駆ける。駆ける駆ける。駆ける駆ける駆ける。
だが、ペースは小鳥や朱音に合わせている。
「皆、大丈夫か?」
後ろを振り返るーーが、オカ研メンバーの姿はなかった。
そんな馬鹿な……皆にペースを合わせて走ってたんだ。
今の俺が皆を見逃すはずがない。
「篝か」
有り得る話だ。ここには篝が居る。
木を動かして篝の思い描く森に変える事など雑作もないはずだ。
とりあえずはさっさと見付け出さないと“あれ”がやって来ーー
「ギャオオオオオオオッ!!」
……来ちゃったよ。白い龍が天から舞い降りて来ました。
勘弁して下さい。
でも龍を相手しなきゃいけなさそうだが……仕方ない。
龍は空を飛行している訳だから、俺の攻撃を届かせねばならない。
その上で向こうの攻撃を全て回避する必要がある。
これってかなり難易度高いな。
「と、無駄な事を考えてる暇は無しか」
先に動いたのは龍の方である。
口から炎を吐き出してくる。
舌打ちしながらも、俺は吐き出される炎を飛び退いて回避。
しかし、それも束の間に龍の身体から糸のようなものが俺を突き刺さんと迫ってきた。
確かこれは血液を吸い出すやつじゃねぇか!!
俺に当たる直前に身体を少し右にズラす事でやり過ごすーーが、グサッ!! と右腕に何かが突き刺さる。
それはさっき龍から出されていた糸だ。奴が放ったのは一発だけではなかったらしい。
「くそっ!!」
これは俺の油断が招いたミスだ。
右腕にオーロラブレードを展開する。展開と同時に糸を断つ。
分かっちゃいたけど、空中に敵がいるって状況が面倒だ。
身体を書き換えるか? いや、それはダメだな。
仮に書き換えてこの場を乗り越えられても、その後に俺は元に戻れる保障は何処にもない。
なら、白い龍を倒すには……
「逃げる!!」
俺は白い龍に背中を向けて、全速力で走り出した。
追ってくる追ってくる。
付かず離れずのペースで、森の中で木々を避けながら駆け抜ける。
俺の考えた策は近付いてきたところをオーロラブレードを伸ばして急所を一突きするーー無理無謀は承知の策だ。
でも空を飛べない以上は敵に近づいてもらうしかない。
言ってる傍から白い龍は俺を噛み付かんとばかりに口を開いて来る。
よっしゃ!! このまま振り返って一撃を叩き込めば……
「瑚太朗君?」
視界の隅に小鳥の姿が映し出される。
待て。何てタイミングで小鳥が!?
白い龍が小鳥に標的を変えた。
しかも血を吸い取る糸まで出してきやがった。
「やべぇ!!」
小鳥の前に躍り出る。
そして、俺の左腕に糸が突き刺さる。
「ぐっ、あっ!?」
即座に糸を切り、最悪の事態は回避した。
けど、眼前に白い龍がその牙を俺に向けてくる。
ヤバい!? 俺がそう思った直後だった。
「コタロー!!」
「瑚太朗!!」
俺と小鳥の脇を駆け抜ける影が2つ。
その両手にコンバットナイフを携えた静流と日本刀を両手で握り締めるルチアが白い龍と対峙する。
いや、対峙というには一方的過ぎた。
静流が先陣を切って、白い龍に斬りかかる。
まずは目を狙い、視覚を奪うとルチアの刀が龍の頭を切り裂いた。
それから2人は踊るように白い龍をその手に持つ得物で傷を付けていく。
そして、数分も経たぬ間に龍の解体ショーが終了を告げた。
いや、告げたのは白い龍との戦闘終了だけじゃなくてーーオカ研の存続に関してもだ。