「フンフフ~ン♪」
今の俺はとても上機嫌である。
理由を聞きたいって?
しょうがない教えてしんぜよう。
なんと、今日は昼時の時間帯に10個しか作られないサンマパンを1つ入手したのだ。
ネーミングから怪しさを感じているだろうが実はそうでもないのだ。
これは本当に限定で作られる位に美味いのだ。
わざわざ昼休みに学校を抜け出して買いに行ったのは正解だった。
至高の美味さを放つサンマパンの存在を教えてくれたのは――
『ピイィィィ――ッ!!』
俺の後ろからホイッスルの音が響く。
別に試合終了の時間を伝えてるとかいうのじゃない。
単純にこのホイッスルを鳴らした人物は俺に用があったと見る。
「どうかしたか? 静流」
振り向けば奴が……じゃない、俺の可愛く頼れる後輩の『中津静流
彼女は風紀委員で、風紀を乱す生徒には事あるごとに笛を鳴らす。
俺は当然ながら今日はまだ何もしていない。
静流に注意をされる事はしていないはずだ。
「コタローはズルい」
「何が?」
「サンマパン……」
あ〜、分かりました。
そういえば静流はサンマが好きだったな〜。
これも静流から教えてもらったものだし。
サンマパンを買いたいが、風紀委員の自分が校外へ無断で出るのは忍びない。
まあ、後輩ってのもあるが静流には今後も何かと協力し合う形になりそうだからな。
「なあ、中庭で飯を食べないか?」
―――どうして?
とでも言いたげな仕種で首を傾げた。
「良いから良いから」
今日のお昼は静流とが良かろう。
俺は戸惑う静流の背中を押し進める。
「ほらほら、早くレジャーシートを広げて食べるぞ」
時間も結構差し迫っているしな。
チャッチャとシートを広げ、俺達は腰を落ち着かせた。
「コタロー」
静流はいつの間に用意したのやら、魔法瓶を取り出して中身を紙コップに注いで渡してくれた。
「ありがとう。静流は良いお嫁さんになれるな」
―――いやいや、そんな事ないぜ兄貴。
手を前に出して左右に振る仕種が可愛いな〜畜生!!
それを見て勝手ながら静流の心の内を妄想させて貰ったが……。
「そんじゃ、これはお礼だ」
元々そのつもりだったし、構わないんだけどさ。
サンマパンを静流に渡してやる。
「……」
何だか分からずに呆ける静流。
「これはコタローが……」
やっと言葉が出たら、やはり遠慮がちに言ってくる。
「そう言うなよ。静流に食べて欲しいんだからさ」
ポンッ!! と頭を撫でてやる。
例のごとく恋人だった時の記憶を持ち合わせているからか、自然と動いてしまった。
静流はカァーッと頬を赤く染める。
照れてるのか?
初奴め。
「美味いか?」
「コタローが買ってきてくれたものだ。美味しくない訳がない」
やべっ、嬉しい事を言ってくれるじゃないのさ。
「でも1人で食べるのは寂しい」
そう言ってサンマパンを半分にちぎる。
「コタローも一緒に食べよう」
「お、おぉっ!! ありがとう静流」
こんな嬉しい事があって良いのか?
良いはずだ!!
神様だって俺の頑張りを評価してくれてるんだ!!
まだ動いてないけど。
それから中庭でまったりと過ごし、一緒に昼寝をした。
起きた時には1人で中庭に放置され、放課後になっていたのはお約束だと言えた。
静流よ、せめて起こしてから行ってくれ。