Rewrite if   作:ゼガちゃん

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色々と飛ばしてます


アサヒハルカ④

展開が早いと言われるのは承知の上で現在の状況を説明しよう。

あの後、ルチアがアサヒハルカの調査に協力してくれる事となった。

いやはや、協力を取り付けるにも一苦労したよ。

まあ、俺達の物語を知るのならルチアの身に起きた事も分かるだろう。

彼女の触れた草花が枯れたのだ。

それで事件の調査を止めるようにルチアから進言されたが……俺は強行しましたさ。

んで、様々な人から話を聞いて喫茶店に働いてる人がいるところまで辿り着いて話を聞いていたのだが……まあ、前回と同じで店のガラスや照明が割れたよ。

その片付けで急遽喫茶店は休みとなって、俺は雨が振り付ける街を傘を差して歩いていた矢先だった。

見慣れた人が佇んでいた。

佇んでいたのはルチアだった。

あの時のように傘も差さずに雨でずぶ濡れだ。

紳士の精神で傘を貸してやろうと思ったが、様子がおかしい。

これは以前にもあったのと同じだと直感が告げていた。

ルチアだけどルチアじゃない。スイッチが入ってるみたいだ。

此花ルチアではなくアサヒハルカとしての人格に入れ替わっている。

証拠に瞳の輝きがなく、トレードマークと呼べる白い手袋を外してしまっている。

「私を、起こさないで」

今はあえてアサヒハルカと呼ぼう、彼女は開口一番に俺にそう伝えた。

知らないフリをしておこう。

「お前がアサヒハルカだな?」

聞くと同時に近くのガラスの破片が割れる音がした。

まるで俺の問いを肯定しているようだーーいや、肯定しているんだ。

「俺もお前に会いたいと思っていた」

「どうして私の眠りを覚まそうとするの?」

「お前を助けたいから」

以前とは違う回答に自身でも驚愕に感じてしまう。

「助けたいって、何?」

「呪われた少女がどうのこうのって話を聞いた。それを聞いた俺は『助けたい』って思ったまでだ」

「…………」

「俺はお前の事はちっとも分からない。誰もがビビって話してくれないからよ。けどさ、分かった事があるんだ」

「何?」

「誰もがお前の名前を出す時に恐怖しながら話すんだ。アサヒハルカって言う少女をろくに知りもしない奴等が話すんだぜ」

おどけて言うが、アサヒハルカは何の反応も示さない。

それならそれで、こっちで勝手に話すだけだ。

「お前と本当に縁があった奴……岸田隆悟だったか? そいつは知らねぇがよ、他の奴等はアサヒハルカの書き方も知らないのに勝手にビクビクと膝を抱えながら恐怖して名前を言うのが気に入らない」

ああ、結局は自己満足ってのは分かってるさ。

「だから、納得出来ない」

「何の納得?」

「アサヒハルカが恐れられてる理由が」

「それは私が……」

「呪いの権化だからとかふざけた事はのたわるなよ。そういうんじゃねぇよ」

「じゃあ、何が?」

何が?ーーそんなの決まってるだろ。

「アサヒハルカが呪われた少女って呼ばれてる本当の理由。もしくは原因を突き止めたい」

もうとっくに知っちまってるけどな。

「触れただけで草花とかが枯れる? “生きていればそんな不思議の10や20は出会うって〜の”」

「これは現実に起きている呪いよ」

「呪いだって断言するのは早いんじゃねぇか」

ここで少しつついてやるか。

「生まれつきそういう能力があっても不思議だとは思わない。サイコキネシスとかの超能力みたいな力がこの世に存在してても良いじゃねぇか」

「………………」

「もしくは誰かに無理矢理に押し付けられたか?」

ルチアが、アサヒハルカが過敏に反応するだろう一言を言ってやる。

「まあ、何だろうとお前が呪われてないって証明してやる」

「くっ、あははははっ!!」

俺の言葉を聞いて自分の笑いのツボにでもはまったのだろう、爆笑される。

「出来ないって思ってるだろ?」

「勿論よ。あなたはこれを呪いじゃないと証明出来るというの?」

問い掛けてくると同時にアサヒハルカは外灯を割る。

「おう。してやるさ、例えこれが種も仕掛けもない超能力染みたものだとしてもな」

「その発言は随分と逃げ腰に聞こえるけど?」

「バレたか。まあ、正直に申しましてルチアが触れた草花が枯れた理由は分からないからな。偶然ならそれで片付くが……そうじゃないなら、オカルトが関わってるって事だろ」

俺の言い方には逃げたような部分が含まれている。

そして、これに隠されたルチアに対する言葉の投げ掛けに気付いてくれれば僥幸だ。

「まっ、仮にそうだとしても俺はアサヒハルカが気に入ったから手離さないぜ」

「何を言っているの?」

「え? 言った通りだけど」

何を不思議がってるんだ?

あっ、そか。俺が此花ルチア=アサヒハルカって事実を知らないと思ってるんだろうな。

まあ、知ってるからってのもあるけど。

「俺はどんな此花ルチアだろうと愛してるからな」

「なっ!?」

過剰な反応を示す。

頬も僅かに朱に染まる。

「冗談はそれくらいにしてもらうわ。私はこれで失礼します」

そう言って、脱力して前のめりに倒れていく。

慌ててルチアを受け止める。ったく、少しはルチアの事を考えてやれよな。

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