今回は「ダブルチア編」という事でルチアと彼女の名前を交互にサブタイにしていくつもりです。
ただ、ちょっと短くなってしまったので平にご容赦を。
瑚太朗は殴り飛ばされはしたものの、そこは鍛えてますから直ぐに起き上がる。
その間にルチアとそっくりな少女をルチアと西九条が医務室へと移した。
着替えを終えたのを見計らい、瑚太朗も続けて入る。
病院服を着たルチアそっくりの少女はベッドの上で上半身を起こして、彼女の正面に立つルチアと西九条を不思議そうに見ていた。
「コタロー」
この独特のイントネーションでの呼び方。
何者かを考えた後、瑚太朗は思い至った。
「静流」
「久し振りでもないが……久し振りだ」
顔文字にするなら「(≡ω≡)」な顔をする静流。
小鳥達をどうしたのかが気になるが、そこは後でにしておく。
「それにしてもルチアに本当にそっくりだ」
「ああ、全くだな」
静流と瑚太朗はベッドに近付く。
「そんなに私にそっくりなのか?」
「自分では自分の顔は見れないから当然の反応ね」
西九条は手鏡をルチアに渡した。
ルチアは鏡に映る自分の顔とベッドに座る少女を見比べる。
「確かに……同じだ」
瓜二つと言える姿にルチアも驚きに支配されている事だろう。
「西九条先生。彼女の処遇はどうするのですか?」
ルチアとしては当然の質問と言えた。
自分と瓜二つの姿をした少女は間違いなく、ルチアの関係者だ。
「そこなのよね~」
頬に手を添えて困惑の表情を浮かべる西九条。
一方、件の少女は首を傾げてばかりだ。
「ところで彼女の名前は?」
「それもそうだな。聞いていなかった」
こんなにも謎が降って沸いてばかりいた。
名前を聞きそびれるのも致し方無し。
「名前は何と言うんだ?」
ルチアとそっくりというのもあり、彼女が率先して話し掛ける。
「なまえ……?」
「私は、此花ルチアだ」
「わたしは、このはな……るちあ?」
ルチアがゆっくりとしたトーンで教える。
少女はそれを復唱するだけだ。
「ダメだな。鸚鵡返しになってる」
「ルチアの真似をしてるだけだ」
瑚太朗が指摘すると、顎に手を当てて探偵のポーズをしていた静流が頷いた。
「名前は無さそうね」
「なら、付けてあげれば良いと思いますよ」
瑚太朗はそう提案した。
名前が無ければ呼びづらい。
「と言うわけでルチア。良い案はあるか?」
「と、突然私に振るな!!」
とか言いながらも真剣に考え始める。
彼女も心配なのだと察する。
「アカリ……」
やがて、彼女は1つの固有名詞を出した。
「此花アカリと言うのは……どうだろうか?」
「良いと思う」
真っ先に乗ったのは静流だった。
「ルチアと言うのも、アカリも。同じ『光』の意味がある」
「それは良いな。俺も異存はない」
「ルチアちゃんが決めたなら反対する理由はないわ」
口々に肯定だと言う。
ルチアは目頭を熱くさせながら、少女へ向けて再度告げる。
「あなたの名前はアカリ――此花アカリだ」
「此、花……アカリ?」
「そうだ。あなたの名前だ」
少女が鸚鵡返しになりながらも、自分にとっての大事なものだと理解したようだ。
そして「名前」と言うのがただ「個」を示す記号なのではなく、「個」を形成するのに必要不可欠なものだと分かってくれた――と、思いたい。
「うん。此花アカリ。私は、此花アカリ」
少女――改めて此花アカリは己の名前を連呼した。
そこには嬉しさ、戸惑いといった感情がごちゃ混ぜになっている事だろう。
でも、名前を言った時の彼女の笑顔は間違いなく、「喜び」の色が濃くあった。
如何でしたでしょうか?
これ以上やると区切りが悪くなるので切り上げてしまいました。
申し訳ないです。
さて、ゲームでも成長速度の著しかったアカリですが、今回はどうでしょうか?
次回は再来週の水曜日に更新の予定です。