Rewrite if   作:ゼガちゃん

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日常⑤

「天王寺瑚太朗君だよね?」

「え?」

朝早く、学校の廊下を歩いていると声を掛けられた。

なんとなく聞き覚えのある声で、彼女の正体は俺には容易に想像できた。

案の定、そこにはTHE凄腕カメラマン・井上様がいた。

「新聞部の井上って言うんだけど、少し時間良いかな?」

「…………まあ、良いけど」

逡巡したが、仕方ない。

朱音と会う口実になるしな。

その為のアイテム『何か書かれた紙』を取り出した。

「それじゃ質問。天王寺君が裏口入学したって話だけど本当なの?」

「1週間前に裏口から学校に入った記憶はあるぞ」

「そういう裏口じゃないって!!」

「ああ、賄賂を使って入学したかどうかの事か。最初からそう説明してくれよ」

「最初からそう言ってるからね?」

うむ。たまにはこういう冗談混じりのやり取りを井上とするのも面白い。

思い返せば井上とは冗談を言い合う暇はなかったからな。

「真実を言うと、裏口入学をした記憶は一切ない」

「ふ〜ん。シラを切るつもり?」

「そんなつもりは一ミクロンもない。俺は本当に真実しか言っていない。記事にはどうとでも書けばいい。どうせ嘘にならない範囲で書くつもりなんだろ?」

「……」

返す言葉もないようだ。

「けど覚えておけよ? 人の信用を得るという事は誰かしらを敵に回すのと同じだ。全員が全員賛同してくれる訳じゃない。他人の内容の場合は特にな」

「それくらいの覚悟はジャーナリストとして当然あるわよ」

即座に返された。

でも井上はこの方が一番良い。

「そうか。まあ、ほどほどにな」

「そうするわ」

井上は後ろを振り向きながらスカートのポケットに紙を入れる。

それを確認し、常人には捉えられぬ速度でポケットから紙を抜き取った。

バレずにスリができそうだ。

「まあ、こんなもんか」

教室に向かう。

気付けばHRを告げるチャイムが鳴っていた。

 

 

 

 

 

時は経って放課後。

「瑚太朗。その紙はなんなんです?」

後ろの席に座るちはやが尋ねてくる。

未だに前の学校の制服だ。

ちゃんと用意してやれよ咲夜。

「ああ、ちょっと気になる事があってさ」

「おや? 瑚太朗君の名前が書いてあるね」

小鳥がこちらに近寄って、紙の内容を見る。

「俺って良い子で有名だからな」

「ここに裏口入学って書いてあるよ?」

おぉぅふっ!? 何たるトラップ。

「ち、違うんだ〜」

「ほれほれ、白状しちまいな。ばっちゃんを悲しませたくなけりゃあね〜」

白雪姫を永遠の眠りに着かせようとする魔女みたいな言い草だ。

「まあ、それは置いておくとして――」

「スルーなんだ?」

「この『学園の魔女』って人に会いに行くの?」「え? そうだけど――何で分かったんだ?」

「赤線が引かれてるからじゃないですか?」

 

ちはやのご指摘通りに『学園の魔女』の下には赤の下線がある。

俺は書いてない。

って事は井上さんか。

「最近心霊現象っぽいのに襲われてるからな。藁にもすがる思いなんだ」

「面白そうだから私も行って良い?」

「なら私も行きます」

小鳥(職業・魔物使い)、ちはや(職業・魔物使い)の2人が瑚太朗(職業・勇者っぽい何か)のパーティーに加わった。

「場所は調べてあるし、行くか」

さて、『学園の魔女ボス』に会いに行きますか。

 

 

 

 

 

オカルト研究会の部室前に立つ。

ドアには鍵が掛かっていた。

「…………」

瑚太朗は呪文『秘密の裏技(こじ開ける)』を使った。

するとどうでしょう?

鍵のある部屋も関係ない。

簡単に扉が開いたのです。

「良いんですか?」

ドアの惨状に釘付けになるちはや。

「彼は犠牲になったんだ」

「何の犠牲ですか……」

「瑚太朗君のよまい言に付き合っちゃダメだよ。すぐ調子に乗るから」

「まあ実際何とかするだろ」

朱音なら直せそうだし。

「部屋は広いですね〜」

ちはやの第一声はそれだった。

お前はここに何度か来てなかったか?

「とりあえず、誰も居なさそうだし手紙だけ置いて帰るか」

内容は至ってシンプル『直接話がしたい』と書いておく。

悪用はしないだろうから連絡先も教えておく。

これでOK。

今日の用事は終わった。

また明日だな。

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