インフィニット・ストラトス ~唐変木に疲れる苦労人~   作:さすらいの旅人

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2週間ぶりの更新です。

また短いと思われますが、取り敢えずどうぞ!


第96話

 取り敢えず不機嫌になった黒閃をどうにかしようと誰にも見られないよう人間状態にさせ、頭を撫でて機嫌が良くなったが、今度は本音が不機嫌になると言う、ちょっとしたループ状態となっていた。

 

 そんなやり取りで移動してる最中、久しぶりの我が家に着くと、本音が物珍しそうに見ている。

 

「へぇ~、ここがかずーの家なんだ~。何かちょっと意外~」

 

「何がだ?」

 

 普通の二階建ての一軒家を見た本音の発言に不可解に問う俺。

 

「だってかずーってちょお強いから、もしかしたら武家屋敷に住んでるかも~って思ってたんだよ~」

 

「あのなぁ……。武術以外に関する俺はどこにでもいるただの一般人だっての」

 

 IS操縦者になる前まではな、と付け加える俺に今度は人間状態の黒閃が尋ねてくる。

 

「マスター、不躾な質問かと思われますが、この家にマスターのご両親は――」

 

「生憎、今はいない」

 

「――やはりそうですか」

 

 黒閃は察したかのように目を閉じる。

 

 俺の両親がいない理由は、俺がIS操縦者になったからだ。政府からの重要人物保護プログラムを強制的に受けられ、現在何処にいるのかは息子の俺ですら分からない。

 

 因みに今の俺は箒と似たような状況とも言える。ISを開発した篠ノ之束の親族と同様に、ISを使える二人目の男性操縦者の親族だから重要人物扱いされているからな。それ故この家に両親はいなく現在も常に無人状態だ。

 

「かずーの両親いないんだ~。会ってみたかったな~」

 

「出来れば私もマスターのご両親にお会いしたかったのですが、残念です」

 

「(………いや、寧ろ会わなくて良かったかもしれない)」

 

 もし両親に二人を合わせたら絶対に誤解されるかもしれない。鈴を除く同年代の女友達が全くと言っていいほどいない俺が、女子二人を家に連れてきたら尚更だ。加えて本音と人間状態である黒閃は美少女と言える容姿だから、さっき言ったように絶対誤解される。色々な意味で。本音ならまだしも、黒閃は未だ女性としての常識が無い為に爆弾発言しかねない。福音の戦闘後の説明で俺に告白同然の事を言ったから、もしそれを両親に聞かれでもしたら俺は気が気でならない。

 

「まぁそれよりも中に入りな。飲み物ぐらいは出すよ」

 

「え? 入っても良いの~?」

 

「マスター、荷物整理でしたら私達は此処で待ちますが?」

 

「流石にこんな暑い外でお前等を待たせる訳にはいかないよ」

 

 話題を変えた俺は一先ず用事を済ませる為に家に入れと言うと、何故か二人は少し緊張していた。別にそんな警戒するものは無いんだがな。

 

「どうぞ」

 

「お、おじゃましま~す」

 

「失礼します、マスター」

 

 鍵を使ってドアを開けると、二人は恐る恐ると入っていき、確認した俺は居間へと案内させる。居間には当然誰もいなく俺がIS学園に行く前と何ら変わりない状態であるが、同時に久しぶりに帰ってきたなと実感した。

 

「ま、適当に寛いでてくれ」

 

 そう言った俺は台所へ行き、冷蔵庫を開けて未開封のジュースを出して、そのまま用意した二つのコップに注ごうとしたがある事に気付いた。

 

「なぁ黒閃、今気付いたんだがお前ってジュースとか飲めるのか?」

 

 ソファーに座っている黒閃に問いかける俺。

 

 因みに本音は俺の家が珍しいのか、黒閃の隣に座ってソワソワしながら周囲を見渡している。

 

「お気遣いありがとうございます。ですが私はISなので、そう言った物は特に必要ありません」

 

「そうか」

 

 予想してたとは言え、一応聞いておいて良かったと思った俺は一つのコップだけにジュースを注いだ。

 

「ほら本音、オレンジジュース」

 

「ありがと~かずー」

 

 用意したジュースに、本音はコップを持ってゴクゴクと美味しそうに飲み始める。お菓子だけじゃなくジュースも好きだからな。

 

「ぷは~、生き返る~♪」

 

「じゃあ俺は部屋に行くから、少しの間は此処で待っててくれ。あと本音、まだジュース飲みたければ、ここに置いとくから後は自分で注いでくれ」

 

 俺はそう言ってジュースが入ったボトルをテーブルの上に置き、すぐに居間を出て部屋に行こうとする。

 

 だが――

 

「おい、何で付いてくるんだ?」

 

「いや~、かずーの部屋もちょっと見てみたいなぁ~っと思って~」

 

「私はマスターのISですので、一緒に行くのは当然かと」

 

 既にジュースを飲み終えた本音と、静かに座っていた黒閃が俺の後に付いて来たので、すぐに足を止めた。

 

「………さっきも言ったが、此処で待ってろ。言うまでも無く黒閃もだ」

 

「ですが……あ、私が待機状態になれば――」

 

「黒閃、本音が勝手に俺の部屋に行かないよう此処で監視してくれ。言っとくがこれは命令だ」

 

「――卑怯です、マスター。こんな時に命令を使うなんて……!」

 

 何とでも言ってくれ。こうでも言わないと絶対付いていこうとするのは大体分かってたからな。いくら俺の専用機だからと言って、女性型の黒閃に自分の部屋を見られるのは抵抗があるし。

 

「何だ? マスターである俺の言う事が聞けないのか、黒閃さん?」

 

「…………分かりました。非常に不本意ながらも、命令通り布仏本音がこの部屋から出ないように監視をします」

 

「ぶ~~~」

 

 渋々承諾する黒閃に、本音が頬を膨らませて不満顔になっていたが、俺は無視してすぐに今度こそ居間から出た。

 

「(………一応確認しておくか)」

 

 居間のドアを閉めて、念の為に二人に姿が見えないよう息を潜めて様子を見ると――

 

『ねぇ黒閃~、本当にかずーの部屋に行かないの~?』

 

『マスターの命令に逆らうわけにはいきませんので』

 

 ――どうやら黒閃はちゃんと俺の命令に従って本音を止めていた。

 

『そんな事言ってかずーの部屋に行きたいんじゃないの~? だったら一緒に行こうよ~』

 

『マスターに怒られますのでお断りします。それに布仏本音、今行こうとしてもマスターがそこにいますからバレてしまいますよ』

 

『え?』

 

 やばっ! そういや黒閃はセンサーが付いてるんだった!

 

 黒閃に感づかれてしまった俺はすぐ二階にある自分の部屋へと向かう事にした。

 

「ふうっ……。さて、さっさと荷物整理をするか」

 

 久しぶりの自分の部屋に入って早々、俺はすぐに準備を始めた。本当なら此処で少しゆっくりしたいところだが、竜爺との修行がある上に本音達も待たせているから無理なので諦めている。

 

「(それにしても黒閃の奴……)」

 

 荷物整理をしてる最中、俺はつい先程の事を思い出す。

 

 黒閃のあの行動は絶対さっきの命令に対する仕返しだったな。でなければ態と俺に聞こえるように言わない筈だ。ちょっと良い性格してるな、黒閃の奴。

 

 とは言え、ISとは思えないほどに人間臭い行動をしてたな。てっきり黒閃は黙って俺の言う事を聞いているかと思っていたが、それは完全に予想外だった。まぁそれはそれで別に悪い事じゃない。俺としても黒閃にはもっと人間らしく振舞って欲しいから、あの行動はある意味収穫とも言える。あと出来れば女性としての恥じらいも持って欲しいが、恐らくそれはもう少し後になるだろう。

 

「こんなもんか。よし、それじゃあ――」

 

 

 Prrrrrr! Prrrrrr!

 

 

「――ん?」

 

 荷物整理は一通り完了したので、すぐ部屋から出ようとした直後に鞄の中から突然携帯の着メロが鳴り響く。

 

 誰からだと疑問に思いながら、取り敢えず鞄から携帯を取り出して画面を見てみると、発信者は『宮本 綾』と表示していた。

 

「(綾ちゃんから? こんな朝早くにどうしたんだ?)」

 

 取り敢えず俺はピッと携帯の通話ボタンを押して出る事にした。

 

「もしもし?」

 

『和哉お兄ちゃん? ゴメンね、こんな朝早く電話して』

 

「いや、それは別に構わないんだが。ってかどうした? 綾ちゃんがこんな時間に電話してくるなんて珍しいな」

 

 久しぶりに聞く綾ちゃんの声に、俺は笑みを浮かべながら言う。可愛い妹分である綾ちゃんの声を聞くと、ついついそうなってしまうからな。

 

『えっと、アタシ竜お爺ちゃんの家に泊まっててね』

 

「へぇ、そうなのか」

 

 綾ちゃんは毎年の夏休みの際に、竜爺の家に泊まりに行くから珍しい事ではない。けれど何か妙に困惑してるのは何故だろうか。

 

『その……竜お爺ちゃんが家の前で和哉お兄ちゃんが早く来ないかって待ってるんだよ。しかも朝五時から』

 

「え?」

 

 おかしいな。確か竜爺の家には朝九時までに行くと、事前に竜爺に言った筈なんだが……どんだけ気が早いんだよ。

 

『和哉お兄ちゃん、申し訳無いんだけど出来るだけ早目に来てくれないかな? 竜お爺ちゃん、この数日すっごく心待ちしてるみたいで』

 

「あ~分かった。今家にいるからすぐ行くよ」

 

 竜爺がああするって事はフラストレーションが溜まってただけじゃなく、相当暇を持て余していたんだな。

 

「取り敢えず竜爺にはすぐ家の中で待つように言っといてくれ。こんな暑い中、いつまでも外で待ってたら日射病になりかねないからな」

 

『うん、そう言っておくね』

 

「じゃあすぐに行くから」

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