インフィニット・ストラトス ~唐変木に疲れる苦労人~   作:さすらいの旅人

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久々の本編更新です。

ついでに久々の本編なので、グダグダな内容です。


第118話

「凄いな。ちょっと教えただけで、簡単にこなすとは」

 

「狙い方や力の調節さえ分かれば一通り出来ます。これも偏にマスターの教え方が良かったからです」

 

「いや、俺はそこまで詳しく教えたつもりはないんだが……」

 

 黒閃に夏祭りの遊び方を教えようと、輪投げゲームや金魚すくい、更には射的もやらせた。俺が基本的ルールを教えた直後、黒閃は物の見事にカンストしたよ。

 

 輪投げなんか一回失敗した以降は百発百中のように全部の輪っかに入れ、金魚すくいも同様に一匹逃した以降にヒョイヒョイッとポイが完全に破れるまですくい上げていたし。因みにすくった金魚はキャッチ&リリースとして全部戻した。飼うつもりなんてないしな。

 

 最後に射的は元から得意分野だったのか、黒閃が鉄砲を持った瞬間、スナイパーのような眼差しで標的を一発で落として商品をゲットした。黒閃曰く『商品が倒れやすい位置を狙えば落とすのは容易い』だそうだ。俺は絶対にそんな事出来ないってのに。

 

「しっかしまぁ、まさか液晶テレビが当たるとはな。思いもよらない収穫だったぞ」

 

 俺の片手には段ボールと袋に包まれた液晶テレビを持っている。普通の人であれば両手で持たなければいけないが、俺からすれば大して重くないので片手で充分だ。流石に物を持った状態で引っ付かれるのは困るから、ゲームやる前にずっと引っ付いていた黒閃に離れるよう言ってある。

 

 竜爺の家で寝泊まりしてる俺の部屋にテレビはゲーム用として置いてあるが、古くなっていたのでそろそろ買い替えようと思っていた。それがまさか、黒閃のおかげで無料(タダ)で手に入れる事が出来るとは。

 

「ですが、あの射的屋の店主は意図的に倒せないように細工をしていました。本当でしたら、あの後抗議したかったんですが」

 

「まぁ良いよ。それを分かっていながらもコレを倒してゲット出来たんだからさ」

 

「……マスターがそう仰るのでしたら」

 

 少し憤慨気味となってる黒閃を俺はなだめるように空いてる片手で、軽く頭を撫でてあげた。それが良かったのか、さっきまで憤慨していた黒閃が大人しくなった。

 

 さて、黒閃を宥めるのは成功したが……取り敢えず一夏に連絡して一旦帰るとしよう。

 

 いくら薄型の液晶テレビを片手で持ってても、正直言ってコレは邪魔だった。コレを持ちながら祭りを楽しむ事なんか出来やしない。

 

 一夏には悪いが、俺達は一足先に退散させてもらう。それに、そうした方が一夏とデートを楽しんでいる箒にとっては都合が良いだろうし。

 

 よし、それじゃあ早速一夏に連絡を――

 

「蘭~~~~!! どこにいるんだ、蘭~~~~!?」

 

 しようと思ったが、どこかで聞いた憶えのある声がしたので思わず手を止めた。

 

 声がした方を見てみると、周囲の目を気にせず大声を出しながら走り回っている様子だ。

 

「やっぱり弾だったか。ってかアイツ、何やってんだ?」

 

 一夏と同様の友人――五反田弾を見た俺は不可解そうに見ている。黒閃も同様に。

 

「確か彼は、マスターのご友人でしたか?」

 

「そうそう。ってかアイツ、さっきから蘭って叫んでるが……もしかして妹の蘭と逸れたから探してるのか?」

 

 弾の慌てぶりを見て俺はそう推測する。同時にある事も思い出した。弾の妹――五反田蘭の事を。

 

 あの子は弾と同様、前に五反田食堂で会ったきりだが、結構キツい事を言ったからな。戦争の恐ろしさや捕虜になった末路とかを教えて、安易な考えでIS乗りになるなと言った。それ以降、蘭がこの先どうするのかは未だに知らないが。

 

 以前の事があるから、正直言って弾と会うのは少し気が引く。妹の蘭を追い詰める事をしたし。前の俺だったら全く気にせず弾に話しかけているんだが、時間が経っていくに連れて、悪い事をしたと思ってきてるんだよな。

 

 結果がどうあれ、蘭の夢を潰して泣かした事に変わりない。なので兄の弾と会ったら面倒な事になると思ったので、俺は黒閃を連れて――

 

「お? おお~! 和哉~~~! ちょっと待ってくれぇぇ~!」

 

 退散しようと思った矢先、いつの間にか弾に見付かってしまった。何で考えた直後に見付かってしまうんだ?

 

 声を掛けられた以上、無視は出来ないと諦めた俺が足を止める。その数秒後には少し泣きじゃくった顔をしている弾と対面する。

 

「よ、よぉ、弾じゃないか。久しぶりだな。ってかお前、そんな顔してどうしたんだ?」

 

「蘭と逸れて探してるんだよ~! 和哉、蘭をどこかで見てないか~!? 俺はもう心配で心配で~!」

 

 どうやら本当に蘭と逸れたようだ。ってか、それだけで泣くほどの事じゃないかと思うんだが。 

 

 何か弾の奴、逸れた蘭の事が頭がいっぱいなのか、この前の事を全く気にせず俺に話しかけてるな。おまけに隣にいる黒閃の事にも全く気付いていないし。まぁ、それはそれで俺としては好都合なんだが。

 

「さ、さぁ……。俺はこの周辺歩き回っていたが、蘭はどこにもいなかったぞ。もしかしたら、この先の奥にいるんじゃないか?」

 

「そうか! ありがとう和哉! 今度またゆっくり話そうな! 蘭~~~! どこだぁ~~!?」

 

 蘭がいると思われる場所を推測して言うと、弾は疑う事をせずに俺が指した場所をそのまま進んで去っていった。叫び声を上げながら。

 

「ったく。相変わらず蘭の事となると騒がしくなるな、アイツは」

 

「何と言うか、彼は織斑一夏と同様にシス……妹思いなご友人ですね。」

 

 おい黒閃、今シスコンって言おうとしただろ。まぁ強ち間違っちゃいないけどな。

 

 一先ず一夏に確認してみるとしよう。蘭に会っていないかを。それに丁度、時間も約束の一時間経ったし。

 

 そう思った俺は、懐にある携帯電話を取り出して一夏に連絡してみた。

 

「もしもし、和哉か?」

 

「おう。なぁ一夏、ちょっと訊きたいんだが、弾の妹――蘭を見なかったか?」

 

「蘭? 蘭なら今、俺達と一緒にいるぞ」

 

 あれま、どうやら俺の予想が当たっていたようだ。まさか本当に蘭が一夏達と一緒だったとは。

 

 だとすれば、箒からしたらちょっと面白くないだろうな。折角の二人っきりのデート中に邪魔が入ったと言う感じで。まぁ多分、蘭も蘭で箒を見て予想外な恋敵と認識してるんだろうけど。

 

「そうか、それなら好都合だ。ついさっき弾と会ったんだが、アイツ必死で蘭を探しているんだよ。もしかしたら弾がそっちに行くかもしれないから、蘭に言っといてくれないか?」

 

「おう、分かった。後で蘭に言っとく。ってか、お前も来たらどうだ? これ以上黒閃とデートしてたら、のほほんさんが悲しむぞ?」

 

「だから何でそこで本音が出てくるんだよ」

 

 俺と本音は付き合ってないって何度言えば分かるんだ、コイツは?

 

「それはそうと、突然で悪いが俺と黒閃は先に帰る。後はお前達だけで祭りを楽しんでくれ」

 

「はあ? 何でだよ? この後、打ち上げ花火があるんだぞ」

 

 俺が帰ると聞いた一夏が少し不機嫌そうに言い返してくる。

 

「いや、それがさぁ……」

 

 俺は射的ゲームで黒閃が大型の景品――液晶テレビを当てた事を説明する。

 

 持ち歩くのに不便な上に、通行人の邪魔にもなっている。更には俺としてもいつまでも持ち歩きたくなかったから。

 

 それらを聞いてた一夏は、黒閃の凄さに驚きながらも、景品が凄く邪魔である理由も納得してくれた。

 

 納得した一夏の返答を聞いた俺は、次に箒に代わってもらうように頼む。

 

「和哉、私に何か用か?」

 

 一夏から箒に変わったのを確認した俺は、すぐにこう言った。

 

「おい箒。この際だから、どこかで一夏と二人っきりになる場所でも移動して、そのまま一夏に告れ。ここにはセシリア達と言う名のお邪魔虫がいないんだからさ」

 

「なっ! い、いきなり何を言い出すんだ、お前は!?」

 

 慌てふためいた声を出す箒。恐らく電話の先では顔を赤らめているだろう。

 

「あの唐変木に遠回しな告白なんかせず、ちゃんとストレートに言えよ。『一夏、私は異性としてお前の事が好きだ。結婚を前提に付き合ってほしい』ってな」

 

「けっこ……! わ、わ、私がそんな恥ずかしい事を言えるかぁ!」

 

「ストレートじゃなけりゃいけないほど、アイツは鈍感なんだよ。兎に角、この機を逃さずちゃんと告れよ。そんじゃ」

 

「ま、待て和哉! まだ――」

 

 箒が何か言ってるが、一先ず言いたい事を言った俺は速攻で電話を切る事にした。

 

 一夏も一夏だが、箒や他の一夏ラヴァーズ達はここぞと言う時にヘタレだから、これくらいの事を言わなきゃダメなんだよな。俺としてはさっさと誰かが告って一夏の彼女になってくれれば、面倒事に巻き込まれずに済むんだが。

 

 取り敢えず箒に告るチャンスと、告る内容を助言しておけば何かしらの行動をしてくれる筈だ。いくらヘタレな箒でも、こんなチャンスを無駄にするとは思えない。それでも告白せずに終わったら……俺は今後箒を超ヘタレ女と呼ばせてもらう。

 

「マスター、それはいくら何でも一方的過ぎではないですか?」

 

 電話の会話を聞いていた黒閃が少し呆れた様子で言ってくる。

 

「これくらいの発破をかけとかないと、アイツ等は実行しようとしないからな。俺がさり気なくチャンスを与えても、殆ど無駄にしてたし」

 

「それは……」

 

 黒閃も箒達に対して何かしら思うところがあったのか、俺の言葉に反論しなくなった。

 

 因みにちゃんとした告白をしてるのは唯一ラウラだけなんだが、アイツは一方的且つ常識外れな事をしてる所為で一夏に思いが伝わっていない。それでも素直に思いを伝えているのは良い事なんだが。

 

「まぁ取り合えず、俺達は帰るとしよう。いつまでもコレ持ち続けたくないし」

 

「宜しければ、私がお持ちしましょうか?」

 

「いや、それは勘弁してくれ」

 

 いくら黒閃が人間化したISだからって、女の子に液晶テレビを持たせるのは流石に不味いし。

 

 片手で持ってる液晶テレビを代わりに持とうとする黒閃にやんわりと断りながら、俺達は篠ノ之神社を後にした。

 

 

 

 

 

 

 竜爺の家に戻ってきたが、そこには綾ちゃんがまだ帰ってきてなく、更には家主の竜爺もいなかった。玄関には『ちょっと出掛けているから、ちゃんと鍵を掛けるように』と書き置きメモがあった。もしかしたら俺達が祭りに行ってる最中、急な用事でも出来たんだろう。

 

 なので竜爺や綾ちゃん、一夏が戻ってくるまでの間は黒閃と一緒って事か。まぁ別にいいけど。

 

 因みに持ち帰った液晶テレビは俺の部屋の隅っこに置いとく事にした。別にすぐテレビを替えなければいけない訳じゃない。

 

 取り敢えず夏祭りの疲れを温泉で流そうと、風呂場で寛いでいると――

 

「おい黒閃、何でお前まで入ってるんだ?」

 

「マスター以外は誰も帰ってきてませんので、この際ですから私も温泉を楽しもうかと思いまして」

 

 隣には俺と一緒に温泉を楽しんでいる黒閃がいた。言うまでもなく黒閃は裸だ。せめて身体にバスタオル位は巻いてほしいんだが……。

 

 俺は女の裸を見ても大して動揺はしない。綾ちゃんと一緒に風呂に入る事もあって、それなりの耐性はあるからな。

 

 まぁそれはそれとしてだ。黒閃には少し恥じらいと言う物を持ってほしい。いくらISだからと言っても、男の俺に平然と裸を見せるのはどうかと思う。

 

 これがもし、そこら辺の男だったら間違いなく黒閃は襲われている。黒閃のスタイルって綾ちゃんや一夏ラヴァーズ並みだからな。

 

 取り敢えずバスタオルを身体に巻いてこいと言おうとした直後、少し離れた場所から花火の音がした。

 

 あの方角は……篠ノ之神社からか。ここから離れているのに結構見えるな。

 

 思わず花火の方へ視線を向けてると、黒閃がピトっと俺に寄り添うようにくっ付いてくる。

 

「黒閃、お前何を……!」

 

「お願いです、マスター。織斑一夏達が戻ってくるまでの間、甘えさせて下さい」

 

「……ここでそう来るのかよ」

 

 ったく。しょうがない奴だな。急に子供っぽく甘えてくるなんて反則だろうが。

 

 まぁ確かに、黒閃は誰かがいると決して弱いところを見せようとしないからな。ちゃんとガス抜きをさせないと、ここぞと言う時に参ってしまう恐れもある。

 

 仕方ない。一夏達が戻ってくるまでの間、ガス抜きと称して、黒閃の言う事を受け入れるとしますか。これでもし、性的な要求をされたら……俺はどうすれば良いんだろうか?




 イチャイチャ話(?)とは言い難いかもしれませんが、黒閃との裸の付き合いをした和哉でした。
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