「ラグナメイルコネクター、パージ」
日が沈んで夜になったミスルギの皇城で、エンブリヲの声が響く。が、それと同時に何かを引っ叩く音がその空間に響いた。
「くっ!」
直後に、サリアが顔を赤く染めたまま苦悶の表情を浮かべている。どういう状況なのかと言うと、エンブリヲが椅子に腰かけながら自分の計画の指示を出している。そして、その膝の上にはサリアをうつ伏せにして寝かせ、お仕置きよろしく彼女の尻を叩いているという状態であった。無論、下着は開けて素肌の状態である。
…本当に、調律者の名が泣く行為である。
「耐圧核展開。ドラグニウムリアクター、エンゲージ」
だが、調律者様は気にする様子もなく次々に指示を出していく。
「D-ブレーン共振器、接続。全出力、供給開始」
エンブリヲの指示に伴って次々に次の段階へと進み、アウラを取り囲むように配置されているラグナメイルが共鳴するかのように光りだす。そして、その光が暁ノ御柱まで届いた。
「準備は整った。なぁ?」
自分の膝の上のサリアに問い掛けながらエンブリヲが再び彼女の尻を引っ叩いた。
「ああっ!」
エンブリヲの膝の上でサリアが悲鳴を上げる。が、エンブリヲは自分の膝の上の彼女に大して興味を示さなかった。
「…アンジュがいないとは」
「っ!」
これ見よがしに溜め息をつきながら呟いたその一言に、サリアが羞恥とはまた違う意味で顔を赤く染めた。
「何故逃がした?」
「……」
サリアは答えない。が、エンブリヲはすべてお見通しのようだった。
「嫉妬か?」
尋ねると同時にエンブリヲが三度サリアの尻を引っ叩いた。
「どうしてアンジュが必要なんですか!」
顔を赤く染めたままサリアが振り返るとエンブリヲをキッと睨み付けた。
「私はずっと、エンブリヲ様に忠誠を誓ってきました。エンブリヲ様のために戦ってきました。なのに、またアンジュなんですか!? 私はもう、用済みなんですか!?」
サリアが素直に己の心境を吐露して訴える。それは、糾弾や怒りと言うよりは文字通り見捨てられる恐怖や取って代わられる嫉妬心から来ているものだった。
それがわかっているからだろう、エンブリヲがサリアを弄ぶように口を開き始めた。
「私の新世界を創るのは、強く賢い女たちだ。だから、君たちを選んだ。アンジュも同じ理由だ」
よくもまあ、こんなペラッペラの嘘をスラスラと言えるものである。だがある意味、面の皮の厚さはまさしく調律者と言っても過言ではないかもしれないが。
「愚かな女に用はない」
「はっ!?」
そして、調律者様はサリアを見限るような言葉を発した。それがわかったからだろうか、サリアの表情が先ほどまでの鋭いものではなく、弱々しいものに一変してしまった。
エンブリヲはそのまま立ち上がり、そのためサリアは地面に倒れ伏すことになった。そして、サリアを大上段から見下ろす。
「アンジュは必ずここに来るだろう。私を殺すために」
最後通告のつもりだろうか、エンブリヲがその先を続ける。
「サリア。君が本当に賢く、強いなら、やるべきことはわかるね?」
急いで開けていた下着を元に戻すと、そのままサリアはエンブリヲに敬礼する。
「アンジュを捕え、服従させます」
「期待しているよ、私のサリア」
「っ!」
上辺だけの期待の言葉に、サリアは悔しさに唇を噛んだのだった。
「レイザーは破損部の装甲を換装!ロザリー機は補給を最優先!ヒルダ機はダメージチェックを!」
『イエス、マム!』
そしてココ達は無事だったマリカにメアリーとノンナが抱き合っていた。
「良かった~…!マリカ! もう勝手に動かないでね!?」
「御免なさい…!」
そしてココ達は優しく見ている所でリィザの元に集まっているチャールズ達を見る。
「はっ?!二つの地球を融合だって!!?」
オスカーが驚いた事実にリィザは頷く。
「制御装置であるラグナメイルとエネルギーであるアウラ、エンブリヲは二つの地球を時空ごと融合させ…新しい地球をゲホッ!!ゲホッ…!」
するとリィザは突如せき込んでしまい、体力的に無理と判断したマギーが止める。
「これ以上は無理だ。休ませるよ?」
それにチャールズは頷き、マギーがリィザを医務室へと連れて行った。そして場所を移動し、チャールズ達は待機室で話し合っていた。
「エンブリヲは二つの地球を融合か…」
「そんな事を…、ほんとなの?」
チャールズとマリアがフェイトに問い、頷く。
「ああ、エンブリヲはもう計画を最終段階へと進めている……」
フェイトの言葉を聞いてチャールズとマリアが互いに見合っているとサラは言う。
「二つの世界が混ざり合えば…全ての物は破壊されるでしょう…。急がねば」
するとサラはヒルダの方を向いてある事を問いかける。
「メイルライダーヒルダ殿、我々アウラの民はノーマとの同盟締結を求めます」
「同盟…?」
ヒルダはその事を聞いてサラ達を見る。
「我々の龍神器だけではエンブリヲの防衛網やデウス・コフィンの艦隊の突破する事は困難、それにエンブリヲ以上に脅威であるゼニスをも倒さなくてはいけません。それはあなた方も同じはず」
サラの言葉にヒルダは思わず考え込む。
「…確かにアタシ等だけじゃあラグナメイルもあの艦隊にも手も足も出ない…、良いよ…同盟結んでも」
その事にヴィヴィアンは思わず喜んでノアとアリアンナはハイタッチをしまくる。
「ただし!アンジュを連れ帰ってからだ…!」
「ヒルダさん…」
「その余裕があると思う?」
っとオリバーの言葉にヒルダが思わず睨みつける。
「何!?」
「恐らくエンブリヲはアンジュを必ず探している筈だ。必ず…」
その言葉にヒルダは黙り込んでしまった時だった。
待機室の扉が開いて、誰かが入って来た。
『おや?アンジュは戻っていないのか?』
っと皆は扉の方を向くとエマ監察官がやって来た、しかしバルカンは何故か警戒して唸りはじめ、そしてエマの様子がいつもと違う事にオスカー達とチャールズとマリアが気づく。
『やれやら…何処に行ってしまったのやら、我が妻は…』
「監察官さん?」
ヴィヴィアンがそれに問うとサラがそれを否定する。
「違います、あれは…」
するとエマがマナの通信画面を開くと、そこにエンブリヲの画面が映る。
「エンブリヲ!」
今話題に上っていたエンブリヲが姿を現したのだ。全員の間に緊張が走る。
「エンブリヲだって!?」
ジャスミンが思わず声を上げた。と同時にバルカンがエマにとびかかるが、こともなげに一蹴されてしまう。
「バルカン!」
「トチ狂ったか、テメェ!」
ヒルダが銃を構えようとするが、サラが刀でそれを制した。
「彼女は、操られているだけです」
「何?」
驚くヒルダを尻目に、サラが視線をエンブリヲに向ける。
「逃げた女に追いすがるなど、無様ですわね、調律者殿」
『ドラゴンの姫か』
挑発するサラだが、エンブリヲも軽く受け流す。
「焦らずとも、すぐにアンジュと共に伺いますわ。その首、もらい受けに」
『ほぉ…それと良い物を見せよう。』
そこで何を思いついたのか、エンブリヲがよく浮かべる意地の悪い笑みを浮かべ、キオ達にある物を見せる。それは奪われたメツのコアクリスタルであった。
「それは!」
「メツだ……残りの天の聖杯を渡せば、時空融合は止めてやる。」
「時空融合を止める?フンッ!嘘だな、その言葉。」
キオがそう言うと、サラは叫ぶ。
「ラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
サラが叫んだ声によりエマのマナが不安定となって破壊され、エマは正気を取り戻して気を失う。
「監察官さん!?」
ヴィヴィアンが問いかけ、すぐさまアリアンナが見る。
「…大丈夫だ、気を失っているだけです。」
そう言った事に皆は安心をする。そしてサラはヒルダの方を向いて問う。
「司令官殿、エンブリヲはなりふり構わずにアンジュを探している様子です。エンブリヲの眼をかわしアンジュを助け出す事が出来ますか?貴女に…」
「っ…」
サラの言葉にヒルダは言葉を詰まらせる、エンブリヲの目をかわす事などヒルダには出来ない事だった。
それにサラは笑みを浮かばせる。
「アンジュは帰って来ます…タスク殿が必ず連れて帰ってきます」
「はっ!何であいつが!?」
「理由は簡単だ」
っとキオの問いに皆は振り向き、キオは当たり前の事を言う。
「あいつはアンジュの騎士だからだ」
その事にヒルダは言葉を止まってしまう。
そして今思えばアンジュとタスクは共に行動している事を考えると、あのタスクがアンジュのナイト様っと考えると渋々納得するしかないと考える。
「『やはり勝てるとしたら……『あの機体』……『真の力』……『巨躯となる大地』が必要だな。巨躯となる大地は既にあるが……真の力とあの機体はまだウルの影に封印されている。やはりあの儀式の進めなければ……………………』」
「“あの機体”…“真の力”…“巨躯となる大地”……“あの儀式”。儀式?ゼニスと言うより、アルフォンスの目的は何だろう?」
キオはそう考え、少しばかり休もうと自室へ入り、電気をつける。そしてキオの目の前には思わぬ人物がいた。
「…………」
「\\\\\\\\\\!!」
それはキオの毛布の臭いを嗅いでいる最中のサラであった。
「これは……どう言う…?」
「ち、違うのですよ!これには深い理由がありまして!」
キオは理由を問い掛ける。しかし、サラは慌てながら理由を纏めようとすると。
「!?」
急にキオがサラを優しく抱きしめる。
「もしかして……俺の事が好きなの?」
「////!!」
サラは顔を赤くし、頷く。
「アハハ……俺も好きだよ♪ありがとう、サラ……」
「キオ……」
キオとサラは互いに見つめ合った後キスをして、キオはサラを抱きしめた。サラもキオを抱きしめ返して、二つの影が一つに重なり合いながら、深い中へ入って行った……。
その頃、アレクサンダーはある場所に辿り着いた。
「ここが……“ウルの影”」
黄昏時の光のように輝く空、ウルと違ってあらゆる世界が混ざり、滅びた都、そしてそこには崩壊寸前のエルダー皇国跡地にあるはずの“暁の御柱”が聳え立っていた。アレクサンダーは影の大地に足を踏み入れる。
「っ!!」
大地を踏み込んだ直後、影の瘴気がアレクサンダーの足にまとわりつく。アレクサンダーは測定値でスキャンする。
「汚染レベル198.3%…エーテルは普通に安定しているのに、瘴気があるとは……なら。」
アレクサンダーは手を大地の方に手の平を開いて向けた。と、次の瞬間。影の瘴気が一斉に消えて無くなり、道が開く。だがこれだけではなかった。アレクサンダーの姿が若返り、黄金の装飾や禍々しい翼を広げていた。
「『フフフ……どうやら我の後を付けて来たようだなぁ。陰族が……』」
するとアレクサンダーの背後から隠れ付いて来た陰族達を束ねたミレイが現れた。
『ゾハル!ゾハル!ゾハル!ゾハル!ゾハル!ゾハル!ゾハル!』
陰族達はゾハルを連呼しながら、迫る。
「『……愚かな。魔神に憑魔された哀れな科学者が。フンッ!!』」
アレクサンダーが呟くと、彼の目が光り、ミレイを除く陰族達を塵に変えた。
「『目覚めよ、龍の科学者。貴様はまだ生きる資格がある……魔神如きに心を呑まれるな!!』」
「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
ミレイが苦しみだすと、彼女の身体から禍々しい闇が噴き出る。
「『滅ッ!!!』」
アレクサンダーは叫部と同時に青白い光の弾が飛び出し、闇の塊を吹き飛ばした。ミレイは気を失うと、アレクサンダーはミレイを担ぎ上げ、影の大地を歩き、そしてゾハルへと辿り着く。
「『これがゾハル……ん?』」
するとアレクサンダーがある物に気づく、黄金に光り輝くプレートの側に巨大な機体が浮遊していた。
「『この機体は………』」
アレクサンダーはその機体に構わず、ゾハルだけを持ち去り、ウルへと帰還する。
このリア充がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!キエエエエエエエエエエエエエエ〜〜!!!!