クロスアンジュ 因果律の戦士達   作:オービタル

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第18話:幼き二人の出会い。

今から遡る事12年前───。ロマノフ邸の二階ーー自分の自室にいて本を読むキオ・ロマノフは退屈でいた。

 

「ハァ…退屈。」

 

子供の頃、チャールズとマリアの自作の絵本を放り投げる。タイトルは『ドラゴンと姫』であった。

 

「お父さんとお母さんは何かの研究で忙しいし、爺ちゃんは行方不明になるし、つまんないなぁ…………そうだ!」

 

キオは何かを思い付き、父と母の目視を盗み、庭へ歩む。庭の中は迷路になっており、キオは迷い込む。

 

「あれ?出口はどっちだろう……ん?」

 

すると目の前に不気味に揺らめく空間があり、キオはその空間に手を差し伸ばす。そして空間が水の様にキオの手が吸い込まれる様に通し、キオは空間の中へと入っていく。そこは何処かの森の中であった。

 

「ここは?」

 

キオは森の中をずっと歩いていくと、光が見えてきた。キオは光の方へ走り、外へ出る。そこに広がった光景は……。高原が広がる大地、天空に浮かぶ数多の大陸、幼き少年はその世界に迷い込み、色んな花々が咲く花畑へ辿り着く。

 

「………」

 

キオはその景色に見惚れていると、弾丸絶壁から首長竜『ミレザウロ』が首を長くし現れ、キオを見つめる。

 

「……」

 

するとミレザウロは興味ないのか、湖の水を群れとともに飲む。他にも高原を走る肉食生物『ルプス』湖のほとりで休む『ヒッポ』、空を自由に飛ぶ『アクイラ』とそれを捕食する『テレシア』が上空を優雅に飛んでいた。不思議な大地に見惚れていたキオは我に帰り、父と母を探す。

 

「お父さーん!お母さーん!」

 

キオは直ぐに森の中の空間へ帰ろうとしたが、その空間が何処にもなかった。キオはその世界に迷い込み、出口を探しに見た事も無い花が咲いている花畑に来る。

 

「お父さーん……お母さーん……」

 

少年は父と母を探すが、誰もいなかった。

 

「父様〜!母様〜!」

 

「?」

 

すると花畑から別の声が聞こえてくる。女の子の様だ……少年は声がする方へ走る。

 

一方、少女の方もこの世界に迷い込み、両親を探していた。花畑の中を駆け走り、誰かとぶつかった。

 

「「痛っ!/痛い!」」

 

ぶつかった二人は尻餅付き、二人ともたんこぶが出来る。

 

「何すんだよ!」

 

「そっちこそ!」

 

「「?」」

 

少年と少女は互いを見る。少年は少女の姿に驚く……なぜならその少女には色鮮やかで露出が少しある服装、アイシクル・ピンクの羽と尻尾、黒の短髪の可愛い女の子であった。少女の方も少年を見る黒の短髪、紳士な服、首にぶら下げた翠の結晶石のペンダントをしていた。

 

「見せて♪」

 

「え?うん……良いけど…」

 

少年は少女にペンダントを見せる。

 

「……もーらい♪」

 

少女は少年のペンダントを取り上げ、花畑を走る。

 

「あ!返せ〜〜!!」

 

少年も少女に取り上げられたペンダントを取り返そうと追い掛ける。二人は幸せな笑顔で駆け回り、そして少年は少女の手を掴むと、一緒に転ぶ。少女が少年に抱きつき、少年が少女を支えていた。

 

「……」

 

「……」

 

「「プッ……アハハハハハハハ♪」」

 

二人は花畑に寝転がり、一緒に笑いながら風で舞う花弁を一緒に見上げるのであった。

 

「君は?」

 

「私、サラマンディーネ!よろしく♪」

 

「サラマン?」

 

「“サラマンディーネ”……じゃあ、私のこと、『サラ』って呼んで♪」

 

「うん、僕はキオ・ロマノフ。僕の事も『キオ』って呼んで。」

 

「うん!」

 

幼き頃のキオと幼き頃のサラ……こうして二人の小さき子供はこの未知の平穏大地『ウル』で出会ったのだ。

 

 

 

 

 

キオとサラは花畑で咲いている花をじっくりと見る。

 

「この花、まるで睡蓮花に似ている!」

 

「そうかな?睡蓮花は水がある所にしか咲かないよ、それにこの花少し小さい…」

 

「……じゃあ名前を付けようか!」

 

「名前を付ける?でも先に名前が付けられたら?」

 

「そんなの良いの!」

 

「名前ねぇ……僕の庭の周りにはいつもお母さんの大好きなである“ミスミソウ”が咲いている…」

 

「私のはお母様の睡蓮花が咲いている……」

 

「ミスミソウ…ミスミソウ…」

 

「睡蓮花…睡蓮花…」

 

「……」

 

「……」

 

二人は互いの意見と提案を考案し、付けられたら花の名前は……『姫蓮草(ヒメレンソウ)』と名付けられた。

 

 

 

 

それからキオとサラは時々、この大地に遊びに来るのでした。

 

そんなある日……。チャールズとマリアは執務室で書類を作成していると。メイドがキオが頭から血を流して現れて来た報告。これは流石の二人も大慌てでキオを急いで看病する。寝ているキオが悪夢で魘され、寝言を言う。

 

「サラ…」

 

キオのこの言葉に興味を持った二人はキオの行動に疑問を持ち、彼が寝ている間、庭に出てくる異空間に入る。そして二人はこの大地の事を知るが……着いた場所は焼け跡から木々や草、苔が生え、その辺りには恐竜の様な鳥の様な大きな化石が横たわっている滅んだ亡国跡地であった。

 

「ここは…ん?」

 

チャールズはある事に気づく、国の中央部、城のような建物が聳え立つ中に、ある大きくて長い建物が城の中枢部にあった。

 

「あれは……まさか!!?」

 

その建物にチャールズとマリアは驚く。何故なら、その建物は長い歴史と様々な伝説を持ち、万世一系の皇族『斑鳩家』によって統治される巨大国家『ミスルギ皇国』の中枢部『暁ノ御柱(アケノミハシラ)』であった。

 

「何故……この滅んだ国に、アケノミハシラが!!?」

 

二人が驚いていると、別の方向に大きな赤いドラゴンが現れる。二人は驚き、逃げようとすると。

 

「お待ちください!」

 

「「?」」

 

ドラゴンの方から女性の声が聞こえて来た。そう…これがサラの母親との出会いであった。二人もまた、白き大地で倒れているサラを救助し、彼女が悪夢と寝言を頼りに、この異空間に入ってみるが、場所とは違かったらしいと。互いの認識確認しつつ、次第彼等はこの大地を『ウル』と名付け、各地にある情報を駆使し調べて来たと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

真実を聞かされたキオとサラは驚きのせいか、出す言葉も浮び上らなかった。

 

「そ……それで?」

 

「研究して行くうちに、新たな賛同者も増えた。ファーレン、ボドウィン、キルケン、リーブ夫妻、ティオニス、アマロ、イシュトバーンとバネッサ…そして、ジュライ皇帝陛下とソフィア皇妃殿下…。」

 

「は!!?ちょっ!ちょっと待ってくれ!!ジュライ皇帝陛下とソフィア皇妃殿下!?え!?どどど!どうなってるんだ!?」

 

突然の言葉にチャールズは説明する。二人はエンブリヲのこれからの計画に否定し、古の民でタスクの両親と共に私の研究の賛同者でもあった。皇帝陛下にその世界のアケノミハシラを見せた……彼は驚き、アケノミハシラの構造を調べるが、どれもミスルギ皇国と全く同じであるが、本当に驚くのはこれからであった……。ジュライと共にアケノミハシラを制御する通信タワーへ入ってみると…。

 

「な!?」

 

「何だ……これは!?」

 

頂上から見たその光景、私達がいた場所と言うより、アケノミハシラの真後ろ……。

 

その風貌、巨大怪鳥の如く。身の丈、大地の如し。禍々しく山の如く四つの巨大な眼、大地を引き裂く四本の豪腕を持つ人型の巨大な大地が横たわっていた。

 

「私達が見ていたあの山……あれは、巨人の骸だったのか!!?」

 

その骸…嫌、厳密に言えば『魔神』の骸の大地であった。チャールズはその神とこの滅んだ亡国の関係を調査する内に判明したのが……数万年前の遥か太古の時代……この世界がまだ、我々よりも先進国だった頃、我々よりも平穏で穏やかだった頃、大いなる巨大な神がこの世界を虚無に変えようとしていた。だが、この世界の住人である『エルダー族』はこの世界の生命とブレイドと団結し、見事に魔神を倒した。魔神の首は三つの山を越え、真っ二つにした魔神のそれぞれの半身から生命を腐らせる血液を流し、この国は滅んだ。我々はこの事実に驚愕し、世間や社会、情報を闇へと隠蔽した。

 

「……あの世界……俺とサラが一緒に遊んでいた世界がもしかして?」

 

「……そう、お前の本当の母親の故郷でもあり、お前が在るべき世界なのだ。」

 

真実を聞かされたキオは考え込むのであった。

 

 

 

 

 

数時間後、キオはエルマ達にその事を話す。

 

「えぇ〜!?キオとあのお姫様が幼馴染!!?」

 

「あぁ……過去視や夢で見たあれは、俺の思い出らしいんだ。だが、どうしてその思い出が曖昧なんだ?」

 

「……一回、エリュシュオンで脳検査してみる?もしかすれば、あなたに起こった事を視覚で確認できるわ。」

 

「分かりました。(俺の記憶…さっきの話だと、俺は頭から血を流して家へ戻ってきた。だがあの大地にそんな危険な所は無かったぞ?)」

 

キオはそう考えていると…。

 

「おーい! 皆ー!」

 

キオ達は聞き覚えのある声が聞こえて、その方を振り向くとアウラの民の服装を着たヴィヴィアンがやって来た。

 

「ヴィヴィアン!」

 

「あ!ヴィヴィアンさん!! どうやって戻ったんですか?」

 

「さあ~ここでクイズです、私はどうやって人間に戻ったでしょうか!」

 

っとここでヴィヴィアンのお得意のクイズが出て来て、それにキオ達は少々困った。何も知らないのにどうやって人間に戻ったか分からないからだ。

 

「ぶ~!残念! 正解は…え~と~…何だっけ?」

 

「知らないのかい!」

 

それには何故かキオがツッコミを入れる。っとそこに医者の『ドクター・ゲッコー』がやって来る。

 

「D型遺伝子の制御因子を調整しました、これで外部からの投薬なしで人間の状態を維持出来る筈です」

 

「って事でした~♪」

 

「いやお前が答えた訳じゃないだろ…」

 

ラオの言葉にヴィヴィアンは舌をペロっと出しながら笑う。

 

「ところであの皇女さんは?」

 

「まだ目が覚めないんだ」

 

タスクがそう言ってるとドクター・ゲッコーがキオ達に問いかけて来た。

 

「失礼ですが、貴方のどちらか私の所に来てくれませんか?」

 

それにキオ達は顔を見合って居る中で、キオの未来視が発動し、先の未来の内容を見る。するとタスクの方を向き、少し笑いながらタスクに言う。

 

「あ、じゃあタスクが行くそうです♪」

 

「え!?」

 

ドクター・ゲッコーの案内に付いていくタスク、それにはレオン達は互いの顔を見合って首を傾げる。

その中でキオはにやけながら扉の方に向かい、それにダグが問う。

 

「キオ、何処に行くんだ?」

 

「少し外の風に当たって来ます」

 

そう言ってキオは医務室から出て行く。

 

そして外に出たキオは沈んでいく夕日を見ながら考え事をしていた。

 

「(俺の記憶……あの場所で何が起こったんだ、そして昔の記憶がどうしてこんな曖昧になっているんだろう)」

 

自身の記憶の事を考えるキオ、するとそこにサラマンディーネが来る。

 

「あら、ここにおられたのですね?」

 

っとキオはサラマンディーネの方を見て、来た理由を問う。

 

「どうした?」

 

「これから、10年ぶりに仲間が帰って来た事に祭を祝うのです。今夜行いますからあなたもどうですか?」

 

サラマンディーネのお誘いを受けたキオはそれに少しばかり考えて、彼女の方を見て頷く。

 

「ああ、分かった。ところでその仲間って…ヴィヴィアン?」

 

「はい、あなた達と共に居たあのシルフィスの娘です」

 

 

 

そして夜になり、アウラの塔で皆が集まっていた。そこにサラマンディーネが儀式用の蝋燭を手に持ち、皆の前に姿を現す。

 

「サラマンディーネ様よ!」

 

「サラマンディーネ様ー!」

 

サラマンディーネの後ろにヴィヴィアンとその母『ラミア』が共に居た。

 

「何をするの?これから」

 

「サラマンディーネ様のマネをすればいいだけよ」

 

ラミアがそうヴィヴィアンに言ってほほ笑む、そしてレオンはその様子を人混みの中で見ていた。

 

「殺戮と試練の中、この娘を悲願より連れ戻してくれた事に感謝いたします」

 

そう言った後にサラマンディーネは儀式の蝋燭を空へと舞い上げ、それに皆も同じように舞い上げる。

 

「アウラよ!」

 

『『『アウラよ!』』』

 

ラミアも同じように舞い上げ、隣に居るヴィヴィアンも同じように舞い上げる。

 

そしてキオの所にアンジュ達がやって来る。

 

「良い光だ♪」

 

キオがそう言ってる中でアンジュはキオの方をずっと睨みつけ、それにキオは少々苦笑いしながら謝る。

 

「そう睨むな、俺もやり過ぎた事には謝る」

 

「果たしてそうかしら?」

 

「不思議な光景だね」

 

そしてタスクは月を見て呟く。

 

「同じ月だ。もう一つの地球…か」

 

「夢なのか現実なのか、分からないわ」

 

タスクとアンジュの問いにキオが月を見ながら言う。

 

「現実だよ、今見ている光景は…」

 

「ああ、だがヴィヴィアンが人間で良かった」

 

「うん、僕もそう思う」

 

オスカーとオリバーがヴィヴィアンの方を見ながら言い、それにレオン達は頷く。

その中でアンジュは不安に思っている事を言う。

 

「これからどうなるの? 私達、こんな物を見せて、どうするつもり?」

 

「知って欲しかったそうです、私達の事を」

 

っとそこにナーガとカナメがキオ達の元に来ていて、カナメがキオ達に話し続ける。

 

「そしてあなた達の事を知りたいと、それがサラマンディーネ様の願い」

 

「俺達の…事を?」

 

「知ってどうするの? 私達はあなた達の仲間を殺した。あなた達も私達の仲間を殺した、それが全てでしょ?」

 

アンジュがそうナーガとカナメにそう言うも、カナメは頭を横に振る。

 

「怒り、悲しみ、幸福。その先にあるのは滅びだけです、でも人間は受け入れ、許す事が出来るのです。その先に進むことも…全て姫様の請け売りですが、どうがごゆるりとご滞在下さい…っと姫様の伝言です」

 

二人は頭を下げて、その場から離れて行く。

 

キオ達はそれを聞いて、何となくオスカーは納得する。

 

「なるほど、確かにそうだな。人間は受け入れ許す事が出来る…あの方はよくご存じだ」

 

「信じるの?」

 

「少なくとも僕達は信じるよ?」

 

オリバーがそうアンジュに言い、その中でタスクが月を見ながら言う。

 

「…帰るべきだろうか」

 

「何?」

 

「アルゼナル、リベルタス、エンブリヲ。もし…もう戦わなくて良いのだとしたら…」

 

タスクのそれを聞いたキオは少々思いつめる表情をして空に浮かぶ儀式の蝋燭を見ながら考え込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ドクター・ゲッコーが密かにチャールズとマリアにある報告を伝える。

 

「御二方、どうか落ち着いて聞いてください…」

 

ドクター・ゲッコーがパソコンのモニター画面に映っているキオの細胞組織を見せる。

 

「キオ・ロマノフは確かにあなた方の子では無いと分かっております。ただ……」

 

「ただ?何だ……?」

 

「……この男性の組織細胞の一つ一つが…他とは異なるDNAを持っているのです。」

 

「他と異なる?」

 

「はい、妹さんの方も確認して、二人は兄妹と言う事が分かったのですが……妹さんの方も彼と同じ様に、他と異なるDNAと組織細胞を持っていたのです。つまり……」

 

「つまり?」

 

チャールズとマリアがキオとココの事で首を傾げ、ドクター・ゲッコーは答える。

 

「キオ・ロマノフとココ・リーブは……………………“人間ではありません”……」

 

「「…………はぁ?」」

 

突然の言葉に、チャールズとマリアは唖然するのであった。

 

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