インフィニット・ストラトス ~唐変木に疲れる苦労人~   作:さすらいの旅人

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今回はIS学園側の話です。

それではどうぞ。


第101話

 ~~一夏が和哉の師匠“宮本竜三”のハードな基礎訓練で地獄を見ている頃~~

 

 

 

「……っ、昼になってもまだ繋がらないか。全く、一夏の奴は一体何をしているんだ……!」

 

 IS学園寮の一室にて、携帯電話を使って何度も一夏と和哉に連絡をしようとしてるが一向に繋がら無い事に、篠ノ之箒は若干イラついていた。

 

 最初は一夏を誘って一緒に朝食を取ろうと気分良く一夏と和哉の部屋に行ったが、二人揃って部屋にいなかったので、もしかしたら訓練しているのではないかと思って探すが見付からなかった。

 

 仕方なく一人で朝食を取った後、自分の部屋に戻った箒は再び一夏を探そうとするが、偶然会った副担任の山田真耶から一夏と和哉が朝早くから外出しているのを知った。箒はすぐ部屋へ戻り、携帯を使って一夏に連絡をしても繋がらず、ある程度の時間を置いて再度連絡をしても繋がらないのが何度も続いている為、苛々が募って不機嫌な訳である。

 

 因みに箒は夏休みに入ってもすぐに実家へ戻ろうとせず、個人的な事情により時期を見計らってからと言う理由で今はまだIS学園に残っている。箒のルームメイトは既に実家へ帰省しており、今この部屋には箒一人しかいない。

 

(まさか一夏はもう既に帰省したのか? ……いや、それはない。確か帰省する日はまだ先の筈だ)

 

 箒は一夏が家に帰省する日を予め本人から予め聞いていたので、すぐに違うと考えると、ふと一夏のルームメイトである和哉を思い浮かんだ。

 

(そういえば和哉も一夏と同じく今朝早く外出してると山田先生が言ってたが………もしかすると和哉が一夏を連れて何処かに行ったのか? だとしても何故そんな早く外出する必要があるんだ?)

 

 和哉の行動に疑問を抱く箒だが、今この場で一人で考えるよりも電話で本人に問い質せば手っ取り早いと結論し、昼食後にまた電話しようと一先ず部屋から出ようとする。

 

「あ、箒、ちょっといい? さっきから一夏探してるんだけど、全然見付からないのよね~。どこにいるか知らない?」

 

「鈴か」

 

 そして食堂に向かおうとする途中で、中国代表候補生並びに一夏のセカンド幼馴染の凰鈴音が箒に尋ねる。

 

「アイツは今朝から外出したそうだ。どこにいるかまでは知らん」

 

「外出? まさかもう帰省したの? おかしいわね~、一夏が帰省する日はまだ先の筈……あ、しまった!」

 

「……はぁっ。どうやら鈴も知っていたようだな」

 

 鈴が一夏の帰省日を知っていた事に、箒は溜息を吐きながら諦めの表情となった。

 

 一夏が帰省した際、適当な口実を作って一夏の家で二人っきりになろうと考えていた箒だったが、鈴の台詞を聞いてそれはもう無理だと確信した。どうせ鈴の事だから、恐らく自分と同じ事をするに違いないと。

 

 鈴は先程余計な事を口走ったと慌てて口を手で塞いでいたが、箒の台詞を聞くとすぐにそれを止めた。

 

「あたしもって……もしかして箒も一夏から聞いたの?」

 

「ああ」

 

「っ……。アンタってホントに抜け目が無いというか、油断も隙も無いっていうか……はぁっ」

 

「それはこっちの台詞だ」

 

「まあ、何となく予想はしてたけど……。じゃあ和哉の方は知ってる?」

 

 お前に言われたくないと返す箒に、鈴は諦めるかのように話題を変えようと別の質問をしようとする。

 

「和哉なら、一夏と同じく外出した位までしか知らん」

 

「アイツも? ふ~ん……そっか、外出したんじゃ仕方ないわね。ま、あたしにとっちゃその方が好都合だわ」

 

「? どう言うことだ?」

 

 箒は不可解に思って尋ねると、安堵してた鈴は面倒くさそうに理由を話し始める。

 

「昨日、ウチの国の上層部から“夏休みになったら神代和哉を専用機と一緒に中国へ連行しろ”って命令出されたのよ」

 

「連行だと? 勧誘なら分かるが、何故和哉が連行されなければならない? アイツが一体何をしたと言うんだ?」

 

「別に和哉は何もしてないわよ。向こうが勝手に思い込んでるだけ」

 

「…………すまない鈴、私にはお前の言ってる事が全然理解出来ない。と言うか、そもそも中国は一体どう言う理由で和哉を連行しようと考えてるんだ?」

 

 訳が分からないと言ってくる箒に、鈴はある事を問おうとする。

 

「箒さぁ、和哉が使う遠距離用の技で“破撃”と“飛燕脚”って知ってるよね?」

 

「ああ、それがどうした?」

 

「実はその技が原因で連れて来いって言ってるのよ。あたしのISで使ってる第三世代兵器の龍咆をどうやって利用したかを取り調べる必要がある、って和哉が聞いたら100%呆れる超バカバカしい理由で」

 

「………は?」

 

 理由を聞いた箒は『何言ってんだ、コイツ?』みたいな顔をしていた。

 

 箒がこうなってしまうのは無理もない。和哉が厳しい修行で会得した破撃と飛燕脚を、自国の兵器を盗用したから取り調べると言う中国の荒唐無稽な行動は誰が聞いても呆れてしまう。当然、命令を下された鈴でさえも物凄く呆れていたが。

 

「鈴、お前の国を悪く言いたくはないんだが――」

 

「あ~そこから先は分かってるから言わなくていいわ。あたしも命令内容聞いてる最中に、箒と同じ事考えてたから」

 

「そうか……。で、まさか鈴は命令通り和哉に中国に連れて行こうとするのか?」

 

「んな訳ないでしょうが。第一、いくらあたしに言われたからってアイツがあんな下らない命令に素直に従うと思う?」

 

「………無いだろうな」

 

 国の命令に和哉が従わない展開を容易に想像する箒は若干間がありながら答えると、鈴もうんうんと頷いてる。質問する鈴でも分かりきった返答をすると思っているから。

 

「ま、ウチの上層部の事だから、取調べなんかはあくまで口実で、本当の目的は和哉を勧誘させる為なんでしょうけど」

 

「やはりそれが本音か。けど良いのか? 自分の国の事情を他国者である私にペラペラ話しても」

 

「別に問題無いわ。聞いた話だと、どこの国もあの手この手使って和哉を引き入れようとしてるみたいだからね。あたしの所もその一つに過ぎないし」

 

 どうでもいいように答える鈴に、箒は完全に呆れ顔となっていた。当然それは各国の行動に対して。

 

「……どの国も躍起な事だ。呆れるほどに」

 

「全くよ」

 

 箒も自分が篠ノ之束の妹だからと言う理由で政府に保護と言う名の拘束をされていたから、和哉を気の毒に思っていた。箒にとって和哉は良き友人で相談相手でもあるから、自分と同じ経験をさせたくないと。

 

「それでさっき好都合と安心したのか」

 

「そう言うこと。まぁそう言う訳で、あたし今から上層部に和哉はいないって報告してくるわ」

 

「ああ」

 

「あ、言っとくけど箒。一夏が帰省する日に抜け駆けしたら承知しないからね」

 

「………分かってる」

 

 内心一夏と何処かへ二人っきりになる場所へ行こうと計画してた箒だったが、鈴が立ち去る前に釘を刺してきたので、それはもう無理だと諦めざるを得なかった。

 

 そして箒は昼食後に再度一夏へ電話するが――

 

「まだ出ないのか!? 私が何度も電話しているのにまだ出ないとはどう言う事だ!?」

 

 結局繋がらず、イラついてる箒は憤慨してしまった。

 

 

 

 

 

 

 因みにその一夏は――

 

「遅いぞ童! きりきりと走らんか!!」

 

「勘弁してくれ爺さん! こんな状態であと二駅先の公園まで走りきるのは無理だって!」

 

「口を動かす暇があるなら足を動かせい!」

 

「いでぇぇぇ~~!」

 

 外で(竜三曰く)軽い走りこみをしていた。しかも腹の辺りにロープを巻かれ、そのロープの先には括り付けたタイヤの上に竜爺が乗って、弱音を吐く一夏を鞭で叩いていた。

 

「ったく……。竜爺ってば基礎訓練とは言え、初心者の一夏相手にも容赦無いな」

 

「がんばれ~おりむ~」

 

「………私は待機状態に戻ったほうが良いのでは?」

 

 そして一夏と同様にタイヤを引きずって走りこみをして竜三に呆れている和哉と、和哉が引きずってるタイヤの上に乗って一夏を応援する本音と黒閃もいた。

 

 因みに綾は道場に残ってお昼ご飯の栄養満点スタミナ焼きそばを作っている。

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