クロスアンジュ 因果律の戦士達   作:オービタル

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第36話:遺されるもの・前編

 

アンジュを捕まえようとした時にキオ達の登場でエルシャ達はより警戒を強め、アンジュはキオのグノーシスを見て通信を入れて来る。

 

「キオ!あなたキオなの!?」

 

「アンジュリーゼ様、キオさんの機体はセイレーンではありません…」

 

モモカがアンジュにそう聞いてくる中でヴェルトサーガから通信が帰って来た。

 

『久しぶりだなアンジュ、無事でなによりだ』

 

「キオ!あなた無事だったのね!それにあなた、目が!?」

 

「まぁその事は後にしてくれ。つうかお前から変な臭いがするんだけど……」

 

アンジュが絶句する。図星を突かれたのだから仕方ないところでもあるのだが。

 

「風呂でも入ったらどうだ?その間、このラグナメイルの雑魚どもは俺らに任せておけ!」

 

キオはグノーシスに搭載されている輻射推進型自在可動有線式右腕部『聖天』を構える。

 

「じゃあ…お言葉に甘えて!」

 

機首を返し、アンジュは全速で離脱していく。

 

「皆んな!用意は出来てるか?」

 

離脱していくアンジュを見送ったキオが左右に控えているオスカー達

に尋ねた。

 

《おぉ〜!!》

 

オスカー達の返答を聞いたキオ。そして引き受けたの言葉通り、ダイヤモンドローズ騎士団へと突っ込み始めた。ラスキー達もキオの後に続く。

 

「目標!アウラ奪還!!」

 

新たな戦闘が始まり、その上空を見上げる人影が皇城に一つ。

 

「何ですの、あれ?」

 

シルヴィアであった。車椅子に乗って外の様子を見ていると、戦闘を繰り広げているセフィロトが彼女の方に突っ込んでくる。

 

「きゃああああああーっ!」

 

その姿に悲鳴を上げるシルヴィア。そして、

 

「助けて、エンブリヲおじ様ーっ!」

 

相変わらずの素早い身のこなしでエンブリヲに助けを求めながらその場を去ったのだった。その間も、ミスルギ皇城の上空ではキオたちとダイヤモンドローズ騎士団、そしてエーテリオンとデウス・コフィンの艦隊の戦いが繰り広げられていく。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒルダ、何か変だ。もう戦闘始まってる!」

 

戻って来たキオ達とダイヤモンドローズ騎士団との戦闘の光景はアンジュを救出にきたヒルダたちからも視認できたのだろう。想定外の事態にロザリーが驚きの声を上げた。

 

「はぁ?」

 

それはヒルダも同様だったようで、訳が分からないといった表情をしていた。そんな中、

 

「クンクン…クンクン…」

 

ヴィヴィアンが鼻を鳴らす。そして、

 

「ヒルダ、アンジュあっち!」

 

得物を捉えたようだった。

 

「は?」

 

「あっちー!」

 

そのままヴィヴィアンは自分の嗅覚がアンジュを捉えた方向へと機首を向ける。

 

「くそ、どうなってんだよ!」

 

ロザリーは相変わらず混乱気味である。戦いに行ったのに、すでに戦闘が始まっているのだから仕方ないが。更に、当事者の一方はどこの勢力なのかわからないのだから尚当然である。

それはヒルダも同じだったかもしれないが、彼女は部隊を預かる身のためすぐに次の行動に移った。

 

『タスク、作戦変更だ』

 

出撃前の作戦通り、超低空を滑るように走るタスクに通信を入れたのだった。

 

「えっ?」

 

ここにきての作戦変更に訝しげな表情になるタスク。だがそれも、次の通信内容で得心のいくものとなった。

 

『アンジュはもう、皇宮にはいないらしい。これより追跡する』

 

「わかった!」

 

通信を切ったタスクもヒルダたちと同じように作戦の方針を転換させて、ひとまずアンジュの探索に舵を切った。

その頃当のアンジュは、相変わらずミスルギの皇城から離脱している最中であった。

 

「モモカ、追手は?」

 

後ろを気にしながら、アンジュがモモカに尋ねる。

 

「今のところは…」

 

モモカがそう答えた直後、

 

『アンジュ、いたー!』

 

通信からヴィヴィアンの声が聞こえてきた。

 

「!」

 

驚いてアンジュが真正面に視線を向ける。そこには、

 

「すげぇ、ホントにいた」

 

「助けにきましたよ!アンジュ!」

 

「みんな…サラ子も…!」

 

そんなアンジュのヴィルキスを、凱旋門のようなオブジェの上からライフルで狙いをつけているパラメイルが一機。クリスであった。クリスは慎重にライフルの照準を合わせるとその引き金を弾いた。ビーム砲が寸分の狂いもなくヴィルキスに向かって放たれる。

 

「っ!!…アンジュ!」

 

最初に危険に気付いたヴィヴィアンが叫ぶ。が、ビームは容赦なくヴィルキスに迫り、アンジュを飲み込もうとしていた。その瞬間、またも指輪が光ってバリアのシールドのようなものがヴィルキスを護る。だがそれでもビームの威力は十分だったらしく、当たり所が悪かったのかシステムがダウンしてしまった。

 

「きゃああああああーっ!」

 

モモカの悲鳴と共にヴィルキスは力なく高度を落とす。幸い…と言うべきか、下が河だったため地面に落ちるよりも軟着陸で不時着することができた。

 

『アンジュ!』

 

ヒルダ、ロザリー、ヴィヴィアンの三人が叫ぶ。それに割り込むように、

 

『どいて』

 

無機質な通信が三人の元に入った。三人が顔を上げると、クリスのラグナメイルが突っ込んでくる。

 

「アンジュ…連れて帰るから」

 

「アンジュはあたしが貰ってく。邪魔すんな!」

 

「へぇ…助けにきたんだ…」

 

俯き加減で顔を伏せるクリス。そうしている間にも、悪意のオーラと呼ぶべきものが増していくのがわかる。

 

「あたしのことは、見捨てたくせに!」

 

とうとう感情が爆発したクリスがヒルダたちに向けてライフルを乱射する。

 

「おおおーっ!」

 

驚きながらヴィヴィアンが攻撃をかわす。

 

「ま、待てクリス!」

 

ロザリーが制止しようとする。そんなロザリーとは反対に、

 

「邪魔すんなって言ってんだろ!」

 

ヒルダが距離を詰めて襲い掛かった。クリスも受けて立つとばかりにブレードを抜くと、ヒルダと鍔迫り合いを繰り広げる。

 

「あんたが、あたしに勝てるとでも思ってんのかよ」

 

「変わらないね、そういうとこ…」

 

二機のパラメイルは瞬時に距離を取るとライフルで牽制しあう。そしてまた距離を縮めてブレードで斬り合った。

 

「あたしのことなんて、弱くて使えないゴミ人形ぐらいにしか思ってないんでしょう!?」

 

「はぁ!?」

 

「あたしはもう昔のあたしじゃない!」

 

積もり積もった鬱積を爆発させるかのようにクリスがライフルを乱射する。

 

「邪魔すると…殺すよ?」

 

ヒルダに向けたその殺気は、確かに躊躇いの見られないものだった。

 

「クリス…」

 

「ひいーっ!」

 

ロザリーが信じられないとばかりに言葉を詰まらせ、ヴィヴィアンは大仰にのけぞる。そんな中、

 

「はっ、やってみろよ!」

 

ヒルダはクリスの挑戦を受けて立ち、再びクリスへと突っ込んだのだった。そしてクリスと斬り結びながらタスクに向けて通信を開く。

 

「タスク、ヴィルキスが落とされた! こっちは手が離せねえ。アンジュを頼む!」

 

「わかった!」

 

「ドラ姫は急いでキオの所へ向かえ!」

 

「承知!!」

 

ヒルダの通信を受け取ったタスクとサラは、自機のスピードを上げたのだった。

同じ頃、そのアンジュはと言うとモモカから人工呼吸を受けていた。河に不時着したため機体自体に重大な損傷はなかったが、搭乗者のアンジュは着水時にしこたま水を飲んでしまったらしく、意識を失っていたのだ。

そして、そんな主を目覚めさせるためにモモカが必死に人工呼吸をしているところだった。

 

「…ぐっ、ゲホッ、ゲホッ!」

 

何回かの人工呼吸の後、アンジュがえづきながら咳き込んで意識を取り戻した。

 

「姫様!」

 

意識を取り戻したアンジュにモモカが心底ホッとしたような表情を浮かべる。

 

「モモカ…?」

 

未だ少し朦朧とした頭でモモカの顔を見る。だが、その姿の向こうに衝撃的なものを見てしまっていた。

 

「ヴィルキスが…!」

 

そう、河に水没していくヴィルキスの姿だった。気がかりではあるのは確かだが、今はそれに構っている暇はないのもまた事実だった。

 

「行きましょう、モモカ」

 

ふらつきながらもアンジュが何とか立ち上がる。

 

「どちらにですか!?」

 

モモカが脇からアンジュを支えながら彼女に尋ねた。

 

「ヒルダたちが来たってことは、近くにアウローラがいるはず。海まで出れば、合流できるわ」

 

「は、はい!」

 

こうして主従は寄り添うように海を目指して歩き始めたのであった。そうしている間にも戦火は広がり、皇城にも流れ弾や狙いの反れたビーム砲などが着弾し始める。そんな皇城の中庭で、身を寄せ合うように震えている一団があった。エルシャが面倒みている、エンブリヲ幼稚園の子供たちである。

アルゼナル育ちとはいえそこは子供。まだ戦闘に慣れているわけもなく、肩を寄せ合って泣きそうになりながら恐怖に震えていた。

 

「皆! エルシャママが帰ってくるまでの辛抱だからね!」

 

子供たちの中でもお姉さん格の一人の子が、他の子たちを元気づけるためにそう励ました。するとそこにインガが現れ、神託杖を構えるのであった。

 

 

「車、探してきますね。ここで休んでいてください」

 

一方、モモカと共に連れ立って歩いてきたアンジュは、ひとまず路地裏の路上に腰を下ろしていた。まだあまり身体に力が入らないのだろう。エンブリヲに身体の感覚をいじられて弄ばれ、先ほどまでしこたま水を飲んで意識を失っていたので仕方ないのだが。

 

「世話をかけるわね、モモカ…」

 

か細い声でアンジュが礼を言う。

 

「モモカ・荻野目は、アンジュリーゼ様の筆頭侍女ですよ」

 

そう言って微笑むと、モモカはそのまま車を探しに走り出したのだった。

 

「はぁ…はぁ…」

 

モモカを見送ったアンジュが疲れたとばかりに大きく呼吸を繰り返す。と、すぐ側に人の気配を感じた。

 

「モモカ…?」

 

思わずアンジュがそう口にする。だが、そんなわけはないのだ。車を探しに行ったのに、すぐに見つけられるはずがない。普通ならそのぐらい気づきそうなものだが、今の弱っているアンジュにはその判断もできなかった。案の定、そこにいたのは熊のぬいぐるみを抱えた見たこともない一人の少女。

 

『疲れただろう?…アンジュ』

 

だがその口から紡ぎだされた声は、少女が出すとは到底思えない代物であり、そしてアンジュも良く知っている人物のものであった。

 

「っ!エンブリヲ!?」

 

ぎょっとした表情になって慌ててアンジュが立ち上がった。

 

『さあ、帰っておいで』

 

喋る少女の隣にウインドウが開き、そこにはエンブリヲの姿が映っていた。と、まるで計ったかのように丁度いいタイミングでモモカが車を調達して戻ってきた。

 

「アンジュリーゼ様、お車の「出して、モモカ!」」

 

全てを聞き終わる前にアンジュがふらついた足取りでモモカの元まで移動し、倒れこむように車に乗り込んだ。

 

「えっ!? は、はい!」

 

状況がわからないがそれでも主人の命令である。モモカ自身もすぐに車に乗り込むと、そのまま車を発進させたのだった。その頃、

 

「アンジューっ!アンジューっ!」

 

タスクがヴィルキスの着水地点にようやく到着して辺りを探している。だがもう既に移動した後なので、呼べど叫べど当然のようにアンジュの姿を見つけることはできなかった。見つけられたのは水没したヴィルキスだけである。

 

「っ!」

 

何か手掛かりはないかとタスクが周囲を見渡す。と、あるものを見つけた。それは、いつもモモカの胸元に結ばれているリボンだった。そしてそのリボンの落ちている近くに、足跡が二つ。その足跡は、真っ直ぐ街中に向かっていた。

 

 

 

「待ってくれクリス!」

 

ミスルギ皇城の上空では、未だにクリスとヒルダたちの戦闘が続いていた。ロザリーが必死の説得を試みる。

 

「何で…何であたしたちが殺し合わなきゃいけないんだよ!」

 

必死の説得は続く。が、

 

「人のこと見殺しにしておいて…!」

 

今のクリスの耳には届かない。

 

「あの時は…助けに行きたくても行けなかったんだ!」

 

ライフルの乱射を何とか回避しながら尚説得は続く。

 

「助ける価値もないから…でしょう!?」

 

だが、やはりクリスの耳には届かなかった。そのまま、クリスはロザリーのグレイブに突っ込んで体当たりを浴びせる。

 

「あんたたちはいつもそう。何にも変わってない」

 

そこでクリスは乗機のラグナメイル…テオドーラをアサルトモードからフライトモードに変形させる。そしてヘルメットを外し、シートから腰を浮かせて立ち上がった。

 

「ねえ…これ、覚えてる?」

 

そして、自身の三つ編みを手に取るとピンと伸ばしてロザリーとヒルダに尋ねる。覚えているのかいないのか、二人の反応は微妙なものだった。

 

「七年前のフェスタでさ…」

 

クリスが昔の…その時のことを語り始めた。

 

 

 

 

《回想》

 

 

 

「せーの!」

 

まだ幼い…十歳前後のヒルダ、ロザリー、クリスが目の前にある紙袋を取った。と言っても、ヒルダとロザリーが先に選び、クリスは残り物を取るという形だったが。

 

「それあたしが買ったやつ!」

 

ヒルダが取り出した紙袋の中身を見たロザリーが声を上げた。

 

「へぇ…いいセンスしてるじゃん」

 

言葉通り、ヒルダはまんざらでもない様子だった。そう、彼女たちはプレゼント交換をしているのだ。紙袋なのは、中身が見えないようにするためだろう。

 

「あたしが選んだんだよ」

 

ロザリーが取り出したもの…水玉柄の靴下を見たクリスがそう言った。

 

「えへっ、クリスらしい!」

 

喜ぶロザリーの姿に、クリスも嬉しそうに微笑んだ。そして、そのままクリスも紙袋を開ける。

 

「わぁ…可愛い…」

 

そこに入っていたのは、真っ赤なリボンだった。だが、一つだけしか入っていなかった。

 

「でも、どうしよう? 一つしかないんじゃ…」

 

そこにクリスは難色を示した。当時のクリスは左右で三つ編みを一つずつ作っていたため、リボン一つでは足らないのだ。そこに口を挟んだのがヒルダだった。

 

「お下げ、一つにしちゃえば?」

 

「え?」

 

クリスが顔を上げる。

 

「二つだと、あたしと被ってるし」

 

「あ、いいじゃんそれで。な!」

 

ロザリーも追随する。

 

「う、うん」

 

二人に促され、クリスも頷いた。が、本心は違っていた……。

 

 

 

《回想終了》

 

 

「酷いよね。あの髪形、気に入ってたのに」

 

「それが今更、何だって?」

 

「それだけじゃない!」

 

刺すように冷徹な視線で返事をしたヒルダに、クリスが感情を昂らせる。

 

「ずっとずっと我慢してた。何でも受け入れようとしてきた。あんたたちの我儘も、自分の立ち位置も。友達だと…思ってたから…」

 

鬱積した感情が爆発する。クリスの脳裏には後方支援に回っていることで碌に稼げなかった時のことや、ヒルダとロザリーが仲良く遊んで自分がハブられている(と思っている)時のことが次々と浮かんでは消えていた。

一つ一つは小さくても、それが積もれば山になる。今のクリスがまさにそうだった。と、不意にクリスが口元を醜く歪める。

 

「なーんて、わかるわけないか。人の気持ちのわからない女と、何も考えてないバカに」

 

「「!」」

 

初めてと言っていいクリスからの辛辣な言葉に、ヒルダとロザリーが表情を歪める。

 

「でも…エンブリヲ君は違うよ」

 

そして、今身を寄せる『友達』のことを口にしたのだった。あの時、アルゼナルが崩壊した直前、太陽の逆光越しに見上げたそこにいたのは、ヒルダでもロザリーでもなく、この時はまだ誰かも知らない初対面のエンブリヲだった。

 

『私と、友達になってくれないか? クリス』

 

そしてエンブリヲはクリスの左手を取ると、エンゲージリング宜しく彼女の中指に指輪を通した。

 

『これが…』

 

それこそが、後にクリスに与えられるラグナメイル、テオドーラのキーであった。

 

「………永遠の友情の証!」

 

それをヒルダとロザリーに見せつけるかのように手の平を二人に向ける。そしてそのまま三つ編みに手を掛けると、それを結んでいたリボンを引きちぎった。まるで過去と決別するかのように。

 

『……』

 

何を返せばいいかわからず…いや、何も返せずにヒルダとロザリーが絶句する。

 

「あんたたちは、友達なんかじゃなかったんだ!」

 

感情を爆発させたクリスがテオドーラをアサルトモードに変形させてヒルダたちへと突っ込む。

 

「頼むクリス、あたしの話を!」

 

それでもロザリーがクリスを説得しようとする。が、クリスは耳を貸すわけもなくライフルをロザリーに向けて発砲した。

 

「うわっ!」

 

慌ててロザリーが回避する。そんな戦況は戦闘空域から離れた位置にいるココ達にも聞こえていた。

 

「ロザリーお姉さま!」

 

当然その戦況は、待機している新兵の三人たちの耳にも入っている。

 

「あたしたちも行こう!」

 

新兵の一人、マリカがそう言った。

 

「ちょっと、マリカ!」

 

「命令は待機だよ!?」

 

左右から残りの二人の新兵、メアリーとノンナが抑える。が、

 

「でも、お姉さまが危ない!」

 

マリカが二人を振り切って出動したのだった。

 

 

 

 

 

 

一方、キオ達の方はカタストロフィー艦隊を撃沈して行く。オスカーのリヴァイアサン・デバイスは胴体をくねらせ、フォルトゥラー艦の装甲を貫いていく。そしてそこにキオのグノーシスとフェイトとミリーナのセフィロトが螺旋状に空を舞い、艦隊や敵機を撃墜していく。するとそこにターニャのビクトリアとイルマのエイレーネ、エルシャのレイジアが立ちふさがる。

 

「さぁて……少し遊んでやるか……」

 

「当然だ…コイツらはまだエンブリヲの本性に気付いていないようだからなぁ。」

 

キオとフェイトはそう呟き、聖天を飛ばす。聖天は蛇のように動き、有線式ビームワイヤーを自由自在に伸ばしつつ、敵艦の装甲諸共切り裂く。

 

「……来る!!」

 

フェイトの言葉と共に、上空からマデウスが現れた。

 

「来たか……」

 

するとマデウスからゼニスのゴルドフェニキスとインガ、メシア、シンリ、黒騎士が舞い降りて来た。

 

「情けないなぁ、ダイアモンドローズ騎士団。こんな奴らに苦戦するとは……。」

 

《ゼニス!!》

 

キオ達は武器を構えると、マデウスが変形し、巨大なロボットへとなる。

 

「掛かって来い……」

 

「上等!!」

 

キオは聖天を構え、輻射波動レーザーを放つ。ゼニス達は一斉に回避すると、レーザーはマデウスのシールドを突き破り、装甲諸共貫通した。

 

《っ!!?》

 

マデウスの強力なシールドがグノーシスの聖天から放たれた輻射波動レーザーでまるで矛盾であった。キオは開いているシールドへ向かい、聖天の鉤爪を使い、さらに開口する。

 

「オスカー!キース艦長!今だ!!」

 

キオの合図とともに、エーテリオン艦隊がシールドの中へと入り、マデウスに向けてMacガンを放つ。ゼニスはそれに驚き、迎撃しようとしたがフェイトのセフィロトが立ちふさがる。マデウスの円周は強力なシールドで覆われているが、シールド内へと侵入すればマデウスはエーテリオンにとって動く巨大な的でもあった。幸いなことに、マデウスの主砲はシールド内では使えなく、対空システムしか使えなかった。インフィニティやドレッドノートはMacガンやミサイルを一斉に放ち、次々と対空システムや装甲を破壊していく。オスカー達がシールド内に入ると、アンとキオ、フェイトとミリーナの四人がゼニス達を相手することになる。

 

「勝負!!」

 

そしてゼニスは攻撃されているマデウスの事で無性にキオに腹を立てていた。

 

「game over!!!」

 

ゼニスはゴルドフェニキスの近接武器『ゴルディオンブレード』を抜刀し、キオのグノーシスに切りにかかるのであった。

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