「『鍵』に味方する者がいるとは予想していたが……まさか、それがお前だとは思わなかった」
小鳥の突然の告白にルチアも静流も面食らっていた。先に我に返ったルチアが口を開いた。
「うん。私もこんな事になるだなんて予想していなかったよ」
苦笑を浮かべながら、小鳥もそう返した。
まあ、小鳥もなりたくてなった訳じゃないからな。自分が世界の命運を握る1人になるだなんて思ってもみなかったろう。
「それでコタロー、この魔物達は?」
「それを説明するのはちょいと難しいな」
俺自身、ぎるとぱにがどういった存在なのかをいまいち把握しきれていない。
分かるのは意志を持った魔物で、そして――
「簡単に言うとガイアから逃げてきて、俺と友達になった」
俺の本音をぶつけてやった。魔物相手に「友達」という言葉を用いたからなのか、ルチアも静流も怪訝な表情を浮かべていた。無理もない。
「瑚太朗、私はお前を信じるつもりだ……だが、元ガーディアンの言葉とは思えないな」
「そりゃ、そうだろうよ」
ルチアの言葉を否定する事はできない。昔、ヒーロー気取りで個人営業していた『地球救済ハンター』をやってた位だ。魔物を見た目だけで『悪』と断言して殺し回っていたのだ。
もちろん、そんな暗黒の歴史を語ってはいない。まあ、それより先に片付けておくべき事がある。
「なあなあ、今のってどういう意味だ?」
「コタローさんはガーディアンだったんですの?」
ぎるとぱには首を傾げながら問い掛けてきた。
「そうだよ。俺は昔にガーディアンに居たんだ」
詳細を説明すると長くなるので割愛させてもらう。
「小鳥は驚かないんだな?」
ルチアは全く驚きの表情を見せない小鳥に視線を向けていた。
「まあ、昔からの長い付き合いだからね」
本当、小鳥とは長い付き合いなのだと実感する。俺の身体が一時的に止まってしまう以前からの付き合いだしな。
そんな事は良いとして――
「それで本題だ。俺はお前達に協力して欲しいって思ってる」
「協力? 一体何をなんだ?」
ふう、落ち着けよ天王寺瑚太朗。ここでミスしたら一巻の終わりかもしれないんだからな。
腹の底から、俺は力強く声を出していた。
「この世界を面白ハッピーなものにする為にだ!!」
拳を強く握り締めたこの俺の宣言に唖然とする皆…………って、あれ? 唖然?
「お、おい……何で皆はそんなに唖然としているんだ?」
「いや、それは……」
「ふむ」
「だって」
「何を言ってんだ?」
「あ、あはは」
ルチア、静流、小鳥は困惑する。ぎるは頭上に巨大なはてなを浮かび上がらせる。ぱには苦笑をしていた。
「そんな事をして何になるんだ?」
代表してルチアが質問をしてきた。
「それは私から答えましょう」
意外なところから声がした。
いつの間にかベランダに立っていた篝さんが居るではないか。
「って、そんなところで何をしてるんだよ!!」
俺は篝を呼んでなんていないぞ。ややこしくなる可能性はあったし、クリーミィちゃんな格好をしていないのは助かるけど。
「私の事ですからやって来たまでです」
「モスモス」
篝の足元でちびもすが申し訳なさそうに鳴いていた。きっと制止を振り切ってやってきたんだろう。
来てしまった以上、ルチア達が帰すとは思わなかったし、何よりもここで追い返しては心象を悪くしてしまうのは目に見えていた。
俺は諦めて窓を開けて中に招き入れた。
優雅にお辞儀しながら篝はルチアと静流に挨拶をする。
「初めましてホモサピエンスの2人。私は篝と申します。どうぞ気軽に『篝ちゃん』とお呼びください」
俺はハラハラしながら篝とガーディアンの2人の話を見守っていた。