そして格納庫ではついに、キオのグノーシスと並ぶ兄弟機『セフィロト』が完成された。キオとフェイトは互いの機体を見て呟く。
「俺のグノーシスと……」
「俺のセフィロト……」
『純白と漆黒の装甲を持つ天使“グノーシス”』『白銀と黄金の悪魔“セフィロト”』が並び立ち、二人は互いの拳をグータッチする。
「あ、そうだ。」
するとキオはポーチから赤と青のコアクリスタルを取り出す。
「これ……ゼニスが持っていたコアクリスタル。」
「これは……母上が使っていたブレイドだ」
「え?」
「無くなってしまったと思った。……」
フェイトは拳を握りしめ、青いコアクリスタルをキオに渡す。
「同調するぞ……」
キオとフェイトはそれぞれのコアクリスタルとの同調を始める。フェイトとキオのの赤と青のコアクリスタルが光だし、現れたのは額に赤いコアクリスタルが埋め込まれ、黒い刀、黒い衣服を着たブレイド『シン』と近未来的な外装と白いプロテクトアーマーをしたブレイド『ダイナ』であった。
「俺の主君はお前か?」
「よぉ!俺のマスターはアンタか?」
「「……あぁ。」」
二人は互いに握手で交わし、シンとダイナはフェイトとキオの身体の中へと入っていった。
そしてキオ達は戦艦インフィニティを含むキルグナス級ドレッドノートやアルデバラン級中型強襲戦艦隊、アンドロメダ級大型重戦闘艦隊、パリ級重フリゲート艦隊が空へ上がっていく。インフィニティの格納庫ではグノーシスとセフィロトの連結が終わっていた。前部にフォートレスモードへとなったグノーシスにセフィロトが合体しており、巨大航空機へとなっていた。コックピットにはグノーシスにキオ、セフィロトにはフェイトとミリーナが座っており、オスカーやナーガ達も準備をしていた。
「「「CPC設定完了。ニューラルリンケージ。イオン濃度正常。メタ運動野パラメータ更新。エーテル炉臨界。パワーフロー正常。全システムオールグリーン。」」」
キオとフェイト、ミリーナは二体の状況を把握しながら設定を確認をし、キオとフェイトが言う。
「「グノーシス/セフィロト!発進!!」」
フォートレスモードのグノーシスとセフィロトが発進すると同時にオスカー達やエーテリオン艦隊を連れて、空へ飛び立つのであった。
ミスルギ皇国、その頃アンジュは……。
「うあああああああ!!!!!!!!」
何やらとんでもない事になって居た、アンジュは生まれたままの姿で何やら床に転がりながら暴れまわっていて、それをエンブリヲは眺めていた。
何故アンジュはあんな事になっているのか、それはエンブリヲがアンジュの感覚と痛覚を全て快感へと変化させていて、それにアンジュは苦しめられていた。
エンブリヲは感覚と痛覚を全て変える事が出来る、彼はそれを使ってアンジュの心を徹底的に落とそうとしていた。
そしてようやく快感である呪いが解けて、アンジュは息荒らした状態で床へと倒れ込む。
エンブリヲはアンジュのそばにより、アンジュを見ながら問う。
「どうだねアンジュ、これで私の妻になる気はあるかい?」
っとそれにアンジュは息荒らした状態で、エンブリヲを睨む。
「はい……エン…ブリヲ…っくたばれ!!屑野郎!!!!!」
アンジュのとても強い心の強さはエンブリヲの感覚変化さえも折らせる事は出来ない、しかしエンブリヲはため息を少し出しながらアンジュを見る。
「はぁ…、やれやれ、困った子だ」
そうエンブリヲは指でアンジュ頭を突き、アンジュに再び快感の感覚を味あわせる、それも次は強烈な物を浴びせて…。
「ああああああああああああああ!!!!!熱いいいいいいいい!!!!!!!!」
アンジュは再び転がりまくりながら暴れ、エンブリヲはその部屋を出ようとした時だった。
「タスク…!!!」
「ん?」
エンブリヲはアンジュの言った言葉に思わず振り向き、アンジュは目に涙を流し絶えながらタスクの名を言う。
「助けて…!!タスク……!!!」
「(タスク…?まぁ良い、いずれ私の物になるからなぁ。)」
エンブリヲはそう思いながらその部屋を出て行く。そして数分後、扉が開き、現れたのは……。
「無様ね」
アンジュに近づきながら、サリアは侮蔑した言葉を浴びせる。
「サリア…」
ぐったりしながら、アンジュは何とか少しだけ顔を上げてサリアに視線を送った。
「エンブリヲ様に刃向かうから、そうなるのよ、バカ」
「バカは…貴方よ。あんなゲス男に…心酔しちゃって…」
ヘロヘロなのに口が減らない辺りは流石アンジュと言ったところか。だが、サリアは特に気にした様子もなかった。
「私にはもう、エンブリヲ様しかいないもの…」
言葉だけならそれっぽいが、その表情はどこか悲しさ、やるせなさを感じさせるものだった。サリアも薄々はわかっているのだろう。エンブリヲの正体に。その紡ぐ言葉が、どれだけ信用できないものかと言うことが。
とはいえ、今言った通り今の彼女にはエンブリヲしかないのである。寄る辺を失いたくはないのだろう。
「でも、あんたは違う。ヴィルキスも、仲間も、自分の居場所も、何でも持ってる。これ以上、私から奪わないで」
それだけ言うと身を翻し、アンジュに背を向けて歩き出した。そして、数歩進んだところで足を止め、振り返る。
「出てゆきなさい、エンブリヲ様が戻ってくる前に」
「え…?」
ノロノロした動きながら上半身を起こすと、アンジュがか細い声を上げた。
「抵抗を続ければ、そのうち心を壊されるわよ。それでもいいの?」
「!」
このままでは十分あり得る未来に、アンジュが瞳孔を開いた。
「別に、あんたを助けるわけじゃないから」
再びアンジュに背を向けたサリアがそう言う。状況によってはツンデレもいいところなセリフではあるが、サリアにはそんな気は全くないだろう。
「えっ…?」
「無様なあんたを、見たくないだけ」
そして、話は終わりとばかりにサリアはそのまま部屋を出ていく。と、不意にその背後からアンジュが襲い掛かり、サリアにチョークスリーパーを掛けた。
「ありがとう、サリア…」
言葉とは裏腹に、アンジュが力を入れてサリアの首を締め上げる。
「これは、助けてくれたお礼よ」
「ぐっ…はっ…」
苦悶の表情を浮かべながら、アンジュの腕を引き剥がそうと必死に抵抗するサリア。だが、残念ながらアンジュの腕はその首にますます食い込んでいった。
「逃がしたより、逃げられたことにしておいた方が、罪は軽くなるでしょう?」
「余計な…お世話よ…この…筋肉…ゴリ…ラ…」
そこで、サリアは意識を手放した。アンジュはそのままサリアを廊下に横たえさせる。
「はぁ…はぁ…」
肩で息をしながら呼吸を整える。と、
「アンジュリーゼ様!」
その場に丁度モモカが現れた。
「モモカ!」
アンジュはオトしたついでとばかりに散々虚仮にしていたサリアの制服を剥ぎ取るとそれを身に着け、モモカに支えられながらその場を後にしたのだった。
一方、暁ノ御柱最深部ではアウラの周囲を取り囲むように配置されているラグナメイルが、エンブリヲによる永遠語りに共鳴するかのように淡く光り輝いていた。
「準備は整った」
そう宣言すると、エンブリヲは後ろにいるエルシャたちへと振り返る。準備とは当然、以前アンジュに明かしていた時空融合のことだろう。
「総員ラグナメイルに騎乗! 計画完了まで暁ノ御柱を護れ!」
『イエス、マスター!』
エンブリヲに敬礼を返すと、エルシャたち四人は速足でその場を後にした。エルシャたちを見送ったエンブリヲが首を戻すと、そこに先ほどまではなかった一つのウインドウが浮かんでいた。
拡大したウインドウに映ったのは、下着姿で廊下に転がっているサリアの姿だった。
「くっ!」
その姿で大体何があったのか想像ついたのだろう。忌々しげな表情でエンブリヲは舌打ちをしたのだった。
一方、脱出に成功したアンジュはモモカに支えられながら皇城の中庭を出口に向かって歩いている。と、
『何処に行くの、アンジュちゃん』
不意に、二人の耳に通信越しのそんな声が届いた。声が聞こえた方に振り向いた二人の視線の先には、その声の主、エルシャがフライトモード状態のラグナメイルに乗ってアンジュとモモカを見下ろしていたのだった。
「エンブリヲさんが探してるわ」
サリアの状況からすぐに指令が飛んだのか、エルシャはその旨を伝えてきた。が、大人しく従うようなアンジュとモモカではない。
「走れますか、アンジュリーゼ様」
「ええ…」
体調はまだ万全でないながらも、エンブリヲに弄ばれているときよりは余程ましであるため、アンジュも頷いたのだった。そして二人は連れ立って走り出す。
「あらあら、仕方ないわね」
走り出した二人を見下ろしながらエルシャはそう呟くと、アンジュたち…正確に言えばアンジュを捕えるためにラグナメイルのスピードを上げた。
「くっ!」
グングン詰まっていく距離に不安げなモモカと歯噛みするアンジュ。と、アンジュの指輪が光を放った。そして、それに呼応するかのようにヴィルキスが瞬時にアンジュたちの目の前に現れる。現れたヴィルキスは主の意を汲むかのように、すぐさまアサルトモードからフライトモードへと姿を変えた。
『ヴィルキス!』
エルシャとクリスが驚きの声を上げる。アンジュは急いでヴィルキスに跨った。
「モモカ、乗って!」
「はい!」
モモカも急いでヴィルキスに跨る。そして、アンジュはそのままヴィルキスを発進させる。その直後、ヴィルキスのいた場所にエルシャの攻撃が着弾したのだった。
「クリスちゃん!」
「わかってる」
エルシャからの通信を受け取ったクリスが返事を返した。
「逃がさないよ、アンジュ」
そのまま、二機で追撃態勢に入る。
「くっ!」
歯噛みしながらヴィルキスを操縦するアンジュ。だが、流石にラグナメイル同士だからか、振り切るのは至難の業だった。ライフルが雨霰とアンジュを襲う。そうこうしている間にターニャとイルマも合流し、一対四の絶望的な状況になっていた。
「アンジュリーゼ様ーっ!」
必死でしがみついているモモカが救いを求めるかのように主の名を呼ぶ。だが、アンジュもこの状況を打開できる術はない。
(どうすれば…!)
焦り始めたその時だった。暁ノ御柱直上に不意にシンギュラーが開いたのだ。そしてそこから、エルシャたちを牽制するかのようにビーム砲が降り注いだのだった。
「!」
思わずアンジュが顔を上げる。そこには、こちらに舞い降りてくる機影が三つ。その先頭に立つのは当然と言うべきか、キオのグノーシスとオスカー達やインフィニティであった。
『助けに来たぞ!!アンジュ!!』
「キオ!?」
キオのグノーシスとフェイトのセフィロトは分離し、ダイヤモンドローズ騎士団と向かい会うのであった。