今回も独自解釈マシマシ、力業な説明部分も多いです。
では、続きをどうぞ
白夜が咲夜に似ている理由――――それを引き起こしたのは間違いなく天王寺瑚太朗であった。
その事実に驚きつつも、まだ話は終わっていない。
白夜の身体が咲夜もどきの身体を利用していたのは分かった。
ガタがあるのも咲夜という存在を呼び起こすには彼の力が強大だと言うのもある。
元々はHB――ヘヴィーボディーな為にデブであった咲夜もどきをこのように痩せ細った状態で表しているのは見事だ。
「けど、分からない。何で作り物の身体を使ってる? そもそも、どうしてそんなものを作り直す必要があった?」
分からない事が多すぎる。
咲夜のスペックを真似するのははっきり言って無理であった。
なので、出来としては悪いとしか言いようがない。
「平たく言うと身体が必要だった事。それと、私の状態はそれだけ
「…………」
恐らく白夜の言い分は真実なのであろう。
身体が『命の理論』の中に残されていた残骸を繋ぎ合わせたものだという事は難しいが理解した。
「まあ、こっちの身体が出来上がった事は偶然でしかない。残骸から組み上げた不完全な状態なのはさっきも伝えたな」
白夜の身体の状態を気にしている意味はない。
彼はもっと別の部分の話をしたがっている。
「続けようか。次の議題は――――そうだな、まずは加島桜だ」
加島桜が廃人とはなっていない理由。
これまでの話の流れから何と無く説明は出来てしまいそうだ。
「加島桜も『
「半分当たり、だろうな。けれど、こればっかりはそれだけが理由じゃない筈だ」
「他の理由?」
白夜の指摘に考え込む。
しかし、そこまで深くは思考をする必要が無かった。
『命の理論』が関係しているのは瑚太朗も想像するのに難しくない。
「考え方を変えてみろ。『命の理論』は完成し、『地球』に組み込まれた」
まるで教師にでもなったかのように白夜はこちらへ答えを導かせようとする。
その意図に何があるのか分からない。
だが、瑚太朗としても気になる点でしかない。
それ故に真面目に考察する。
『なるほど、組み込まれた筈の『命の理論』はこの『地球』に組み込まれていないとおかしい訳ですね』
通話の向こう側で篝が口にする。
再進化ではなくて再構築ではあるが、基盤は一度は新たな『命の理論』を組み込まれた『地球』である。
つまり、基盤が変わらないのであれば今ここにある『地球』は完成させた『命の理論』が組み込まれていると考えるのが妥当だ。
「けど、『命の理論』が組み込まれているからって何が…………」
『恐らくは“私自身が関与しているものです”』
「篝が?」
篝が関与しているもの?
そう言われてもパッとは出てこない。
「それって、もしかして…………パワースポット?」
その結論へ至ったのはドルイドである小鳥であった。
パワースポット――――星から液状化したアウロラが泉のように湧き出ている場所だ。
普通の人には見えず触ることも出来ないが、見える人が触ると肉体が溶ける。
魔物使いであるドルイドの流派における活力の源で世界各地に存在する。
『鍵』――篝――の産道でもあり、『鍵』が死亡したことを星が感知するとその鍵が産まれたパワースポットは消滅する。
なるほど、ドルイドの役目を担う小鳥だからこそ辿り着けた点だ。
「パワースポット?」
「『鍵』の、篝の産まれた場所って解釈で大丈夫だ」
この点に関してはガーディアン側も分からないのも無理はない。
ルチアと静流、西九条は揃って首を傾げる。
詳細は後でしよう。
彼女等はパワースポットによる影響を目の当たりにはしている。
パワースポットの周辺では過剰な活力の影響で水が生命の生きられない虹色に汚染される。
それは森の中にあった現象がそうである。
しかし、今はその説明は後回しだ。
「パワースポットが『鍵』である篝と連動してるのは分かるけど…………」
そこで瑚太朗は言葉を止めた。
パワースポットは『鍵』と連動している。
『鍵』の死に反応し、パワースポットは自然消滅する。
言い換えるならパワースポットがある限りは『鍵』の生存は確約されたもの。
では、そのパワースポットは“誰が産み出すのか?”
パワースポットと関連の深い『鍵』の事について考えれば自ずと答えは導き出せる。
『鍵』とは星により遣わされる裁定者であり化身だ。
今回は『地球』が裁定者としての『鍵』である篝を放った――――パワースポットを通じて。
『鍵』を産み出すのがパワースポットならば、元々のパワースポットを産み出したのは『地球』に他ならない。
そして、この『地球』が書き換えられたものだとして、ここには『月の世界』で作られた『命の理論』が組み込まれていない筈がない。
気付いた瞬間、心臓が早鐘を鳴らす。
この仮定が正しいものだとしたら――――
「『地球 』に組み込まれた『命の理論』がパワースポットを通じて篝へ流れてる?」
「そう考えるのが自然だろうな」
瑚太朗の辿り着いた答えを白夜は曖昧ながらそのように返した。
しかし、それなら篝に記憶があるのは分かる。
「けど、加島桜の件だけじゃない。俺の記憶があった事に疑問を抱くぞ」
「まず、天王寺瑚太朗の方は簡単に想像できる。ここまで話したんだから、じっくり考えれば予想は出来るだろ?」
「…………そうか。篝に関係があるなら、俺も無関係じゃないんだ」
白夜に指摘されてようやく気が付いたのは恥ずかしくもなる。
だが、天王寺瑚太朗に関係のある事だと言うのに気が付いた。
そして、どうして“天王寺瑚太朗の姿が高校生時点でのものなのかの理由にも繋がる。”
「篝に仕込まれたアウロラの影響、そして半魔物化が理由だな?」
篝はパワースポットを通じて『地球』から生を受けている。
『地球』には『命の理論』が組み込まれており、パワースポットを通じて篝に流れ込んだ。
篝=『地球』=『命の理論』の公式が出来上がる。
それが先程に瑚太朗が導き出した結論で、正解と言われたものである。
瑚太朗には篝に仕込まれたアウロラの力がある。
そう“元は篝の一部だ。”
先程の公式に当て嵌めれば、瑚太朗の身体にはアウロラと言う篝の力が、『地球』の力が、『命の理論』が組み込まれている。
アウロラを仕込まれ、半魔物化するのはガーディアン時代の記憶を失った時間軸で起こる。
そして、瑚太朗が逆行したと記憶を取り戻した時期とも合致する。
『恐らく、瑚太朗の身体にアウロラを仕込んだ事で『命の理論』が逆流し、様々な世界の記憶をも呼び起こしたのでしょう』
瑚太朗の『
その発現の発端が天王寺瑚太朗と月篝との再会だ。
恐らくガーディアン時代の通りに『鍵』である篝を発見し、そのまま殺されかけたのだろう。
再会は確かに『命の理論』の逆流の鍵となったのだろうが、その時には既に瑚太朗は瀕死の重体でアウロラを仕込む事となった。
『私が瑚太朗達の事を思い出したのは、アウロラを仕込んだ後です』
「俺の記憶が戻ったのもその頃だ」
篝と瑚太朗――――これで両者の記憶が保持された理由が判明した。
それでも、疑問は尽きない。
「そもそも、だ。『地球』の『命の理論』だと俺はガーディアンとガイアの二足のわらじを履く事になる。その出来事が無くなってるのは…………いくら何でも不自然だ」
「そこで加島桜といったバグの出番だ」
瑚太朗の疑念を解消しようと、白夜は告げる。
「バグ…………か」
「そう。他に良い表現も無かったからな。仕方無い」
瑚太朗の方がツッコミをしたくなる表現をする。
当の白夜はケラケラと笑いながら告げる。
「さて、こうなってくると予想は付くだろ? 彼女がどう関わっているのか?」
「加島桜が『月の世界』に干渉していた事が理由、だよな?」
それ以外に思い付かない。
白夜は「うんうん」と大きく頷いている。
「そうさ。加島桜はパワースポットの断片に触れたから『命の理論』は逆流してるのは正解だよ」
ガイアはパワースポットによって汚染された虹色の水が森の中にある。
それが白夜の言う「断片」にあたるのだろう。
それに加島桜が興味本位かは不明だが、触れたのだとしたら断片でも十二分な効果があるだろう。
「まあ、そもそもまだ『月の世界』が存在しているかどうかも不明だけどさ。何にしても加島桜は『月の世界』に干渉はしていない」
その事が加島桜が廃人になっていない一番の理由。
「ちなみに本人の年齢が若く見えるのは、アンチエイジングをしているそうだ」
「ちょくちょく世俗的な話が出てくるな」
とは言え、加島桜が記憶を保持して尚且つ若々しい姿を保っている理由もまた判明した。
やはりガイアのトップとは言え、女性として若々しさを保ちたい気持ちは強いようだ。
「そして、このパワースポットの断片――――平たく言えば汚染された水なんかを使って様々な実験を行った」
「実験…………それが長居が記憶を取り戻していた理由か!?」
「そうだ。そして天王寺瑚太朗――――お前の記憶が不完全に戻っていた理由にも繋がる」
パワースポットを利用した記憶の操作。
瑚太朗もアウロラを通じてパワースポットの影響を受けている。
『パワースポットの断片を利用した他人の記憶のサルベージは、『命の理論』に多少ながら干渉する。結果、瑚太朗の記憶が曖昧になる事もあった』
「そそ。そんな感じ」
本当に軽いノリで白夜は告げてくれるものだ。
「随分と『命の理論』って言うのはご都合主義を含んでるんだな」
『命の理論』に刻まれた瑚太朗の『小理論』による影響だろう。
しかしながら、随分と凄まじい効果をもたらす。
「俺、篝、加島桜――――この辺りが関与してるなら、最初に言ってた『月の世界』が関係しているって話も眉唾物でも無くなってくるのか」
全員が何らかの形で『月の世界』に関与している。
その上でパワースポットに間接的にせよ関わった。
しかしながら――――
「咲夜や白夜が『
それに黒篝は何なんだ? それに黒篝の名称を知ってたのも何故だ? それに目的は?」
「まあ、そこの疑問に至るのは仕方無いな。まずは黒篝の方から考えると良い」
言われ、素直に考えてしまう。
先駆者としての大先輩だからなのか? との疑問も抱くが今は置いておこう。
普段の篝とは異なる。
見た目もだが、何より雰囲気が違う。
中身が異なると表現するのがしっくり来る。
総合的に見るなら現状も『地球』で活動する篝の方がよっぽど瑚太朗の知っている方で――――――
「そう、か。“黒篝もお前と同じなのか!!”」
そう言って視線を向けた先は白夜だ。
黒篝も彼と同じなのだ。
白夜が壊れた咲夜に似せた身体を無理矢理に修復したように――――――
「黒篝の身体も“何かしらを媒介にして存在しているんだな!!”」
「ああ、間違いない」
白夜は頷くが、では何を媒介としている?
いや、本当は答えは出ている。
黒篝が何処から来たのかと問い掛けた際の答えが全てだ。
「黒篝は『月』を指差していた。あいつは『月』から来たと行動で示した」
瑚太朗はそこで言葉を区切る。
あくまで仮定の話だが――――そう前置きして続けた。
「俺が『地球』と『月』を“繋げた状態で”再構成したのなら、『命の理論』は『地球』だけじゃなくて『月』に組み込まれていても不思議は無い」
その可能性に至るヒントはあった。
咲夜もどきの身体は『月の世界』で造り出したもの。
『命の理論』の中に断片として組み込まれていて、それを引きずり出せる。
それなら『月の世界』で起きた他の出来事やものにも干渉出来る可能性が示唆されている。
『月』にもパワースポットがあるのは月の篝の存在、そして枝世界にて篝と出会った記憶から確定事項だ。
先程までの推測に当てはめ、『命の理論』が『月』にも存在しているならこちらの軌跡を黒篝も知る所になる。
その中にある篝のデータを用いた、もしくは――――
「朽ち果てつつあった月篝の身体を修復して、中身だけは別物の魂を込めた……とか?」
オカルトの領分だなと心の中で呟く。
超能力だの、魔物だの、そもそもオカルトの領域の事ばかりをしているので今更だが。
「これが、俺の中では一番予想に近いと推測してる」
「正解だ、天王寺瑚太朗。ただ『命の理論』の中にある篝の過去の行動……分かりやすく言うならパーソナルデータみたいなもの、それを引き摺り出さなければ身体は作り直せなかったけどな」
そもそも『命の理論』からコピーを取るだの、意識を取り戻すだの、そういった事が可能なのかさえ瑚太朗には分からない。
今後も決して分からない領分やもしれない。
だが、規格外の力を見せ付ける白夜や黒篝を見ていると納得の出来る部分がある。
嫌という程に白夜の存在が如何に規格外なのかを知らしめてくる。
だが、これで黒篝が出会った時から瑚太朗に固執していた理由が良く分かる。
『命の理論』の中にあったらしい篝のパーソナルデータを抜き取った、もしくはコピーしたから。
その中には天王寺瑚太朗との出来事が記されている『小理論』が混ぜられているから。
「けど、篝のパーソナルデータを引き出す必要性が何故あった?」
現存するだけなら篝の過去など知る必要は無いのではないか?
「それは私が黒篝の呼称を知っていた事に繋がる。大体の予想は出来てるだろ?」
質問を質問で返される。
ただ、瑚太朗は内心で「やはり」と思う部分があった。
ここまでパワースポットと『命の理論』の存在意義を強く言っていた。
「再構成した時に『地球』と『月』が繋がっていた…………多分、パワースポットも同様に繋がってる筈だ」
両者が繋がりを持った結果、パワースポットは共有状態にある。
そして――――話はここからだ。
「パワースポットが同じ、『命の理論』が俺達の記憶を呼び起こすきっかけになった。しかもタイミングは俺と篝は同じだった」
1つ1つ、確認するように瑚太朗は言葉を紡ぐ。
そして、彼は1つの推論に辿り着く。
「黒篝は俺のアウロラや篝を通じて、こっちの情報を得ている。すぐに姿を見せなかったところを見るに、全部が全部の情報を得ている訳ではないのも察しが付く」
「ああ、恐らくそうだろうな」
白夜は推論は正しいだろうと肯定の言葉で以て返した。
しかし、これは答えとしては不十分。
何せ、篝の過去を知らなければならない理由にはなっていないから。
「篝の過去を知らなければ、その身体は作れなかったのか?」
「そこは本人のみぞ知る、だな。恐らくはこの世界の文化や歴史を知る上で必要な要素だったんだろう。身体の修復を行うのに、身近な『鍵』の容姿や性格をなぞるのが手っ取り早いとかもあったんだろうな」
中身が別物の魂なのは先程も肯定されたので、そこの部分に驚きはない。
話を聞く限りは黒篝は面倒を省いている。
効率を選んで、篝の容姿を真似し、体験を即座に得た。
そうまでして、黒篝は何を得たいのか?
それに根本的な疑問がある。
「黒篝の中には“誰が入ってるんだ?”」
修復した身体の中に「誰か」が入っている。
その「誰か」は『月の世界』に干渉し、『命の理論』にも刻まれている存在だろう。
ただ、白夜と名乗る咲夜よりも前の代の先駆者がこの場に居る位だ。
黒篝も瑚太朗の知らない存在の可能性は十分に高い。
「さすがに予想は出来ないか」
『いえ、そうでもありません』
当たりは付いていないと白夜は思ったようだ。
篝は否定した。
彼女には検討が付いてるらしい。
「まあ、すぐに気付けるならお前位なものだな。言ってみな」
『では、遠慮なく』
篝はどういう事なのか気付いていた。
白夜もまた気付けるのは篝だけだと言う。
その理由を篝の口から告げられる。
『前文明の『鍵』の人格が黒篝と呼称する存在の中身なのではないですか?』
篝の回答に瑚太朗の思考はフリーズした。
前文明の『鍵』――――言ってしまえば篝の先輩にあたる。
「これ以上無い大正解だ」
白夜は篝の答えに「是」と答える。
篝の推測は正しい――――と。
「以前は昴と名乗っていたらしいけどな…………本人としても生まれ変わったつもりでいるみたいで、黒篝の名称は気に入ってるようだ」
これまで通り、黒篝と呼んで構わない――――白夜はそうケタケタと笑いながら告げた。
「けど、まだ終わってない。咲夜が異常にこの事態を寛容に受け入れていない理由、それと黒篝の目的について吐いて貰おうか」
咲夜に関しては未だに表情は窺い知れない。
だが、この事態を面白くないとも思っているのは間違いない。
「それに答えてやりたいのは山々なんだがな…………残念、時間切れだ」
白夜はタイムアップを宣言する。
何事なのかと瑚太朗達は疑問に思う。
突如、白夜は身体能力に身を任せて跳び上がる。
目指すのは建物の天井だ。
それを易々と突き破り、屋根の上へ着地する。
有り得ない――――否、元『
それに使いすぎた結果を知っているなら彼もまた魔物化の影響は少なからず受けている。
それに元のスペックに劣るとは言え、それなりの戦闘力を有した咲夜もどきの身体だ。
これくらいは雑作もない。
「悪いけれど、これで失礼するよ」
リーフドラゴンの背に乗る加島桜も居るではないか。
「じゃあな。また会おう天王寺瑚太朗」
「待て!!」
リーフドラゴンの足を掴むと、そのまま上空へ飛び上がる。
瑚太朗の制止の声は届く筈もない。
外へ出て後を追おうにも既に姿は見えなくなっている。
―――逃げられた!!
やられた!! 瑚太朗は拳を強く握り込む。
―――けど、まだこっちも終わっていない。
全員が瑚太朗を見ている。
説明が欲しい――――そう表情に浮かんでいた。
「瑚太朗君」
「分かってる。皆にも黙っててすまなかった」
小鳥が代表して名を呼ぶ。
それ以上は言わなくて構わないと割り込む。
「話すよ、全部。俺のこれまでの出来事を――――」
そして、瑚太朗は語る事となる。
ここへ辿り着くまでに歩んできた道筋を。
この出来事を生んだのが、先駆者と言うのは皮肉な話だなと内心で思っている。
如何でしたでしょうか?
さて、色々な謎の解明をしていきました。
瑚太朗や篝、それに加島桜の記憶に関しては『命の理論』を組み込んだパワースポットが関わっています。
長居は加島桜の実験の結果、ガーディアン時代の記憶を呼び起こされました。
黒篝の正体は前文明の『鍵』である存在。
Rewriteのゲームの本編で「昴」と呼ばれていたので、元の名前はそこを使わせて頂きました。
そして、今回もまた力業を含んだ説明でした。
しかし、まだまだ残っている事柄も。
大きいのは黒篝の目的、そして咲夜の存在。
これらの事も回収していきますとも。
ではまた次回に。