太陽の光が二人の少年と少女を差す。小鳥の鳴き声がキオを目覚めさせる。
「……?」
キオは起き上がり、周りを見る。
「………………っ!?」
キオは焔龍號に気づき、倒れているサラに駆け寄る。
「サラ!……サラ!!」
「……キオ?」
キオの声にサラはゆっくりを目を開ける。キオは安心し、周りの風景を見てサラに言う。
「見て……」
キオとサラ周りの風景に見惚れる。
「…………ウル」
「あぁ…」
キオは立ち上がり、サラも立ち上がろうとすると。
「あ!」
突然サラが声を上げ、倒れこむ。
「!?」
よく見ると、サラの左足から血を流していた。キオはバイオフォームで治療し、サラどう運ぶか考える。そして…。
「良し!」
「?……ひゃっ!?」
突然キオがサラをお姫様抱っこし、サラを運びながら、周りを見る。浮遊する大陸、壮大な草原や高原、あらゆる植物、生と死の理によって弱肉強食の原生生物達が穏やかに暮らしていた。キオとサラは驚きながら、未開大地『ウル』を見る。それからキオはセイレーンと焔龍號の状態を見る。
「クソ…全回路がショートしている。」
「直せますか?」
「修理はできるが……あいにく必要なパーツが今ここにない。もしかしたら本当の母さんと共にここへ転移されたキルグナスも……」
キオはヘルメットの通信システムでキルグナスとの連絡を取る。
「こちら、“KL-408 キオ・ロマノフ”……聞こえますか?……………………」
しかし、通信は来なかった。
「ダメだ……念のため、信号弾を射つ。」
キオはハンドガンの銃口に信号弾を装備し、上空へと撃ち込んだ。すると北緯24度の森林から別の信号弾が撃ち込まれた。
「あそこだな……」
キオは半身テレシア化し、サラをお姫様抱っこする。
「掴まってて。」
キオは助走をつけ、光の翼で浮遊大陸からサラを運び、飛び立つ。
その頃、ココは近くの熱帯雨林の中で気を失っていた。そしてココの近くに不気味な面をつけた部族達が集まり、呟く。
《拝め者……拝め者……拝め者……》
部族は狂気に満ちた声を上げ、ココを連れて行くのであった。
怪我をしたサラを連れて行くキオ。飛んでいるとキオの元にテレシア達が集まり、一緒に飛ぶ。
「キオの事、仲間だと思っているのでしょうね。」
「かもな…」
そしてテレシア達が離れて行くと、銃声が響き渡る。
「この銃声……まさか!!」
キオは急いで信号弾が見えた森林へと向かう。
森林の中、アンジュとタスク、そしてヴィヴィアンとモモカの四人は、ヴァサルトに苦戦していた。(理由は簡単、アンジュがヴァサルトにライフルを乱射し、怒らせた事であった。)銃弾をもヴァサルトの分厚い甲殻には無意味、アンジュ達は必死に逃げる。怒るヴァサルトはアンジュ達を追う。
「何なのよここは!!」
「分からない!けど、ヤバイよこれは!」
逃げる最中、ヴィヴィアンが転ぶ。
「ヴィヴィアン!」
「ヒィーーーーッ!!」
ヴァサルトがヴィヴィアンの方に突進してきたかと思いきや、上空から女性の悲鳴のような鳴き声が響き渡る。そして、天から地、ヴァサルト目掛けて襲い掛かる。その襲って来たのはテレシア化したキオであった。
「キオ!」
ヴァサルトが絶命すると、キオはテレシア化を解く。
「皆んな無事?」
「あぁ、サラマンディーネ……どうしたの?」
「ん?足を怪我したみたいなんだ。俺とサラの機体はあの浮遊大陸に不時着している。タスク達の方は?」
「ヴィルキスは無事だけど、ブロードソードはもうダメみたい。それにここは何処なんだ?」
「……『未開大地 “ウル”』」
「え?」
キオはタスク達に“ウル”の事を説明する。
「つまり…ここはキオの本当の母親の故郷という事?」
「そう…そしてこの大地の何処かに、滅び去ったエルダー皇国とアケノミハシラがあるんだ。」
「アケノミハシラが!?」
「なぜここにそのような物が!?」
アンジュとモモカが問うと、サラが何かを感じ取る。
「何か来ます!」
キオは後方を振り向く。
「アルヴィース……」
「ヴァサラ…」
「アイロス……」
「「「…………!?」」」
三人はブレイドを呼び出そうと声を掛けるが、三体は出て来なかった。
「どうしたの?」
「アルヴィースが……出て来ないんだ。」
「は!?」
「こっちもだ!」
「私の方も、アイロスが!」
ブレイドが出て来ない以上、それぞれの手持ちの武器を構える。
「タスク、モーショントラッカーで敵の数を教えてくれ…」
「分かった……っ!?」
「どうした?」
「何だこの数……10、嫌、50人もいる!!」
「50人!?」
「来る!」
タスクが言うと、何処からともなく、複数人の雄叫びが聞こえて来る。
《アヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!》
キオは半身テレシア化し、鋭い爪と牙を森の中に突き付ける。そして未来視が発動する。森の中から原始的の弓矢が飛んできて、アンジュの肩に突き刺さる。
「アンジュ!避けろ!」
キオが教えると、森の中から弓矢が飛んできた。アンジュは教えられた通りに動き、弓矢を回避する。そして森の中から牛や骸骨を面にした部族が現れ、鉈や弓を構えていた。
《拝め者……崇め者……拝め者……崇め者……拝め者……崇め者……拝め者……崇め者……》
「な、何よコイツら!?」
「……先住民族かよ、おい!」
部民族は構う事なく、キオ達に襲い掛かる。キオはさらにテレシア化し、その巨大な姿で彼等に威嚇する。
《崇め者が!!マナに!!?》
意味の分からない言葉を発する部民族。キオはサラ達を守るかのように威嚇し続ける。だが、それも一瞬であった。部民族は隠れ草から吹き矢を吹く。毒矢はキオの足に命中した。
「『痛っ!!?』」
するとキオの視界がぼんやりと見えなくなり、徐々に睡魔が襲って来ると同時に、キオは倒れる。
「キオ!」
キオがぼやけている間にタスク達の大声とアンジュ達の叫び声が響く。そして数分後、夜になり、キオはその場で目を覚ます。
「サラ!タスク!アンジュ!ヴィヴィアン!モモカ!」
元の姿に戻り、キオは夜の森の中、五人を探すのであった。
その頃、ココは何処か知らない場所で寝かされていた。藁の家の様な小屋、仮面を付けた部族がココを看病する。
「拝め者、熱……シャカ、水を。」
「うん……」
シャカと言う少年は母親の言う事に従い、水を汲みに湖へと向かう。湖から水をバケツの中にいれ、村に戻ろうとすると、森の中からキオが飛び出して来た。シャカは何がどうなっているのか、キオを見つめる。
「……誰だ?」
キオが問うと、シャカは急いで逃げる。
「ちょっ!?」
キオもシャカの後を追う。シャカは急いで村の大人達に知らせる。
「崇め者!崇め者が来た!!」
村の男達は急いで倉庫から槍や鉈、木の盾を持ち、急いで門を守る。キオが駆け付けると、男達は槍を突き構える。
「◯△◇☆、◯△◇☆、◯△◇☆……」
「?????」
男は何を言っているのか、どうすればと迷っていると。
「…………」
すると村から一人の老人が村人達を武器を収めるよう説得する。
「?」
「アハハハハハ!」
その老人に、キオは驚く。その老人は13年前……冒険家で考古学者であり、行方不明となっていたはずの祖父『アレクサンダー・ロマノフ』その人であった。
「何をぼぉ〜っとしてるんだ?」
「…………じいちゃん?」
「当たり前よ!」
「じいちゃん!!」
キオは尊敬していた祖父が生きていた事に、嬉し涙を流すのであった。アレクサンダーは村人を説得し、小屋の中で熱を出して寝ているココを見る。
「じいちゃんが助けてくれたんだ。」
「あぁ、突然空から煙を吹き出した物がここへ落っこちてよ、騒いな事に、機体の方は修理できるし、この子は熱を出していたが、運良く狩をしていたシャカの家族に助けられたのじゃ。」
するとシャカとその両親がキオの前に現れる。
「実の妹、ココ助けてくれて……ありがとう。」
キオは深く頭を下げ、アレクサンダーが彼等に翻訳する。そしてアレクサンダーはキオに彼等のことを説明する。彼等はこのウルの先住民の末裔『陽族』と言う。数百万年も前、キオの祖先であるエルダー皇族を裏から支え、監視して来た由緒正しき一族であったと。しかし、レイナスと魔神ゼニスとの戦いにより、一族は守るべきエルダー皇族を失い、安住の地で隠れ暮らしていたと。ところが、その大戦の最中、異端者達が現れた。魔神崇拝者『陰族』と名乗り、数万年も前から魔神を信仰している組織だと言う。男と女を攫い、魔神崇拝の為の贄として何百年もその風習を続けていると…。
「あの時会ったアイツら…陰族だったのか!」
「それで、連れさらわれたお前の仲間……特徴を言え。」
「え?あぁ…」
キオは仲間について説明する。するとアレクサンダーが焦り出す。
「うん…マズイなぁそれ。」
「は?」
「そのミスルギ皇国の皇女さんと古の民の坊ちゃんかな……色々と疚しい事になるぞ…」
「…………マジ?」
「うん、マジ……大マジ。こっち来い。」
アレクサンダーはキオをある所に連れてくる。連れてこられたのは洞窟の奥深く、壁に描かれた壁画であった。
「これは?」
「……古い未来視じゃ」
「未来視!?これが!!?」
「そうじゃ、儂はこの壁画に触れた途端に……未来視が見えた。」
「え!?」
「……“強欲の者、浅ましき者を誑かし、厄災へと導く”。儂が見た未来視じゃ……。」
「“強欲の者、浅ましき者を誑かし、厄災へと導く”……一体何を見たんだ?」
「……あれは、恐ろしい物じゃ。言いたくても言えない、聞きたくても聞かない様になり、やがて青ざめて恐怖するだけだ。」
アレクサンダーは思い返す。ミスルギ皇国の大地から大地で模る巨人が皇都を煉獄の炎で焼き尽くしている未来視を……。
「じいちゃん?……じいちゃん?」
キオがぼーっとしているアレクサンダーに呼びかける。
「?……あぁ…何でもない。」
「……本当に?」
「……さてと、長話をし過ぎた。お前に渡す装備がある。」
アレクサンダーはキオを家に招く。中はエルダー皇国の様な和風建築構造になっており、エルダー族が使っていた『忍び』と言う隠密用の服が目の前に飾られていた。キオはスパルタンスーツを着脱し、忍びの服を着る。アルヴィースや他のブレイドが使えない代わりに、『オオテンタ』と言う野太刀を身に付ける。
「……髪、伸びたなぁ。」
「ん?……そうか?」
「……良いものをやる。」
アレクサンダーは箱の中から頭骨と思わしき陶器の仮面と赤い髪飾りが装備された兜を渡す。さらに奥の部屋に入ると、そこにあったのは……。
「何…これ…」
キオは驚く。それは上半身がハウザー、下半身がホバー推進器を搭載させた車両、両腕にはガトリング式パルスキャノン、頭頂部にショックカノンが装備されたパラメイル『ホバータンク』が格納されていた。
「パラメイルのスペアパーツをエルダー族と陽族の古代推進技術で作った水陸両用ハウザー『ハウザーリベルド』だ。飛べる事は出来ないが、強力な重火器と荷台には待機用の椅子と予備弾倉も積み込んでいる。さらにホバーバイクもあるからなぁ!」
「超逝かれてるが……カッコイイ!」
「さぁ、準備もできた事だし、乗るが良い!お前さんの愛しの彼女さんと仲間を救いに!!」
キオとアレクサンダーはハウザーリベルドに乗り込み、ホバー推進器を起動し、熱帯雨林の中をホバーで突き進むのであった。