その頃、キオと出会い、アイロスと同調したサラは夢境の中である光景を見ていた。
「雨…止まないね」
「うん…」
夜光のように輝く密林、昼も夜も問わず永遠に光るその場所に雨が降り注ぐ。幼きサラと少年は大きな葉の下で雨宿りしていた。
「そうだ♪」
少年はポケットからビスケットを取り出し、サラと半分こするのであった。
朝になり、夢から覚めたサラは夢の事をDr.ゲッコーに検査してもらう。
「幼き頃の夢を見る?」
「えぇ、毎晩寝る度に奇妙な夢を見るのです。不思議な高原、森、渓谷、白い大地、炎の山、空の大陸……そして、私と一緒にいるあの少年。」
「……サラマディーネ様、恐らくそれは『思い出』かもしれません。」
「思い出?私にそんな思い出はない筈……」
「いいえ、もしかしたら……12年前の“あの出来事”のショックで、大脳部の側頭連合野に不可解なダメージが与えられたと思います。」
「12年前の出来事……」
────《回想》────
12年前……とある森にて、サラの父君と母君が娘を探していた。
「サラ!何処にいるの?返事をしてー!」
サラの母「ミレイ」とサラの父は森を隈なく探す。
「あの子無邪気だから、危ないところに行っていないと安心だけど……」
ミレイがそう思った時、薄暗い森の中に幽霊のように現れる青白く揺らめく炎が現れる。
「?」
ミレイが恐ろしく感じると、青い炎がもう一つ、またもう一つ現れ、薄暗い森の奥を指す。ミレイは恐れるが、勇気を出して歩む。青い炎を辿っていくと、奥から白く輝く物が辺りを浮遊する。
「これは?」
ミレイがそう思うと、光が見えてくる。その先に映ったのは白く輝く大地、緑に光る球体を抱えた大樹、見たこともない動物達が存在していた。
「ここは?」
ミレイが不思議な光景に見惚れていると、遠くから大咆哮が大陸に響き渡る。
「!?」
すると緑に光る球体の中から湖から灰色の怪物と虹色に輝く鳥龍が戦っていた。その光景にミレイは驚く。
「何…あれ?」
虹色の怪物は翼から拡散エーテル砲を放ち、灰色の怪物に攻撃をする。すると灰色の怪物は虹色の怪物にのし掛かり、身動きを止める。ミレイは早く立ち去ろうとすると、湖に誰かが倒れていた。それはずっと探していた我が娘「サラマンディーネ」であった
「サラマンディーネ!」
ミレイは急いで湖から打ち上げられたサラを助ける。サラの側頭からは血が流れており、ミレイはサラを抱き上げ、その場から離れる。しかし、灰色の怪物が虹色の怪物を持ち上げ、ミレイの方へ投げ飛ばす。虹色の怪物は起き上がり、口部エーテルキャノンを放とうとすると、足元にいるミレイとサラを見て、エーテルキャノンを止める。そして灰色の怪物は翼から拡散エーテル砲を放つ。ミレイは娘を守ろうと庇うと、虹色の怪物が前に出て、ミレイを守る。
「え?」
灰色の怪物の攻撃で全身が火傷まみれになった虹色の怪物はミレイにテレパシーで送る。
《早くお逃げなさい!……私が“彼女”を足止めしている間に!》
虹色の怪物は灰色の怪物に叫ぶ。
《悠妃ファルシス!!》
《終焉のテレシア!!》
灰色の怪物…『悠妃ファルシス』、虹色の怪物…『終焉のテレシア』と名乗る二体の怪物がぶつかり合う中、ミレイは急いで出口まで飛び立つのであった。
────《回想終了》────
12年前の真実に、サラは驚く。夢で見た白い大地……あれは夢でなく、現実に存在していた事に。
「それで…母様は?」
「それからミレイ様はその大地の事で研究に没頭していましたが、行方不明となってしまったのです」
「行方不明?どうして?」
「それは私にも分かりません。ですが、ミレイ様が残した研究所なら、そこに答えが見つかるかもしれません。」
Dr.ゲッコーの言葉を信じ、サラは母が残した研究所がある森へと向かう。
森の中、苔が生えた研究所……サラは研究所の扉を開けようとするが、鍵が掛かっていた。
「鍵が掛かってあるわ……こんな形状、見たこともない…」
サラが困っていると、アイロスが呟く。
「ゾハル……」
「ゾハル?」
「夢で見たのだろう?幼き頃の主様と遊んでいた少年の……」
「少年……!」
サラはこれまでの夢を振り返って見る。確かに、あの少年の首にそれらしい形のペンダントを身に付けていた。だが、何故だろう?ペンダントの他に、あの少年の事を思うと……懐かしく、絶対に忘れてはいけない約束、そして彼の顔、そして残酷な記憶。
「ダメです、思い出せません……」
サラは必死に思い出そうとするが、やはり無理であった。
「…………行動あるのみ」
「?」
「これから、あの龍神器の力を試すのだろう?いずれ、主の記憶が蘇る……」
「……分かりました。」
サラは研究所の事は後にし、焔龍號に乗り込む。
「(主様にとって、大事な記憶……ですが“彼”と共に記憶戻ると同時に“X”の本性を知るでしょう。あなた様はアデルの子であり、天の聖杯であるモナドの後継者『キオ・ロマノフ』に近しい人物……“因果律の姫君”…)」
アイロスは小声で呟き、サラの身体の中へと戻る。
深夜になった宮殿。一仕事を終えたサラは布団の中である事を考えていた。
「(気になる…あの鍵穴(キオ)……え?)」
突然頭の中でキオの事を頭に浮かばせる。
「(あれ?何ででしょう?……彼の事を思うと、胸が……何で!?)」
キオの無垢な笑顔を思い浮かべると、サラの顔は真っ赤になり、布団の中でジタバタする。
「(うわぁぁぁぁぁぁぁ〜!!何でぇぇぇ〜〜!!!)」
彼女は足をバタつかせながら、枕を顔に押し付け、はしゃぐ。翌日、彼女が熱(恋の病)を出して倒れた事は誰もが呆れ返る事であった。
どうでしたかな?サラが頭の中でキオの事でいっぱい考え、デレデレになり、結果熱を出してしまいました!……アヒャヒャヒャ♪