インフィニット・ストラトス ~唐変木に疲れる苦労人~   作:さすらいの旅人

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久々の更新です!

それではどうぞ!


第78話

「先ずは初弾命中、か。よしラウラ、そのまま続けて砲撃だ!」

 

 砲弾が福音に命中したのを確認した俺はすぐに新たな指示を出す。

 

「了解だ師匠!」

 

 ラウラは反論する事無く、福音が反撃に移るよりよりも早く次弾を発射した。

 

 師匠である俺が弟子のラウラに命令を下すかのような感じに見えると思うが、実際は違う。師弟ではなく俺がラウラに指示を下す指揮官役としてやっている。

 

 本来、指揮官はIS部隊長を務めているラウラが適任なのだが、それはあくまで本国であるドイツ部隊の隊長にすぎない。自分の部下ならまだしも、他国者であるセシリア達に部下と同じ指示を下して自分の思い通りに行く訳が無い事をラウラは理解してる。

 

 では何故俺が指揮官をやる事になっている理由としては、箒に渇を入れた後の作戦会議の時だ。

 

『お前等、悪いが今回の作戦指揮は俺に執らせてくれないか? 理由は勿論ある。ハッキリ言って俺が使ってる打鉄は訓練機な上に、大した装備も無くスペックなんてそれほど大した事は無いから、却ってお前達の足手纏いになってしまう。だから俺は……って、何だよお前等、その目は?』

 

『和哉、お前な……』

 

『和哉さん、発言には気をつけましょうね。あなたが足手纏いでしたら、わたくしたちはそれ以下になってしまうのですよ?』

 

『アンタさぁ、アタシらに喧嘩売ってんの? その大したこと無いスペックの訓練機でアタシたちに勝っておきながら、自分が足手纏いって……』

 

『ねぇ和哉。世の中にはね、言って良いことと悪いことがあるんだよ?』

 

『師匠は何を根拠にそんな戯けた事を言ってるんだ? 弟子の私でも流石にカチンと来たぞ』

 

『……いや、俺はただISのスペック面を前提に話しをしただけで……』

 

『『『『『……………(ジト~~)』』』』』

 

『……あ~~悪かった、俺が悪かったよ! とにかく! 足手纏いは云々としてだな――』

 

 ちょっとシリアスブレイク気味な作戦会議となってたが、俺が指揮官になる事に箒達は何の異存も無く承諾してくれた。俺だったら文句無い、と言った感じで。その後からは真剣に話し合い、箒達に配置と役割、福音の対応方法について作戦会議を行った。

 

 そして今はラウラが砲撃を行っているが、福音は途轍もない機動力でかわしながらこちらへ接近してくる。

 

「ちぃっ! 予想よりも速い!」

 

「やっぱそう簡単には当たらんか。ラウラ、砲撃は止めて一旦下がれ。アレは隙を見せない限り当てるのは無理だ」

 

「くっ!」

 

 俺の指示に従うラウラは下がろうとするが、福音はラウラから大体300メートル地点から更に急加速を行い、ラウラへと右手を伸ばした。

 

 だが俺は焦る事無く、

 

「行けセシリア!」

 

「了解ですわ!」

 

 次の指示を下した直後、福音の上空から垂直に降りてきた機体――ブルー・ティアーズがラウラを救った。

 

 ブルー・ティアーズがステルスモードにしていた為、福音は強襲に気付けずにセシリアの体当たりを食らって海に向かって落下していく。

 

 すぐに態勢を立て直そうとする福音だが、セシリアはその隙を狙うかのように手にしているレーザーライフルで狙撃する。

 

 因みにセシリアが使っているレーザーライフルは今まで使っている物と違って、強襲用高機動パッケージ『ストライク・ガンナー』に搭載されている物だ。《スターライトmkⅢ》よりも大型で全長が2メートル以上もあり、当然火力もそれ以上。まともに喰らったら、下手すればかなりのダメージを受けてしまう。

 

 だが、福音は自慢の機動力でレーザーを巧みにかわしながら、どんどんセシリアから距離を取って迎撃しようとするが、

 

「次はシャルロット!」

 

「了解! それじゃいくよ!」

 

 ステルスモードにしていたシャルロットが、背後からショットガン二丁による近接射撃を浴びた事によって、福音は姿勢を崩す。

 

 しかしそれもセシリアの時と同じく一瞬の事で、すぐに3機目のシャルロットに対して翼から放たれる光弾での反撃を開始した。

 

「おっと。悪いけど、この『ガーデン・カーテン』は、その位じゃ落ちないよ」

 

 シャルロットがリヴァイヴ専用防御パッケージにある、実態シールドとエネルギーシールドの両方を使って福音の弾雨を防いでいる。

 

 そして防御の間にシャルロットはお得意の『高速切替(ラピッド・スイッチ)』によって銃器を呼び出して、タイミングを計り反撃を開始する。

 

 更には、高速機動射撃を行うセシリア、距離を置きながら砲撃を再開するラウラからの三方射撃に、いくら機動力に優れている福音でも全て避けきる事は出来ず所々被弾していた。

 

(ふむ……。福音がいかに機動力に優れていても、あの三人からの攻撃をかわしきるのは流石に無理みたいだな)

 

 福音の動きを一瞬たりとも見逃さないように俺は観察する。

 

 福音は現在三方からの射撃に防戦一方。

 

 もし俺が奴の立場なら、被弾覚悟で一人ずつ狙いを絞って潰すか、一先ず射撃の雨から逃れる為に一時離脱するかのどちらか選択する。前者はリスクを伴う為に非効率的であり、後者はリスクを最小限に抑えて態勢を整える事が出来るから効率的だ。

 

 となれば当然、福音がいくら暴走状態とは言え、必ず効率的な選択をする筈だ。

 

「箒、鈴。もし奴が離脱して背中を見せた瞬間、速攻で仕掛けろ」

 

『了解だ』

 

『任せて! あたしの『崩山』で撃ち落としてやるわ!』

 

 箒と鈴に通信を入れていつでも動けるように指示を出すと、二人はすぐに返事をする。

 

 その直後、福音は全方向にエネルギー弾を放った。セシリア達は防御と回避に専念し、俺の方にも何発か来たが問題無く避ける。

 

 そして福音は俺が思ったとおり、全スラスターを開いて離脱しようとするが、

 

「させるかぁっ!!」

 

 箒の台詞が聞こえたと同時に海面が膨れ上がって、そのまま爆ぜる。

 

 飛び出してきたのは紅椿と、その背中に乗った甲龍であった。

 

「鈴! 福音に衝撃砲のシャワーをたっぷりと浴びせてやれ!」

 

「分かってる!」

 

 紅椿が福音に突撃する中、その背中から飛び降りた鈴は、返事をしながら機能増幅パッケージである『崩山』を戦闘状態に移行させる。

 

 あのパッケージにはセシリア達と同様、今までの装備とは違い、両肩にある衝撃砲の砲口が二つ増設されて計四門ある。その四門の衝撃砲が一斉に火を噴いた。

 

 福音に激突する寸前に紅椿が離脱し、その後ろから衝撃砲による弾丸のシャワーが一斉に降り注いだ。だがソレはいつもの不可視の衝撃砲ではなく、赤い炎を纏っていた。

 

(凄いな。アレは福音が使ってるエネルギー弾と同等だな。福音が拡散エネルギー弾なら、鈴のアレは拡散衝撃砲ってところか)

 

 鈴の衝撃砲の威力に驚きながら、直撃を受けた福音を見て漸く停止するかと思う俺だったが甘かった。

 

 両腕を左右に広げ、更に翼も自身から見て外側へと向ける福音を見た俺はすぐさま指示をする。

 

「全員防御体勢を取れ! シャルロットは箒を!」

 

 指示をした直後、眩い光が爆ぜて、エネルギー弾の一斉射撃が俺達に襲い掛かって来た。

 

「うおっ! くそっ、避けるだけでも一苦労だな……!」

 

 全方位に拡散エネルギー弾を放ってくるから、『疾足』を連続使用しなければ全て避けきれなかった。

 

 だが俺が一番気になるのは、

 

「シャルロット! 箒は無事か!?」

 

「大丈夫! 僕の後ろにいるよ!」

 

 箒の安否だったが、シャルロットが守った事により少しホッとした。

 

 何故箒を気にするのかと言うと、紅椿にはちょっとした問題がある。それは、紅椿の機能である展開装甲が原因だ。

 

 前回の戦闘で、展開装甲は一夏の零落白夜と同様に、起動してるだけでもエネルギーを持っていかれ、あっと言う間にエネルギー切れになってしまう事が分かった。その為、箒の紅椿は機能限定状態にさせて、自発作動しないよう設定し直すようにした。

 

 当然、そうしたのは防御を中心とするシャルロットで、同時に箒の守り役になるよう俺が指示をしておいた。防御パッケージを使ってるシャルロットが一番の適任者だからな。

 

「それは何よりだ」

 

「でも、福音の異常な連射のせいでシールドが……」

 

「何っ!?」

 

 シャルロットの台詞を聞いて思わず見ると、リヴァイヴの物理シールドが一枚、完全に破壊されていた。

 

 確かにシャルロットの言うとおり、あの連射は異常にも程があるな。アレをどうにかしなけりゃ、こっちがやられてしまう。そうなれば最優先にやる事はただ一つ。

 

「シャルロットはそのまま後退! ラウラ! セシリア! 左右に分かれて攻めろ!」

 

「りょ、了解!」

 

「言われずとも!」

 

「お任せになって!」

 

 シャルロットを後退させ、その入れ替わりにラウラとセシリアが左右から射撃を始めた。セシリアは高機動移動射撃を、ラウラは砲戦仕様による交互連射をする。

 

「鈴! やる事は分かってるな!?」

 

「勿論! 足が止まればこっちのもんよ!」

 

 福音の直下にいる鈴が突撃する。鈴は双天牙月による斬撃の後、福音に至近距離からの拡散衝撃砲を浴びせた。俺と鈴が言った狙いは、奴の最大の武器である翼だ。

 

「もらったあああっ!!」

 

 鈴は玉砕覚悟で福音のエネルギー弾を全身に浴びながらも斬撃を止めない。

 

 同時に拡散衝撃砲のシャワーを降らせて、互いにダメージを受けながら、鈴はついにその斬撃で福音の片翼を奪った。

 

「はっ、はっ……! これでどうよ――ってやばっ!」

 

 片翼だけになった福音は一度崩した姿勢をすぐに立て直し、そのまま鈴の左腕へと回し蹴りを叩き込もうとする。

 

「ったく! 戦闘中に絶対に気を抜くなって言っただろうが!」

 

『!』

 

 俺が背後を取った事に福音が気付いて、すぐに中断して離脱しようとするが、

 

「逃すわけねぇだろうがっ!!」

 

 

 バキバキィッ!

 

 

『キアアアアアアア!!』

 

 俺は片翼と接続してる部分を掴んで力任せに引っこ抜くと、福音は悲鳴のような奇声をあげた。

 

 そんな悲鳴を無視する俺は即座に上半身のバネだけを捻って、

 

「『砕牙・零式』!」

 

 

 ズドンッ!!

 

 

 福音の背中に拳を繰り出し、翼を失った福音は体勢を整える事が出来ず、近くにあった小さな無人島目掛けて吹っ飛んで激突した。

 

「今だ!! 全員ありったけの火力を福音にお見舞いしてやれ!」

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

 全員が返事をした直後、ラウラは砲撃、セシリアはレーザー射撃、鈴は拡散衝撃砲、シャルロットはグレネードランチャー、そして箒は天月の弾丸レーザーと空裂の帯状レーザーを一斉に撃ち出す。

 

 ラウラ達の一斉射撃により孤島に激突した福音は避ける暇が無く直撃した瞬間、

 

 

 ドガァァァァァァンッ!!!!!

 

 

 小規模な爆発が発生した。 




前もって言っときます。

もう完全にオーバーキルだろうと思いますが、福音はまだやられていません。
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