続きです。
ルチアの用意したカレーと言う名の殺人兵器で意識を失い欠けた瑚太朗は何とか復活した。
まさか、身内に天国への階段を薦められるはめになるとは瑚太朗でなくとも予想なんて出来やしない。
「ところでルチア……これからどうするんだ?」
「そんな事は決まっている。まずは瑚太朗の体力の回復が最優先だ」
ルチアが真っ先に行うと挙げたのは瑚太朗の体力の回復である。瑚太朗の体力を考えるならあの殺人カレーを食した時点で負けな気もする。
「すぐに体力回復なんて難しいだろ?」
黒篝にいつ場所が知れるとも言えない。
バレるのを承知で身体の書換という最終手段も持ち合わせてはいる……が、バレた後の事を考えると不安しかない。
「ふむ。瑚太朗の体力回復を万全にするにはやはり“その手の”スペシャリストが必要だと考えた」
「確かに……回復特化の奴が居れば……」
でも小鳥や静流、咲夜が知っていそうなのに全員が圧縮空間に居ると来ている。
瑚太朗が思い付く限りで、そんな器用な真似が出来るのは果たして居ただろうか?
「では、行くとしようか」
「行くって……何処にだ?」
あまり良い予感というものが当たった試しはない。
変な所ではないことを祈る。
「鳳の家だ」
変な所――と言うには身近な場所だった。
「まさか、ちはやの家に来る事になるとは――」
瑚太朗自身、思いもよらない展開だと言えよう。しかしながら、ちはやの家に来たとして瑚太朗を回復させる術が果たしてあるのだろうか?
(と言うか、俺もこんなに動き回って大丈夫なのか?)
黒篝に見付かる可能性はあったが……細心の注意は払って移動したので大丈夫だろう。
そんな心配をしている間にルチアがチャイムを鳴らして家の主を呼び出した。
「やっと来ました。遅いですよ」
「すまない。色々と手こずっていた」
ルチアとちはやのやり取りに親密さがかいま見えた事に驚く。犬猿の仲とも言うべき2人がこのようにやり取りをすること事態が珍しい。
「ところで……俺は休みたいんだが」
一刻も早く体力を整えたいのが本音だ。その為には少しでも休む――それしか手はない。
ただ、肩口に出来た傷を治すにはその他の方法が必要となる。それこそ、魔法みたいな力で回復が出来なければいけない。
「中で朱音さんが待ってます。行きましょう」
「朱音も居るのか」
「しまこも来てます」
そんなに来てるのか――瑚太朗は苦笑しながら鳳宅にお邪魔する。
通されたのはリビングである。そこで朱音はノーパソを開いてFPSに熱中していた。その隣でしまこが興味深そうに観察をしていた。
(何と言うか……朱音はぶれないな)
普段通りの姿に安心をする。
「朱音さん。瑚太朗と此花さんが来ましたよ」
「ごめんなさい。今大事な所なの。こいつは八つ裂きにしないと私の気が済まないのよ」
目が獲物を狙う獣と一緒だ。
まさかゲームにそこまで本気になれるとは怖い。
「仕方無いですねー。ポテコでも食べて待ちましょう」
「ちはやも普段通りで安心するよ」
ここにいる面子の普段と代わり映えしない光景が安心感を逆に抱かせてくれる。
「へへー。もっと誉めてくれても構わないですよ」
「調子に乗るな」
ちはやの額に凸ピンを噛ましてやる。安心感を抱かせてくれた事は確かに良いものではあるが、それを鼻に掛けられても困りものだ。
「ううー。痛いです。瑚太朗はすぐ暴力に訴えるだなんて最低です」
涙目のちはやに上目遣いでそう言われてはもはやそれ以上に反論も出来やしない。
別の世界で惚れてしまった時の弱味がここで露見してしまう。
「ま、まあ……俺もやり過ぎた。いつも通りに出来たのが嬉しくてさ」
「素直に言えば良いです」
涙目が一瞬で遥か彼方まで消え去った。
現金な奴と思いながらもちはや、朱音、それにルチアも普段の姿を見せてくれるのを嬉しく思えてくる。
「とりあえず朱音待ちだよな」
朱音のFPSでの復讐が済むまで瑚太朗達はちはやの持ってきたポテコを食べて待つ。
次回の更新予定なんですが、来週の日曜日を予定しています。
ですが、体調次第では更新延期になるかもです。
その際はこの話のあとがきに追加しておきます。
どうするかは来週の日曜にページ更新をしてなければ延びたのだと考えておいてください