どうにも忙しかったもので……続きです
救助へ向かう――言葉として発する事は容易い。
だが、実際に行うとなると難しい。
特に乗り込もうと言うのが一度は侵入したマーテルとなれば難易度は跳ね上がる。
念入りな下準備と計画が必要となる。
その為に、今“瑚太朗の家に終結していた。”
「何で俺の家なんだ?」
「動ける人が少ないからです」
今、この救出作戦に乗り出しているのは瑚太朗、ちはや、咲夜、ぎる、ぱに――のみだ。
まず純粋に体力面を考慮して朱音は連れていけない。
小鳥もほぼ同じ理由があり、尚且つ篝の面倒も見なくてはならない。
ミドウ達も本調子ではなく、吉野まで居る。
そんな彼らを守れる戦闘員として静流とルチアには残ってもらう。
江坂やアカリと言った面子も思い浮かぶものの、ガーディアンの関係者を巻き込むのは得策ではない方向に至る。
となると、残りのメンバーはこれだけだ。
しかしながら、心強い顔触れが多い。
ちはやも咲夜も能力は申し分無いし、ぎるとぱにはお互いの位置を知る事ができる。
隠密に動きたい件もあり、必要最低限で済むのは良い事だ。
「裏口から侵入し、捕らえられている場所へ向かいます」
咲夜が手書きでマーテルの地図を書いてくれる。
ご丁寧にぎるとぱに用に小さいものまで用意してあった。
「地図だけで見ても結構広いな」
「はい。問題は何処に長居さんが閉じ込められているかです」
瑚太朗が地図を見て広大さにボヤき、ちはやがどうすべきなのかを指摘する。
「ここを見てください」
建物は蟻の巣かと見間違う程に入り組んだ構造となっていた。
その中でも階段やエレベーターが数ヵ所ある。
「って、これはエレベーターじゃないか」
咲夜が指差したのは階段ではなく、エレベーター。
「まさか……ここから侵入するつもりなのですか?」
咲夜の意図に気付いたぱにが恐る恐るといった口調で問う。
彼は彼女の問い掛けに「はい」と間髪いれずに即答した。
理由を求めたかったが、さすがに疑問は承知していた咲夜は切り返す。
「あらゆる箇所に監視カメラは存在しています――が」
「まさかとは思うんだが……扉を無理矢理に抉じ開けて、エレベーターを支えているワイヤーを伝って乗り込むって言うのか?」
「物分かりが良いですね与太郎君の癖に。褒めてあげましょう」
褒める気がゼロにしか聞こえない。
何にしても、咲夜の考えは分かる。
確かに、そこには監視カメラを設置する余裕はない。
随分と大胆ではあるが、効果的とも言える。
「でも、乗り込んだ時点で気付かれるだろ」
「無論、考えはあります」
瑚太朗の指摘は最もだ。
百も承知だとばかりに――咲夜は告げる。
「私がエレベーター付近の監視カメラに細工を施します」
サラッと、とんでもない事を言い出し始める。
そんな簡単な事ではない。
けれど、この万能執事にかかれば雑作もない事柄となるか。
「大丈夫なのか?」
「あなたに心配されるとは……これからマシンガンの雨でも降り出しそうです」
瑚太朗の心配を他所に咲夜は涼しい顔を見せる。
そうだった。
彼はこういう男だ。
「ですが、あとの事はあなたに託す事になります。くれぐれもちはやさんに危険が及ばないようにしてくださいね」
「ああ、任せておけ」
男と男の誓い。
咲夜からすれば長居なんてよく知らないし、気にも留める必要はない。
それでもこうして力を貸してくれる。
それは彼に限らず、ちはややぎる、ぱにもそうだ。
だから誓う。
皆が無事に目的を達成して帰還する事を――。
如何でしたでしょうか?
短くてもどうしても時間が掛かってしまい、申し訳ないです。
さて、いよいよ突入と言う訳です。
黒幕とも言うべき存在は出てくるのか?
次回は来月末の予定です。