今日だと錯覚してましたwww
続きです。
『そんな事があったんだね』
瑚太朗は小鳥と電話をしていた。
何とか連絡を取りたいなとぼやいたところ、朱音が「じゃあ、電話をしてみたら良いじゃない」と言った。
全然違う場所だというのに電話が通じるのかと疑問は沸いたが、とりあえずやってみたらできたのである。
向こうは特に変わりなく、ミドウもそろそろ完全回復に至るらしい。
なのでもっぱらこっちの話をしてばかりだった。
アカリの事は言っていなかった事もあり、一番事細かに説明した。
『という事は学校に行くの?』
「ああ、悪いとは思うけど」
『全然問題ないよ~。アカリちゃんに私も会いたいよ』
電話口にしくしくと泣いたふりをする小鳥。
瑚太朗も「羨ましいだろ~」と小鳥にニヤニヤと笑う。
「でも一番の問題は――」
『黒篝ちゃんの件だよね?』
瑚太朗は短く「ああ」と肯定した。
神出鬼没と表現するに相応しい存在だ。
さすがに『鍵』であるが故に油断大敵と言わざるを得ない。
「そっちに変わりはあるか?」
『今のところないよ』
それが逆に不気味さを増していく。
今は全快に近くはある。
黒篝との全力戦闘は未だに果たしてはいない。
瑚太朗に勝ち目はあるのか……判断のしづらいところだ。
「とにかく、黒篝が出たら逃げろよ。俺達があいつに勝つには難しすぎる」
『うん。分かってるよ』
こちらの危惧する事も小鳥は分かってくれた。
無茶はさせないストッパー足り得る人もいるので幾らかは安心だ。
「じゃあ、また」
『はいは~い。それじゃ、またね~』
小鳥との通話を終える。
明日は学校に顔を出し、アカリの件を西九条から聞くようにする。
「おはよう」
翌朝、教室に入った瑚太朗に次々と声が掛かる。
ルチアは今日はアカリの件を西九条と一緒に片付けるとのメールを受け取った。
ルチア、西九条共に学校には不在となる訳だ。
「おはようございます瑚太朗」
「おっす、ちはや。って事は朱音も来ては居るんだな」
ガイア組の2人は特別にやる事もないようなので登校はして来たらしい。
ただ、風祭市にはマーテル――ガイアの力が及ぶ場所なので、いつ何時に瑚太朗達の前に立ち塞がるかは不明だ。
兜の緒を緩める訳にはいかなかった。
「おはよう瑚太朗君」
「って、小鳥!?」
意外な人物の登場に面喰らった。
昨日の電話振りから来れないものだとばかりに思っていた。
振り返れば「来れない」などとは一言も言わなかった。
「来ても大丈夫なのか?」
「こっちの様子を見てきて欲しいって言われてね」
そう言ったのは咲夜辺りだろう。
瑚太朗としては遠慮しておいて欲しいものだ。
「優秀なぼでぃーがーども付いてるんだよ」
「どもなのです」
小鳥の肩にぱにが乗っかっていた。
視覚遮断により、周囲には見られないようにされている。
ぱにには不思議なpowerが秘められているようなので楽観的にしよう。
というより、考えているのもめんどくさい。
「アカリちゃんは今日は来ないんだよね?」
「そうだな。早ければ明日だ」
アカリの件は瑚太朗も実に慎重に取り扱っている。
ガーディアンが慎重に慎重を重ねていき、彼女が何の障害も無く過ごして欲しいと願っている。
(その為の手っ取り早い手段は1つだな)
アカリの存在を知って得をする人物の抹消――早い話がブレンダ・マクファーデンを無力化させてしまう事だ。
それがアカリに安心した学校生活を送る為の最低条件の提示だ。
(ガーディアンは動きづらいし、ガイアはまず無理だな)
瑚太朗が独自に動いて尻尾を掴む。
だが、ブレンダは実に頭が良い。
下手に飛び込んで虫籠に自ら入り込むドジを踏まないとは思えず。
行動を起こすなら、今以上に細心の注意が必要となる。
しかも、黒篝なんておまけまであるのだ。
用心は掛けるに越したことはない。
「お、おはよう」
瑚太朗達の元へまた1人、挨拶をする者が居た。
「おはよう“委員長”」
「おはようございます。“此花さん”」
小鳥、ちはやが揃って挨拶をした相手は“本日は休む名前の筈だ。”
確かにそこには此花ルチアが来ていたのだ。
「ルチアっ!?」
何で来たんだ?――とルチアは疑問に思った。
アカリの事を放ったからしにして来るとは思えなかった。
「おい、お前……」
「ふん、お前らはまた集まって戯れているのか」
瑚太朗が問い詰める矢先に邪魔者の声がした。
そちらにはニヒルに笑う吉野がポケットに手を突っ込んで立っていた。
「ようヨッシーノ。元気しとるぅ~や?」
「ヨッシーノって呼ぶな!! それと何処の方言みたいな事をしてんだ!!」
「ふむ、今日も良いキレだな」
久方ぶりの吉野弄りだが少々腕が落ちているみたいだ。
しかし、吉野は律儀に拾ってくれたから満足満足。
吉野弄りも終えたところで我等が委員長に詰問を求めようとしたが運悪く朝のHRのチャイムが鳴った。
全員が着席をし、担任が教壇に立つ。
「では委員長号令を」
「……」
「委員長? 号令?」
担任がルチアに何度も問い掛けるが反応はない。
顔を覗かせ、ようやく気が付いたルチアが我に返った。
「起立!! 礼、着席」
早口ではあったが号令を終えた。
疲れていたのだろうと判断した担任はルチアへの不審を脇に追いやってHRを進める。
「おい、あいつまさか……」
そんな中、瑚太朗は確信した。
HRを終えた直後、吉野が「いや、神戸も学校に行くなら一緒に行くと良いと兄貴に教えて貰ってな」などと呟いたが華麗にスルー。
ルチアの腕を掴んで廊下に引っ張り出す。
「おい、正直に答えろよ」
瑚太朗はルチアに耳を当てながら確信を抱いて問う。
「お前ルチアじゃないな。アカリだろ?」
「すごい瑚太朗。よく分かった」
そう質問すると驚いた表情でルチア――否、アカリは呟いた。
やっぱりかと、瑚太朗は肩を落としながらアカリに詰め寄った。
「お前な、今日は家で留守番の筈だろ? ルチアは絶対に知らないだろ」
「ごめん。どうしても学校に来たくて……」
しょんぼりとした顔を見せる。
傍目には委員長を困らせている図にしか見えない。
アカリの言いたい事が分からない瑚太朗ではない。
彼女はきっと待ちきれなくなったのだ。
それに此花ルチアとして来るのなら大きな騒ぎにはなるまい。
容姿はルチアと瓜二つだ。
ボロを出さなければルチアと入れ替わってるなどとは夢にも思うまい。
「でもな、ルチアに迷惑が掛かるかもしれないとは思わなかったのか?」
「うん……でも、それでも……」
アカリも自分の行動は我が儘なのは理解していた。
彼女の気持ちが分からんでもないと思ってしまった手前、下手な理由で追い返したくもなくなってしまう。
以前、彼女と出会った世界では彼女は何事もなく過ごしていた。
今回も瑚太朗がそれとなくフォローし、謝る時には一緒に土下座でも何でもしてやる。
「仕方無い……俺も出来るだけフォローしてやる。ただし、ルチアに迷惑を掛けると判断したら早退だからな」
「っ!! うん、ありがとう瑚太朗」
瑚太朗の言葉に嬉しさを全面に押し出す。
彼女の笑顔は向日葵を見ているように元気になれる。
如何でしたでしょうか?
今回も短くて申し訳無いです。
次回は再来週の日曜日の予定です。