クロスアンジュ 因果律の戦士達   作:オービタル

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第31話:五人の騎騎士

 

数時間前……キルグナス格納庫。大破したキオのセイレーン・デバイスがハンガーに収納される。リンは必死にセイレーン・デバイスの修理に取り掛かる。そこにグインもいた。

 

「こりゃ酷い。」

 

「無茶苦茶ですね……もし、キオさんが見つかり、生きていたら直ぐに乗せてやれるよう念入りにしないと。……ん?」

 

するとリンが何かに気づく。キルグナスのスパルタン達や整備班達が次々に倒れて行く。

 

「グインさん!あれ!」

 

「どうしたんだ!?……っ!?」

 

通路の目の前に、ドラグニウム粒子を放出する白い龍人が羽を広げ立っていた。

 

「「っ!!!?」」

 

「『見つけた……キオのセイレーン・デバイス。』」

 

その龍人は体から放出するドラグニウム粒子を放出しながら、歩いてくる。リンとグインはブレイドを構えたその直後、二人は彼の威圧感に圧される。コイツはXよりも凄まじき覇道と威圧、オーラを放っている事に、B.Bユニット筈なのに心臓が危険信号を知らせていた。そして二人は圧されたまま動けなくなると、白い龍人は二人を通り過ぎ、セイレーン・デバイスを見上げる。

 

「これがキオ・ロマノフのセイレーン・デバイスか……」

 

白い龍人は大破したセイレーンのあちこちを見る。

 

「これは確かにあの致命傷を負うくらいだな。フリューゲルス、持ち帰るよ!」

 

するとどうやって入って来たのか、神の如く機神が現れ、セイレーン・デバイスを抱える。

 

『本当に良いのか?この機体ごと勇人元帥に持って行って…』

 

「良いんだよ。それに持ってこれなかったら、どうやって修理する?そうしなければ記憶もなく再生中のキオに申し訳ないことだよ」

 

「(再生中のキオさん!?)」

 

「それに本当の神様である俺に口答えしているつもり?」

 

『そのつもりでは…』

 

「まぁ良い……早く戻ろ。」

 

『応!』

 

龍人と機神の会話が終わると、大破したセイレーンごと姿を消す。体が動き始めた頃には、皆んな呆然していた。

 

「聞いたか?」

 

「はい……キオさんは、生きている。」

 

 

 

 

 

 

キルグナス作戦室。

 

「そう、それじゃあキオは何処かに生きて、再生中なのね?」

 

「はい!間違いなく聞きました。」

 

「これだけ探しても行方が分からないのが納得したわ。っで、他に情報は?」

 

「はい、あの機体の名前……『フリューゲルス』って言いました。」

 

「『フリューゲルス』……兎に角、警戒しておくべきね。」

 

 

 

 

 

その頃、真実の地球ではキオがやられた事にオリバー達は驚いていた。

 

「まさか、キオが!?」

 

「総裁Xがキオの祖父だったとは……クソッ!!」

 

オスカーが壁に拳をぶつける。

 

「それで……お姫様は?」

 

「……引きこもっていると……」

 

《…………》

 

「“サラ”がどうしたって?」

 

「誰だね君は?」

 

「……なぁに、俺は別に怪しい者ではありません。」

 

「何が怪しい者じゃありませんだ!!表へ出ろ!!今はそんな事をしてる場合じゃないんだ!!」

 

「まぁ落ち着け…オスカー。」

 

「そうだ!サラマンディーネ様が悲しまれているんだぞ!!あのキオ、生きていたら姫様を悲しませた分、きっちりと叱ってやる!!」

 

「なら、今叱れば?」

 

「何を言っておるのだ!!服装も乱れた黒いコートなどを着て……だって…………っ!!!」

 

ナーガが突然、その人物の顔を見て驚く。

 

「3000年ぶりだな……皆んな♪」

 

その人物はヘルメットを脱ぎ、背まで伸びた髪を靡かせ、素顔を表す。

 

《っ!!!!!!??????》

 

「オスカー…オリバー…ノア…アリアンナ…アン…ナーガ…カナメ……」

 

目は包帯で隠されており、黄金のドールスーツと黒いコートをしたキオ本人であった。

 

《えええええええええええええええええええええええええええええええええええええ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!???????????》

 

涙を流す者や目や下が飛び出た者、行方不明になっている筈のキオが凄い姿で現れた事に驚く皆んな。そしてナーガが怒りながら問う。

 

「うっ!!う、嘘だ!!!!!」

 

「…………俺たちはドラゴンと戦わない。そしてサラの防人だ♪」

 

彼の言葉にオスカー達は覚えがあった。アウラ奪還の際に自分達のこれからの事で、キオはサラの防人として彼女を守ると……。それを知っているのはオリバー達とキオの筈。オスカーは泣き崩れながらキオに抱きついて着た。

 

「キオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!」

 

「キオ!!お前どこ行ってたんだ!!!?3000年ぶりって……どんな世界だよ!!皆んなお前が死んだと聞いて絶望してたんだぞ!!!マリアさんはお前の事で気絶し、チャールズさんは罪悪感に苦しんだんだぞ!!!!!」

 

「皆んなには心配を掛けたり、悪いことをしてしまった。でも理由があったんだ……。」

 

キオは今までの事をオスカー達に話した。別宇宙の存在、キオ達の世界やサラ達の世界、エーテリオン以上の高度な技術と異なる文明、記憶喪失の間の師匠との修業と鍛錬した事を……。

 

「スゲェなぁ……最新型のそのメディカルカプセルって。後、マナの光を完全に使いこなしているって。それって……俺たちの世界の奴らよりもスゲェ平和過ぎやん!!?」

 

「昔はとんでもない大戦争があったから、協力しあって治安を守っているんだ。俺はそこや次元の狭間で3000年間も過ごして来た。」

 

「ちょっと待って!?お前いくつ?」

 

「……18だったが、あの世界にいたから3018歳。師匠は8万78歳だったな♪」

 

「えぇーーーーっ!!!!????」

 

「千も越している!!?という事はお前既に老人か!!?」

 

「ちげぇよ…不老長寿みたいになっているんだよ。次元の狭間って言う所は。」

 

「スゲェ……一体何の修業だったんだ?」

 

「詳しくは俺の師匠に言ってくれ、そしてヤバイ機体もある……」

 

キオはそう言い、プレローマを格納庫まで運ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫のハンガーに収納されるプレローマ。コックピットから下りてくるキオの元に、車椅子で運ばれるマリアと押しているチャールズが駆け付ける。

 

「父さん…母さん……」

 

「「キオ!!」」

 

二人は生きていたキオに抱き締める。

 

「心配かけてごめん……」

 

「良いんだ。お前が生きていれば、私達は……」

 

「……そうだ!!父さん、ウルでじいちゃんにあった!!」

 

「アレクサンダー!?お父さんが!!?」

 

「チャールズ!……キオ、もしかしてあのメモリーデバイスを貰ったのね?」

 

「え?はい……」

 

二人は頷くと、ある所へ案内する。そこはカモフラージュされた研究所であった。

 

「父さん、ここって?」

 

「ミレイさんが残した研究所だ。」

 

キオはチャールズにメモリー内に入っていたプレートを渡す。チャールズはプレートを鍵穴に嵌め込むと、音声認識が起動する。

 

『パスワードを認証した下さい。』

 

「“プロジェクト・ゾハル”」

 

『パスワード認証確認。』

 

扉が開き、奥へと入っていく。中は資料や大量の書類、そして壁画の断片や遺跡の写真と古代文字の本の山であった。

 

「これは……」

 

キオがある資料を見る。それは陰族と魔神 ゼニス……そしてある金髪の少年の写真が載っていた。

 

「父さん、こいつ誰?……父さん?」

 

するとチャールズが厳しい表情になり、キオに言う。

 

「キオ。そいつの事…今こそ話そう……」

 

チャールズは語る。かつてウルには様々な種が住んでおり、我々よりも推進した科学力とマナの光を使った共存も可能にしていた。そう……『ノーマ』と『人間』、総合理解、共和…その全てを解決していた。だがある日、ウルにとんでもない大馬鹿者の来客が迷い込んだ。ウルの世界だと百万年前、この世界だと五百年前……ひとりの来客が迷いんできた。その来客の名は『アルフォンス・斑鳩・ミスルギ』……五百年前、第7次世界大戦の最中にビルキスのライダーとして活躍していた兵士だが、エンブリヲと共にミスルギ皇国とアケノミハシラを建国した人物。そのアルフォンスがこのウルに迷い、ウルの住人の文明と科学力の力に魅入られ、等々彼は野心を持つようになった。それを知ったエンブリヲは彼らとの干渉を破るため、時空の力でウルの扉を引き裂いたが、既に彼はウルの力の源である……万能の力『ゾハル』の一部を手に入れていた。彼はその力を使い、ウルとの扉を自由自在に操れるようになり、エンブリヲの力ですら捻じ曲げていたのだ。そして次第に彼の野心は強まる一方であり、等々彼はゾハルの全ての力を奪うべく、一部の力を暴走させ…………“神”へとなってしまった。

 

「神…………父さん、それって!!?」

 

「そう、そのまさかだ……ミレイさんが調べていたこの研究。全ては“魔神 ゼニス”に対抗すべく、今のジュライ皇帝陛下とソフィア皇妃殿下と共に探してきたのだ。モーセの鏡によってウルの影にやったゾハルを探しに…。」

 

「そうか……じいちゃんの奴、俺の為に。でも、ミレイさんは?なんでアルフォンスが束ねていた陰族をミレイさんが束ねていたんだ?」

 

「おそらく、ミレイさんは催眠術にかかっていると思う。理由は分からないが、サラマンディーネ様を殺そうしたのには何か理由があると思うのだ……。それとキオ……渡したい物がある。」

 

チャールズは横長い古い木箱をキオに渡す。キオは木箱をゆっくりと開ける。中に入っていたのは黄金に輝く剣であり、光っていないコアクリスタルが飾られていた。

 

「この剣……もしかして!?」

 

「そう。それはかつてお前の母であるレイナスが、魔神 ゼニスを討伐した際に使われた真なる天の聖杯“コルタナ”だ」

 

「コルタナ……それがこのブレイドの名前。」

 

「そして……」

 

今度に取り出したのはコルタナが入っていた古い木箱であり、中に入っていたのは二つの剣であった。形状は違うが、黄金に輝いており、コアクリスタルが輝いていなかった。

 

「その剣の名は……『ロロ』と『ゼクス』。」

 

「“ロロ”と“ゼクス”……ん?」

 

キオは三つの剣を見るとある事に気づく。それぞれの剣に三角形の模様があり、それぞれの頂点が白くなっている。

 

「……もしかしたら。」

 

キオは三つの剣をそれぞれの位置に置く。三角形の形になると、三つの剣のコアクリスタルが光りだす。コルタナは翡翠色のコアクリスタル、ロロは中黄色のコアクリスタル、ゼクスは真紅のコアクリスタルへと輝き、キオ達は驚く。

 

「一体何が?」

 

そして三つの剣が指す中心点に金色に輝く光りが集まった直後、光の柱が研究所の天井を突き破った。光の柱から星を覆うほどの六枚の翼を持つ龍が真実の地球軌道上に現れた。キオ達は外へ出て、上空に現れた巨大なドラゴンを見る。

 

《デカ過ぎ!!!》

 

エーテリオンやアウラの都にいる民達も驚いているその時、キオ達の頭に誰かの声が響く。

 

『若きエルダーの皇子よ……』

 

「?……ねぇ、なんか言った?」

 

「嫌、俺たちは何も?」

 

「……もしかして、あのドラゴン。テレパシーを使って、俺たちに話しかけているんだ!!」

 

『若きにエルダーの皇子と五人の騎士よ……其方達は選ばれた。我が名は“地球神龍 オリジン”。悪しき者 Xから真なる地球と偽りなる地球、そして幻想大陸ウルの生命を守護する神……』

 

「地球神龍 オリジン……お前は神なのか?」

 

『如何にも、私は幾億年……クアンタ人の命により、ウルやあなた方の地球を守ってきたものです。あの大戦の最中に私の力は弱まり、滅びを迎えましたが、地球の再生、ドラゴニウムの浄化、手を取り合って生きていく思いが地球の生命を再生させ、それと同時に私も蘇ったのです。』

 

「そのオリジンが俺に何の用だ?」

 

「……率直に言います。総裁 X……いいえ、ヴァラク・ディラ・エルダーの魂を解放してやって下さい。」

 

「……は、何言ってるんだ?俺やココを殺そうとしたあの糞爺の魂を解放?」

 

「そうです。本当の彼は……そんな事をしません。あのヴァラクは違うヴァラクなのです。」

 

「違うヴァラク?あの糞爺は……糞爺じゃない。という事は……憑依?」

 

「……その通りです。」

 

キオはこれまでの出来事を考える。Xの能力、始まりの襲撃、ゾハル、トリニティ・プロセッサの数々のキーワードが揃い、Xの本性を理解する。

 

「そういう事だったのか、あの糞爺……嫌、爺に取り憑いている何かが黒幕か!!!あの時、俺達を助けていたフェイトが俺に言った言葉……“ヴァラクは別人だ。気を付けろ”……こういう事だったのか。」

 

「そう……彼の魂は朽ちた身体を乗っ取られている者に歪み苦しまれおります。倒すには…朽ちた身体を消滅させなければなりません。」

 

「だけど、俺には未来視も因果律予測も使えない。それに奴はエルダーゴアキャッスルにいる。」

 

「いいえ……今のあなたなら、彼の要塞の包囲網を突破できるでしょう。其方に……レイナス様からお預かりいたしました“あれ”を与えます。」

 

するとオリジンが研究所から飛び立ち、身体からある機体を取り出し、現れる。現れたのは龍と思わせる白きドールが翡翠色の天使の翼と深紅色の龍の翼のエナジーウィングを展開し、神々しい光を放つ。研究所から出てきたキオはその機体に驚く。するとオリジンが語る。

 

「このドールデバイスはかつて……レイナス様がゼニスを討伐する際に使われた……最強のドールデバイス『ソフィア』」

 

「“ソフィア”……。」

 

すると上空にワームホールが開き、現れたのは格納庫に整備されていた筈のプレローマであった。プレローマとソフィア相互の機体が金色へと輝きながら一つとなり、結晶体へとなる。そして結晶体の一部にヒビが入り、そこから強烈な光が飛び出し。

オスカー達はそれに目を奪われる。

 

「見て!」

 

そしてヴェルトラトスの結晶体が割れて、光がオスカー達の視界を奪う。

 

しばらくして視界が回復し、オスカー達は目の前を見て驚く。

 

純白と漆黒の装甲、翡翠と深紅の流動経路、模様がある翡翠と真紅に分かれた天使と龍のエナジーウィング、脚部も四本足だったのが二足へと変わり、ドラゴンと思わしき鋭い爪と天使と思わせるヒール、そして蛇のように動く尻尾、そしてエナジーウィングから神の光輪を展開し、雲から曙光が大地を照らしさす。オスカー達はその機体の神々しさに見惚れる。

 

「す、す、す!!スゲェ!!!!」

 

「綺麗…」

 

「なんて神々しさ……」

 

「あの翼……あの光輪……そして尻尾、言える事は一つ。…………カッコ良すぎ!!見た目やコストがどうこうじゃない!!!超神カッコ良すぎる!!!」

 

するとオリジンの身体が光だし、生き物の様な身体が機械へとなり、キオに近づく。

 

「貴方にこれを差し上げます。」

 

オリジンが取り出したのは、蛋白石であった。それをキオの左目の中に入れる。

 

「どうですか?」

 

「……片方だけだ、見える。」

 

蛋白石の義眼を手にしたキオは片方だけだが、目の前の光景やオスカー達の姿が見える。

 

「こんな姿になったけど……ただいま。」

 

キオは皆んなに言うと、キオの新たな機体が降りてくる。

 

「そう言えばキオ、この機体名前はどうするんだ?」

 

「どうするって?」

 

「いや、だって……“”とか、名前長すぎだし……。」

 

「『グノーシス』」

 

『グノーシス?』

 

「……“グノーシス”。呼びやすい名前だろ?」

 

「まぁ、確かに……」

 

オスカー達は納得すると、機械化したオリジンの背にグノーシスが騎乗する。そしてキオはグノーシスに乗り込み、告げる。

 

「エルダーゴアキャッスルに行く。多分、俺一人だと苦戦する…………オスカー、ノア、オリバー、アリアンナ、アン。一緒に来てくれるか?」

 

オスカー達は互いを見て、決心する。

 

「あったりまえだよ!!エルダーゴアキャッスル?上等!!」

 

《共に行く!!》

 

「だがその前に……お前達を強化する!!」

 

《………はぁっ!!!???》

 

キオがオスカー達に言い、オスカーや皆んなが使うドールごとキオの師匠のいる世界へと転移したのであった。

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