インフィニット・ストラトス ~唐変木に疲れる苦労人~   作:さすらいの旅人

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先ず最初に………二ヶ月以上空けっぱなしにしてすいませんでした!! m(_ _)m

あと久しぶりに書いた所為で、物凄い時間が掛かったばかりか、内容も短いです。ほんっとうにすいません!

それでも読んでくれる方はどうぞ!


第100話

「いててて……」

 

(わっぱ)よ、訊くまでも無いとは思うが、まだ続けるかの?」

 

「…………充分身に染みましたのでもう結構です」

 

「それは何よりじゃ」

 

 後頭部を摩っている一夏だったが、竜爺の問いに間がありながらも降参の意志を見せる。あれだけ力の差を見せつけられたから、もう続ける気なんか無いだろう。理解してくれて何よりだ。

 

「おりむー大丈夫ー?」

 

「はぁっ……。一夏、理解したと思うが、もう竜爺相手に勝負しろだなんて言わないでくれよ」

 

「あ、ああ……」

 

 心配しながら駆け寄る本音と、安堵の息を漏らしながら警告をする俺に一夏が頷くが――

 

「あれだけ息巻いといてアッサリ負けるとは……無様ですね」

 

「うぐっ!」

 

「コラ黒閃」

 

 黒閃のズバッと斬り捨てるような辛辣な台詞を聞いて撃沈一歩手前になってしまった。それを見た俺はすぐに窘めようとすると、竜爺が黒閃に視線を向ける。

 

「これお嬢さんや、そんな言い草をするでない。あと“無様”などと勝手に斬り捨てんでくれるか? それは見物しておったお嬢さんが決める事では無いからのう、悪いが口を挟まんでくれ」

 

「っ! ………申し訳ありませんでした」

 

 若干殺気が篭った目をして指摘する竜爺に、黒閃は一瞬ビクッと震えながらも謝罪をする。

 

(驚いた。ISでも怯える事があるんだな)

 

 怯える黒閃を見て俺は思わず目を見開いてしまった。

 

 竜爺の殺気は俺なんかの殺気と違って、生物としての本能的な恐れを抱かされてしまう。それを生物ではなくISの黒閃を怯えさせると言うのは普通あり得ない。

 

 黒閃が俺達人間と同じ感情があるからなのか、IS相手でも怯えさせる竜爺が凄いのか……どっちにしても色々な意味で驚きだ。

 

「ん? どうしたのじゃ和哉、そんな鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして」

 

「………いや、気にしないでくれ」

 

「?」

 

 俺の驚いてる表情に気付く竜爺だが、不可解に思いながらも後回しにして、また一夏の方に視線を向けようとする。

 

「さて童よ、ワシとの力の差が分かった以上、この後すぐ和哉と一緒に修行を始めるぞ」

 

「ええ!? こ、この後すぐ!?」

 

「当たり前じゃ。童の相手で修行時間が割かれたんじゃぞ? それを埋め合わせる為には一刻も早く始めねばならんからのう。特に武の才能がありながらも、そんなに錆だらけなお主の身体を徹底的に磨かねばワシの気が済まんわい」

 

 どうやら竜爺はさっきの勝負で一夏の素質を見抜いていたようだ。その証拠に竜爺の目が物凄くギラギラしてる。竜爺にとって、才能がありながらも宝の持ち腐れ状態になってる今の一夏を見過ごせないんだろう。もし一夏が俺みたいに武術の才能が全く無い奴(・・・・・・・・・・・・・・・・)だったら、あそこまで活き活きとしてはいない。

 

「はぁっ……。竜爺、修行を始めたい気持ちは分かるが、一夏を少し休憩させてからにしてくれ。ただでさえ竜爺の二撃食らってまだフラフラなんだからな」

 

 一夏は意識があっても、竜爺のデコピンを食らった痛みの所為で、まだ頭がフラフラな状態だった。そんな状態で修行させては途中でへばってしまうので、俺は止めようとするが竜爺は聞く耳持たぬと言わんばかりの顔をしている。

 

「何を言うか和哉よ、お主や童の修行が一分一秒惜しいと言うのに、そんな悠長な事を――」

 

「竜お爺ちゃん、和哉お兄ちゃんの言うとおり、織斑さんを少し休憩させないとダメだよ」

 

 竜爺が言ってる最中に、冷たい水とタオルを持ってきた綾ちゃんが現れて竜爺を諌めようとする。

 

「綾、お主まで……」

 

「織斑さんは初めてお爺ちゃんの修行をするんだから、こんな状態で修行させたらすぐに倒れちゃうよ」

 

「じゃ、じゃがのう……」

 

「とにかくダメ。じゃないと………今夜出すおつまみとお酒は無しにするんだから」

 

「うっ……」

 

 さっきまで聞く耳持たぬ竜爺の勢いが削がれていき、綾ちゃんが次に言った台詞によってそれは完全に無くなってしまった。

 

 因みに綾ちゃんが言ったつまみと酒だが、つまみは綾ちゃん手作りのだし巻き卵で、酒は日本酒だ。この二つは竜爺の大のお気に入りなので、それを無しにされるのは我慢出来ないだろう。以前竜爺が、「日本酒を飲みながら綾の出汁巻き卵を食べるのは格別じゃ」って言ってたからな。

 

「だそうだ竜爺、どうする?」

 

「むぅ…………仕方あるまい。孫娘の綾に免じて、十五分ほど休憩じゃ」

 

 妥協した竜爺がそう言いながら道場を出て行き、それを見て安堵の息を吐く綾ちゃんはすぐに一夏の方へと歩み寄る。

 

「大丈夫ですか、織斑さん? このタオルで冷やしてください。あとお水もどうぞ」

 

「あ、ありがとう……」

 

 気遣ってくれる綾ちゃんに一夏はお礼を言いながら、胡坐を掻きながらタオルと水が入ってるペットボトルを受け取る。すぐにタオルをデコピンを食らった患部の額にタオルを当てると、一夏が痛そうな顔をする。

 

「いてて……」

 

「痛いと思いますが、そうしてれば徐々に痛みが引きますのでちょっとの間は我慢してください。それでも痛みが無くならなかったらアタシが薬を用意しますので、遠慮なく言ってください」

 

「いや、何もそこまで気を遣わなくても」

 

「気にしないで下さい。これでも和哉お兄ちゃんの傷の治療を何度もしてますから慣れてます」

 

 そう。綾ちゃんの言うとおり、俺は竜爺との修行で怪我をした際に、時折道場に来る綾ちゃんに治療させてもらっていた。それによって綾ちゃんは、そこら辺の素人よりも傷の手当てが上手い。

 

「傷の治療って……。和哉、お前あの爺さんと普段どんな修行してんだ?」

 

「その質問は、この後始まる竜爺の修行を受ければ嫌でも分かるよ」

 

「………………」

 

 敢えて答えない俺に一夏は段々嫌な予感がするみたいな顔になっていくが、生憎それはもう遅い。此処に来てしまっただけでなく、竜爺に目を付けられた以上もう逃げられないからな。

 

 一夏はチラリと本音と黒閃を見るが――

 

「が、頑張ってねーおりむー。私応援してるから~」

 

「あのご老人から口を挟むなと言われましたので黙秘します」

 

 あっさりと見放されてしまった。

 

「………俺、死ぬかも」

 

「大丈夫だ一夏、何かあったら俺がフォローするから」

 

「あ、アタシもなるべく手伝います、織斑さん。お、主に傷の治療を」

 

「…………一応ありがとうとだけ言っておく。それと宮本さん、俺の事は一夏でいいし、和哉みたく普通に話してくれ」

 

 一夏が形だけの礼を言った後、綾ちゃんに向かってそう言った。突然の事に綾ちゃんはキョトンとする。

 

「良いんですか?」

 

「ああ、良いぜ。小学生の君にそんな畏まった話し方されると何かちょっとむず痒いしな」

 

「じゃあ……アタシの事を綾で良いよ、一夏お兄ちゃん」

 

「おう。にしてもお兄ちゃん、か」

 

「どうかしたか一夏?」

 

 綾ちゃんにお兄ちゃんと呼ばれた一夏は少し複雑な顔をしていたので、疑問を抱いた俺は尋ねて見た。

 

「いや、千冬姉の弟の俺が綾にお兄ちゃんって呼ばれて変な感じがしてな。」

 

「………そう言われりゃそうだな」

 

 確かに一夏はいつも周囲から千冬さんの弟としか見られていなかったから、綾ちゃんと会って間もない子に突然“お兄ちゃん”と呼ばれるのは変な感じがするだろう。現に俺も最初、綾ちゃんに“お兄ちゃん”と呼ばれて違和感あったからな。今はもうとっくに慣れてるけど。

 

 そう思ってると、先程一夏を見放した本音が――

 

「綾ちゃん綾ちゃん、だったら私も“本音お姉ちゃん”って呼んで~。喋り方もおりむーと一緒で良いから~」

 

「え……うん、分かったよ、本音お姉ちゃん」

 

「お姉ちゃん……何か良い響きだね~。そう呼ばれると姉の威厳みたいなのが感じるな~」

 

「私から見れば、布仏本音にそんなのは微塵も感じられませんね。姉として見られたいのでしたら、少ししっかりすべきです」

 

「ちょっと黒閃~、お姉ちゃんみたいなこと言わないでよ~」

 

「お姉ちゃん? 何だ本音、君に姉がいるのか?」

 

 初めて知った情報に思わず問うと、本音はすぐに頷く。

 

「いるよ~。しかも凄く厳しいのー」

 

「成程。………恐らくそのお姉さんは、本音に相当苦労してるんだろうな」

 

「ちょっとかずー、それどう言う意味ー?」

 

 ボソリと呟く俺に、本音はちゃんと聞こえていたみたいで、顔を顰めながら俺の左腕に引っ付いてきた。

 

「別に深い意味なんて無い。ただ思った通りの事を言ったまでだ」

 

「私お姉ちゃんに苦労なんかさせてないんだけど~?」

 

「自覚が無いとは正にこの事だな」

 

「む~~~! 私ちょっとカッチーンだよ~!」

 

 完全に剥れ顔になった本音は手を使って俺の頬を抓ろうとしてきたので、俺はさせまいと本音の片手を掴むが、それでも本音は止めようとしなかった。

 

「むむ~~~!」

 

「ハッハッハ、君の腕力じゃ無理だよ」

 

「じゃあこうする~!」

 

「ん?」

 

 俺の頬を抓るのを諦めた本音が、さっきまで左腕に引っ付くのを離れると、今度は真正面から俺に抱き付いてきた。一体何がしたいんだ?

 

「本音、何のつもりだ?」

 

「かずーが謝るまでずっとこうしてるからー」

 

「だからって抱き付くことは無いだろうが……」

 

 本音から離れようとする俺だが、本音は両腕を俺の背中にがっしりと回している。その気になれば振りほどけるが、下手をすると本音に怪我をさせてしまう恐れがあるので、それが出来なかった。

 

『はぁっ、また始まった……』

 

『……ねぇ一夏お兄ちゃん、あの二人って仲良いのか悪いのかよく分かんないんだけど』

 

『取り敢えずメッチャ仲が良いとだけ断言しておく。あとあれはいつも学校でいつもやってる事だから気にしないでくれ』

 

『そ、そうなの?』

 

『………………』

 

『あの、黒閃さん。何でそんなに不機嫌なんですか?』

 

『気にしないで下さい。それと私の事は黒閃で構いませんし、織斑一夏達と同様に普通の喋り方で結構ですので。あと私も貴女の事を綾と呼ばせてもらいます』

 

『は、はぁ……』

 

 そして休憩が終わると、竜爺が再び道場へと戻ってきて修行を開始する事になった。

 

 その数時間後には――

 

「ぐああ~~~~!! か、和哉! いっそ俺を一思いに殺してくれ~~~!!!」

 

「おいおい、死ぬのにはまだ早いぞ。こんなのまだ序の口だ」

 

「これ童! 下らん事を抜かしとる暇があれば修行のハードルを高くするぞ!?」

 

「止めてくれ~~~!! 俺マジで死ぬ~~~!!」

 

 竜爺のハードな基礎訓練で一夏が早くも脱落しそうになっていた。

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