Rewrite if   作:ゼガちゃん

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お待たせしました。

5月末までにはとか言ってた癖に6月の頭になってしまいました。

ですが、続きはできたのでどうぞ。


瑚太朗とルチア

瑚太朗は咲夜と共に圧縮空間内から学校のオカ研の部室へ脱出した。

ここまで、黒篝と出会う事なく辿り着けたのは幸いだった。

 

「待っていたぞ天王寺」

 

部室に着いた瑚太朗を出迎えたのはルチアだった。

 

「ルチア……? どうして?」

 

「静流からここで合流するように言われてな」

 

静流の方から話は通っているようだ。話す手間が省けるのは良い事だ。

 

「では私は一度皆さんの所へ戻ります。瑚太朗君の事は此花さんにお任せします」

 

「ああ。任せてくれ」

 

咲夜からルチアへ。瑚太朗の身柄は移動した。こうして聞くと、瑚太朗が何か仕出かしたように聞こえてしまう。

 

「静流から瑚太朗が怪我をした事までは聞いている。自分で動けるか?」

 

「ああ、歩く位は支障無い」

 

決して強がりではない。静流が体内で調合してくれた毒(という名の薬)と小鳥のおかげで動き回る位は出来るようになった。

感謝感激である。

 

「こちらへ来たのは2人だけなのか?」

 

「はい。念のために」

 

全員でゾロゾロと動いて、一網打尽にされては目も当てられない。

瑚太朗がルチアと合流するまでは咲夜が護衛役を買ってくれた。

 

「詳しい事までは聞いてない。私の家に行って聞かせてくれ」

 

「では、私はこれで」

 

部室の本棚の裏に隠された圧縮空間への出入り口を用いて、咲夜は残るメンバーの待つ場所に行った。

 

「行くぞ瑚太朗」

 

「おう」

 

そこでふと瑚太朗は気付いた。

これはルチアの家に2人っきりでお泊まりする流れではないかと――。

 

 

 

 

 

 

「ああ、夢見ていたよ……うん」

 

瑚太朗はルチア宅に着いた。2人っきりのドキドキイベントが発生するものだと桃色妄想全開でいました。

 

「どうかしたか?」

 

「あっ、いや……」

 

瑚太朗は歯痒い気持ちになりながら言葉を濁した。

 

「遠慮せずに上がってくれ」

 

「お、おう……」

 

瑚太朗が躊躇うのはそれだけの理由があった。

ルチアの住むマンションの一室へ向かう際に説明されたのだ……「手料理を振る舞う」と。歓喜したのは間違いなんかじゃない。ルチアと深く関わった世界で手料理を振る舞って貰った。だが、よくよく考えるとルチアには味覚がない。料理を作って貰った時には静流が味見役を買って出ていた。

つまり、何が言いたいのかと言うと……

 

「いや、何というかさ……随分とスパイシーなスメルがするんですけど……」

 

彼女は激辛料理が好物だと言っていて――いや、味覚がないから辛いものを平気で食べていた。そして、彼女の基準は辛いものになっていて、部屋に充満しているカレーの臭い。

嗅いでいるだけで卒倒しそうな程に鼻に来る。

 

「さあ!! 瑚太朗の為に腕をよりにかけて作っておいたんだ!!」

 

笑顔で言うルチアに対し、瑚太朗は何も言えない。

 

「タ、タノシミダナァ~」

 

何もしていないのに額から脂汗が出る。振り絞って出した声すら棒読みである。

 

「ふふふ。そこで座って待っていろ」

 

ルチアは瑚太朗に言うなり、キッチンの方へ姿を眩ませた。

女の子らしいファンシーな部屋。真ん中に鎮座してある丸テーブルに目がいく。対面に向かい合う形で置かれた座布団の1つに腰を落ち着けた。

 

「鬼が出るか、ドラゴンでも出るのか……」

 

もはや邪悪神が降臨なさらない事を全力で祈るしかなかった。

 

「待たせたな!!」

 

顔を真っ赤にさせながら、エプロンドレスにメイド服という格好でカレーを持ってきたルチア。

カレー云々よりもルチアの格好の方に目を奪われる。

 

「そ、その……変だったか?」

 

「そんな事ない!! めっちゃ似合ってる!!」

 

いつもお堅いルチアがこんな可愛らしい格好をすると、ギャップから可愛さ倍増である。

こんな彼女の姿を他に見せるだなんて真似は天地がひっくり返ってもさせない。

 

「あ、ありがとう。早速だが、これを食べてみてくれ」

 

そう言って、照れるルチアが差し出したのはカレーの盛られた皿である。

 

「う……美味そうだな」

 

「本当か!?」

 

瞳を輝かせながらルチアは訊ねてくる。恥ずかしさなど通り越し、瑚太朗に「美味しそう」と言われた事が余程嬉しかったと見える。

一方、瑚太朗は「失敗した」と内心で思っていた。ルチアを喜ばせる一言を出しては、決して逃げる選択肢は許されない。

 

―――南無三だ!!

 

覚悟を決めて、ルチアお手製のカレーを受け取りスプーンで掬う。見た目は普通のカレーに見える“それ”を……口に運んだ。

 

 

 

 

 

瞬間、瑚太朗の中で大宇宙が誕生した。

 

 

 

 

 

その後の事を瑚太朗は覚えていない。

ただ、目覚めた時にルチアが満面の笑みで「また作ってやろう」と言っていた。

果たして自分にとって吉なのか不幸なのか……今度は誰かしらに味見を頼む必要があると確信していた。

 

 

 

 




はい。今回はルチアとの絡みを書きたかっただけで。

何だかルチアと絡む回数の方が多いような気もするけど……きっと気のせいでしょう。

次回ですが、来週の月曜日もしくは火曜日になると思います。

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