Rewrite if   作:ゼガちゃん

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お待たせしました。

続きです。


中津静流④

 瑚太朗の提案に思考が追い付かなかった。

 そんな彼女を差し置いて試合を中断。彼は江坂にもこの提案について問い、色よい返事が貰えた。

 すると瑚太朗は携帯を取り出して何処かへ電話を掛けた。

 

「皆を集めておいてくれ。場所はオカ研の部室で」

 

 じゃあ――と、瑚太朗は通話を切った。

 

「さて、行くぞ静流。アカリも来るか?」

 

「行く」

 

 瑚太朗が問うとアカリは即座に頷いた。

 静流は問われている最中に腕を掴まれてようやく我に返る。

 

「ちょっと待ってくれ瑚太朗」

 

「どうかしたのか?」

 

 静流の制止の声を瑚太朗は素直に受け取った。

 

「皆と会う必要はあるのか?」

 

「少なくとも俺はそう思う」

 

 静流の質問に瑚太朗はノータイムで答えた。

 彼女にとっての疑問も、彼にとっては「やるべき」だと判断させる程に重要なものだと言えた。

 

 

 

「でも……」

 

「大丈夫」

 

 それでも渋る静流に瑚太朗は安堵させるように言う。

 

「オカ研メンバーの誰が欠けたって駄目なんだ。それを分かってもらうには皆に会うのが一番さ」

 

 瑚太朗の強引な意見に静流は反論を許されずになすがままにされるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「許せないわね」

 

「許せません」

 

「許してあげたいんだけどね。でもちょっと許せないかな~」

 

「いくら静流でも許せない事がある」

 

 オカ研メンバーが久々に勢揃いした部室にて。

 この場にはその他にはアカリしか居ない。

 

 瑚太朗は静流の件については簡単には説明してあった。

 それは静流が自分を「要らない子」扱いするので、どう思ってるのかを言って欲しいとの内容であった筈だ。

 なのに何がどうしてこんなみょうちきりんな返答しか出てこないのか?

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ。どうしてそうなるんだよ」

 

 瑚太朗は慌ててしまう。

 だが、その発言をした瑚太朗に今度は矛先を突き付けた。

 

「元はと言えば瑚太朗が悪いんです」

 

「そうね」

 

「そうだね」

 

「皆の言う通りだ」

 

 ちはやの言葉を皮切りに、朱音、小鳥、ルチアも同様にして頷いてきた。

 

「だから、その理由を知りたい――」

 

「瑚太朗君や。私達の口から言わせないでおくれよ」

 

 今度は小鳥が普段の口ぶりのように告げる。

 瞬間、瑚太朗に少し心当たりがあった。

 

 この手の反応は以前にもあった。

 いや、正確には“今ではない世界にて。”

 早い話が“恋人関係であった時の話だ。”

 

 この事実は瑚太朗、篝、小鳥位にしか知られていない。

 勝手に小鳥が言うとも思えない。

 つまり、つまりだ……

 

 考えただけで瑚太朗は頬が熱くなる。

 これまで『天王寺瑚太朗』が募らせた想いが今の天王寺瑚太朗へと込められていく。

 

 最初から知っていた。

 別の時間、世界とは言え、それらの経験を持って生まれた『天王寺瑚太朗』は紛れもない天王寺瑚太朗本人だ。

 

 “全員を愛しいと想う気持ちに偽りなんてないのだ。”

 

 故に気付けなかった。

 彼女達は何も告げずに静流に付きっきりでいた瑚太朗に怒ってるのだ。

 

 食堂での一幕を見られていた。

 それを見たメンバーが“本当の意味でどう想ったのかを瑚太朗は理解できていなかった。”

 

 ここまで考えていたが結局は憶測。

 勘違いの可能性だって残されている。

 

(けど、そうだな)

 

 勘違いだとしたって構わない。

 いずれにしたって、“天王寺瑚太朗の想いは変わらないのだから。”

 

「悪かった。皆には何も言わずにいた事は謝る。それでも俺は……こんなに困ってる静流を放っておくだなんて出来なかったんだ」

 

 何の相談も無しにやってた事は謝る。

 だけど、行動した事を後悔なんてしない。

 

「分かっている。今度は何か言ってくれよ」

 

「ああ、悪かった」

 

 ルチアが笑ってくれた。

 その笑顔に救われた気がした。

 

「さて、静流の件についてだが……今更何を言うのかと呆れてしまったぞ」

 

「そうだよね。しーちゃんは私達の大切な仲間なのにね」

 

「そうですよ」

 

「同感ね。ところでちはや、あなたポテコを食べながら言うのは止めなさい。説得力が無くなるわ」

 

 4人からの言葉に静流もようやく「えっ!?」となった。

 すかさず瑚太朗は言う。

 

「言っただろ? 静流。お前は無くちゃならない存在なんだ」

 

 瑚太朗にとっては今更何をと笑い飛ばしたかった。

 だが、当人は真剣だった。

 ならば、瑚太朗は真剣に向き合おう。

 彼女が真に安心できる為に。

 

「それは私も同じだから」

 

 不意にアカリも言った。

 

「私の為に必死になってくれたのを知っている。だから、そんな風に自分を貶めないで」

 

 ずっとずっと言いたかったのだろう。

 だが、自分だけの言葉では響かない。

 瑚太朗だけでも無理だったと悟ったからだ。

 なら、皆で彼女を肯定してやれた時に教えたかった。

 

 自分を助けようとしてくれた中津静流という存在は……大切な存在なのだと知っていて欲しかった。

 

「皆……ありがとう」

 

 そしてようやく、多分初めてオカ研メンバー全員へ向けた心からの笑みが静流の顔に描かれた。

 

 

 




如何でしたでしょうか?

結構時間が取れないもので申し訳ありません。

次回も1ヶ月程を見ていてください

ではまた
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