Rewrite if   作:ゼガちゃん

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お待たせしました。

続きになります。


ダブルチア④

 瑚太朗は真っ先にアウロラを展開した。

 病み上がりではあるが、四の五の言ってる時ではない。

 

 アウロラを鞭の形態にして振るう。

 狙いは周囲にいる武装集団。

 半分程はこちらの動きを察知して身を屈めて回避する。

 しかし、残る半数はアウロラの鞭をまともに受けて気絶に至る。

 超人の5人は各々で四方に跳んでかわしていた。

 瑚太朗としても別に彼らを倒せるとは思ってもいなかったので構わない。

 むしろ、分散をした事を喜ぼう。

 

 

「ルチア!! アカリ!! 気を付けろ!!」

 

「言われるまでもない」

 

「うん!!」

 

 頼もしい返答が来る。

 だけども、超人を取り込んでいる事は少なからず瑚太朗達を警戒させる。

 

(こうなったら……)

 

 瑚太朗は後ろにいるルチアとアカリに近付く。

 

「多分、ここでブレンダ・マクファーデンを逃がしても意味がない……だから、“やれるか?”」

 

 瑚太朗の問い掛けにルチアとアカリはゆっくりと頷いた。

 

「よし!!」

 

 瑚太朗は覚悟を決めたようだ。

 しかしながら、それでも嫌な汗が流れるのを止められない。

 100%成功する策ではない。

 失敗すれば危険が及ぶのはルチアかアカリ――もしくは両方だ。

 

「何を相談しているのかは知らないけれど……2人は貰っていくわ」

 

 ブレンダが手を挙げた。

 それは何かの合図のようで、動きはすぐに起こる。

 

 超人が一斉に動き出したのだ。

 瑚太朗達を狙って――

 

 足下を爆破させて自身をロケットに見立てて突進する者が先陣を切る。

 遠距離から爆撃を行わない所を見るに、自身が触れている箇所のみに効果を及ぼすのだと推測ができる。

 身体は度重なる書換能力(リライト)にて身体能力は強化されている。

 多少の爆発位なら耐えられる。

 

「俺が突っ込む!! 援護を頼む!!」

 

 瑚太朗はアウロラをあえて消して徒手空拳で挑む。

 アウロラで無駄に血を使うのは頂けない。

 向こうは瑚太朗よりも一回り大きい男性だ。

 舐められたものだと思ったのか、男性は拳を繰り出す。

 その拳を瑚太朗は当たる前に身体を沈めてから浮上させる。

 その際に腕を伸ばして、拳を繰り出してくる手首を掴む。

 そして、足を一歩踏み込みながら拳を繰り出した際に踏み込みに使った右足を踏む。

 これで足と腕を封じ込めた。

 

「うらあっ!!」

 

 この瞬間の隙を突いてアウロラを展開。

 グローブのように拳に巻き付けて顔面めがけて殴り付けた。

 身体が脱力し、白眼を向いて男性は崩れる。

 まずは1人。

 

「油断するな瑚太朗!!」

 

 ルチアの指摘に横を見る。

 そちらには丸太を抱えながら駆け寄ってくる大男が。

 それに立ち向かうのはルチア。

 彼女は木の枝を切るのに使う大きな裁ち鋏――の片方を刀に見立てて右から左に力強く振るった。

 

 直後、丸太は ゴガァンッ!! と音を響かせながら粉々に砕け散った。

 衝撃波――冗談でも何でもなく、現実にルチアは発生させられる。

 

「はあっ!!」

 

 大男から寄っていた事もあり、ルチアが彼に詰め寄るのも難しくなかった。

 裁ち鋏を彼の腰めがけて振るう。

 鮮血が飛び散り、床を汚す。

 

「せやっ!!」

 

 そこへルチアの中段蹴りが容赦なく叩き込まれる。

 泣きっ面に蜂――大男と言えど、堪らず身悶える。

 それでも丸太を抱えていたのを見るに、単純ながらも厄介な肉体強化による能力なのだろう。

 耐えたものだがルチアが最後に背中を切り付けるとダウンした。

 残りは3人。

 

「はっ!!」

 

 そして、アカリは武装した人達相手に大舘回りをしていた。

 ルチアが持っているのと同じ半分にした裁ち鋏の片割れを携えていた。

 この時ばかりはアカリがルチアとの記憶を共有していたのはラッキーだった。

 嬉しい誤算と言うべきだ。

 だが、アカリ自身の経験は乏しい。

 超人の相手は必然的に瑚太朗とルチアが務める。

 

「こんなにもあっさりと……」

 

 冷静沈着で、人を人とも思わない女――そんな女が狼狽を表情に出していた。

 彼女を知る者が見れば実に珍しい光景であろう。

 ルチア、アカリが共にここまで戦えるのも計算外かもしれない。

 けれど、特に計算の範疇を超えていたのは天王寺瑚太朗であろう。

 彼女が用意した超人の1人を簡単に倒したのが良い証拠だ。

 

(こうなると……2人を連れ帰るのは難しくなる)

 

 ブレンダの目的はアサヒハルカとそのクローン――今は此花ルチア、此花アカリと名乗る両名の誘拐だ。

 数を用意すれば行けると思っていたのが間違いだった。

 

「プラン2に変えるわ」

 

 ブレンダの指示に全員の動きが変わる。

 残されたのは超人3人と、武装した兵士が2人。

 数的な不利は変わらない。

 

(来る!!)

 

 瑚太朗は神経を尖らせる。

 直後、変化は起こる。

 

 超人の1人が地面に手を着いた。

 すると、足下が“沼のように(ぬか)るんだのだ。”

 

「なっ!?」

 

「これは!?」

 

 瑚太朗、ルチア、アカリは膝下まであっという間に埋まってしまう。

 

「随分と簡単に行ったものね」

 

 これまでの手こずりが嘘のようだ。

 搦め手で来られる予想はしていたようだが、身を強張らせていても無意味なものだ。

 

 更にもう1人の超人が動く。

 狙ったのは――アカリだった。

 

 そいつが出したのは空気に浮かぶ粉だった。

 白く、目を凝らさないと見えない程に小粒だ。

 

「バ、カな……眠く……」

 

 ルチアはちょっとやそっとの毒では倒れる事はまずない。

 だと言うのにルチアと同じ能力を持つアカリに眠気が襲い掛かり、倒れるのだった。

 

「「アカリ!!」」

 

 瑚太朗とルチアが叫ぶが、アカリには声が届かない。

 底無し沼となった地面にアカリの身体が沈んでいく。

 

「ふふ。いくら毒に耐性があったとして、“身体に慣れてなければ意味がないと思ったのよ”」

 

 ルチアに毒が効かないものだから油断していた。

 ブレンダはルチアではなく、アカリの能力の穴を突いてきたのだ。

 

「連れていきなさい」

 

 武装した兵士がアカリを底無し沼から引きずり出す。

 能力はそこのみ解除されているようだ。

 

「させるか!!」

 

 瑚太朗はアウロラを真上に展開する。

 天井に突き刺し、アウロラをロープに見立てて脱出する腹積もりだ。

 

「残念ながら……時間切れよ」

 

 ブレンダは小馬鹿にしたように笑う。

 瑚太朗はルチアの方にもアウロラを伸ばして底無し沼から脱出する。

 

 瑚太朗達の前に立ち塞がるのは残る超人の1人。

 彼は何もない所に“赤い剣が出現した。”

 それを手に取り、騎士のように振る舞う。

 

「退け!!」

 

 瑚太朗はアウロラを剣の形態へ変化させる。

 赤い剣と鍔迫り合いになるが……その隙にルチアが2人の脇を通り過ぎる。

 

「マクファーデン司祭!!」

 

 ルチアは裁ち鋏を強く握り締めながらブレンダめがけて駆ける。

 

「これ以上は定員オーバーなのよ。ごめんなさいね」

 

 謝罪をしつつ、ブレンダは超人の1人に手を挙げて合図した。

 床から手が出てきて、ルチアの足首を掴む。

 思わず前のめりに倒れる事となる。

 

 その隙を突かれ、アカリは1人に米俵のように担がれて連れ去られる。

 

「ルチア!! アカリ!!」

 

 瑚太朗はアウロラを一旦消した。

 鍔迫り合いを続けていても時間を喰うだけ。

 超人が鍔迫り合いの余韻で前に押し出す力を加えている間に瑚太朗はバックステップを踏んだ。

 

 バランスを崩した所に瑚太朗は脛を狙って蹴りを入れる。

 鍛えてなければ痛みを伴いやすい箇所。そこへの攻撃だ。

 超人は動きが鈍る。

 

「おっ、らぁっ!!」

 

 瑚太朗はそこを畳み掛ける。

 正拳突き、中段蹴り、上段蹴り、肘打ち――休む事なく連続で打ち込む。

 

「せい、はぁっ!!」

 

 最後の一撃――肩を掴んで引き寄せてからの膝蹴りが突き刺さる。

 超人は声にならない悲鳴を上げながら膝から崩れ落ちた。

 

「アカリは?」

 

「すまない。追い付けなかった……」

 

 敵の拘束を自力で解除こそ出来はしたものの、アカリは救出出来なかった。

 そもそも足止めを喰らってしまったのは仕方無い。

 まさか、そんな能力の使い道があるとは思わなかったから。

 

「アカリ……」

 

 連れ去られたアカリを一刻も早く助け出す――瑚太朗はその為に行動を起こす。




如何でしたでしょうか?

今回、瑚太朗は苦戦しておりますが、決して油断してるからではないです。

ここまで力押し一辺倒の敵が多かったのもあり、搦め手を扱う敵を出してみました。

力には力で対抗できはしますが、複数人……1人でもこういった特殊な能力を要する相手には瑚太朗君も一筋縄ではいかなそう。

現に、この作品内では静流の毒で倒れる事も何度かありましたしね。

はてさて次回は再来週にできると良いな~。

他のも更新遅れ気味ですが、更新する作品の順序は変えたくないので頑張ります。

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