クロスアンジュ 因果律の戦士達   作:オービタル

31 / 53
第27話:運命の決別 ・前編

 

「第一警戒ライン通過」

 

「まさか生きてたとは…」

 

ヒカルが別の部屋で話し合っているアンジュ達の方を見ながら言い、それにはオリビエも同意しかねる。

 

「アンジュ達もてっきりロストしたかと思ってました」

 

「今まで何処に行ってたんだ…?」

 

「シンギュラーの向こう…だって」

 

っとパメラが言った言葉にヒカルとオリビエが思わず驚きを隠せない。

 

「「うっそ~!?」」

 

「本当よ。後、もう一つの世界にも行ったって。」

 

 

 

 

「並行宇宙…、もう一つの地球…、ドラゴン、いや…遺伝子改造した人間の世界。未開大地『ウル』」

 

そうジルは呟きながら煙草を取り出す。

キオは頷いて言う。

 

「ああ、そして彼女達は話し合いができる、腐った人間達とは違ってな」

 

「ええ、手を組むべきじゃないかしら。ドラゴンと…」

 

アンジュがそう提案して来たのを聞いたヒルダ達は思わず驚く表情をする。そんな中でジルがキオを睨む。

 

「それにしてもよくもまあ隠していたものだなキオ、まさか未来を見通す力があるとは……。」

 

「当然の事だ。総裁“X”はアンタの想像を超える危険な奴だ…エンブリヲを“金魚”みたいに扱っている。」

 

「ふん…言い様だ。」

 

「それと、先ず最初にやるべきは一つ。」

 

そしてサラがキオの前に出て言う。

 

「先ずやるべき事はこの世界に捕らえられているアウラを奪還する事です。我々アウラの民の目的はアウラの奪還、上手くアウラを取り戻せば全てのエネルギーが立たれ、人間のマナも世界も停止する筈です。そこで考えました。」

 

「エーテリオンとアウラの民、そしてノーマ達。この三つの種族で同盟を結び、一致団結して戦う。」

 

キオの言葉にヒルダ達は驚きを隠せず、その中でジャスミンが納得した表情をする。

 

「敵の敵は味方、成程…」

 

「はい、ご理解していただきありがとうございます」

 

サラの言葉を聞いて、ロザリーが思わず抗議する。

 

「え!?じょ!冗談だろ!?人間は兎も角!あいつ等は沢山の仲間を殺してきた化け物なんだぞ!! ドラゴンと協力~!?在りあねっつ〜の!!」

 

ロザリーは思わず後ずさりする。

そんな中でヴィヴィアンが思わず頬を膨らませてロザリーを睨み、アンジュがそれに言う。

 

「ちゃんと話せば分かるわよ、彼らは…」

 

「無駄だ、奴らは信じるに値しない…」

 

ジルの言葉に一同は振り向く。ジルは携帯灰皿を取り出して煙草を消しながら言う。

 

「アウラなんだか知らないが、たかがドラゴン一匹助けただけでリベルタスが終わると思っているのか?神気取りの支配者エンブリヲを抹殺し、この世界を壊す…それ以外にノーマを解放する術はない」

 

ジルの硬い意思にアンジュは思わず黙り込む。その事にキオが言い返す。

 

「相変わらずだなぁ、俺達はそれ以外の方法を見つけた。アンタがどう言うが何を言おうが、お前の作戦よりマシな方だと俺は思う。」

 

「流石だな、まさか未来視でそこまで見通すとは…。なら、私はアンタが見た起こる未来を搔き消す。」

 

「やってみろ、さらに先を読んでやるから…」

 

キオとジル、両者は互いのやり方に否定しつつ、睨み合う。

 

「辞めるんだ二人共…しかしジル、キオ言葉にも一理あるよ。現にわたし等の戦力が心元ないのも事実だ」

 

「サリア達が寝返っちまったからね…、おまけにあの機体や巨大戦艦までも現れるし。」

 

っとその事を聞いたキオ達は顔を合わせる、どうやらヒルダ達はもう既に奴らとの戦闘は開始していた様だ。そしてジャスミンはキオ達にある事を問いかける。

 

「アンジュ、そこの姫さんとの世界にコンタクトは取れるかい?」

 

「ヴィルキスなら、シンギュラーを開かなくても行けるわ、多分。」

 

「そいつは凄い。エーテリオン、そしてドラゴン達との共闘。考えてみる価値はあるんじゃないのかい?」

 

ジャスミンの提案に聞いたヴィヴィアンは思わず嬉しがる。しかしジルは黙ったまま返答せず、それにキオ達は厳しい表情で見ていた。

 

「…ジル」

 

ジャスミンが再び問いかけ、それにジルはようやく口を開く。

 

「…よかろう」

 

そう言ってジルは扉の方に向かう。

 

「情報の精査の後、こん後の作戦を通達する。以上だ」

 

そう言ってジルは出て行き、それにキオは勿論の事、エルマも厳しい表情をしていた。

 

「エルマ大佐…あの人どう思います?」

 

「あの人…何か企んでるわ。キオ、未来視で何を見たの?」

 

「聞きたいですか?……無茶苦茶な作戦ですよ。」

 

 

 

 

 

 

「はむ!もぐもぐ…美味~い! いや~流石のモモカ飯!不味かったノーマ飯が懐かし~!」

 

キオ達は水を飲んでいるのに、ヴィヴィアンはのん気にご飯を食べていた。するとマギーがヴィヴィアンの身体をあちこち触る。

 

「ぷははははっ!く!くすぐったい!」

 

「本当に…キャンディーなしでもドラゴン化しなくなったのかい?」

 

「そう…らしい!」

 

「大した科学力だね~」

 

マギーはサラ達の世界の科学力に感心する。

 

「あ!そうだ! 向こうの皆は羽と尻尾があったんだけど、アタシなんでないの?」

 

「バレるから切ったよ」

 

「うわっ!!ひでぇ~!!」

 

ヴィヴィアンの様子に向かいに座っているココとミランダ、そして隣の席に座っている若者三人は苦笑いしながら見ていた。

キオ達がそれに顔を合わせる中、タスクがアウローラのを見渡して懐かしさを感じていた。

 

「アウローラ…まだ動いていたなんて…」

 

「タスク、お前この艦の事を知ってるのか?」

 

「ああ、古の民が作ったリベルタスの旗艦。俺達はこの艦でエンブリヲと戦って来たんだ」

 

「へぇ~…」

 

タスクの説明にアンジュは勿論の事、エルマ達も納得する表情をする。

 

「ベットは少し狭いですが、とても快適でした。ご安心を」

 

「そう、良かった」

 

「な〜んも良くねぇよ。戦場からロストして、帰ってきたらドラ姫や男、訳わかんねぇ連中も連れてきて!しかも、男のノーマって何だよ!全く!」

 

「あぁ…厳密に言ったらノーマじゃ…」

 

アンジュはヒルダに謝る。

 

「ごめんヒルダ。」

 

そう言うとヒルダは少しばかり頬を赤くし明後日の方を向く。

キオ達は何やらヒルダの様子を見て頭を傾げる。

 

「何頰膨らましてるんだヒルダ?」

 

「別に、全く…お前等が居ない間大変だったからな」

 

ヒルダがその事を問い、ロザリーが少しばかり暗い表情で言う。

 

「そうそう、アタシ等はとても苦戦した事ばかりなんだよ。アルゼナルは壊滅するわ、仲間は大勢殺されるわ、クリス達が敵になるわ…」

 

ロザリーの言った言葉にキオ達はそれに反応する。

 

「どうしてだ? 何故あのサリア達がエンブリヲの元に?」

 

キオはロザリーに寝返ったサリア達の事を問う。

 

「こっちが知りてぇよ!容赦なくドガドガボコボコ撃って来やがって…! あんなのもう友達でも何でもねぇよ!……」

 

「じゃあ、この艦を護っているのはあなた達だけ?」

 

「ん?そうだけど…」

 

ロザリーはアンジュの問いに頷き、アンジュは意外そうな表情をしていた。

 

「よく無事だったわね?この艦」

 

「喧嘩売ってんのか!てめぇは! こいつ等が頑張ってくれたからな」

 

そうロザリーは指を指して、三人の若い少女たちの方を向かせる。

 

「ノンナ、マリカ、メアリー。戦力不足でライダーに格上げされた新米たちさ」

 

「ココがいない間、私の後輩だからね!」

 

「流石、ミランダ」

 

ミランダが思わず立ち上がってキオ達に言う。それにはキオ達は苦笑いをしていた。

 

「まあともあれ、このアタシがみっちり扱いたお蔭で何とか一著前に───って、あれ!?」

 

するとメアリー達が一斉にヴィヴィアンの方に向かって行き、それにはロザリーも流石に突然過ぎて戸惑った。

 

「あの!お会いできて光栄です!」

 

「えっ?アタシ???」

 

ヴィヴィアンは自分の事を言われて、何が何やら分からなかった。

 

「第一中隊のエース、ヴィヴィアンお姉様ですよね!」

 

「ずっと憧れていました!」

 

「大ファンです!」

 

「そっかそっか♪ よし喰え喰え~!」

 

ヴィヴィアンは自分の食器の具をメアリー達にも分け、その様子にロザリーはやや悔しがる。

 

「ちょっとあんた等!!アタシにはそんな事一言も!?」

 

ヴィヴィアンだけあんなに尊敬され、自分は頑張っているのにこの様な事にロザリーは涙目で悔しがりながら文句を言うのだった。

っとアンジュが何やら考えているタスクの方を見る。

 

「どうしたの?」

 

「いや、アレクトラ…じゃなかった。ジルの様子が気になってね」

 

タスクは頷くと同時にヒルダがその事を言う。

 

「アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ…だっけ」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「皆知ってるよ、司令が全部ぶちまけたからね。自分の正体も…リベルタスの大義の事も」

 

ヒルダはジルが自ら正体を証し、リベルタスの全て、そして自分達の最大の敵であるエンブリヲを倒す事を宣言した事を話して、それにキオ達は納得しながら頷く。

 

「なるほどね…、あの司令が、アレクトラか……(じいちゃん、知ってたんだな)」

 

「アレクトラが…そんな事を」

 

「意気込みは分かるけど。ガチ過ぎてちょっと引くわ…」

 

「貴方にあの人の何が分かるの~!」

 

別に人物の声が聞こえた事にキオ達はその声がした方を見る。

すると厨房から完全に酔っ払いたエマが出て来る。しかもワインをラッパ飲みしながら。

 

「か!監察官?!」

 

「ぷはっ! えまさんで良いわよ~?エマさんで~♪」

 

《さ!酒臭?!!》

 

キオ達はエマからとんでもない酒の臭さに思わず鼻を閉じる。

その事をモモカが言う。

 

「この艦に乗られてからずっとお酒を飲んでいるらしいのです」

 

「ずっとって…マジ!?」

 

モモカの言った事にキオは驚きを隠せない。

 

「しょうがないでしょう!殺されかけたのよ!!人間に…同じ人間に!!」

 

エマはアルゼナルで保護を求めようとしたのに殺されかけたのをマギーが助けてくれて、それ以来エマは酒浸りになってしまっていたのだ。司令であるジルが保護し、エマが信じられる人はジルただ一人だけらしい。

 

「あの人だけよ~!この世界で信じられるのは! そうよね~!ペロリーナ~!!」

 

っとエマはペロリーナのぬいぐるみを抱きながら泣き崩れ、それにマギーが止める。

 

「はいはい、もうその辺にしときな…」

 

マギーはエマを食堂から連れ出して、その様子にキオ達はもの凄く呆れていた。

 

「でも、監察官の言う通りだ」

 

っとロザリーの言葉にキオ達は振り向く。

 

「アタシ等にとっちゃ、信じられるのは司令だけだからな、この世界で…」

 

「……」

 

その事にアンジュは何も言えずにいた。

 

 

そしてキオ達は自室で待機する。キオは祖父であるアレクサンダーから受け取ったメモリーをパソコンに接続する。

 

「さてと、調べるか……『ゾハル』。」

 

キオは『ゾハル』と打ち、検索する。するとゾハルについてあらゆる説明欄と情報が表示される。

 

“ゾハル”───実数宇宙と虚数宇宙、次元の上位領域と下位領域を繋ぐ“窓“のようなものであり、莫大なエネルギーを発生させる機能を持つ金色の巨大なプレート状の物体。私はゾハルを見つけ、モーセの鏡を使い、ウルの影に隠した。

 

「ウルの影?」

 

“ウルの影”───並行宇宙には“影”という物がある。幻想大地“ウル”が光の世界となれば、対となる世界が存在する。それが“ウルの影”と言う影の世界がある。虚無の楽園、ウルの光とは異なる大地、正に影と言ってもいい世界……。だが、エンブリヲの創り上げた世界の前住人は…ゾハルの力を手に入れようと、陰で暗躍していた組織『陰族』と名乗った。

 

「……は!?」

 

陰族を束ねていたのは…かつて『斑鳩家』旧ミスルギ皇国初代皇帝と呼ばれた者。最高指導者に忠誠を誓っていたが、失脚された為か、ゾハルを手にしようと闇に堕ちた。私は…レイナスのモナドと愛機である“クロノス・デバイス”と“アイオーン・デバイス”、“ノルン・デバイス”を駆使し、彼を奈落の底に封印した。これを読んでいるとなら、私は死んでいるだろう。フェメル…ティオル…ココル……忘れるな、ゾハルは強大さは、エンブリヲをも赤子の手をひねるが如く、容易く殺す事ができる。決して彼を信用するな……。

 

───『You have not seen anything』───

 

 

 

まるで機密のような言葉が表示され、キオは思わず立ち上がってしまう。

 

「(どういう事だ?……今束ねている陰族の族長がサラのお母さんであるミレイで?そいつらを昔、束ねていた族長がアンジュの先祖!?ていうか!?これを書いたのが俺の本当の父親で!?どうしてじいちゃんが!?まさかじいちゃんもそいつと同じでゾハルを探している!?あ〜〜〜〜!!何がどうなっているんだ〜〜!!!!!!!!!!??????????)…………兎に角、話を整理してみよう。」

 

キオはそう思い、頭の中やメモで整理する。

 

 

 

・ゾハル──膨大なエネルギーを持つ金属のプレート状。

 

・ウルの影──ゾハルが隠されているウルの反対側の世界。

 

・初代ミスルギ皇帝──ゾハルを狙って、アデルによって倒された偽帝。

 

 

 

 

他にも『アイオーン』『クロノス』『ノルン』と言う完全に時を司る三位一体の神の名を持つデバイスでどうやって……。

 

「ん?」

 

すると他にも謎の三体のロボットの設計図が表示される。

 

「これは?……」

 

 

 

 

──【オーベロン】──

 

“フェルトメイル・デバイス”第一号。その名の通り、妖精王の名や造形を模っており、機体との合体が可能。

 

 

 

──【ティタニア】──

 

“フェルトメイル・デバイス”第二号。その名の通り、妖精女王の名や造形を模っており、機体との合体が可能。

 

 

 

──【ゴッド・イーター ─ キオ】──

 

 

【ゴッド・イーター ─ キオ】と言う謎の言葉に興味を示したキオはさらに調べる。すると……。

 

───『Or breaking the rule?』───

 

いきなり何かのタッチアイコンと書かれている文字が表示される。

 

「!?……何!?」

 

すると今度は、あらゆる関数が表示され、最後の文字に【証明しなさい】と。

 

「ざけんな、じいちゃん!!こんな大学院や政治家で習う様な数学を出して、何になるんだ!!?それともこれを解いて、他の情報を得ろか!?……やってやろうじゃないか!!!勿論!!ジルの企みも警戒しつつ!!」

 

キオは気合いを入れ、『合格』と書かれた鉢巻を頭に巻き、ペンと紙の束を持ち、関数のテストを解いていく。するとサラがノックする。

 

『キオ、居ますか?』

 

「いるよ、入って。」

 

サラは部屋に入ると、部屋の壁中に関数だらけになっていた。

 

「何なのですかこれは!?」

 

「じいちゃんお得意のスーパー関数を使ったパスワードだ。2時間掛けてついさっきやっと解けた…」

 

キオは頭を抱えながら悩む。サラも一緒に見ると、その情報にはサラやナーガ、カナメの龍神器の武装強化や専用システムの構造図、設計図が書かれていた。

 

「どうして、私達の使う龍神器までも!?」

 

「分からない、じいちゃんは冒険家で考古学者だって知っていたが、裏ではこんな情報を掻き集めていたなんて……。一体何を考えているのか。チッ!あのクソジジィ……こんな関数出したこと、覚えてろよっ!!」

 

最後の一文字を打ち、ようやくさっきの文字がが提示される。

 

「YESだろ……」

 

マウスを使い、【YES】のアイコンをクリックする。すると何故画面が暗くなる。

 

「ん?」

 

するとメモリからあるプレート状の物体が出てきた。

 

「これ…」

 

「それは!」

 

突然サラがプレート状を見て驚く。

 

「サラ?」

 

「この形……間違いありません。これはお母様が残した研究所の鍵……」

 

「鍵?」

 

「はい…」

 

「どうなってるんだ?」

 

キオとサラは自分達の親の秘密に疑問を抱くのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。