クロスアンジュ 因果律の戦士達   作:オービタル

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第33話:神の一部

エルダーゴアキャッスル……血のように赤く染まったその要塞で大戦闘が起こっていた。龍装光をしたキオは新たな能力【思考】を使いながら、オラクルや黒騎士、フェイト達の未来視を読み取り、カウンター攻撃をする。しかし、オラクルはまたしてもロンギヌスの槍でキオを拘束する。

 

「チッ!手こずらせやがって……」

 

イザナイは舌打ちし、メシア、シンリの三人がキオを取り押さえながら、Xの前に出す。

 

「態々レイナスが使っていたコルタナ、ロロ、ゼクスを持って来るとは……愚かな2番目の孫だ。」

 

Xは立ち上がり、アルヴィースのモナドを構える。

 

「そうだ……フェイト、此奴の始末を頼む。」

 

「はい…」

 

フェイトはそう言い、ザンザのモナドをキオに向ける。だがXは既にフェイトを睨む。

 

「(馬鹿が……我を暗殺しようとアルヴィースとザンザの力を共鳴し、二刀流で我を切り裂く。無駄な事を……。)この時を待っていた…我が長年の夢がついに実現する。そして我のもう一つの夢……」

 

するとXがキオの耳の近くで言う。

 

「…………」

 

「っ!!?……貴様!!!」

 

キオは怒るが、イザナイ、メシア、シンリが抑えつける。

 

「お前も熟、愚かな者だ……愚かな娘“レイナス”とアルストの英雄“アデル”と駆け落ちし、私の野望を阻止せんと立ち向かった。しかしここまでだ……我が娘よ。我を止める事は出来なかった…これでようやく。感じるぞ!!さぁ……フェイトよ、貴様の手で殺すが良い。」

 

フェイトがモナドを掲げるとキオの表情が笑顔になる。

 

「弟を!!!殺せ!!フェイト!!」

 

Xが叫んだ直後、彼の胴体に黄金のモナドが貫く。

 

「っ!!!?」

 

Xは恐る恐る、振り向く。何とXの後ろに、取り押さえられている筈のキオがいた。Xは前の方も確認するが、そこにキオがいた。二人のキオは笑い、モナドをXから抜く。

 

「「あばよ……糞爺」」

 

『………礼を言うぞ。ティオル……』

 

ヴァラクがキオに優しい微笑みで感謝の礼をし、解放される。するとヴァラクの死体から禍々しい煙が噴き出る。煙が一点に集まり、形を作りだすと、ニライとカナイが全身を震わせ、ディストラは「コイツは……!!!!」と呆然としている。禍々しいの顔になった煙の塊は両の目を見開き、耳まで裂けんばかりに口を開けて背筋が凍るような声を響かせる。

 

「『フフフフフ!!!ア〜〜ハハハハハハハハハハ!!!!!……我!三位一体の力により生みし力!!!時間と空間の調和を乱す、反宇宙論!!!我が名は“魔神 ゼニス”!!!!』」

 

Xの体から現れたのは、かつてキオとフェイトの母 レイナスが封印したとされる災厄を齎らす“神”。『魔神 ゼニス』だったと言う事を知る。オラクル達は膝まづき、ゼニスは集合体で地面につく。

 

「『驚いたよ、テォオル……まさか、私の未来視を越えるとは。』」

 

「黙れ!!お前が全ての首謀者だったとは!!祖父を……ヴァラク・ディラ・エルダー皇帝陛下を!!」

 

「『その通りだ、封印される直前……一部をヴァラクに寄生させた。結果、本体は見ての通りズタボロにされた。だが、魂は今もここにいる。実に良いよ…この体は……さて。』」

 

するとゼニスは口が耳まで裂け、にやける。

 

「『フェメルの愛する彼女を虜にするかフンフフ〜ン♪』」

 

《っ!!??》

 

突然ゼニスが気持ち悪い言葉と舌を出し、オラクルと共に姿を消した。

 

「急ぐぞ!!」

 

「え!?ちょっ!!?」

 

突然フェイトが急いで走る。一体何がどうなっているのか分からなくなるキオは後を追うと、ヴァラクの死体に赤と青のコアクリスタルが転がっており、キオは急いで拾い、フェイトに追いつく。

 

「どういう事だ!!?ゼニスが言っていた愛する者って!?」

 

「俺の大切な人……“ミリーナ”。」

 

「はぁっ!!?何で大切な人がこの城にいるんだ!!?」

 

「人質だったんだ!!地のゾハルと空のゾハルと機のゾハルを渡さなければ、貴様の愛するミリーナを殺すと……。今こうやって暗殺計画を実行したけど、まさかゼニスだったとは予想していなかった。兎に角、急ごう!!」

 

ふやキオ達は急いで、ミリーナが幽閉されている監獄塔へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

監獄塔……ゼニスは監獄塔の扉をこじ開け、ミリーナを犯そうとしたが、部屋には誰もいなかった。しかし、窓の所をよく見ると、カーテンや布団を千切り、ロープの代わりにしており、下の部屋まで伸びており、窓が空いていた。

 

「『…………チッ!!!』」

 

ゼニスは舌打ちし、煙となり、後を追う。その頃、通路を必死に走り抜け、格納庫につく少女。そう、この美少女がフェイトの守っていた大切な人『ミリーナ・アルファス』であった。ミリーナはゼニスから隠れようと、ハンガーに収納されている黄金の機体『イデア』のコックピットに隠れる。格納庫の隙間から煙が入って来ると、形を作り、ゼニスへと変わる。

 

「『ミリーナちゃ〜〜ん、どこにいるのかな〜〜?』」

 

女の敵と思える程の囁きでミリーナを呼びながら探すゼニス。通り過ぎていったと思いきや、頭上のモニターにゼニスが現れ、甘い言葉で言う。

 

「見〜〜〜〜つけた♡」

 

ゼニスは口が裂けた状態で笑い、イデアを揺らす。丁度そこにフェイト達が来て、イデアを見る。

 

「ミリーナ!!」

 

「『これはこれは……皇子様方々一行の御成か。だがお前にこの我やオラクルと黒騎士に勝てるのか?それに、ミリーナだけじゃ飽き足らないから、さっき言った……龍の姫巫女 サラマンディーネを!!!』」

 

その時、キオはコスモスを呼び出してキャノンを乱射する。

 

「黙れ!!お前をサラの所に行かせねぇ!!!」

 

すると天井が崩れ、グノーシスが黄金に輝くモナドを構える。

 

「いくら機体を新しく手に入れ、改造しようとしても、我がゴルドフェニキスには勝てないぞ!!!」

 

「違う!!」

 

ゴルドフェニキスの神託杖から光の槍が伸び、突き付けるが、キオはそれを回避する。キオはグノーシスに乗り込み、あるシステム起動する。するとコックピットの後方から端子が現れ、キオの背中と首、そして頭に装着させると、彼の脳と身体に激痛が走る。筋肉が痙攣を起こすが、徐々に回復していくキオは言う。

 

「さぁ……本当の戦いはこれからだ!!!」

 

キオは蛋白石の義眼を見せ、能力を発動する。オラクル達のロンギヌスの槍が迫った直後、何が起こったのかオラクル達の槍がオラクル達に炸裂した。

 

《っ!!?》

 

「何が起こった!?」

 

「……!!」

 

目の前にいた筈のグノーシスが突然姿を消し、ゼニスが辺りを見回していた直後、目の前からゴルドフェニキスから約1メートルまでグノーシスが聖天を構えていた。

 

「ゼニス様!!」

 

マントラがゼニスを押し飛ばし、聖天の輻射波動がマントラを襲う。

 

「ギヤァァァァァァァッ!!!!!!」

 

膨大な熱量を持って輻射波動がマントラの機械の身体からぼこぼこと膨らませ、やがて爆発した。オラクルであるマントラが一撃で倒された事に、残りの五人は驚く。

 

「マントラを一撃で!!?」

 

「クッ!!生かしてはおけん!!」

 

イザナイとカノンがマントラの仇を取ろうと、先制攻撃をして来た。

 

「【マテリアライズ】ディメンション・ヴァルキュリア」

 

散布されているエーテル粒子を物質化し、武器を作ることが出来るグノーシスは二本の巨大な剣を作り、イザナイとカノンの神託杖を赤子の手を捻るが如く、神託杖ごとイザナイとカノンを一刀両断した。

 

「まさか……やられ」

 

「イザナ」

 

《っ!!!》

 

今度はイザナイとカノンが瞬殺された事に、インガ、メシア、シンリが警戒する。

 

「待て……」

 

《どうやら……我々はとんでもない敵を極限まで高めてしまったらしい。今日のとこは勘弁してやる。だが、次会う時は最後だと思え、ティオル……フェメル……》

 

「俺はキオ……キオ・ロマノフであり『神撃のキオ』だ。」

 

「神撃のキオ、覚えたぞ…その呼び名を!!」

 

ゼニスはそう言い、オラクル達と共に姿を消し、エルダーゴアキャッスルから逃げるのであった。するとエルダーゴアキャッスルが激しく揺れ出す。

 

「何だ!?」

 

「エルダーゴアキャッスルが……崩壊している!!」

 

「急いで逃げよう!!」

 

「すまない皆んな、先に行ってくれ!!」

 

「え?」

 

「まだジュライ皇帝陛下とソフィア皇妃殿下が囚われている!!」

 

「……分かった!俺たちは待っているぞ!」

 

オスカー達は自分達のドールデバイスを呼び、フェイト達もそれぞれの機体に乗り込み、エルダーゴアキャッスルから脱出する。キオは二人が囚われて眠っているとされる研究室へと侵入すると、目の前の光景に吐き気がした。それは実験台に寝かされたオークとゴブリン、そして拉致した人々の無残な死体であった。

 

「……糞が」

 

キオは呟き、二人が眠っているカプセルをグノーシスで持ち上げ、頭部のプラズマレーザーで研究室や資料、全てを破壊していく。そしてエルダーゴアキャッスルの内壁ごと風穴を開け、城から脱出したキオ。みんなに追い付いたキオは崩れ落ちるエルダーゴアキャッスルを見る。

 

「危なかったなぁ!」

 

「あぁ……(何だろう?あのエルダーゴアキャッスル……何かに似ている。)」

 

キオはそう思い、真実の地球へと帰還する。そして彼らが姿を消したとき、ゼニスは呟く。

 

「……ゴルドフェニキスでは無理があり過ぎる。やはり、本来在るべき身体と本来在るべきドールデバイス、そして本来の力を取り戻さなければな……。」

 

ゼニスはゴルドフェニキスのまま拳を握り、マデウスへと帰艦するのであった。

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