クロスアンジュ 因果律の戦士達   作:オービタル

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第9話:囚われの学園

ここではない何処かの世界……高原が広がる大地、天空に浮かぶ数多の大陸、幼き少年はその世界に迷い込み、色んな花々が咲く花畑へ辿り着く。

 

「お父さーん……お母さーん……」

 

少年は父と母を探すが、誰もいなかった。

 

「父様〜!母様〜!」

 

「?」

 

すると花畑から別の声が聞こえてくる。女の子の様だ……少年は声がする方へ走る。

 

一方、少女の方もこの世界に迷い込み、両親を探していた。花畑の中を駆け走り、誰かとぶつかった。

 

「「痛っ!/痛い!」」

 

ぶつかった二人は尻餅付き、二人ともたんこぶが出来る。

 

「何すんだよ!」

 

「そっちこそ!」

 

「「?」」

 

少年と少女は互いを見る。少年は少女の姿に驚く……なぜならその少女には色鮮やかで露出が少しある服装、アイシクル・ピンクの羽と尻尾、黒の短髪の可愛い女の子であった。少女の方も少年を見る黒の短髪、紳士な服、首にぶら下げた翠の結晶石のペンダントをしていた。

 

「見せて♪」

 

「え?うん……良いけど…」

 

少年は少女にペンダントを見せる。

 

「……もーらい♪」

 

少女は少年のペンダントを取り上げ、花畑を走る。

 

「あ!返せ〜〜!!」

 

少年も少女に取り上げられたペンダントを取り返そうと追い掛ける。二人は幸せな笑顔で駆け回り、そして少年は少女の手を掴むと、一緒に転ぶ。少女が少年に抱きつき、少年が少女を支えていた。

 

「……」

 

「……」

 

「「プッ……アハハハハハハハ♪」」

 

二人は花畑に寝転がり、一緒に笑いながら風で舞う花弁を一緒に見上げるのであった。

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

キオとタスクの自室……人工太陽が放つ朝日が差し込む窓が部屋を照らす。二段ベッドの上で寝ているキオと下で寝ているタスクは起き上がる。共に歯を磨いたり、共に食堂で朝食を摂る。するとキオがタスクに夢の事を話す。

 

「浮遊大陸がある高原?」

 

「あぁ……詳しくは分からないが、俺が九歳の頃にその夢が見れるようになったんだ……それにその夢の中の俺、6歳ぐらいだっし。」

 

「それってキオがまだ子供だったからじゃないの?」

 

「そうでもないんだ…俺がそんな夢を考えるか?それに竜の羽と尻尾が生えた女の子……あっちの世界のじゃあるまいし、世界観が違うし。」

 

「あっちの世界?」

 

「…………事情があったんだ。そこまでは言えないけど……」

 

「だけど?」

 

「夢に出てきた女の子…………めっちゃ可愛かったなぁ〜…」

 

「……」

 

タスクが口を開けて唖然する。

 

「何、唖然としているんだ?」

 

「え、いや……君も女の子に思い心があったんだなぁっと……それで、続きは?」

 

「……それが、良く思い出せないんだ」

 

「え?」

 

「その夢を見た翌日、何もなかったかのように忘れてしまうんだ。でもさっき話したその夢だけは良く覚えているんだ。」

 

「不思議だなぁ〜。キオが見る夢……」

 

「……タスク、すまんが頼みがあるんだ」

 

「?」

 

キオはタスクにある頼みを申し出る。

 

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

マーメリア共和国、ロマノフ邸跡地

 

数ヶ月前の戦闘で邸は無残に焼け跡となり、ただあるのは黒く焦げた柱であった。キオは焼け跡地から唯一焼けていなかった父の書斎室の本を見る。

 

「父さんの本……」

 

キオは父との思い出を思い返していると、車のクラクションの音が鳴る。キオは振り向くとそこに現れたのはキオの同級生の四人であった。

 

「「「「キオ!?」」」」

 

キオの同級生である『ノア・ベレッツァ』『オリバー・ロー』『アリアンナ・ティグリス』『オスカー・リビングストン』が車から降りてくる。

 

「キオ、心配したんだぞ!」

 

オスカーがキオに問う。

 

「ごめん…色々あって、連絡が出来なかったんだ。言い訳は言わない……皆んな、ごめん……」

 

「「「「……」」」」

 

「……まぁ、これは置いておいて……キオ、おかえり♪」

 

アリアンナがキオやみんなを励ましたり、キオにおかえりと一言を言う。

 

「そう言えば、学園のみんなは?」

 

「皆んなお前の事を心配してたぞ、特に校長がな♪」

 

オリバーがそう言い、キオ達を車に乗せ、学園へと向かう。

 

 

 

学園ではキオの無事を待っていたクラスメートや先生方も待っていた。校長に呼ばれたキオは校長室に入る。

 

「失礼します…」

 

「座りたまえ」

 

キオはソファに座り、全てを話す。

 

「アルヴィース…KOS-MOS Re…」

 

キオの身体からアルヴィースとKOS-MOS Reが現れる。

 

「!?」

 

「校長……全てを話します。」

 

キオは校長にロマノフ邸の事やデウス・コフィン、エーテリオン、この世界の真実を説明する。

 

「そんな……」

 

「事実です。俺達が使っているこのマナの光……その正体は同じ人を殺し、その心臓から摂取しているドラゴニウムで安定しているのです。ノーマはドラゴニウムを回収させる為の道具……エンブリヲは俺たちマナの光持つ物をただの操り人形として扱っているのです。」

 

「そ、それでは……私達が使っているマナの光の情報欄は!?」

 

「恐らく……全部デタラメ、偽造でしょう。人を本能的にプログラムする為に……」

 

「……くっ!」

 

校長は拳を握りしめ、自分の中の血に罪悪感を抱く。

 

「……そこの四人、隠れていないで出てきたらどうだ?」

 

アルヴィースとコスモスが校長室のドアを開ける。するとドアからノア、オリバー、オスカー、アリアンナが倒れ込むように現われた。

 

「キオ!本当なの!?」

 

「……あぁ」

 

「それじゃあ、ロマノフ邸が火災事故って言うのは!?」

 

「全部嘘……本当は────っ!?」

 

突然キオが窓の方を見る。そして未来視が発動し、目の前の光景が火の海となる。そして戦っているキオとタスクの前にエンブリヲとニライ、そして彼女と瓜二つの女性と筋肉質の男性、黒い甲冑を見にまとった武人が刀を構え、キオに襲い掛かる光景が見えた。未来視が終わると、キオは光の剣を持ち、窓の方を向く。

 

「来る!離れて!」

 

《え?》

 

その時、窓のガラスが一斉に割れ、生徒達はパニックになる。そして校長室の割れた窓から黒いアーマーを装備したラフィン・トルーパーが侵入し、バイブレーションソードとエナジーシールドを構える。コスモスが校長達を守りながら後方に下がる。キオはスパルタンスーツを装着し、ラフィン・トルーパーと戦う。トルーパーはエナジーシールドで防御しながらバイブレーションソードでキオを追い詰める。

 

「す、すげぇ!」

 

オリバーが感心していると、ラフィン・トルーパー達がコスモスに迫る。すると壁が左の壁が吹き飛び、ヴァサラの刀を持つタスクが現れた。

 

「スパルタンだ!!」

 

トルーパー達はブラスターライフルをタスクに向けて乱射するが、タスクは刀を振り回しながらブラスターライフルのエネルギー弾を霧散していく。そしてキオは倒したトルーパーの死体を盾に、コスモスのキャノンを背負いながら突撃する。近距離まで近づいたら、死体を放り投げ、格闘技で次々とトルーパーを倒していく。しかし、校長達を守るのが精一杯なキオとタスク。

 

「クソ…数が多すぎる。タスク、付いてこれるか?」

 

「言われなくとも!」

 

キオとタスクはアサルトライフルを構えたその直後。

 

「待て……」

 

別の声がトルーパーの攻撃を止めさせる。するとトルーパー達の中から金髪で紳士の青年が来る。

 

「「エンブリヲ!!」」

 

キオとタスクは武器を構える。

 

「アイツが!?」

 

「私達を操っている化け物って?」

 

アイナノアが呟くと、エンブリヲは返答する。

 

「フフフ、化け物とは酷いなぁ……“調律者”と呼んでくれ♪」

 

パチンッ!!

 

「「「「う!!」」」」

 

「皆んな!!」

 

エンブリヲの指鳴らしと共に、オスカー達の目のがまるで死んだ魚のような目をしていた。

 

「エンブリヲ!オスカー達に何をした!?」

 

「分かっているだろ?この人間達を作ったのが……誰なのかを♪」

 

エンブリヲはそう言い、オスカー達の手がキオを掴む。

 

「クッ!すまん、オスカー!」

 

キオは捕まえようとするオスカーの頰を殴り、校長やアイナノア達を空手チョップで目を覚ましていく。

 

「痛ぇぇぇっ!!何で頰がこんなに!?」

 

オスカーは殴られたことに、正気を取り戻した。

 

「卑怯だぞ!」

 

タスクはエンブリヲに向けてハンドガンで撃つ。しかし弾丸はエンブリヲの身体をすり抜ける様に後ろの柱に当たる。

 

「クッ!」

 

弾丸がエンブリヲの身体をすり抜けたことにオスカー達は驚く。

 

「弾丸がすり抜けた!!?」

 

「焦るだけでマナの障壁が出来るはずなのに!?アイツ平気そうな笑顔をしてやがる!!?」

 

「気持ち悪っ!」

 

オスカー達は次々にエンブリヲの悪口を言う。

 

「仕方ない…一旦体育館へ退避するぞ!!全員!退却!」

 

キオは発煙弾を投げ、トルーパーの視界を遮断する。

 

「目を閉じて!」

 

さらに、発煙弾の他に閃光弾を投げ、二重に視界を遮断させる。キオとタスクはその間にオスカー達の為に、トルーパーの死体からブラスターガンやライフル、エナジーシールドとコントロールバトンをいくつか盗み、体育館へと急ぐ。

 

 

 

渡り廊下を歩くキオ一行は銃を向け、前進する。オスカー達もエナジーシールドを構え、ブラスターガンを向ける。その間にタスクはエリュシュオンにいるエルマ達に通信で援護要請していた。キオは目の前にいるトルーパー隊の様子を見る。

 

「(チッ……ブラスターキャノンと“オーク”や“ゴブリン”を引き連れてやがる)」

 

トルーパー隊の他に、二体のオークとオークと同じ異形な顔を持つその名の通り、小柄な身体をしており、手にはレーザートマホークとエナジーシールド、腰にはブラスターガンを装備していた。キオはオスカー達の武装と非武装の校長を見る。

 

「(……今の武装だと、あっちの方が上だ。どうすれば……そうだ!)アルヴィース……“テレシア”を呼んで」

 

「何をするつもり?」

 

「……代用だ」

 

「分かった♪」

 

アルヴィースが指を鳴らすと、トルーパー隊の頭上にワームホールが現れる。

 

「何だ!?」

 

そしてワームホールから無数の小型、中型、大型のテレシアが現れ、トルーパー隊やオーク、ゴブリンに襲い掛かる。その光景はまさに地獄絵座であった。オリバー達はその光景に圧倒され、胃の中の物を吐いてしまった。タスクはテレシアを見て驚く。

 

「あれって、テレシア!?」

 

「あぁ、アルヴィースが呼んでくれた。幸いなことに、俺たちの味方でもある。」

 

キオはそう言うとテレシアに近づく。するとキオの目が翠へと変色し、テレシアに話す。

 

「アヤリィス ディボルティ ボーラメグメレント……ラフィンイビル ヘルママンガイアス。」

 

キオの奇妙な言葉に、テレシアが動き始める。外で生徒達を人質に捕らえているトルーパーに目掛けて、慎重にエーテルキャノンを放つ。解放した人質は何が起こったのか分からなかったが、テレシアが現れ、生徒達を脅かしながら体育館へと誘導させていた。その光景にノアがキオに問う。

 

「キオ、あの化け物になんて言ったの?」

 

「…………」

 

「キオ?」

 

そしてキオの目が元の色へ戻る。

 

「……え?何?」

 

「何って?覚えていないの?」

 

「何がだ?」

 

「どうなってるんだ、お前の身体……」

 

皆んなは不思議に思っていながらも体育館へ目指すのであった。

 

 

体育館ではテレシアに追いかけ回された生徒達が集まっており、一同はトルーパーやテレシアの恐怖で煽られていた。すると体育館のドアから何かをぶつける音が響く。

 

「もうダメだ!」

 

「私達、ここで死ぬんだ!!」

 

ドアは今にも破られそうになっており、絶体絶命。その時、ドアから光の刃が突き出る。

 

《っ!!》

 

一同はもうダメだと感じる。そしてドアが倒れ、光の剣を持ってオークを突き刺したキオ一行がただいま到着する。

 

「何あれ!?」

 

一同がおどおどしている中、キオはオスカー達を一同に引き渡す。キオとタスクはエンブリヲを探そうと体育館へ出ようとしたその時、体育館の天井が突き破られ、四人の影が下りてきた。一人は紅い鎧に水色のゴーグルを装着した巨体を持つ褐色の肌の大男。二人目はニライと分かるが、もう一人はニライと瓜二つ青い短髪の女性、最後は戦国武将のような黒い甲冑を見に纏った男であった。キオとタスクは武器を構える。

 

「何者だ!?」

 

キオが問うと、四人は自分達の名を答える。まず最初はゴーグルを装着した巨体を持つ褐色の肌の大男からであった。

 

「俺の名は…“絶滅のディストラ”」

 

次にニライと青髪の女性がそれぞれの呼び名を言う。

 

「私は“地獄のニライ”、こっちは私の双子の妹の“消滅のカナイ”」

 

「……囚われの鳥はたとえ籠から出ても……自由はない。自由を持たぬ鳥に大空は似合わない」

 

突然カナイが訳の分からない言葉を言う。

 

「ごめんね〜、カナイはネガティブな事を言うから気にしないでね〜♪」

 

「ニライ姉さん……行く手を阻まれる事こそが、幸福かもしれない。うふっ……ウフフフフッ♪」

 

不気味な笑い声を言い出すカナイ。そして漆黒の武人が鞘から刀を抜き、キオに突き付ける。

 

「キオ・ロマノフ……最高指導者“X”様からの命により、貴様を拘束する。そしてお前に贈り物がある……」

 

すると武人の後方から黒い機体が現れる。その機体にキオは驚く。

 

「黒いセイレーン!?」

 

あのセイレーンと違って全身が漆黒に染まっており、各スラスターから赤いエナジーウィングを展開していた。

 

「X様のデバイス……バンシー・デバイス!」

 

バンシー・デバイスの目が赤く輝き、両手に持っている物を見せる。それは光の球体であり、中には心配そうにキオを見る囚われのチャールズとマリアであった。

 

「父さん!母さん!」

 

「「キオ!」」

 

二人がキオを心配すると、武人は叫ぶ。

 

「俺の名は……“漆黒のフェイト”。天の聖杯のドライバーであるキオ・ロマノフに決闘を申し込む!!」

 

フェイトは刀をキオに突き付け、決闘を申し込む。キオは父と母を助ける為、決闘に申し出るのであった。

 

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