Rewrite if   作:ゼガちゃん

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お待たせしました。

5月の頭になってしまった……

続きです。


鳳ちはや③

 瑚太朗達の救出作戦が決行されたのはその日の夜であった。

 超常の力を扱う際に無関係な者の目は避けたい。

 その一点に関してだけは敵と一致する。

 

 尤も、お行儀よく守ってくれるとは思わないが……知られないに越した事はない。

 それに、闇夜に溶け込む事で侵入の成功率を上げたいのも確かな事であった。

 

「準備は良いですか?」

 

「ああ」

 

「はい」

 

「大丈夫です」

 

「もちろんだぜ!!」

 

 咲夜の問いに瑚太朗、ちはや、ぱに、ぎるの順に応える。

 最も、ぎるは張り切り過ぎたが故に心なしか声も大きくなった。

 なので瑚太朗とぱにに口を塞がれたのは言うまでもない。

 

「やれやれ。緊張感に欠けますね」

 

 咲夜は既に戦闘者としての意識に切り替えている。

 そんな彼も瑚太朗達のやり取りに苦笑は漏らさざるを得ない。

 

「ごめんなさいです。ぎるちゃんも悪気はないのですが……」

 

「構いません。全ては瑚太朗君の責任ですから」

 

「俺の名前をきちんと呼んだかと思えばとんでもない事を(のたま)ったな」

 

 いくらなんでもそんな言い方をされると泣きたくなる。

 ツッコミも現状を考えて静めてはいるが、これが普段のやり取りならメガホン要らずの大声になっていた所だ。

 

「2人とも仲が良いですね」

 

「「え?」」

 

 第三者からの視点では兄弟みたいな微笑ましい光景に映るようだ。

 声をハモらせてちはやの発言に疑問で以て返答する。

 互いに反応が噛み合った事が苛立たしかったのか、すぐにそっぽを向く。

 

「いつだったか『兄弟』って言っていましたから、本当の兄弟のような関係なのですね」

 

 いつぞや、彼等は「兄弟」と言い合っていたのを忘れているかのようだ。

 それを指摘したのは、その事実を知るぱにであった。

 ぎるも既知の事実な筈だが……彼のオツムは可哀想な出来らしい。

 

「それはあの場の乗りみたいなやつだよ」

 

「そうです。私もそれに乗っかっただけで――」

 

「それにしては心から発せられた本音にも聞こえましたが?」

 

 咲夜と瑚太朗の逃げ道を潰すかのように可愛らしい外見の魔物はピシャリと告げる。

 どちらも言葉が続かず、降参を唱える他に無かった。

 

 

 

 

 

 

 言い訳に苦しくなっていった咲夜は誤魔化すように侵入しに向かった。

 瑚太朗達には合図があるまでは来ないように言い含めてある。

 合図はこちらが瑚太朗のスマフォを鳴らすと言うシンプルに現代科学に頼った手法だ。

 

 計画は既に練ってある。

 マーテルの魔物使い同様のフード付きのローブを羽織り、侵入する。

 顔を隠せば向こうも分かるまい。

 監視室も同様のメンバーが行っている。

 加島桜も顔を一々確認しなければ判別も付かなかろう。

 

 はっきり言おう。

 そこまでの過程を咲夜は気味が悪い位にすんなりとこなしてみせた。

 

 人は他に居たし、バレている様子はない。

 

「今はできる事をしなくては」

 

 気を取り直し、端末の近くにある差し込み口に咲夜は持参したUSBを差し込む。

 コンソールだった事もあり、あの作戦を提案できた。

 

「さて、瑚太朗君達に後はお任せしましょうか」

 

 作戦成功の報告を咲夜は行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 咲夜が合図を送る少し前の事だ。

 

「ねえ瑚太朗。さっきの話は本当なんですか?」

 

 ちはやが興味津々とばかりに瑚太朗に問い質す。

 ぱにめ――そんな恨めしい言葉を投げ掛けたい。

 そんな事をしたところで知ってしまったちはやの興味が削がれる訳がない。

 諦めて瑚太朗はちはやに答える。

 

「そうだよ。本当に嫌な事だけどさ」

 

 言いたくはないが彼無しでは“今の”瑚太朗は居ない。

 能力も先達者としても瑚太朗は彼に感謝はしている。

 

「でも何と無く2人には似通っている部分はありますよ」

 

「俺は考えたくもないぞ。あいつと俺は違うだろ」

 

「そうですね。咲夜はなんでも出来ますから」

 

 グサッ!! 不可視の槍が瑚太朗の心に刺さる。

 相当にエグい一撃である。

 

「そこまで言わんでも……」

 

「でも瑚太朗は……咲夜と比べると格好良いですよ」

 

「そうだ…………えっ!?」

 

「えっ、あっ!?」

 

 どうやらふとした拍子に出てきたらしい。

 言われた瑚太朗もだが、言った本人も頬を真っ赤に染まる。

 

 ぱにはぎるが騒がないように口を塞ぎ続けている。

 ぎるは顔を青くしているように見えるが……誰も気付いてくれていない。

 

「さ、咲夜から合図が来た」

 

 その時、瑚太朗のスマフォが開始の合図を鳴らす。

 

「行く――」

 

「待って下さい!!」

 

「待て!!」

 

 瑚太朗が行動開始を告げるよりも先、ぎるとぱにが声を荒げる。

 侵入を測っていた扉の眼前に何者かが立っていた。

 

 フードを目深に被ったローブの人物。

 瑚太朗は率先して全員の前に出る。

 

「天王寺瑚太朗だな」

 

 声音から男だと分かる。

 瑚太朗は警戒心を強くする。

 この人物は……奇妙だ。

 忽然と現れた事もそうだが、気配らしい気配を感じ取れない。

 

「さあ、始めようか」

 

 何を――そんなくだらない事は聞くまでもない。




如何でしたでしょうか?

遂に謎の存在と対面した瑚太朗君。

果たしてどうなるのか?

待て次回。

次回は今月末か来月の頭です
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