「コホン、頼みがあるんだ」
「ほっぺにモミジがあったら真顔で言っても説得力がないわよ」
せっかくシリアスにしようとしてるのに茶化すのは止めてくれよ朱音。
これはちはやの部屋に突撃した際にビンタされた時に出来上がったものなのは……まあ、言わなくても分かるだろう。
当のちはやは犬歯を剥き出しにしてこちらを睨んでくる。
しまこは未だに何が何やら分かっていないようで、首を傾げるだけだった。
咲夜に至ってはとりあえずは我関せずのスタンスを取っている。
奴もほとんど同罪のはずなんだが、どうして俺だけこんな目にあっているんだかね?
「単刀直入にいくぞ。朱音、ちはや、咲夜……しまこも、俺に協力してくれないか?」
突然の提案に目を丸くしているのは仕方ない。
というか、何に協力をするのかを聞く前からそんなんで大丈夫なのかね?
「俺は『鍵』をどうにかする術を持っている」
「それは具体的にどんな方法だというの?」
ここで正直に言ってしまうのは簡単だろう。だけども、それは躊躇われた。
だって、なあなあでやっても篝の求める“良い記憶”には繋がらないのだから。
「それは言えない」
だから、嘘は言わない。信用を勝ち取る為に、俺が嘘を吐いても仕方ない。
「でも、俺には皆の力が必要なんだ」
オカ研メンバーという意味合いが込められているが、それが伝わるのかどうかは俺の知る由はない。
「私は構わないわ」
あっさりと、朱音は俺の頼みを承諾した。
「私も別に構いませんよ~」
先程までの険しい顔は何処へやら。屈託のない笑顔で了承を出したのだった。
ちなみに期限が戻っている理由は咲夜が用意したらしいお菓子をポリポリと食べているからだ。
「?」
しまこは分からないようで、首を傾げるだけだ。
「ただ、私はあまり信用できませんね」
しかし、ここで反対意見が出てきた。
それを言ったのは咲夜だった。
「咲夜? どうしてそんな事を言うのですか?」
「いや、咲夜は正しいよ」
ちはやが非難じみた声をあげようとしたが、俺はそれを止めた。
咲夜の言い分は正しいし、むしろ、そう言ってくれた方が俺としても分かりやすくて良い。
「なら、どうしたら良い?」
「私を信用させれば良いだけの話ですよ」
「つまりはあれか? 『鍵』の事を言えるだけの明確な証拠を持って来いって話か?」
その通りです――と咲夜は言った。
まあ、仕方ないな。俺もそれ位は覚悟していた。
「分かった。なら、少し待っていてくれ」
俺は咲夜の課題を解決する為に鳳家を飛び出した。
まあ、どうするかなんて全く考えてないんですけどね!!