そして久々に瑚太朗君視点です。
Side:天王寺瑚太朗
俺は咲夜に連行されて建物のある場所まで連れてこられた。
辺境の地とでも言うべき場所に建てられた3階建ての屋敷だ。
その一室、ベッドだけが簡素に置かれた部屋で寝かされていた。
隣に置いてある椅子と机に何もないので寂しさしか覚えない。
ひもじいよー。
「おい、今オレ達の事をすっかり忘れてただろ!!」
俺の耳元でぎるが叫んでいた。
彼の隣にはぱにもいる。
別に忘れていた訳じゃないけどさ、なんと言うか……椅子に誰も座らずにチョロチョロ飛び回る見舞いってどうなのって思うんだよ。
「そんな訳ないだろ。お前らが居るだけでも気が楽なんだからさ」
「それなら良いけどよ」
ぎるが胸を張りながら言う。
ぱにも隣で胸を撫で下ろしていた。
「ところで瑚太朗さん。これからどうなさるおつもりですか?」
「あ〜、何も考えてないんだよな〜」
腕を組んで悩み出す。
一番は黒篝を無力化する事だ。
だけど、ほぼ万全の状態だった咲夜と静流が簡単にあしらわれてしまった。
闇雲に突っ込んで「全滅しました」ではお話にならない。
「でも、何か考えませんと大変な事になりますわ」
大変な事――というのは俺の事だろう。
黒篝を放っておいたら俺の命なんていくつあっても足りない。
「篝は?」
「咲夜さんと話し合っているのです」
今後の身の振り方なんだろう。
咲夜と篝の会話に混ざりたい気持ちはあるが、今は身体を休めるべき時だ。
テレポートなんてチート技がない……と信じたいが、俺達の居場所を知る感知能力があると、ここも長くは保たないだろう。
「瑚太朗君……起きてる?」
俺が今後の心配をしている中、小鳥が部屋にやって来た。
俺が寝てるかどうか確認をしながら入ってくる。
「いや、起きてる。どうかたか?」
「心配だからお見舞いに来たんだよー」
頬を膨らませながら、俺に抗議するように言ってくる。
まあ、心配してくれてるのに「どうかたか?」は発言としては如何なものだよな。
「ありがとうな。大丈夫だよ」
「それなら良いけど……あっ、これ作ったの」
そう言って小鳥が取り出したのは赤い木の実のようなもの。
リンゴとかトマトかと思ったけど、形状がそれらとは異なっていた。
有名な海賊漫画に出てきそうな特殊能力を得る果物みたいだ。
食べたら金槌になりそうなんだが……
「コタロー、起きているか?」
続いて静流が訪れた。
彼女もお見舞いに来てくれた事は察せられた。
察した……が、
「静流さんや。その手元にあるサンマはなんだい?」
「コタローに食べてもらおうと思った」
心なしか頬を赤くしながら告げてきた。
うーん、可愛いな〜。抱き締めたくなってまうやろ。
「と言うか、サンマなんてどっから持ってきたんだよ?」
「? 外に落ちていたんだ」
得体が知れないところから持ってきたのかよ!?
本当にサンマか否かの判別が出来ねえぞ。
「しーちゃん、瑚太朗君に持ってきたの?」
「コトリこそ、それはコタローの為なのか?」
何を確認し合っているんだろうか?
何となく、彼女達の背後にメラメラと燃え盛る炎が垣間見えた。
「ねえ、瑚太朗君。これを食べるよね」
「いや、コタローは私と一緒にサンマを食べるんだ」
謎の果実と怪しいサンマを俺に向けてくる。
いやいや、そんな何処とも知れない場所から持ってこられた食べ物を食したくないんですがね。
「コタロー。これを食べればサンマンみたいに強くなれる」
「その前に腹を壊しそうなんだけど」
未知なるサンマを食べて、サンマンなる生物になれるかなんて嫌だ。
「瑚太朗君。この実を食べて新しい能力を手に入れちゃおうよ」
「その代わりに金槌になったりしないよな? と言うか、どっから拾ってきたんだよ!!」
俺を心配してくれるのは嬉しいけどさ……見た事のないものを食べさせようとするのは勘弁してくれ。
こうしているだけで精神攻撃が止まらないのだ。
「コタローさんはモテモテですわね」
「羨ましいぜーっ!!」
「絶対に楽しんでるだろお前ら……」
ぎるとぱにが面白そうに言う。
端から見てるとそうなんだろうな!! 当人は大変なんだぞ!!
「さあ!! 食べて!!」
「食べるんだ!!」
「ちょ、俺は病人だぞ!! や、やめるんだぁぁぁあああああっ!?」
迫ってくる小鳥と静流から逃げる術はなく……彼女達のお薦めを口に突っ込まれた。
その後、いつの間にか寝ていたようで気付けば半日眠っていたらしい。
Side End
一人称で書くの久しぶり過ぎて違和感しか残らなかった。リハビリのつもりが、リハビリにすらならなくなってたよ……グダグダしてただけだった
ここからは半分以上が三人称で書いていくんで。
次回は来週の金曜日の予定です。