異次元の狭間……エルダーゴアキャッスルを警護しながら巡回するフォルトゥラー艦隊とカタストロフィー艦隊。
「何処も異常はないか?」
「異常はない。そもそもこんな包囲網をどうやって来るかだ。」
「ハハハハ!それもそうだ。エルダーゴアキャッスルのユグドラシルは最強の特殊砲。そしてこの無数の艦隊をエーテリオンはかなり警戒しているからなぁ!」
監視塔から見張りをする兵士がお喋りしていると、目の前に影が映る。
「?」
兵士は双眼鏡で覗く。
「あれは……一体なんだ?」
双眼鏡で覗いた影の正体。純白と漆黒の装甲に分かれた大型機体、竜を模した外観を持つ大型機体、大鷲を模した外観を持つ大型機体、甲虫を模した外観を持つ大型機体、戦艦を模した外観を持つ大型機体、球体を模した外観を持つ大型機体であった。
すると竜を模したオスカーの新たなドール・デバイス『リヴァイアサン・デバイス』が複数の腕部に搭載されている兵器『ハイパービーム砲』と尻尾の『テイルバスター』を構え、監視塔やフォルトゥラー艦隊のシールドをいとも容易く突き破り、撃沈した。
「こちら206番艦!!被弾した!!脱出すっ!!」
その時、ブリッジに何かが飛んで来た。それはアリアンナの新たな機体。球体を模したドール・デバイス『ジークフリード・デバイス』が回転しながら、球体表面に搭載されている高周波突撃槍『ブレイズ・スピア』を突きつけながら、次々と艦隊のブリッジを抉り破壊していく。
次に大鷲を模したオリバーの新たなドール・デバイス『ルフ・デバイス』は巨大な主翼兵器『ナノブレードウィング』と『拡散パルスレーザー砲』と『ミサイルバード』でTEEチェイサーとバグズ、ガーゴイル・デバイスを撃墜していく。
一方、甲虫を模したノアの新たなドール・デバイス『スカラベ・デバイス』が『電磁ミサイル』とビームで形成した強襲兵器『デリス・ソード』とスカラベを覆う防御フィールド『ペルス・シールド』を展開し、次々と敵艦や敵機を撃沈していく。
そして、戦艦を模したアンの新たなドール・デバイス『ネフィリム・デバイス』は“フォートレスモード”から“ヒューマノイドモード”へと変形し、巨大な腕や全身に搭載、内臓されている超兵器『ハイパーノバビーム砲』と『プラズマメーサー砲』、『フォトンブラスターキャノン』、『大口径3連装ハイメガ粒子砲』、『スパイラルミサイル』、『イオンミサイル』、『キングヴァイパーロケット』を一斉に放つ。イオンミサイルとキングヴァイパーが敵の包囲網を掻い潜り、艦隊に電磁波と爆発が流れ、大強度であったシールドと装甲がまるで針に糸を通すかのように炸裂し、次々と撃沈していく。
経った数時間でデウス・コフィンの艦隊が四分の一を地獄へと追いやる。これは流石にまずいと判断した兵士達はユグドラシルを使うと命令した。エルダーゴアキャッスルに内臓されている砲口が展開され、エネルギーが集まる。そして砲口から一気に拡散型の生体ガンマ線レーザーが発射される。キオやオスカー達の機体が拡散型の生体ガンマ線レーザーに包み込まれる。
「やった!!」
大爆発と爆煙が立ち込む中、轟音が響く。
「ん?…………何の音だ?」
爆煙が晴れてくると、彼らは絶望を感じた。何とユグドラシルを食らった筈のあの六体の大型機体が無傷であった事を。そして六体から放出する膨大な粒子が散布し、巨大なトリオン型障壁を形成していた。
「嘘……だろ?」
これは流石に兵士や士官達は驚き、急いでユグドラシルのチャージと艦隊に指示を出し、時間を稼ぐようにする。だがそれも叶わぬ結果となる。
「前方に高エネルギー波と高熱量を確認!!」
よく見ると、キオのグノーシスが超巨大兵器『スーパーアルマゲドンキャノン』を構え、引き金を引く。
「the end……」
砲口から高周波を纏った運動エネルギー弾が射出され、艦隊の包囲網のところで高出力拡散レーザーが乱射される。レーザーを放つ運動エネルギー弾は真っ直ぐユグドラシル砲口部へと直撃し、ユグドラシルが完全に破壊された。ユグドラシルや艦隊の大半がなくなり、エルダーゴアキャッスルを守る艦隊が全滅した。残りはエルダーゴアキャッスルを守る対空兵器のみとなり、キオは金色のモナドを構える。
「『チーム “アウトレイジ”』…一斉砲撃と共に、エルダーゴアキャッスル内部へ侵入するぞ!!!」
《おお〜〜〜!!!!!》
キオの宣言にオスカー達はフォートレスモードへと変形し、一斉に砲撃をしながらエルダーゴアキャッスルへと突撃する。
その頃アンジュはエンブリヲに連れられてアケノミハシラに連れられていた。
そしてエレベーターで最下層に降りて、アンジュの目にある光景は映る。
「アウラ…!」
アンジュの目の前にアウラがドラグニウム発生器らしき物を付けられて幽閉されていた。
「どうだいアンジュ、あれがドラグニウムだ。この世界の源であるマナは此処から発せられている、これで色々な事を楽しめたよ」
「貴方…!アウラを発電機扱いにしてるのね!?」
その事には全く否定しないエンブリヲは笑みを浮かばせる。
「ふふふ、人間達を路頭に迷わせる訳には行かないだろう、リィザの情報のお蔭でドラゴン達の待ち伏せは成功し、大量のドラグニウムが手に入った。これで計画を進められる…私の計画が」
そう話すエンブリヲにアンジュは睨みかましていると、エンブリヲの後ろに銃があった事に気が付いたアンジュ。
アンジュはエンブリヲの銃を奪い、頭に銃を突きつける。
カチャ!
「アウラを解放しなさい、今すぐ!」
銃を構えているアンジュに対しても余裕をかましているエンブリヲ。
「おやおや、ドラゴンの味方だったのか」
「いいえ…貴方の敵よ! 兄を殺そうとし…キオとタスクを殺そうとして、沢山のドラゴン達を殺した…敵と考えるのは十分だわ!」
「ふふふ…君のお兄さんは少女たちを皆殺しにしてその罪を受けようとしたが、罪を償うのも悪くない。それにキオ・ロマノフは天の聖杯…今の内に殺し、この“メツ”や君の“ヒカリ”とドラゴンの姫君の“ホムラ”、そして彼の持つ“アルヴィース”を私の計画使わないとね。」
っとエンブリヲが手に持っているメツのコアクリスタルを見てアンジュは驚く。
「貴方…それはキオの!?」
「勿論だとも、ブレイドは普通…ドライバーが死ねば、ブレイドは消滅し、コアクリスタルへと戻る。そしてあの小僧はもう実の祖父であるXによって葬られた。後はメツと私の同調を済ませばXに歯向かえる。」
「そうは…させないわ!」
バッーーーン!!!!
アンジュが持つ銃がエンブリヲの頭部を撃ち抜き、エンブリヲは血を流しながらそのまま倒れる。
「ふぅ…、さて…どうやってアウラを助けようかしら」
「気は済んだか?」
っと聞こえた方を向くと、何事もなかった様に立っていたエンブリヲが居た。
「どうして?!」
アンジュは倒れた方を見るとエンブリヲの死体が無く、それにアンジュはエンブリヲを睨みつけて再びエンブリヲの頭を狙い、エンブリヲの頭を撃つ。
それに抵抗せずにエンブリヲは頭部を撃たれて倒れる。しかしまた別の場所からエンブリヲが現れる。
「無駄だと言っているのに…アンジュ」
「あ…貴方、一体…?!」
「アレクトラから聞いているだろう…?」
っとその言葉にアンジュは思い出す、アルゼナルでジルが自分にリベルタスの事とそしてこの世界を作った者の事を…。
「神様…」
「チープな表現で好きじゃないな。…調律者だよ、私は」
「調律者…?」
アンジュはエンブリヲの言った言葉に呟く。
「そう。世界の音を整える…ね」
そこで、瞬時に周囲の風景が変わった。アンジュは知る由もないが、そこは以前、各国の指導者たちが集まってノーマやドラゴンたちの対処を話し合ったその場所の光景だった。
「はっ!?」
瞬時に形を変えた周囲の姿に、思わずアンジュは息を呑む。
「君は…私を殺してどうするつもりだね?」
アンジュから視線を外すと、彼女に背を向けて二・三歩歩きながらエンブリヲが尋ねた。
「世界を壊して、ノーマを解放するわ!」
アンジュがハッキリとそう宣言する。が、
「どうして?」
実に不思議そうにエンブリヲが尋ねた。
「どうして!?」
そのまま返され、アンジュは驚きを隠せない。そんなアンジュに畳み掛けるように、
「ノーマは本当に解放されたがっているのかな?」
そう、エンブリヲが尋ねてきた。
「確かに、マナが使えない彼女たちの場所は、この世界にはない。だが代わりに、ドラゴンと戦う役割が与えられている。居場所や役割を与えられれば、それだけで人は満足し、安心できるものだ。自分で考えて、自分で生きる。それは人間にとって、大変な苦痛だから」
「!…何を言って…」
エンブリヲの言っていることを聞いている間、アンジュは自身の身体の変調を感じていた。体温が上昇し、呼吸は乱れ、身体が熱くなっていく。が、そんな状態になりながらもアンジュは銃を構える。
「ほぅ…」
実に興味深そうに、面白そうにエンブリヲが呟いた。
「私に、何をしたの!?」
自身の身体の変調の原因を、アンジュはエンブリヲに問い詰めた。が、エンブリヲが素直に答えるわけはない。
アンジュは発砲するものの、今の状態では碌に狙いがつけられないのか、弾はエンブリヲから大きく外れて、彼の背後にあるテラスの屋根を支える柱に命中した。
「君の破壊衝動は、不安から来ているのだね?」
「!」
「奪われ、騙され、裏切られ続けてきた。何処に行くのかもわからない」
「だ、黙れ!」
フラフラになりながらもアンジュが叫ぶ。が、それで止まるようなエンブリヲではない。
「だから恐れて牙を剥く。私が解放してあげよう、その不安から」
「……」
熱に浮かされているような状態になったアンジュ。その瞳から、ハイライトが消え去った。
「愛情、安心、友情、信頼、居場所。望むものを何でも与えてあげよう。だから、全てを捨てて私を受け入れたまえ」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
呼吸が乱れ、そしてアンジュがエンブリヲに従うかのように遂に銃を手から滑らせた。
「身に着けているものも、全てだ」
どこの洗脳系のエロゲの主人公だと言わんばかりの物言いである。そして、同じく洗脳系のエロゲのヒロインのようにアンジュが服を脱いでいく。ドレスを開けさせ、下着に手をかけた。が、その先がなかなか進まない。
「…!…!」
声にならない悲鳴を上げながら、下着に手をかけたアンジュの動きは鈍い。僅かに残っている理性が必死に抵抗しているのだろう。
「強いな、君は」
驚きつつも称賛してエンブリヲが手を伸ばした。そして、アンジュを落ち着かせるように、手の甲で彼女の頬を撫でる。
「私を信じていいんだよ」
その言葉がトリガーになったかのようにアンジュの抵抗は消え、遂に彼女の下着が脱ぎ捨てられた。アンジュは生まれたままの姿で、エンブリヲの真正面に立っている。
「いい子だ」
エンブリヲはそのままアンジュに手を伸ばし、その頬の感触を確かめるように撫でた。
「黄金の髪に、炎の瞳。薄紅色の唇に、吸い付くような肌。張りのある豊かな胸と、桜色の…」
「う、あっ!」
アンジュが身悶える。…それにしてもエンブリヲは、ますます洗脳系のエロゲの主人公っぷりに磨きがかかった感が半端ではない。心から楽しんでいるように窺える辺り尚更である。
「美しい…。ヴィーナスやアフロディーテも、君には敵わない」
美辞麗句か心底の感想かはわからないが、エンブリヲはアンジュの顎を持ち上げると、そのままキスをした。その瞬間、アンジュの脳裏にかつてタスクと交わした口付けと、そしてもう一つ。
『……』
グーサインを出すキオと握手で交わすサラの姿が浮かび上がり、その真紅の瞳にハイライトが戻った。
「ぐうっ!」
痛みに顔を顰めたエンブリヲがアンジュから離れる。
「まさか…」
口元を押さえ、信じられないとばかりにエンブリヲがアンジュを見た。アンジュは僅かに口元を血で濡らしながらそれ…おそらく噛み千切ったであろうエンブリヲの唇の肉片を吐き捨てた。
「何でも与えてあげる…?」
先ほどエンブリヲが言ったことを、アンジュは怒りの口調と表情で吐き捨てる。
「生憎、与えられたもので満足できるほど、空っぽじゃないの、私!」
「……」
心底驚いた表情でアンジュを見つめるエンブリヲ。推測でしかないが、おそらくこの呪縛を破ったのはアンジュが初めてだったのだろう。
「神様だか、調律者だか何だか知らないけど…」
脱ぎ捨てた服で身体を隠し、一度は落とした銃を拾い上げ、再び銃口をエンブリヲに向けた。
「死ぬまで殺して、世界を壊すわ!」
そう、宣言する。
(ありがとう、タスク、キオ、サラ子)
胸の奥で、自分を正気に戻してくれた二人に感謝しながら。一方でエンブリヲは、敵対宣言を受けたにもかかわらず嬉々とした表情を浮かべていた。
「ドラマティック!」
そして、本当に嬉しそうな表情になって両手を広げる。
「えぇ…?」
まさかそういう反応を返すとは思わず、アンジュが困惑する。が、困惑するアンジュに構わず、エンブリヲは地面に片膝を着くと、
「私は、君と出逢うために生きてきたのかもしれない。この千年を!」
大仰にポーズをとりながらそう訴えたのだった。
「はぁ…?」
尚更困惑したアンジュは、エンブリヲに銃口を向けたまま呆れるようにそう呟くことしかできなかった。
一方、アウローラの方ではエルマが皆んなを呼び集めていた。
「皆んな……良い話が山程あるけど、良い?」
《…………》
「…………キオが戻ってきた。」
《えぇっ!!?》
キオの安否が確認され、生きていた事に驚くヒルダ達。
「っで、キオは今エリュシュオンに!?」
「それが………信じられないかもしれないけど、彼の両眼は盲目となってしまったの。」
「それって!もう未来視や因果律予測が!」
「その通りよ。でも……キオはさらなる力を経て、オスカー達を連れてエルダーゴアキャッスルへと攻め落としに行ったわ。」
「エルダーゴアキャッスルに!!?」
「無謀すぎる!!」
「俺たちも助けに……」
「その必要はないと思うわ……これを見て。」
モニター画面に異次元の狭間が映る。
「これは偵察機から見た映像よ……」
すると映像に何かが映る。それは無数のデウス・コフィンの艦隊や部隊の機体が無残な姿になっていた。
「これ!?」
「フォルトゥラー艦隊が全滅している……」
「ここからよ。本当に無残な光景なのは……。」
デウス・コフィン艦隊の残骸の山を抜けると、リン達は驚愕する。それは対空兵器が火を噴き、各格納庫から煙が出ていた。
「これ…………ヤバくない?」
「何があってるんだ?」
すると最上層部で大爆発が起こる。
《っ!!?》
「内部の監視カメラにハックするわ。」
映像がエルダーゴアキャッスルの内部カメラに移る。各カメラに映るのは無数のラフィン・トルーパーの死体の山、そして炎の中に六つの影が映る。ブラスターライフルや各武装、ゴブリンとオークを投入し、警戒体制をする。すると爆炎の中から一筋の光線がラフィン・トルーパー隊を襲う。爆炎から現れたのは黄金のモナドを突きつけた黒いスーツやコートを着たキオ達であった。
その映像と奇妙な服を着ているキオにリン達は驚く。
「あれ?……キオさんやオスカーさん達、かなり変わってません?」
するとキオがモナドを掲げ、振り下ろした直後、衝撃のせいかカメラが壊れ、モニター画面が切れた。
「え?切れた!!」
「ちょっと!今、良いとこだったのに!!」
「今はそれどころじゃないでしょ。ココ」
「あ、はい!」
「サラマンディーネにこの事と映像を見せてあげて。」
「はい!」
ココは録画したさっきの映像とパソコンを持って引きこもっているサラの部屋へと走る。
部屋の中ではさらに荒れて散らかっており、サラは部屋の角の隅っこで毛布にくるまって引きこもっていると……。
「サラマンディーネさん!開けてください!」
「…………」
「お兄ちゃんが生きてたの!!」
「え……?」
その頃、応戦してきたラフィン・トルーパーやオーク、ゴブリンを蹴散らしたキオ達。そして謁見の間の扉を破壊し、駆け上がるキオ達の前に、玉座に座っている総裁 Xと黒騎士、オラクル、そしてフェイト達がいた。
「追い詰めたぞ、X!!」
「まさか生きていたとは…そして私のエルダーゴアキャッスルとユグドラシル、無数の兵士達の攻防を掻い潜り、ここまで来た事は褒めてやろう。だが……」
オラクルや黒騎士、フェイト達がそれぞれの武器を構える。
「この数をどう圧倒する?」
「……くだらない。」
「?」
「オラクルと黒騎士、フェイト達?お前にとっては最強に見えるが……俺から見れば子供遊びの……『オモチャ』の様に感じるんだけどね。」
「ほぉ……」
キオが余裕のある表情をすると、モナドを掲げ、叫ぶ。
「地球神龍!!」
モナドから地球神龍が現れ、総裁 Xを威嚇する。
「……まさか、オリジンと契約するとは。」
「それだけじゃない…………龍装光!!!」
キオの声と共に、オリジンが吼え、身体が光りだす。そして光り輝くオリジンがキオに吸い込まれる。すると今度はキオの方が光りだす。キオのアーマーの形状が変形し、近未来的なアーマーが繊細な和風と滑らかな洋風、そして龍と思わせる爪と牙、そして尻尾と翼を生やしていた。
「まさか、お前一人で我等に刃向かうのか?」
Xがそう言うと、キオは黄金のモナドを構える。
「笑止!!」
キオの雄姿に、Xは笑いながら命令した。
「殺せ…!」
オラクル達や黒騎士、フェイト達が一斉にキオに襲い掛かり、キオは黄金のモナドを構え、立ち向かうのであった。