クロスアンジュ 因果律の戦士達   作:オービタル

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第26話:崇め者と拝め者

 

一方、陰族に連れさらわれたサラ達。アンジュとタスク、モモカとヴィヴィアンは何故かガラクタで作られた檻の中に囚われていた。

 

「何なのよ!アイツら!あたし達を攫っておいて、理由は私が正確ブスって!!?」

 

アンジュはサラが部族の長との謁見を認められるが、アンジュ達だけがこの扱い。そんな事にアンジュはギャーギャーと吠えていた。

 

「アンジュ、落ち着いて…まだキオも無事だから、今頃エルマさんを探していると思う。」

 

「フンッ!間に合えばいいんだけど…」

 

アンジュは頰を膨らまし、鉄柵を握りしめるのであった。

 

 

 

 

その頃、サラは部族達の長が待つ謁見の間に招かれる。謁見の間には部族達が念仏を唱えながらサラを崇める。

 

「(何なんですの!?……この宗団は!?)」

 

すると目の前に、族長らし者が座っていた。目を模した紋章が描かれた呪符で顔を隠しており、巫女服をした女性であった。

 

「崇め者…連れて来た。」

 

部民は族長に伝えると、族長がサラに問い掛ける。

 

「美しきマナの異端者……そなた名は?」

 

「……始祖アウラの末裔 フレイヤの一族 サラマンディーネ。」

 

「……妾達は何百万年も前より虐げられて来た。」

 

「?」

 

突然族長がサラに何かを語りかける。

 

「妾は陰族を束ねる者……“真実”の教徒 イリス。」

 

イリスと言う女性は呪符を剥ぎ取り、素顔を表す。

 

「っ!!」

 

サラは驚く。何故なら、その女性に見覚えがあったから…。

 

「な……何故……あなた様が!?」

 

 

 

 

 

 

 

一方、キオはアレクサンダーのハウザーリベルドに乗って、熱帯雨林を出る。

 

「陰族のいるアジトは?」

 

「この先の渓谷の洞窟…“嘆きの口”。そこが奴らの巣窟だ。」

 

「分かった。そう言えばじいちゃん…13年間もここにいて、何で帰ってこなかったんだ?」

 

「……これを、ずっと探していた。」

 

アレクサンダーはポケットから写真を取り出し、キオに見せる。それに写っていたのは、何処かの遺跡であり、その奥に綺麗な鏡があった。

 

「鏡?」

 

「……チャールズとマリア、そしてミレイや皇帝陛下と皇妃殿下の五人が探し求めていた物を導く鏡『モーセ』だ。」

 

「モーセ?旧約聖書に出てくるあの?」

 

「そう…そして儂等がお前と出会って18年間、モーセを見つけてある物を探している。」

 

「ある物?」

 

「……これを渡す。」

 

渡したのはUSBメモリーであった。

 

「そのメモリーの中に……儂等と総裁“X”が探し求めていた物が入っている。これは、決して欲深かしい人間に渡してはいけない。エンブリヲやジュリオ、そしてアレクトラにもだ。」

 

「アレクトラ?誰だそいつ?」

 

「話を長くしてしまったようじゃ、前を見ろ。」

 

「?」

 

目の前のモニター画面に薄暗い渓谷が見えて来だした。そしてハウザーリベルドを降り、高台から洞窟を見る。周りには、陰族の見張りが沢山いた。高台の陰から見下ろすキオとアレクサンダーは作戦を考える。

 

「儂が囮になる。お前はその間に、中に入れ……」

 

「分かった。」

 

キオは了解し、下へと降り、近くの岩陰で合図を待つ。そしてアレクサンダーがハウザーリベルドに乗り込み、高台から飛び降り現れる。ガトリング式パルスキャノンで見張りを蹴散らし、サーモナイザーで洞窟内の増援に目掛けてパルスキャノンを乱射する。

 

「キオ!今じゃ、行け!!」

 

アレクサンダーが合図を出し、キオは洞窟の中へと入る。洞窟内の通路では陰族の増援が直ぐに出入口の方へと駆け付ける。キオは仮面を被り、髪飾りを靡かせ、気配と音、息を殺し、背後に回り込んだ。暗闇の中、影が彼ら殺し、その悲鳴が洞窟内で響き渡る。その悲鳴を聞き、陰族達が駆け付けると、そこにいたのは、無数の死体と血の海、その真ん中に血だらけのキオが目の下の瞳を獣のように煌めかせ、駆け付けた陰族を血祭りに切り裂く。陰族の面の下の顔……逝ったような笑い顔が絶望に満ちた泣き顔と苦しむ顔へと変わっていくのであった。

 

 

 

 

別の間、アンジュ達が囚われている牢屋。すると出入口の方から、悲鳴が聞こえてくる。すると出入口から虹色に輝く尻尾が伸び、先端の鋭いブレードで陰族を突き刺し、引きずり込んだ。奥から悲鳴と肉を食いちぎる音が鳴り、今度は大きな腕が伸び、二人を捕まえ、喰らい尽くす。出入口からテレシア化したキオが人の肉片を吐き飛ばし、元の姿に戻る。

 

「皆んな!大丈夫か?」

 

《キオ!!》

 

「今助けてやる!」

 

キオは半身テレシア化し、檻をこじ開ける。独房部屋から脱出したアンジュはまだサラ子がいないと騒ぐ。

 

「任せろ!」

 

キオは急いでサラがいる謁見の間へと向かう。

 

 

 

 

 

 

謁見の間では、白い巫女服に着替えさせられたサラが、十字架に磔されていた。

 

《崇め者!!崇め者!!崇め者!!崇め者!!崇め者!!崇め者!!》

 

陰族達が生贄であるサラを運ぶ。そして謁見の間に連れてこられ、祭壇の上に、磔されたまま横にされる。そしてイリスが儀式用の短剣を持ち、サラの胸部に突き刺そうとする。

 

「っ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 

サラは拘束されており、助けを呼びたいが、口をロープで縛り付けられ、何も言えなかった。イリスは短剣を振りかぶり、胸部目掛けて突き刺そうとしたその時、クナイが短剣を弾き飛ばす。

 

《っ!!?》

 

イリスや陰族達は後ろを見ると、助け出したアンジュ達と、クナイを投げたキオがいた。

 

「サラから離れろ!!」

 

キオは太刀を抜刀し、イリスに斬りかかる。イリスは陰族を盾にし、回避する。

 

「お前…仲間を盾に!!」

 

キオが太刀で構えている間、アンジュ達がサラを助け出す。キオは下がりながら、サラを守る。

 

「キオ!」

 

「お前ら……サラに何をしようとしていた!!」

 

キオは太刀を構えながら問うと、陰族達が槍を持って、地面にぶつける。

 

《イリス!イリス!イリス!イリス!イリス!イリス!イリス!イリス!〜〜〜〜〜〜!!!!》

 

陰族達が“イリス”の名だけ連呼していると、イリスの背中と腰からドラゴンと思わしき羽が生えた。キオとアンジュ達はそれに驚く。

 

《ドラゴン!?》

 

「……人!?」

 

そしてイリスは顔を覆い隠している呪符を引きちぎり、素顔を表す。アンジュ達は首輪傾げるが、キオはその女性の顔に見覚えがあった。

 

「っ!!?」

 

「…………御母様」

 

「え!?サラ子、今…あんたアイツの事を御母様って!?」

 

「何で……何でミレイさんが!!?」

 

キオが動揺していると、ミレイが語り出す。

 

「美しき崇め者、勇ましき拝め者……贄決まり!!」

 

《崇め!!拝め!!崇め!!拝め!!崇め!!拝め!!》

 

陰族達は『崇め』『拝め』と連呼すると、槍を突き構え迫る。

 

「来るな!!」

 

「ちょっと!どうすれば良いのよ!!」

 

「ち!タスク!俺の太刀を使え!」

 

キオは太刀をタスクに渡し、半身をテレシア化させ、鋭い爪を構える。っが、陰族達はアンジュやタスク、ヴィヴィアン、モモカの方は興味を示さず、キオとサラの方に向けていた。キオはサラを守ろうと威嚇するが、陰族達は迫り来る。それどころか、キオは彼らの本性と恐怖に威圧されていた。

 

「(っ!!!どうしよう、このままだとサラや俺も!頼む、じいちゃん早く!!)」

 

キオはそう思っていると、イリスと言うよりミレイが前に出る。キオが構えたその直後、天井が崩れる。

 

「っ!?」

 

陰族達やキオ達は崩れた天井を見る。すると穴が空いた天井からバンシー・デバイスが現れた。

 

「フェイト!!」

 

キオはバンシー・デバイスが現れた事に驚く。するとバンシー・デバイスからフェイトがモナドを持って出てきた。

 

「モナド!?一体どうやって!!?」

 

「……加戦するぞ。」

 

「え?」

 

突然フェイトが共同戦線と言い、陰族達を振り払う。そしてフェイトはキオの胸に触れる。するとキオの胸からアルヴィース、ヒカリ、メツ、コスモスのコアクリスタルが現れ、また胸の中に戻る。するとキオの手からアルヴィースのモナドが現れる。

 

「ブレイドが……使える!!」

 

するとヒカリのブレイドが二つに分かれ、アンジュとサラの所へ向かう。アンジュはそれを受け取ると、アンジュの手からヒカリのモナドが現れる。サラの方は赤いモナドであった。すると赤いモナドから赤い髪の少女が出てくる。

 

「私は“ホムラ”…貴女の力になります♪」

 

ホムラと言うブレイドはニコッと笑顔を見せ、サラの胸のクリスタルのへと入り込む。キオはサラの胸のクリスタルを見て、自分の胸のクリスタルを見る。

 

「同じだ……」

 

そしてフェイトがミレイにモナドを突き付ける。

 

「キオ……ここは俺に任せろ。お前達はあの老人の所へ向かえ。すでにエーテリオンの戦艦とは交信している。」

 

「何で俺達を!?」

 

するとフェイトがキオの耳元である事を言う。フェイトが放った言葉にキオは驚く。キオはサラの手を掴み、アンジュ達に言う。

 

「アンジュ!タスク!逃げるぞ!!」

 

「「え!?」」

 

「フェイトが時間を稼ぐって!外にはじいちゃんとエルマ大佐が待っている!」

 

「え!?わ、分かった!!」

 

タスクも了解し、キオに連れられ出口へと向かう。残ったフェイトはザンザを呼び出す。

 

『良いのか?……弟に彼の事を言って…』

 

「良いさ…とっくに計画と作戦は、伝えてる。それに、この女性の魂もコイツから解放しないとな……」

 

フェイトはそう言い、陰族を相手するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

洞窟から抜けると、上空にエルマ大佐の戦艦であるキルグナスが浮遊していた。

 

「こっちだ!」

 

キルグナスのポータル装置に、アレクサンダーが待っていた。アンジュ達は直ぐにポータルの中に入っていくと、アレクサンダーが言う。

 

「儂はまだ残る。」

 

「何で!?」

 

「お前さんの妹さんはすでにキルグナスに移送してあるから安心だ。だが儂はこの世界でモーセを探す。お前は向こうの世界でチャールズに言え!『ゾハル』と!!」

 

「ゾハル?」

 

「それじゃあな!!」

 

「じいちゃん!!」

 

ポータルが消え、キルグナスがワームホールを開き、吸い込まれる。一人取り残されたアレクサンダーは地図を見る。

 

「ここにもない。となると、心当たりがある場所は……魔神の体内か…」

 

地図の示す魔神の骸、アレクサンダーはハウザーリベルドを動かし、エルダー皇国跡へと向かう。

 

 

 

 

 

 

黄昏の夕陽、キオ達が辿り着いた場所は、ボロボロになったアルゼナルであった。

 

「ここは……アルゼナル?」

 

完全に基地機能を失ったアルゼナルを見て呟き、それにアンジュはただアルゼナルを見て呆然とする。

 

そして夜、アルゼナルの付近の海に着水して停泊するキルグナスはスパルタンを数十名向かわせて探索を開始させた。

そんな中、キオ達は海辺の近くでキャンプしていた。

 

「帰ってきたんだ……アルゼナル。でも、皆んなは何処?」

 

「分からない、ジルがそう簡単に殺られる人じゃない。」

 

「あぁ、アイツの執念深さは以上だ。」

 

キオ達が悲しい表情をすると、ヴィヴィアンとサラが何かに気付く。すると海中から三つの影が上がって来た。キオとサラはモナドを構える。

 

「サラ、気をつけろ!」

 

「えぇ!」

 

タスクもハンドガンを構える。

 

「お化け!幽霊!海坊主!?」

 

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜」

 

アンジュは怖がりながらタスクに抱き付く。

 

「コ……な…?」

 

ココもキオに抱き付き、怯える。

 

「ココなの?」

 

「え?その声……」

 

ココは自分の名前を知っている事に反応し、キオとサラ、アンジュ、タスク、ヴィヴィアンもその事を聞いて反応する。

するとその人物はマスクを外すとミランダが現れる。

 

「ミランダ!?」

 

「ココー!!良かった!良かった!」

 

ミランダはココに駆け寄って抱き付き、ココもミランダが現れた事に嬉しながら抱き付く。

そしてヴィヴィアンはその他の者達を見た時にマスクを外したヒルダとロザリーを見て驚く。

 

「うわ!みんなだ!!」

 

「ん?うわっ!ドラゴン女!?」

 

ロザリーはヴィヴィアンを見てビビって引いて、ヒルダは笑みを浮かべてアンジュに駆け寄る。

 

「本当に…アンジュなの?」

 

「勿論よ、ヒルダ」

 

それにヒルダはまた笑みを浮かべる。すると出入口の方から数十名のスパルタン達が銃を構える。

 

それにヒルダ達は慌てる。

 

「な!なんだこいつ等!?」

 

「ああ~!待ってくれヒルダ! エルマ大佐達は味方だ!」

 

「はっ?」

 

ロザリーはキオの言葉に頭を傾げる、っとそこにエルマ達がやって来る。

 

「キオ!皆さん…っと、あら?皆さん…?」

 

エルマはヒルダ達の姿を見て、すぐさま隊員たちに言う。

 

「皆!武器を下ろして。アルゼナルの子達よ」

 

「えっ?は、はい…」

 

スパルタン達はエルマの命令に従いライフルをおろし、その様子にエルマはキオに問う。

 

「おい!何だよこいつ等?! 一体何者なんだよ!?」

 

「彼らは解放軍『エーテリオン』、エルマと俺の両親がデウス・コフィンから時空を救うために結成された組織なんだ。」

 

キオの言葉にヒルダ達は驚き表情を隠せなかった。

 

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