インフィニット・ストラトス ~唐変木に疲れる苦労人~ 作:さすらいの旅人
書こうと思ってたんですけど、色々と必要な場面があるので後回しにしました!
「作戦完了――と言いたいところだが神代、お前は私の許可無く独断専行し、オルコットたちを連れていったことにより重大な命令違反を犯した。今回出撃したオルコットたちは神代に無理矢理従わされた事により処分は不問だが、各国代表候補生たちを危険に晒したお前の罪は重い。私の言いたいことは分かるな、神代?」
「勿論です。俺はそれを覚悟の上でやりましたので、煮るなり焼くなり好きにして下さい」
旅館に帰還してすぐに福音の操縦者を医者に任せた後、大広間にて腕組みをしている千冬さんが正座してる俺に処断を下そうとしていた。
俺が何の文句も言わず受け入れている事に、俺の正面で同じく正座してる一夏達が信じられない顔をしていた。
「いい覚悟だ。ではお前に処分を――」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ千冬姉! 何で俺たちは不問で、和哉にだけ処分を下すんだよ!?」
「どうしてです織斑先生!? 私たちは和哉に無理矢理従わされてなんかいません! 私たちは自分の意志で……!」
「そうですわ! わたくしたちも処分を覚悟で和哉さんと一緒に出撃しましたのに! いくらなんでも不公平にもほどがありますわ!」
「ちょっと和哉! これは一体どういう事よ!? あたし達こんなの聞いてないわよ!? ってかアンタ、何で何も言い返さないのよ!?」
「織斑先生! 和哉だけでなく、どうか僕達にも処分を下してください!」
「教官! こればかりは納得いきません! 我々にも相応の処分を!」
「黙れ貴様ら!! 今私は神代に話している!」
一斉に抗議してくる一夏達に、普段見せる事の無い殺気を込めた怒鳴りによってすぐ静まった。余りの千冬さんの殺気に一夏達は少し怯える。しかも、軍属であるラウラですらさえも。
小さな子供が見たら絶対に泣くだろうなと不謹慎に思ってると、一夏達を静かにさせた千冬さんが俺に視線を向ける。
「話しの腰を折られたが続けるぞ。神代、お前に下す処分内容は――」
「………………」
千冬さんが下す俺の処分内容に目を閉じて聞いていると、
「帰ったらすぐ反省文の提出と、今後このような勝手な真似をさせない為に暫くは私が神代の監視役となり、私自ら徹底的にお前を矯正させる。以上だ」
「はい、分かりま………え?」
「「「「「「…………はい?」」」」」」
深く頷いてる最中に俺は急に不可解になり、一夏達はポカ~ンとして首を傾げた。
「ちょ、ちょっと待って下さい、織斑先生。い、今何と?」
「聞こえなかったか? お前は暫く私の監視下に置くと言ったんだ。何度も言わせるな」
「い、いや、俺が言いたいのはそうでなくて……処分は監視じゃなくて、ここは普通に厳罰とか退学では……?」
反省文は良いとして、千冬さんに暫く監視されると言っても、これは処分どころか不問も同然だ。疑問に思わない訳が無い。
「厳罰用の特別トレーニングを用意したところで、普段から厳しい修行をしてるお前には何の意味も無い。ましてや退学にさせれば、今回お前が知った軍事機密情報を漏らしてしまう恐れがあるからな。故に、お前には私が責任を持って監視下に置くという結論に至った。これで理解したか?」
「………え、ええ、まぁ一応。けど……」
修行と厳罰は別物だし、俺そんなに口軽い性格じゃないんだけど……。
けど冷静に考えてみれば、退学なんてさせたら女性権利団体の連中がチャンスだと言わんばかりに俺の命を狙って来ると思う。恐らく千冬さんはそれを考慮し、敢えてああ言ったんだろうな。
因みに一夏達には俺が命を狙われている事は知らない。こんな事知ったら絶対騒ぎになるから伏せている。
「言っておくが、お前に拒否権など無い。これは学園長からの厳命でもあるからな」
「が、学園長って……」
おいおい。千冬さん一人に俺を監視させるのを何で学園長がそんな命令を下すんだ? いくら俺がIS学園の生徒だとは言え、他から見れば身贔屓と捉えられてもおかしくないぞ。
俺が学園長の厳命に内心呆れていると、一夏達や山田先生が無言で物凄く気の毒そうな目でコッチを見ていた。
「おいそこ、何か言いたい事があるなら――」
「さて、神代の処分についてはここまでにして、次の話題に移るとするか。神代のISとやらについてな」
一夏達に文句を言おうとしてる最中、千冬さんが話を打ち切るかのように黒閃の話題を持ち出してきた。それを聞いた一夏達がさっきまでの様子と違って、俺を凝視してくる。
「――あ~、やっぱり織斑先生も気になってます?」
「当たり前だ。あんな事が起きて気にならない訳が無いだろうが。そもそも訓練機である打鉄がセカンドシフトするだけでなく、更にはISが喋るなど私は見たことも聞いたことも無い。説明してもらうぞ神代。お前は一体打鉄に何をした?」
「いや、それは寧ろ俺が知りたいと言うか何と言うか……」
『失礼ですね、マスターは何もしていません。私が自らの意思でそうしたんです、織斑千冬。それと訂正して下さい。私の名はもう打鉄ではなく黒閃なので』
話題が変わったのか、黒閃が現在待機状態になっているにも拘らず、俺の左腕に身に付けてるブレスレットから不機嫌そうな黒閃の声が聞こえた事に、一夏達は驚いていた。
その中で千冬さんだけは驚いていながらも、俺の左腕を見ながら黒閃に問いかける。
「私のことを知っているのか?」
『当然です。私のコアは開発者である篠ノ之束によって作られたのですから、貴女の事を知らない訳がありません』
千冬さんの問いかけに黒閃はまたも不機嫌そうな声でそう答える。
「黒閃、何でそんな不機嫌なんだ? お前の言葉には妙に刺があるんだが……」
『申し訳ありません。織斑千冬がマスターを責め立てるように言ってくるので、少し感情的になりました。織斑千冬、気を悪くしたのでしたら謝罪いたします』
「……いや、こちらこそすまない。私とした事が先走りすぎてしまったからな。あと呼び方についても失礼した、訂正する。黒閃、と呼べば良いんだな?」
『はい』
互いに謝罪する黒閃と千冬さん。ブレスレット状の黒閃に千冬さんが俺に向かって謝罪してくるから、凄く変な感じだ。
「そんじゃ黒閃、説明してくれるな?」
『分かりました。ですがその前に――』
「ん? って何だ!?」
突然ブレスレットが光って俺や一夏達が余りの眩しさに目を瞑って手で覆っていると、
「こうやって相手に面と向かって説明した方が良いでしょう」
「…………え?」
「「「「「「「「…………は?」」」」」」」」
光が消えたと同時に、何故か俺の左隣に黒のミニワンピースを纏った見知らぬ黒髪の女が正座していた。しかも箒たちにも勝るとも劣るとも言えないほどの美少女。
「あ、あの、どなたですか?」
一夏達が目が点になってる最中、俺は驚きながら問いかけると黒髪の女はこっちを見る。
「驚くのは無理もありませんが、私はマスターの専用機である黒閃です。待機状態になってる私はこのような姿になる事が可能ですので、以後お見知りおきを」
「…………マジで?」
「はい。そんなに信じられないのでしたら、またブレスレットの姿に戻りますが?」
「あ、いや、結構です。お前が黒閃だってのが分かったから」
ま、まさか黒閃が喋れるだけでなく、人の姿にまでなれるとは思わなかったな。ってか、もうこれは驚きを通り越して色々な意味で呆れた。余りにも非常識と言うか有り得ないと言うか、俺もう付いて行けない。
無論それは俺だけじゃなく、
「「「「「「……………はぁぁぁぁぁぁ~~~~!!!!????」」」」」」
「「……………」」
デカイ声を出す一夏達と、開いた口が塞がらない千冬さんと山田先生も驚いている。
因みに一夏達が落ち着いて黒閃の説明を聴くのに、もう少し時間が掛かるのは言うまでも無かった。
「はぁっ……何かお前がとんでもない非常識な存在だってのがよく分かったよ」
「確かにそうかもしれませんが、何故かマスターにだけは言われたくありませんね」
おい、それはどういう意味だ? 俺も非常識な人間だって言いたいのか?
次回に必ず本音を出しますので、それまで暫しお待ちを!