しかも本編ではないと言うね
黒篝――そう名付けられた少女を模した〝存在〟は“今は地球には居なかった。”
目の前で標的である天王寺瑚太朗とその仲間が消えた。
姿を眩ました――そう言った方が多分正しい。
だけども、黒篝には関係無かった。
天王寺瑚太朗と出会う――その一番の目的は果たされたのだ。
だが、自分でも分からない行動を起こしていた。
天王寺瑚太朗を連れて帰る――まさか、このような事をするとは思わなかった。
「不思議……」
自分でも似合わないだろう。
そんな呟きをしてしまう事が。
そして、考えとは異なる行動を起こしている事が。
まるで自分までホモサピエンスと同様にしか思えなくなってきた。
疑問がグルグルと回り回り、結局は疑念を解消すべく黒篝は地球を離れ、“元居た場所まで戻っていた。”
自分が出ていく際と同じ状況だった。
紅く染まった月、辺りは全てが闇に覆われた世界だ。
黒篝はそんな世界に舞い降りた。
いや、元々居たのだから戻ってきたと言うのが正しかろう。
「へえ~、ここに戻ってきたんだ」
本来、黒篝しか入れない場所――そこに彼女のものではない別の声がした。
フードを目深に被った男の声。
「あなたは……」
黒篝は驚いていた。
この世界に侵入できる存在が居るなどとは――と。
「そう警戒しなさんな……って言うのが無理だよな」
「何者です?」
黒篝は無言の威圧を放ってる。
それを一身に受けてもフードの男は気負いもしない。
「まあまあ、天王寺瑚太朗には会えたみたいだな」
男はマイペースに告げる。
「っで、だ。どうだ? 天王寺瑚太朗と会えて?」
「会えただけでは不満です」
口にしてから黒篝は自分でも不思議に思った。
何故? 天王寺瑚太朗と会えただけで満足が出来ない?
沢山の疑問が黒篝を埋め尽くそうとした。
埋もれるよりも先に、男が言葉を発したのだ。
「じゃあ、もう1度会いに行かないのか?」
「行きます」
では何故ここへ戻ってきた?
黒篝の中で次々と放出されるクエスチョン。
それに答えてくれる教師は残念ながら居ない。
答えは、自分で確かめるしかないのだ。
「天王寺瑚太朗に会うのが気恥ずかしかったか?」
「分かりません」
黒篝は即座にそう返答した。
だが、これもきっと――
「天王寺瑚太朗ともう1度会えれば分かるかもしれません」
もう1人の自分――そちらが気に掛けている少年と出会う。
それが黒篝にとって、当面の目標設定と言えた。
「OK。なら、俺は傍観させてもらう」
どういう腹積もりなのかと……黒篝は疑惑の眼差しを送り付けた。
送付された鋭い視線を受け取ったフードの男は口で「はは」と笑う。
おかしくて笑う……よりは、この場を誤魔化す為に笑っているように見えた。
「まあ、構いません」
やるべき事……それは一切変わらない。
ならば、黒篝はやるだけだ。
「しかし、少し時間が必要です」
彼には危害を加えてしまった。
次に会った時は敵同士の可能性は非常に高い。
その為の策を捻り出さねばならない。
再び、天王寺瑚太朗と邂逅する為に――。
如何でしたでしょうか?
フードの男、何者なんだ
次回は3週間後位に出来れば更新します