プロローグ
ここはどこだ?
いや、そんな事を考えなくても分かる。
暗い。とても暗い。
何にも見えない。
けど、俺はこの場所を知っている。
妙な安堵感さえ与えられる。
そして理解する。
ここに戻って来たのだと。
また、新しい記憶が刻まれる。
書き換える事しかできない俺が唯一刻めるのは記憶位なものだ。
ああ、念のために言っておくが「切り刻む」のとはまた違う意味合いだからな。
ふぅ、まあ良いとしよう。
そろそろ向こうの世界も書き換えられた頃か。
俺は――救えたのか?
別に救世主になりたいとかの気持ちはない。
ただ、後悔とも違う。挫折とも違う。使命感でもない。
胸に燻くすぶるものがあった。
―――それはやり残した事があるから?
誰かが言った。
声の主は分かりきっている。
俺の良く知る人物だ。
―――あなたは今まで頑張ってくれた。
けど、結果は散々なものも……。
―――分かっています。ですが、それがイコール最悪なものばかりではありません。
『良い記憶』とやらを俺はお前に見せた事があったか?
―――ありました。一度だけ。
でも手遅れだった。
―――それで諦めましたか?
答えは決まっている。
NOだ。
俺はオカ研を作って何がしたかった?
皆とただ騒ぎたかったんだ。
でも一番最良の結果に行き当たるものは何もなかったのを記憶が教えてくれる。
ちはやの時は良かったが、ただ小鳥と朱音がいなかった。
誰かしらがいつも欠落していた。
それはオカ研や吉野、西九条に今宮、江坂さんもだ。
それだけじゃない。
鍵と言われた篝だって同じじゃないか。
―――納得いかないならまた書き換えれば良い。
何を書き換えるんだ?
―――世界だよ。今度こそ?滅び?なんか起こさせないで。私の願いでもあるのだから。
良いのか?
―――あなたが私にした屈辱は忘れていません。
うっ、それを言いますか。
―――でも、私があなたに抱いた期待も忘れていません。
声が、遠くから、聞こえて、くる。
―――だから、救って下さい。地球を救う『地球救済ハンター』でしょう?
赤面ものの記憶を掘り出すなよ。
でも悪くない。
良いぜ、やってやる。
永久休業しようとした『地球救済ハンター』を再営業だ。
同時に、俺の、意識は、どこかへ、飛んだ――。