続きです。
中津静流①
ブレンダを引き込んだ事は勿論西九条の耳にも入る。
今回は、しかもガーディアン全体に響き渡った。
裏切るの有無の事も承知はしているが……それを差し引いてもブレンダが瑚太朗としばらくは協力関係にあるのは明白だ。
あの少年がどのような手品を用いたのか、興味はつきない。
ルチアやアカリは複雑な心境だが、瑚太朗を信用してくれている。
嬉しく思う反面、勝手に引き込んだ事を少しだけ後悔していた。
そして今、ブレンダはガーディアンの監視下にある。
瑚太朗には何も出来ることはないので、アウロラを使わないようにしてなるべく目立たずに動く。
現在、瑚太朗は学校の食堂に来ている。
既にメニューは注文し終え、4人のテーブル席を1人で陣取る傍若無人ぶりを発揮する。
「コタロー」
静流が瑚太朗に話し掛けてきた。
自然な動作で静流は瑚太朗の真正面の椅子に座る。
特に気にする事もなく、可愛い後輩の乱入を受け入れる。
「サンマ定食か……相変わらず好きだな」
サンマ定食よりも、サンマそのものを愛してやまない。
静流の普段通りの姿に救われもする。
「今日はルチアはガーディアンなのか?」
「いや、アカリが学校に来れるように駆け回っている」
本日、委員長のルチアは休みだ。
その理由は知らされておらず、アカリの事かと思いながら静流に聞いてみれば……案の定当たりだった。
「って、事は……今日は静流1人なのか?」
「そうなる」
白米や味噌汁には目もくれず、ひたすらにサンマを頬張る。
どれだけサンマが好きなんだ――瑚太朗は苦笑いする。
「コタロー。今日は私に付き合って欲しい」
「ああ、別に良いけど」
瑚太朗がOKを出した矢先だった。
視界に小鳥とちはやが入ってきた。
こちらの話を聞いていたのか、ジト目で睨んでくる。
「へえ、瑚太朗……デートする訳?」
背後からゾクリと背筋が凍る声音がナイフとして突き刺さる。
首元に刃を当てられているようだった。
「あ、朱音……」
「ん? なあに? 天王寺瑚太朗?」
邪悪なオーラを後ろに控えさせ、微笑みを向けてくる朱音。
その微笑はメデューサよろしく、見るものを石化させること請け負いだ。
ガタガタと小動物のように肩を震わせる静流。
だけども、そんな彼女へ目もくれずに朱音は瑚太朗をフルネームで呼んだ。
彼女がフルネームで呼んでくる場合――ろくでもない事を企んでいるか、怒ってる場合が大体だ。
今回、朱音は間違いなく後者だ。
理由な勘……そう言わしめる程に朱音の睨み具合は半端なかった。
「少ぉ~し、話を聞かせてもらおうかしら……ね?」
「ら、ラジャー!!」
ここで断れば瑚太朗は血を見るはめになると直感が告げた。
近くにいた小鳥とちはやが瑚太朗の両腕をそれぞれ拘束する。
この後、瑚太朗は部室まで連行され、最終的に買い物に付き合う約束を取り付けられるのだった。
如何でしたでしょうか?
記念すべき100話目です。
かなり短かったですから端的に言えばブレンダのその後と静流とデートの約束の回です。
そして女子からの嫉妬。
さて、次回は3週間後の予定です。