インフィニット・ストラトス ~唐変木に疲れる苦労人~   作:さすらいの旅人

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一ヶ月以上空けてしまい、すいませんでした。


第97話

「悪いな一夏、時間を早めちまって」

 

「気にすんな。電話してきた時にはとっくに準備終わってたしな」

 

 綾ちゃんとの電話を終えた俺は、次に一夏に電話して集合時間を早めるよう伝えると了承してくれたので、その後すぐに居間で待ってる本音と黒閃を連れて喫茶店『AMAGI』へと向かい一夏と合流した。そして合流して早々、現在俺達は竜爺の道場へと向かっている。

 

「でも何で急に変更したんだ? 和哉の師匠の家に行くのはまだ時間がある筈だけど」

 

「どうしてなの、かずー?」

 

「マスター、説明を求めます」

 

 一夏の疑問に本音と黒閃も尋ねてくる。この二人も一夏と同じくまだ一夏に説明してないから疑問を抱くのは当然だ。

 

 因みに黒閃は未だに人間状態であり、さっきAMAGIで合流した時に一夏が黒閃を見て少し驚いていた。黒閃の人間状態を見たのは旅館の時だけで、それ以降はずっと待機状態で話していたから、一夏が驚くのは無理もない。

 

「実は家で荷物整理してた時に綾ちゃんから電話があってな……」

 

「綾ちゃん? 確か師匠の孫娘だったか?」

 

「ムッ!」

 

 一夏が思い出していると、綾ちゃんの名前が出た瞬間に何故か本音が不機嫌そうな顔をしているが一先ず無視して続ける。

 

 因みに黒閃は綾ちゃんの事については知らないから、何も言わず俺の話を聞いていた。

 

「その子は夏休みを利用して今は師匠の家に泊まってるんだが、その師匠が朝五時から家の前で俺達が来るのを待ってるから早く来てくれって頼まれたんだよ。だから予定を早めて道場に行こうって変更したってわけ」

 

「………は? 朝五時って……」

 

「………随分と気の早いお人ですね」

 

 簡単に理由を話すと、一夏と黒閃は呆れ顔となった。まぁその反応は至極当然だ。俺だって綾ちゃんから聞いた時に同じ反応してたし。

 

「すっごい早起きなんだね~。私には絶対にできないよ~」

 

「……まぁそう言う訳で、いつまでもこんな暑い外で四時間も待たせる訳にはいかないと思って急遽変更したんだ」

 

「あ、あはは……ま、まぁ流石にそれを聞いたら俺もちょっと……」

 

 ずれた反応をしている本音を聞き流し、一先ず理由は言った。呆れ顔になってた一夏は理由が分かりながらも苦笑いをする。別にフォローはしなくて良いぞ。竜爺が勝手にやった事だからな。

 

 と、そんなこんなで話をしている最中に目的地の道場に着いて、久しぶりに戻ってきたなぁと思いながら一夏達に道場に向けて指をさしながら言う。

 

「着いたぞ、あそこが師匠の家と道場だ」

 

「へぇ、あそこが……何か凄いな」

 

「おお~、ここがかずーのお師匠さんがいるところか~。おっきいね~」

 

「これは凄いですね」

 

 家と道場が一体化になってる竜爺所有の自宅を見て思わず感嘆の声をあげる一夏達。最初俺も見た時はああ言う反応をしていたから、その気持ちはよく分かる。

 

 そして出入り口の門前では竜爺の孫娘である綾ちゃんがいて、俺達に気付くと小走りで近づいて来た。

 

「和哉お兄ちゃ~ん、待ってたよ~」

 

「やぁ綾ちゃん、久しぶり」

 

「………え? 和哉、この人がお前が言ってた綾ちゃん、なのか?」

 

「ちょっとかずー、この子誰~?」

 

 綾ちゃんに挨拶をしてると、一夏が何やら信じられないような感じで尋ね、本音が何故か不機嫌そうな顔をしていた。そういえば一夏達に綾ちゃんの容姿について詳しく教えてなかったなぁと思っていると、綾ちゃんが一夏達を見て挨拶をしようとする。 

 

「皆さん初めまして。アタシ、宮本綾って言います。ちょっと信じられないと思いますけど、こう見えてアタシは小学六年生です」

 

 と、綾ちゃんが挨拶と自己紹介をすると――

 

「………はあぁ!?」

 

「………えぇ~~~!?」

 

「成程。貴女がマスターが言ってた宮本綾ですか。初めまして。私は黒閃と申します」

 

 一夏と本音は凄く驚き、黒閃だけは普通に挨拶をした。

 

「え? あ、ど、どうも……」

 

 二人の反応に綾ちゃんは苦笑いしていたが、黒閃の対応に少し驚いていた。俺も思わず少し驚いて黒閃を見る。

 

「何か気を悪くされましたか?」

 

「あ、いや、こうも普通に挨拶されたからちょっと驚いて」

 

 だろうな。今まで初対面の相手はいつも綾ちゃんが小学生だって事に分かった後、一夏達のような驚き方してたし。

 

 だから今回の黒閃のような何も驚く事無く受け入れて挨拶をするのは、綾ちゃんにとってすごく珍しい。

 

「? マスター、私の挨拶はどこかおかしかったでしょうか?」

 

「……いいや。別におかしくない」

 

「はあ……」

 

 訳が分からないと言う顔をしている黒閃に、一先ず俺は後回しにして一夏と本音の方へと顔を向ける。

 

「ほらお前ら、いつまでも驚いた顔してないで早く綾ちゃんに自己紹介したらどうだ?」

 

「あ、ああ……」

 

「………………」

 

 紹介するように促すと、一夏は返事をしてるが本音は何かを疑うような感じで見ていた。まだ小学生である事を信用してないんだろうか。

 

「は、初めまして、俺は織斑一夏だ。よろしくな」

 

「こちらこそ。和哉お兄ちゃんから聞いて、織斑さんは竜お爺ちゃんの修行を受けるそうですね。頑張って下さい」

 

「おう。………にしても君って本当に小学生なのか? どう見ても、のほほんさんと大して変わらないんだが……」

 

「コラ一夏」

 

 失礼な事を言う一夏に俺が嗜めようとするが、綾ちゃんは――

 

「………やっぱりアタシ、老けて見えるんですね……うう……」

 

「あ、いや違う違う! 俺が言ったのはそう言うのじゃなくて……!」

 

「な~んて、冗談ですよ。もう慣れてますし」

 

「え……冗談?」

 

 ちょっとした仕返しのつもりか、態と泣き真似をして一夏を困らせた。

 

 どうやら綾ちゃんは俺が少し見ない間に少しばかり逞しくなったようだ。まさかあんな泣き真似で相手を困らせる事をするとは予想外で、俺も少しばかり驚いた。まぁ綾ちゃんのような美少女キャラがああ言う事をすれば、殆どの男が一夏みたく戸惑ってしまうから無理ないかもしれない。

 

「な、何だ冗談か……」

 

 冗談と聞いて戸惑っていた一夏は安堵する。

 

「ハハ、一本取られたな一夏。にしても綾ちゃんにしては随分と珍しい事をするな。以前まではションボリしていたのに」

 

「いつまでも気にしてたらしょうがないからね。和哉お兄ちゃんも言ってたでしょ? いつまでも気にしてないで、前向きに考えるようにって」

 

「ああ、確かに言ったな」

 

 まさかその台詞だけで逞しくなるとはな。少々恐れ入りました。

 

「って、それはそうと本音、君もいい加減挨拶したらどうだ? 後は君だけだぞ」

 

「う、うん。……初めまして、私は布仏本音だよ」

 

「どうも」

 

 何か妙に疑うような感じで挨拶をする本音に、綾ちゃんは不思議に思いつつもペコリと頭を下げる。

 

「かずーから聞いてるんだけど、どうしても聞きたい事があってね~」

 

「聞きたいこと、ですか?」

 

 本音の台詞に首を傾げながら聞き返す綾ちゃん。ってか、本音は綾ちゃんに何を聞こうとするんだ?

 

 俺だけでなく一夏と黒閃も不思議そうに本音を見ていると――

 

「えっと……綾ちゃんはかずーの恋人じゃないって本当なの~?」

 

「…………へ?」

 

 

 ズルッ!!

 

 

 お、思わずこけちまった……! ってか、んな事を真剣な顔して聞くのかよ!?

 

 俺前から言った筈だよな!? 小学生の綾ちゃんとはそんな関係じゃないって! それなのにコイツと来たら……!

 

「ほ、本音、お前なぁ~……」

 

「え、えっと、アタシ、和哉お兄ちゃんとそんな関係じゃないよ?」

 

「本当に~?」

 

 立ち上がる俺に、思わず地で話す綾ちゃんは否定するが本音はまだ疑っていた。いつまで疑ってるんだよ。

 

「ほ、本当だって。それにアタシ、好きな人がいるし……って、い、い今の無し今の無し!」

 

 おや? 今綾ちゃんの口からとんでもない事を言ったな。でかしたぞ本音。お前にはいつかアップルパイを食わしてやる。

 

 思いも寄らない大収穫に俺は思わず笑みを浮かべて、綾ちゃんに詰問しようとするが――

 

 

 バタンッ!!

 

 

「お主ら何時まで人の家の前で駄弁っておるか!? さっさと中に入らんか!」

 

 突然門が開いて師匠の竜爺がもう我慢出来なくなっていたのか俺達に入るよう怒鳴ってきた。俺と綾ちゃんを除く一同は竜爺のいきなりの登場に吃驚し、黒閃は『速い、さっきまで道場にいた筈なのに僅か数秒でここまで来るとは……』と呟きながら驚いていた。おい竜爺、アンタどんだけのスピード出したんだよ。




散々待たせてしまった上にしょぼい話ですいません。

次回はなるべく速めに更新するよう頑張ります。
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