予想外にリアルが忙しくなってしまいました。
続きです。
鳳ちはや①
「さて、与太郎君。私はずっと待っていたんですよ?」
「はい……」
瑚太朗は咲夜の前で正座させられていた。
普段なら名前を間違えられた所を突っ込むのだが……今の瑚太朗にはそんな事すら許されない。
久方ぶりに瑚太朗は自室で休息を取っていた。
傷も殆んど癒え、学校へ行く事で普段の生活リズムを崩さずにいた。
ぎるとぱにが居ないので少し物悲しさはあるが、たまにはこうやってじっくり身体を休めるのも悪くなかった。
そんな矢先に咲夜の来訪があった訳だ。
咲夜は入ってくるなり、瑚太朗へ「そこに正座しなさい」と有無を言わさない雰囲気を纏って言い放った。
何故かを問えば、先日の静流との一件が原因であったのだ。
言われて瑚太朗はようやくに思い出す。
確か静流は咲夜に頼まれ、瑚太朗を彼の下へと連れていく手筈であった。
色々とあり、瑚太朗は静流を家族に会わせてやろうと画策し――
早い話が今日まで忘れていた。
それはそれは咲夜には御冠だ。
話の内容は黒篝との事であり、現在の瑚太朗からすれば超重要な案件でもある。
せめて連絡の1つでもあれば良かった。
だが、それすら来なかったのだ。
最初は手遅れになったのかと勘違いした程である。
心配を掛けた事を考えると、頭も上がらないし文句の1つも投げられない。
「全くあなたは……良いですか? 黒篝と称した存在がいつまた現れるのか分からないのです。狙いはあなたなのは明白ですが、最終的な目的は不明なままで――」
「咲夜。ここに居たんですか」
咲夜の小言が降りかかる直前、第三者がこの場にやって来た。
来訪者は鳳ちはや。
「ちはや? 何で?」
「咲夜が居なかったので、もしかしてと思ったんです」
咲夜が今行動を起こすとしたら黒篝に絡んだものばかりだろう。
すると必然、当事者たる瑚太朗の所へ行っている筈だと推測したようだ。
そこまで予測したのは朱音で、彼女自身は動きたくないからちはやを向かわせたと考えてしまう。
「黙って行かないで下さいよ~」
「すみません」
人の事を言えないじゃんか――と言葉に出掛かったのを何とか抑え込む。
元はと言えば瑚太朗が忘れてしまっていたのが原因なのであるから。
多分、つついたら薮蛇になろう。
「それで咲夜。黒篝の事って?」
「そうでした」
佇まいを直し、咲夜は切り出す。
「恐らくなのですが、黒篝に協力者が居るとわたしは踏んでいます」
「何でそんな推測が?」
瑚太朗達の前に現れた時、黒篝は1人だった。
だからといって、単独だとは思わないが……それでも協力者が居る可能性は薄くも思える。
「これらは全て憶測になってしまいます。
朱音さんと与太郎君がマーテルから脱出した話は聞きました。協力者が居たとか」
「ああ」
昔は長居。今は津久野と名乗るガイアの一員。
瑚太朗とかつてガーディアンに所属していた仲だ。
長居が瑚太朗達を逃がした後にどうなったのかを未だに知らずにいた。
「脱出に協力した人は今捕らわれているそうです」
「バレたのか!?」
そうとしか言えない。
加島桜であれば津久野の過去を調べる事も造作もなかろう。
以前に瑚太朗と共に過ごした事があるのを知れる筈だ。
「恐らくですが。それを漏洩させた人物が居ます。その人物こそが黒篝の協力者だと考えられます」
「待って下さいよ。何故咲夜はそんな事を知っているんですか?」
ちはやの疑問は瑚太朗と同じだ。
そもそも何故その協力者の事を調べあげた?
「瑚太朗君」
これまでの茶化した雰囲気は皆無で、瑚太朗へ真面目な眼差しを向ける。
「君なら分かるはずです」
「何を言って――」
言葉はそこで途切れる。
もしやと思える事柄があったのだ。
違和感を抱いていた……が、そもそも咲夜が此処に“存在しているのは何故なのだ?”
これがもしも何者かの配慮なのだとしたら?
「ふふ、その内に分かりますよ」
咲夜は意味深な言葉を残す。
しかし、彼の話を信じるなら長居は捕まっているのだ。
どうにかして助けたい。
そうなると、加島桜との全面対決となろう。
「瑚太朗君。助けに行きますか? かつての友を」
「当たり前だ」
綺麗事と分かりつつ、瑚太朗は前進する。
如何でしたでしょうか?
さて、いよいよ長居改めて津久野がどうなったのか、黒篝の前に現れた人物。
そして放置しまくっていた咲夜がどうして存在しているのか……掘り下げていきますよ~
次回は3月位に更新できればと。
それにしても津久野に世話になっていない筈なのにサブタイがちはやなのは……