俺の爆弾発言にルチアも静流も呆然としていた。
江坂さんは苦笑を抑え切れないようである。
「信じられんかもしれんが……全て事実だ」
俺の言葉を信じ切れていないクラス委員長と風紀委員に対して江坂さんが保証を出してくれた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。ならば瑚太朗はガーディアンにいつ所属していたのだ?」
「あ~、それは――――」
なんと言って良いのか分からずに言いあぐねてしまう。
物には順序というものがある。2人の問いに応えるのは簡単ではあるが、それは『鍵』の部分に関しても話さなくてはいけない。
いきなり説明しても誤解が誤解を呼んでしまう展開は俺は何度も経験してきた。
ならば、少し暈して話をするべきだろう。
「俺はお前らと同い年じゃないんだ」
「コタローは留年していたのか?」
静流が小首を傾げて問い掛けてくる。まあ、そういう誤解を生んでも仕方ないよな。
「順を追って話すよ」
ここは順番に話すのが手っ取り早い。優等生のお二方は話を聞く姿勢を取ってくれた。
コホンと咳払いを1つして教壇に立つ教師の姿を思い浮かべながら話し始めた。
「小鳥が小学生位の頃だったかな。その頃に俺は江坂さんの誘いでガーディアンになる為の施設に入ったんだ。今宮や西九条と一緒によく扱(しご)かれたっけ」
懐かしい……ああ、ボコボコにされまくったな。
「大丈夫か瑚太朗? 顔色が悪いぞ」
「だ、大丈夫だ」
どうやらあの日々を思い出して無意識に青ざめていた。
「それよりコタロー、今の話は本当か?」
今の――――静流が差したのは恐らく今宮と西九条と“まるで同期であるかのような物言いのところだ。”
「ああ、俺は今宮と西九条とは同期なんだ」
その話は後にしておこう。今は彼女達に全部を話し終えてはいないのだから。
「話を戻すぞ。ガーディアンになってしばらく経った頃に俺達は『鍵』と呼ばれる存在を探す任務を言い渡されたんだ」
その瞬間、ルチアの表情は驚愕の色に染まり上がり、静流は真剣な顔付きで次なる俺の言葉を待っていた。
「っで、俺は『鍵』と接触をする事に成功したんだが……」
ここで一旦言葉を区切る。一気に話したという事と、どういう繋げ方をするのかを考えたからだ。
「色々とあって木から落ちて気を失ったところに魔物に襲われて死に体だった俺は『鍵』に助けられたんだ」
「ほう。それは私も初耳だね」
やべ、薮蛇だったか。言わなくても良い事を思いっ切り言ってしまったぞ。
「と……とにかくだ。助けてもらったは良かったんだけど、俺はその間に冷凍睡眠状態にあって身体は成長せずに眠っていた。んで、目を覚ました時には記憶がサッパリ抜け落ちていてガーディアンはおろか、自分が超能力者だって事も忘れていたんだ――――その後は普通に学校に通って、お前らと同じ風祭市の高校に入学したんだ」
若干、嘘の入り混じったものだが……まあ、朱音を助けるのに木は登ったし、魔物にも襲われたんだよな。実際は警戒した篝のミラクルリボンに切り刻まれたんだけど。
「と、まあダイジェストながら説明をしたんだが、理解はしてもらえたかな?」
「コタローは嘘を言わない。信じよう」
「わ、私も……だが、勘違いするな。静流が信じるから私も信じようと思っただけだ」
静流が真っ先に言うと、続いてルチアも俺を信用をしてくれた。
「私を山車にしないでくれ。ルチアは素直じゃない。瑚太朗の言う事なら最初から信じた筈だ」
「な、何を言い出すんだ静流は!!」
顔を真っ赤にして静流の弁を否定するルチア。そんなに強く否定しないでくれよ。結構傷付くんだぞ。
俺の心の傷に気付かず、ルチアと静流は姉妹のように口論を続けていたのだ。