クロスアンジュ 因果律の戦士達   作:オービタル

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またしても、グダグタですみません…


第10話:トリニティ・プロセッサ

 

学園の上空、キオのセイレーン・デバイスとフェイトのバンシー・デバイスが浮遊していた。

 

観戦席で見るニライ達は平気そうな表情をしていた。その様子にオスカー達が不可思議に思う。

 

「アイツら、何であんなに平気そうな表情をしてやがるんだ?」

 

「分からない……だが、あのフェイトと言う人、只者じゃないと思う。それは俺やヴァサラも知っている……」

 

タスクが呟く中、上空にいるキオとフェイトは互いを睨む。セイレーンとバンシーはそれぞれのフレシキブルアームからビームソードを持ち、斬りかかった。白と黒、翡翠と深紅の閃光、蝶のように舞い、蜂のように刺すが如くの高速戦闘が上空で繰り広げられる。キオは未来視でフェイトの攻撃を回避する。フェイトも同じように、キオの未来視と同じ能力である“因果律予測”でキオの動きと軌道を読む。その様子にオスカー達は愕然となっていた。

 

「何か……凄い動きがキレッキレッに動くな……」

 

ビームソードのプラズマが迸り、互いの機体を圧倒していく。

 

「流石は天の聖杯“アルヴィース”に選ばれたドライバーだ。お前との決闘と相見えるはずなのに、こうも楽しくなるとは♪」

 

「良いのか?隙が丸見えだぞ?」

 

「言われなくとも!」

 

両者トリオン型障壁を展開し、一気に突撃を開始した。二つのバリアから衝撃波が放たれ、二機共々地上へ墜落していく。

 

「ちょっと!やばくない!!?」

 

「逃げろ!!」

 

タスク達は一斉に走り逃げる。そしてタスク達がいた観覧席へ不時着する二人。タスク達は恐る恐るセイレーン・デバイスとバンシー・デバイスに駆け寄る。するとコックピットから光の剣を持ったキオがヘルメットを脱ぎ捨てる。同じくバンシー・デバイスからフェイトも這い出てきて、刀を抜く。両者は互いの武器をぶつけ合う。

 

「スゲェ…二人ともほぼ互角じゃん!」

 

オリバーが感心する中、エンブリヲがマグナムを取り出し、キオの方に向ける。

 

「フフフ♪」

 

エンブリヲがマグナムのトリガーを引こうとした瞬間。

 

「おっと♪」

 

ディストラがエンブリヲのマグナムを取り上げる。

 

「何をする!?」

 

「邪魔はするなと、フェイトに言われているもんでね♪」

 

「チッ、あの若造…」

 

エンブリヲは舌打ちし、フェイトを睨む。キオとフェイト、互いに睨み合う。

 

「そろそろ決着をつけようか……」

 

「それもそうだな……」

 

両者は刃を構えたその瞬間、二人の頭上から巨大なテレシアが現れ、吼える。

 

「“終焉のテレシア”…」

 

「あのテレシア……サラの世界で現れたテレシアだ!」

 

すると終焉のテレシアがキオの方を見る。キオは光の剣を構えながら警戒すると、テレシアが舌を伸ばし、キオを舐め上げる。キオの身体中がテレシアの涎まみれになる。

 

「あ……あ…」

 

キオは震えながら、テレシアを見る。するとテレシアの触角から何かが飛んで来た。それは絵本や御伽噺に出てくる人魚の様な妖精であった。人魚型の妖精はキオの周りを飛ぶ。

 

「この妖精…何処かで…っ!?」

 

キオは妖精を見ていると、視界が白い光で覆われる。光が晴れると、目の前に映っている光景が変わる。そこは夢で見た謎の大地であり、浮遊する大陸の空域をテレシア達が飛んでいた。

 

「この大地……夢で見たあの…」

 

するとキオの横に首長竜が姿を現し、村と共に湖の水を飲んでいた。その他に、小生物達や中型、大型の生物達が不浄な生命を刈り取る筈のテレシアと共に生息していた。

 

「綺麗……」

 

キオは丘の上に立つと、在る所に目が入る。丘の下に綺麗な花畑で広がる高原であった。

 

「あれ?この場所……この花畑……ん?」

 

すると今度は花畑に誰がいる。よく見ると五歳ぐらいの少年と羽と尻尾がある少女が一緒に、近くにいる尻尾がポンポン丸い草食生物と遊んでいた。すると二人の近くに綺麗な女性が見守っていた。

 

「誰だ、あの人……」

 

「お前の本当の母親だ♪」

 

「え!?」

 

するとキオの横から黒い男が現れる。

 

「そう、あなたとあの子をずっと見守っているの…」

 

今度は背まで伸びている金の長髪女の子が語る。

 

「キオが幼少の頃……“ゾハル”の力で母親の故郷に迷い込んだ。そこで本当の母親が別世界に迷い込んだ龍の姫さんを一緒にずっと見守っているんだ♪」

 

すると後ろからアルヴィースが現れる。

 

「アルヴィース?」

 

「よう、久しぶりだなアルヴィース!」

 

「元気で何よりだよ、『メツ』♪」

 

「メツ?……それが…」

 

「俺の名前だ♪」

 

「私は『ヒカリ』……アルヴィースとメツと同じ、“天の聖杯”……」

 

ヒカリの放った言葉に、キオは驚く。

 

「天の聖杯!?」

 

「そう…天の聖杯は僕だけじゃないんだ。君の身体の中には、僕とメツ、ヒカリの三つの天の聖杯が封印されているんだ。僕は封印が解けたけど、そっちの二人はまだだがね」

 

キオはメツとヒカリを見て、二人に手を差し伸べる。するとメツは紫色のコアクリスタルへとなり、ヒカリは翡翠色のコアクリスタルへと、そしてアルヴィースは青空色のコアクリスタルへとなる。

 

「アルヴィース……メツ……ヒカリ……」

 

三つのコアクリスタルがキオの周りを周回すると、キオは歌い出す。

 

「風に飛ばんel ragna 運命と契り交わして

 

風にゆかんel ragna 轟きし翼

 

星に飛ばんel ragna 万里を超えて 彼方へ

 

星にゆかんel ragna 刹那 悠久を

 

凪がれ凪がれ慈しむ

 

また生死の揺りかごで柔く泡立つ……」

 

するとメツとヒカリが光り輝き、キオの両手にメツのモナド、ヒカリのモナド、そして背中にアルヴィースのモナドが装備される。

 

「行くよ…アルヴィース、ヒカリ、メツ!」

 

アルヴィース、ヒカリ、メツが三角陣形でキオを囲み、キオは叫ぶ。

 

「トリニティ・プロセッサ!」

 

三人のブレイドが光り輝き、今起こっている世界へと帰還する。

元の世界へ戻ってきたキオはアルヴィースに剣を渡す。

 

「何をするつもりだ?」

 

「すぐ分かる……メツ!」

 

「何!?」

 

キオの身体からメツが現れ、禍々しい闇のオーラを放つ剣を持つ。ニライとカナイ、ディストラはメツを見て驚く。

 

「“ロゴス”が起動しただと!?」

 

「と言うことは……」

 

「『トリニティ・プロセッサ』のリミッターが解除された……ロゴスとプネウマ、そしてウーシア。終わりだ……ゲームオーバーだ。」

 

三人のどよめきにエンブリヲは納得しながら、キオを見る。

 

「……(あれが……三位一体のブレイド。最高指導者“X”…お前には渡さない、あの力は私の物だ♪そしてお前達が恐れるテレシアも……)」

 

エンブリヲはそう考えながら、キオとフェイトの戦いを眺める。

メツのモナドを持ったキオはフェイトを睨む。

 

「ッ!!」

 

フェイトはキオの威圧感に圧される。他にも、ディストラやニライとカナイ、そしてエンブリヲでさえもキオの威圧感に圧されていた。

 

「………これ…は…!」

 

「……なんて…濃密な!」

 

「……グッ!!(これが…天の聖杯の本当の力!あの“メツ”と言うブレイド……凄まじい!)」

 

すると浮遊していたテレシア達が一斉に怯え出す。

 

「(テレシアの動きが……フフフ、そうか♪)」

 

エンブリヲはキオの隣にいるメツを見て、野心を持つ。キオはメツのモナドのプレートに「喰」と言う文字が表示され、付き構える。

 

「笑止……」

 

互いが一気に突撃し、フェイトの居合切りが先に入る。

 

「“モナドイーター”」

 

モナドが紫に光り出し、フェイトの刀をいとも簡単に切り、フェイトの身体に大きな切傷ができる。

 

「グッ!!」

 

傷口から血が噴き出し、血を吐くフェイトは感心する。

 

「力を奪い取ったのか……」

 

「…………」

 

「……み…見事だ」

 

フェイトはそう呟き、倒れる。

 

「……安心しろ、臓器に傷は付けていない。三日もすれば目を覚ます。」

 

「……余計なお世話を。」

 

フェイトはそう言い、気を失う。キオが去ろうとした直後、トルーパー達やディストラ達が武器を構えていた。

 

「そうはいかん……」

 

「どう言うつもりだ?」

 

「厄介者であるヒカリとメツが起動した以上……生かしては行かないんだ。」

 

ディストラがレーザー・アックスを構える。

 

「……時間切れだ」

 

「?」

 

すると上空からエーテリオンのフリゲート艦が飛来する。カタパルトから複数のドール隊が出撃し、TEEチェイサーとクムーパーと交戦し始める。

 

「チッ!」

 

ニライとカナイは急いで負傷したフェイトを担ぎ上げ、エンブリヲに命令する。

 

「エンブリヲ!早く転移を!」

 

「分かった……」

 

エンブリヲはディストラ達を転移させると、キオと終焉のテレシアを見る。すると終焉のテレシアがエンブリヲを睨みつける。

 

《(エンブリヲ……貴方は昔から、変わらないのですね。)》

 

テレシアのエンブリヲにテレパシーで呟き、他のテレシア達を連れて去る。残存していたトルーパー達はドール隊の戦力差に圧され、撤退していく。フリゲート艦からエルマ達やスパルタン、海兵隊、メイド隊が直ぐにオスカー達を保護する。チャールズとマリアの救出したキオは二人に抱かれていた。

 

「父さん、母さん…」

 

「キオ……その…」

 

チャールズとマリアはキオに隠していた事を戸惑いながらも話しかけるが、キオはそれを手を出して止める。

 

「良いよ父さん、母さん。俺は“英雄アデル”と別世界の皇女の子だとしても……俺は父さんと母さんの息子だ。それだけは事実だよ」

 

「キオ…」

 

マリアはキオの優しい言葉に目に涙を浮かばせ、その様子にタスクやオスカー達は感心する。するとキオの目が光り出し、未来視が発動する。最初は龍の女の子が幼いキオに歌っていたあの譜を楽しそうに聞いていた。次に雨の降る林檎畑、薄暗く雨が降る道に赤いツインテールの少女が何人もの検察官に殴り蹴られる光景、次にボロボロの服を着せられ、吊り下げられているアンジュに実の妹であるシルヴィア・斑鳩・ミスルギが鞭打ちをしており、ミスルギ皇国の民の前で喜びの声援を上げていた。最後に映ったのは終焉のテレシアが幼い頃のキオと龍の女の子に接近し、二人の胸に虹色のコアクリスタルが埋め込まれる。

 

「っ!?今の……」

 

未来視が終わり、元の光景に戻ったキオは二人から離れ、セイレーンに乗り込む。

 

「何処行くんだ!?」

 

タスクがキオに問うと、キオは大声で返答する。

 

「エンデラント連合で助けを求めている!ヤバイ事になりそう!」

 

キオはセイレーンの出力を最大に上げ、エンデラント連合へと向かうのであった。

 

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