見てるが。
それはそうと、襲撃犯二人をとっとと捕縛するか。コイツ等の仲間が応援に来られでもしたら面倒だし。
そう思った俺は襲撃犯Aを担ごうとしてると――
『マスター! 向こうの襲撃犯が!』
「っ!」
黒閃の台詞に俺が即座に倒れてる襲撃犯Bを見ると、ソイツはシャルロット目掛けてマシンガンを撃とうとしていた。
襲撃犯Bの攻撃にシャルロットは即座に防ぐも、奴が撃った弾丸はISの試作装備が入ってる貨物にも当たる。
ドガァァァアアアアンッッッッ!
その直後には貨物が爆発し、爆炎と煙がシャルロットに襲い掛かろうとしていた。
「シャルロット!」
咄嗟の事で動けなかったシャルロットに、俺は即座に襲撃犯Aを放り投げ、即行で彼女を助けようと疾足を使って駆けつけた。
次回はシャルロットがちょっと暴走すると思います。