クロスアンジュ 因果律の戦士達   作:オービタル

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第14話:動き出す世界

 

ある場所に無数の島が浮いていて、その場所に社交場の様な丸くて大きなテーブルが置いてあった、その場所に各国の首相達が集まっていて。

彼らの回りにはアルゼナルを襲撃しているドラゴンの映像が映し出されていた。

 

「ドラゴンが自ら攻めて来るとは…」

 

「それにこのパラメイル、まさかドラゴンを引き連れて?」

 

一人の首相の目に映る映像にはあの不明機が映し出されていた。

 

「シンギュラーの管理はミスルギ皇家のお役目、ジュリオ…いえ陛下。ご説明を」

 

女性の首相がジュリオにシンギュラーの発生に付いて聞いてきた。

しかしジュリオは頭を傾げながら言う。

 

「それが、『アケノミハシラ』には起動した形跡が全くないのです」

 

「馬鹿な!あり得ん」

 

肥満な首相がジュリオの説明に納得が行かない事に拳をテーブルに叩き付ける。

 

「直ちにアルゼナルを再建し、力を増強せねば」

 

「だが、そうも行かんのだ」

 

っと年老いた首相がマナで次の映像を映し出す。すると光学兵器を発射するヴィルキスの映像が映し出された。

 

「この機体…まさか!」

 

「ヴィルキスだ」

 

それにはジュリオを含め各国の首相達は言葉を詰まらせていた。

 

「前の反乱の時に破壊された筈では?」

 

「アルゼナルの管理はローゼンブルム王家の役目。何故放置していた?」

 

それにはローゼンブルム王家の首相は表情を歪めながら黙る。

 

「監察官からは異常なしと報告を受けていた…」

 

「まんまとノーマにあしらわれていたと言う事か、無能め」

 

そう肥満体の首相は腕を組んで呟く。

 

「そしてその襲撃の最中、こんな物を見つけたのだ」

 

っと一人の首相がマナで新たな映像を映し出す。それはセイレーンとテレシアの映像だった。

それにはジュリオはと言うと…。

 

「うわっ!!! こ!こいつだ!!!」

 

ジュリオは思わず椅子から落ちて、怯えながらセイレーンに指をさす。

 

「何で奴がアルゼナルに!?」

 

そして今度は高貴な服装をしているキオとココの映像になる。

 

「何だこの二人は?」

 

「ノーマと……男だと?しかも何なのだねあの服装は?あのノーマ何故機械を模したドレスを?」

 

「それは置いておいて、今はどう世界を守って行くかを話し合うべき時」

 

女性の首相が皆にそう言い聞かせ、一人の首相が言う。

 

「ノーマが使えない以上、私達人類が戦うしかないのでしょうか?」

 

っとその事に各国の首相達は思わず戸惑いの声が上がる、そして木の裏で聞いていた一人の男性が立ち上がる。

 

「どうしようもないな…」

 

「え、エンブリヲ様?!」

 

一人の首相が思わず言う。世界最高指導者であるエンブリヲは皆の所に行く。

 

「本当にどうしようもないな…」

 

「し、しかし…ヴィルキスがある以上アルゼナルを再建させるには…」

 

「なら選択権は二つだ」

 

それに皆はエンブリヲに目線が行く。

 

「一、ドラゴンに全面降伏する」

 

「「「!!?」」」

 

それには思わず息を飲む首相達、エンブリヲは構わず言う。

 

「二、ドラゴンを全滅させる…」

 

「そ!そんな…!」

 

「だから…三、世界を作り直す」

 

っとそれにはジュリオが反応する。

 

「え?」

 

「全部壊してリセットする、害虫を殺し土を入れ替える。正常な世界に」

 

エンブリヲは肩にのって来た小鳥をなでながら言う。

 

「壊して作り直す…、そんな事が可能なのですか?!」

 

それにエンブリヲは笑みを浮かばせながら言う。

 

「全ての『ラグナメイル』とメイルライダーが揃えば。あと……あの二人の兄妹を私の元に連れてくるようにしてくれ♪彼らは膨大なドラゴニウムと膨大で濃度なエーテル粒子を持っている……新世界で新しいマナの光が永遠に生み出される…もう“ノーマ”と言う防衛兵器やドラゴンの侵略もない♪」

 

「やりましょう!! そもそも間違っていたのです!いまいましいノーマと言う存在も!奴らを使わねばならないこの世界も!」

 

エンブリヲの言葉に、ジュリオは賞賛の声を上げて立ち上がった。

 

「創り変えましょう、今すぐに!」

 

そして他の元首たちを、賛同を求めるかのようにぐるりと見渡す。

 

「そもそも間違っていたのです。忌々しい、ノーマという存在も。奴らを使わねばならないこの世界も!」

 

「バカな! ここまで発展した世界を捨てろというのか!?」

 

当然反論の声が上がる。が、

 

「では、他に方法がありますか?」

 

そうジュリオが発言すると、皆一様に押し黙ってしまった。

 

「話は決まったね。じゃ、庭の道具を使うといい」

 

そう言うと、エンブリヲはジュリオの掌に何かの鍵を置いた。

 

「期待してるよ♪ジュリオ君」

 

「お任せ下さい、エンブリヲ様!」

 

力強く返事をするとそれに満足したのか、エンブリヲの姿がその場から消えた。だが、消えたのはエンブリヲだけではなかった。その後、各国の元首たちも次々と姿を消し、ジュリオだけがその場に残った。すると、今度は彼らが今までいた海辺の屋外の光景も消えたのだ。代わりに出てきたのはジュリオの私室の光景であり、側に控えていたリィザの姿だった。

そう、先程の光景も、自分以外の全ての人物も、全部ホログラフィだったのだ。

 

「出るぞ、リィザ」

 

側に控えていたリィザにそう告げると、ジュリオは彼女を伴って自室を後にした。そんな彼の執務机の裏に盗聴器が仕掛けられてあるなどとは、ジュリオは思いもしなかっただろう。

 

 

 

「随分乱暴な手に出てきたもんだ…」

 

どこかの水路内部にて、盗聴器で先程までの各国の元首たちの密談を盗み聞きしていたタスクが呆れたように呟いた。ジュリオの私室の盗聴器は言わずもがな、タスクが仕掛けたものである。

 

「全部壊して創り直す…か」

 

タスクにしては珍しく怒りに満ちた表情で呟くと、アンジュを助けるときにも使った自機に跨る。

 

「急がなきゃね」

 

アレスを起動して、タスクは飛び立ってその場を後にしたのだった。だが、この時、各国の首相達が話し合っていたあの空間で、エンブリヲの元に杖を持った総裁“X”が現れる。

 

「『あの二人の兄妹を私の元に連れてくるようにしてくれ♪彼らは膨大なドラゴニウムと膨大で濃度なエーテル粒子を持っている……新世界で新しいマナの光が永遠に生み出される…もう“ノーマ”と言う防衛兵器やドラゴンの侵略もない』……何故あのような嘘をつく?」

 

「良いではないか♪……それに会いたかったのではいのか?」

 

「…………口を慎め。」

 

「フフフフ♪頑固なお爺さんだ事だな」

 

エンブリヲが呟くと、プレトリアン・ナイト達が武器構え、エンブリヲの喉元に突きつけられ。

 

「無礼者が!!!」

 

「待て……」

 

《っ!!》

 

総裁“X”が人差し指から赤黒い光球を出す。プレトリアン・ナイト達は慌て、急いで突き付けるのを止める。

 

「今回は……お前と共に私も出よう。」

 

「と言うことは……“あれ”で出るつもりか?」

 

「そうだ……我が旗艦を下等である“人間(生物)”達に知らしめるのだ。」

 

「お〜、それは恐ろしい物だな♪」

 

エンブリヲはそう言い、その場から消える。

 

「さて……準備をするか。ティオル…ココル……待っていろ♪フェイト、準備をしておけ」

 

『了解』

 

「お前も楽しみだろ?実の“弟”と“妹”と再会できるのだからなぁ♪」

 

総裁“X”から謎の声が発せられると、漆黒のフェイトは呟く。

 

『えぇ…』

 

「使うのだろ?……貴様の天の聖杯『巨神 ザンザ』のモナドを!!!!!」

 

『はい……』

 

「ならばお前も本気を出せ……それが出来なければ、貴様の臣下共の命はない。ティオル・ミラ・エルダーの天の聖杯『運命神 ウーシア』と“空のゾハル”。ココル・マシーナ・エルダーの天の聖杯『機神 メイナス』と“機のゾハル”を手に入れろ!!!!フェメル・ハイエンター・エルダー!!天の聖杯『巨神 ザンザ』と“地のゾハル”を持って!」

 

『仰せのままに…』

 

漆黒のフェイト改め……フェメルは通信を切り、Xもその場から消える。

 

 

 

 

 

そしてアルゼナルでは損害が大きかった外壁はどうにもならず、そのままの状態だった。

その場所でジャスミンがドラゴンの死体を大きな穴に落としていく。格納庫ではコモンとメイが必死にパラメイルの修理を当たっていて、医務室ではマギーは負傷者の手当てをしていた。

そんな中、ジルはメイルライダーたちを一箇所に集めていた。

 

「生き残ったのはこれだけか…」

 

心なしか気落ちした声色でジルが呟いた。だがそれは隊員たちも同じこと。シュバルツの件が糸を引き、場は恐ろしく沈んだ雰囲気になっていた。

 

「この中で、指揮経験者は?」

 

ジルの質問に手を上げたのはヒルダだった。そして、彼女以外は誰もいなかった。

 

「全パラメイル部隊を統合、再編成する。暫定隊長はヒルダ。エルシャとヴィヴィアンが補佐につけ」

 

「はあ? こいつ脱走犯ですよ。脱走犯が隊長って!」

 

「サリアが隊長で良いじゃない!」

 

尚も食い下がる。余程ヒルダの裏切りが許せないのだろう。

 

「あいつなら、命令違反で反省房の中だ」

「文句あんならあんたがやればぁ?」

 

それまで大人しくしていたヒルダが、気だるい感じでロザリーやクリスに振り返った。

 

「し、司令の命令だし、仕方ないし、認めてやるよ。なっ、クリス!」

「う、うん」

 

慌ててそう言い繕うロザリーにクリスが同調する。こうなるだろうことは予想していたとはいえ、ヒルダは面白くなさそうにそっぽを向いた。

 

「パラメイル隊は部隊編成の後、警戒態勢に入れ」

 

『イエス、マム!』

 

総員敬礼を返すと、解散する。命令を下したジルは一服するためだろうか、いつものようにタバコに火を点けた。そして、懐から一枚の紙を取り出すとそれに目を走らせる。

 

「壊して創り直す…か」

 

そして、恐らくその紙に書かれているであろうことの一部分を呟いた。と、

 

「ねえ」

 

不意に、声がかけられる。振り向くと、そこにいたのはモモカを従えたアンジュだった。

 

「私の謹慎、終わったのよね?」

 

アンジュが確かめるようにジルに問う。

 

「あぁ…」

 

「じゃあ、全部教えて。約束でしょ」

 

「このクソ忙しいときにか?」

 

ジルが鬱陶しそうにタバコの煙を吐いた。

 

「皆が助かったの、誰のおかげ?」

 

少しの間その場を沈黙が包んだ。が、すぐに、

 

「…いいだろう」

 

諦めたのかジルが了承した。

 

「但し侍女はなしだ」

 

そう切り捨てられ、モモカがあうぅ…と本当に悲しそうな声を上げた。そしてアンジュはジルの後をついていく。

 

「おい、何処行くんだ、アンジュ!」

 

そんなアンジュに、ヒルダが毒づく。が、二人の歩みを止めることにはならなかった。

 

「ったく、クソ忙しいってのに!」

 

「あら、ヴィヴィちゃんは?」

 

ヒルダの横にいたエルシャがその時始めて、この場にヴィヴィアンがいないのに気づいたのだった。

 

 

 

大破した居住区にあるサリアとヴィヴィアンの私室。ヴィヴィアンがいつも寝床にしているハンモックがグラグラ揺れると地面に落ちた。

 

「痛ったい…」

 

寝惚けた様子でヴィヴィアンが呟く。招集がかかっていたにもかかわらず私室で寝ていたらしい。いい加減というか大物というか、流石はヴィヴィアンである。

 

「落ちてる…何で…?」

 

ゆっくり目を開けながら、まだ完全に覚醒してないためか周囲を見渡す。と、

 

「わわっ、寝過ごしング!」

 

時計が目に入ったのだろうか、慌てて起き上がったのだった。

 

 

 

海が見える丘、キオとココは自分達が生き別れの兄妹だと言う事を知り、互いの出生を把握する。

 

キオは不妊症で子供を成さなかったロマノフ家の子として育てらた。ココは赤ん坊の頃からアルゼナルへと……。

 

「……でもおかしいな。」

 

「何がですか?」

 

「俺はアルヴィースとセイレーンと一緒に来た……つまり、ココも俺と同じ、ジャスミンがつけているメイナスと何かの“デバイス”に乗せられ、この世界へ来た。俺とお前は……何らかの目的を持ってだ……」

 

「目的……」

 

「待てよ、あの時の未来視……俺たちの本当の母さんはあの“神”に抗った後、どうなったんだ?」

 

「分からない」

 

「ココも見たのか……あの未来視……明らかに未来で起こる事ではない。もしかしたら過去に起こった事をそのまま視る事ができる。」

 

「過去を視る……“過去視”」

 

「良い名前つけたな……」

 

「「っ!?」」

 

するとキオとココの目の前の光景が移り変わる。海の彼方から複数の艦隊が来て、アルゼナルに集中攻撃をしてくる。次に何処か知らない空間で戦艦の他に“鷹”をイメージにした巨大で琥珀と黒がメインカラーをした大型戦闘機が格納されていた。最後に映るのは何処かの研究所、そこに色んな科学者が何かを研究しており、その中に綺麗でおっとりとした女性にある二人の研究者が話し掛ける。

 

「ミレイさん」

 

研究者とミレイと言う研究者は他の研究者から得た資料を見る。

 

「あの世界にある“亡国”の壁画……何が描かれていたのですか?」

 

「…………あれは、私達の世界とあなた方の世界の文明と科学が違うのは知っていますね?」

 

「え?はい……」

 

「……あの壁画に描かれているのは……私達の運命を左右する警告の事よ」

 

「警告?」

 

「その風貌、巨大怪鳥の如く。身の丈、大地の如し。」

 

「え?」

 

すると研究者の横に現れたのは……キオの養父である筈のチャールズ・ロマノフであった。チャールズは話を続ける。

 

「禍々しく山の如く四つの巨大な眼、大地を引き裂く四本の豪腕。

 

騎乗の覇王の如く、颯爽と天翔ける大翼は、大気を震わせ、その唸り声は星の大地を轟き揺るがす。

 

目と口と腹と大翼から無数の光線を放ち、その数 数千体から成る悪魔軍団……と言う内容だ。」

 

「そう……あの殺風景だと、凡そ私達が生まれる数万年前の遥か太古の昔の時代だった頃ね。」

 

新たに現れたのはキオの養母であるマリア・ロマノフであった。

 

「その世界の三柱の神……『巨神と機神と運命神』三柱の神々は互いの生命体を生み出し、平和に、穏やかに暮らしていたと…………だがある時、三柱の神の他に……もう一人の神も生まれていた。」

 

「もう一人の神?」

 

「……“魔神”だ」

 

「魔神?」

 

「チャールズがさっき言っていたあの壁画の内容の事よ。魔神だけは他の神と違い、生命を腐らせていく力を持っているの。これが本当なら、私達は生きて行けれない。あの世界の住人達が多分、その魔神を倒してくれたと思う……多分……」

 

マリアがそう思うと、キオとココの未来視と過去視が終わる。そして二人の目に映ったのは元の光景であった。

 

「今の過去視……何かを」

 

「何で……」

 

「?」

 

「……何で…父さんと母さんが出てくるんだよ?何なんだよ!」

 

キオは過去視に映った両親に疑問を浮かべたその時。

 

『総員、第一種戦闘態勢! ドラゴンです! 基地内に、ドラゴンの生き残りです!』

 

サイレンと共に、けたたましい管内放送がアルゼナルを駆け巡ったのであった。

 

 

 

 

ジャスミンモールと隣接した食堂に、管内放送の対象であるドラゴンの生き残りが迷い込んでいた。が、ドラゴンの生き残りというのはさにあらず。

いや、姿形こそ確かにスクーナー級のドラゴンなのだが、その正体は第一中隊の元気印、ヴィヴィアンだった。とはいえ、今の姿からは誰もそれがわかるはずはないだろう。

何しろ先述の通り、今はいつもの自分の姿ではなく、スクーナー級のドラゴンそのものであるのだから。

 

(うう~…何でこんなことにぃ…)

 

考えてところで理由がわかるわけはないのだが、それでも考えずにはいられない。と、

 

(ん? んんっ?)

 

その鼻が何かの匂いを嗅ぎ取った。そして、その匂いの元へと顔を向ける。

 

(やっぱりカレーだ!)

 

巧みに身体を厨房内部へと滑らせると、寸胴鍋の中にあった対象物を発見して腹ペコのヴィヴィアンが歓喜の声を上げる。

 

(いっただっきま~す♪)

 

寸胴鍋を持って食べようとしたヴィヴィアンだったが、鍋は不快な音を立てながら変形して口の部分が潰れてしまった。

 

(あれ?)

 

首を傾げたヴィヴィアンが、今度は床に落ちていたスプーンを拾い上げようとするものの上手く掴めない。

 

(ありゃ、おかしいなぁ…)

 

何でだろうと不思議がるヴィヴィアンだったがすぐに、

 

(あ、おかしいのあたしだ…)

 

自分の姿がいつもの状況でないのに気づいてポリポリと頭を掻いた。と、いきなり横から狙撃され、悲鳴を上げて慌ててその方向に顔を向ける。

 

「いたわ!」

 

そこには、自分に向けて銃を構えているサリアとエルシャの姿があった。

 

『サリア!エルシャ!』

 

そしてキオが到着する。

 

「行くぞ!」

 

キオがモナドを構えた瞬間だった…。

 

『キオ!!』

 

「えっ…?」

 

キオには聞き覚えのある声が聞こえた、それに思わず手が止まる。

 

「どうしたキオ君?」

 

「今…ヴィヴィアンの声が聞こえた」

 

その事にエルシャは驚き、ヴィヴィアンは急いで空へと逃げる。

 

「あ!待って!」

 

するとキオの背中に光の羽が生え、翼を広げ飛び立つ。

 

「嘘!?」

 

「キオ君が飛んだ!?」

 

エルシャとサリアが驚く中、キオは急いでそのままアルゼナルの上部へと到達して追いかける、丁度そこにアンジュもやって来てライフルを構える。

 

それを見たキオは止める。

 

「待て!撃つな!!」

 

「え?どうして?」

 

キオの問いに意味が分からずでいるアンジュ、その時にドラゴン態のヴィヴィアンが何かを歌い出し、それを見たアンジュはライフルを下ろす。

 

「これは…」

 

その歌はアンジュが歌っていた『永遠語り』によく似ていて、それにアンジュは歌い出し歩き出す。それにドラゴン態のヴィヴィアンも同じように歌い出しアンジュの元にゆっくりと行く。

キオはアンジュが歌いだしたのを見て、様子を見ていた。

 

っとそこにヒルダ達もやって来る。

 

「何やってんだよお前!」

 

ヒルダ達がライフルを構えた瞬間、キオがコスモスのキャノンを持ってヒルダ達の足元目掛けて技と外すように乱射した。

ロザリーは驚いてキオに怒鳴る。

 

「うわっ!! 何すんだよお前!!」

 

「手を出すな!!良いな!!」

 

アンジュが後ろを向くも、すぐに前を向いて歩く。その時にサリア達が来て、サリアがライフルを構える。

 

「離れなさい!!」

 

っがその時にジルがサリアのライフルを下ろさせて、それにサリアは見る。

そしてアンジュはドラゴンと向き合い、アンジュが触れた瞬間ドラゴンは一瞬に霧状になって行った。

 

キオはうっすらと見えているヴィヴィアンの今の状態に気付き、思わず顔を赤くし慌てて後ろを向く。

 

「ここでクイズです!人間なのにドラゴンなのってなーんだ?」

 

元の人間に戻ったヴィヴィアンにアンジュは唖然とするしかなかった。

 

「あっ違うかドラゴンなのに人間…? あれれ…意味分かんないよ…!」

 

自分がドラゴンだった事に戸惑うヴィヴィアンは泣いて混乱している中で、アンジュは優しく声を掛ける。

 

「分かったよ私は…、ヴィヴィアンだって」

 

「あ、有難う…アンジュ、分かってくれたの…アンジュとキオだよ」

 

っとヴィヴィアンはアンジュに抱き付いて泣きつき、後からやって来るロザリーとクリスもモモカも今の光景に目を奪われる。

 

「何だ…一体?」

 

「どうなってんだよ?」

 

「今ドラゴンからヴィヴィアンが出て来た様に見えたけど」

 

クリスの言葉にキオは顔を見合う。

そこにマギーがやって来て、ヴィヴィアンに麻酔を撃ちこみヴィヴィアンを眠らせて、マギーはヴィヴィアンを抱いてその場から去って行く。

 

見送ったアンジュ達はアルゼナルの抉られた場所に捨てられているドラゴンの死体の山を見る。

その時にヴィヴィアンの言葉を思い出す。

 

『人間なのにドラゴンなのってなーんだ? ドラゴンなのに人間…?あれれ?』

 

「っ!? まさか…!!」

 

アンジュは思わずあの場所に行き、キオ達も付いて行く。

 

「アンジュリーゼ様!」

 

モモカはアンジュの行動に叫び、ヒルダも同じように言った。

そしてジャスミンが死体を集めた所でガソリンをまき、ライターに火をつける、っとバルカンがアンジュ達に向かって吠え、それにジャスミンは振り向く。

 

「来るんじゃないよ!」

 

そう言ってジャスミンはライターを死体の山に投げ、死体を燃やし始めた。

キオ達は燃えている死体に驚きの光景を目にする。ドラゴンの死体の中に人間の姿も紛れていた。

 

それにはキオ達は言葉を失う。同時にヒルダ達も来る。

 

「おい!一体何が…!?」

 

「何…これ?」

 

「ドラゴンが…人間に」

 

その光景に皆がくぎ付けられてる中で煙草を持っているジルが来る。

 

「よくある話だろ?『化け物の正体は人間でした』…なーんて」

 

それにアンジュは息を飲み、再びドラゴンを見る。そして今までの事を思い出す。自分がドラゴンを殺し……そして倒していく光景に。

っとアンジュは思わず口を抑え、キオの腕を掴み、地面に向けて嘔吐する。

 

「う!うえぇぇぇぇ!?!」

 

「!!? アンジュ!!」

 

「アンジュリーゼ様!!」

 

キオとモモカが心配する中でアンジュの頭の中は混乱していた。

 

「私…人間を殺していた…? この手で?ねえ!キオ!! 私…私…!!?」

 

アンジュはキオ腕を掴みながら何度も問い、それにキオはジルを少しばかり睨みながら見る。

 

「…ジル、アンジュには言わなかったのか!」

 

それにジルは煙草を吸い、吹かしながら言う。

 

「フン、言ってどうする? それに気に入ってたんだろ?ドラゴンを殺して金を稼ぐ、そんな暮らしが」

 

「てめぇ…!アンジュの心をもて遊んでんのか!?」

 

キオはジルに向けてモナドを構える、それにエルシャは慌てて止める。

 

それでもキオの怒りは収まらず、そしてアンジュはジルを睨みながら怒鳴る。

 

「くたばれクソ女!!!もうヴィルキスには乗らない!!ドラゴンも殺さない!!! 『リベルタス』なんてくそくらいよ!!!」

 

その事にサリアはアンジュが知らないリベルタスを知っている事に思わず反応する。

 

「『神様』に買い殺されたままで良いなら、そうすればいい」

 

そう言い残してジルは去って行き、ジルを睨んだままアンジュはさらに嗚咽する。

キオはこの時に決心した、やはりジルを信用する事は出来ないと…。

 

 

 

 

 

 

ジルが臨時司令部に戻って行く所だった。

 

「『神様』か…」

 

っと誰かの声が聞こえ、ジルは足を止めて振り向くと、そこにはエンブリヲが立っていた。

 

「私は自分から名乗った事は一度もないぞ? 『創造主』と言う意味であれば…正解かもしれんが」

 

世界最高指導者がアルゼナルに居た事にジルはすぐさまマグナムを取り出してエンブリヲに撃ちこむ、しかし弾丸はエンブリヲの身体をすり抜ける様に後ろに木に当たり、ジルはエンブリヲを睨む。

 

「エンブリヲ…!!!」

 

「怒った顔も素敵だなアレクトラ…、今は司令官のジルか? 」

 

「クッ!!」

 

「ん?来たようだ…」

 

するとエンブリヲが違う方向を見ると、そこにマナの映像が映し出される。

 

『こちらはノーマ管理委員会直属、国際救助艦隊です。ノーマの皆さんドラゴンとの戦闘…』

 

その放送を聞いたジルはすぐに臨時司令部へと向かう。

 

その中でアルゼナル付近の海域で、ミスルギ艦隊がアルゼナルへと進攻していた。

その艦の中で旗艦『エンペラージュリオ一世』に乗艦しているジュリオが笑みを浮かばせていた。

 

「さあ、最後の再会と行こうじゃないか。アンジュリーゼ」

 




さぁ!次回はココ専用のデバイスが登場すると同時に、二人の本当の力
そして総裁“X”と二人の実の兄である『漆黒のフェイト』本名“フェメル・ハイエンター・エルダー”が登場します!次回も楽しみに!!
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