40 / 120
行間
Other side
“それ”を視認するのは“それ”と同じ立場にあるものにしか不可能だ。
言い換えれば“それ”を視認できてしまえばもはや常人とは言えないのかもしれない。
「我、私、僕、俺、我輩、拙者ーーどれもしっくりと来ない」
“それ”は意志を、意思を表に出した。
一人称を何にするのかでも迷っているのか、“それ”は先程から「あーでもない。こうでもない」と呟くばかり。
やがて、諦めたのか“それ”は溜め息を1つ。
「どうしたら良いかな?」
問い掛ける声にしかし返す者は居ない。
“それ”は再び溜め息を1つ。
「不思議だ……」
“それ”は暇潰しなのか、とある少年を見ていた。
観察日記でも付けるように、常にとある少年に目を着けた。
始めは興味本意だった。少年を見付けたのも偶然だった。
少年は身にそぐわない能力を有していた。
少年はそれを駆使して様々な運命に立ち向かった。
そして、“少年は様々な結末を迎えていた。”
桜が散り、生まれ変わり、友を助け、大事な人を守り、世界が滅び、遠い旅に出てーー様々な運命を彼は経験してきた。
“それ”はやがて少年だけを観察するようになった。
「もう少し、もう少しでーー会える」
“それ”の声は歓喜し、震え、そして興奮していた。
OthersideEnd