クロスアンジュ 因果律の戦士達   作:オービタル

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ゼノブレイド2 のダウンロードコンテンツについに……“黒いセイレーン・デバイス”の軍団が出ました!!!


第44話:因果律の戦士達・前編

「よし、エンジン修理完了!」

 

「全システム、再起動します」

 

メイからの報告を受け、パメラがアウローラのシステムを再起動させる。流石にメイの仕事は確実で、アウローラは力強さを取り戻した。自律飛行が再び可能になったため、アウローラを支えていたドラゴンたちが次々に離れていく。

そんな中、アウローラに悲報がもたらされた。

 

「アレクトラ!」

 

デッキに駆け付けたマギーがサリアに肩を貸されているジルの姿を見て言葉を失った。

 

「早く担架を!」

 

サリアの指示に従ってマギーが身を翻して走り出す。が、

 

「無駄だよ…」

 

ジルのその一言に足を止めてしまった。

 

「それより…タバコを、くれ…」

 

そう言って薄く笑ったジルの顔色は、もう真っ青になっていた。そのままジルは格納庫の隅で横たわり、その周りを隊員たちが取り囲む。

 

「エンブリヲの奴……ザマァねぇなぁ。今まで弄ばれて事に気付かなかったは……」

 

「ごめんなさい、アレクトラ。私、なんてバカなことを…」

 

傍らに跪いたサリアが懺悔の言葉をジルにかける。だが、ジルはそんなサリアを責めるようなことはしなかった。寧ろ、今まで見せたことのないような優しい表情でサリアに微笑む。

 

「ホント…あんたは私にそっくりだよ。まるで、妹みたいに…」

「えっ!?」

 

その言葉に、サリアがハッとして顔を上げる。

 

「真面目で…泣き虫で…思い込みが激しいところから、男の趣味までね。…だから、巻き込みたくなかった」

 

そしてジルがサリアの頬に手を伸ばす。

 

「ゴメンね…辛く、当たって」

 

「アレクトラ…」

 

サリアがその手を己の手で包む。

 

「良かった…最後に…あんたと…」

 

そこでジルの身体が力を失い、咥えていたタバコが重力に引かれてゆっくりと滑り落ちた。

 

「アレクトラ…?」

 

呼びかける。だがその目は、もう二度と開かれることはなかった。

 

「アレクトラーっ!!!」

 

感情の堰が切れたサリアが泣きじゃくりながらジルに縋りつく。その光景に誰も何も言えず、沈痛な表情を向けることしかできなかった。

 

そして艦が大きな揺れにさらされて事にキオ達は気づく。

 

「何だ?!」

 

「時空融合の時間が…」

 

っとチャールズの言葉にキオ達は気付き、アウローラに居るリィザが報告する。

 

「時空収斂率98%!」

 

「くっ!諦めるな!皆!!」

 

ジャスミンが皆に言うも振動がより激しくなる。

っが突如振動が止まり、それにキオ達は驚く。

 

「振動が…止まった?」

 

《時間と空間の狭間、非ゲージ領域の果て、虚数の海。アルフォンスはかつてエンブリヲが隠れていた場所、彼はそこにいます…》

 

《!!?》

 

「だ!誰だ!?」

 

ヒルダが何者かの声に怒鳴り、それに気付いたエルマが問う。

 

「まさか…アウラ!!!」

 

そう…アウラがアークガーディアン達の全艦艇をバリアで囲み、時空融合の影響を一時的に阻止していたのだった。

 

 

 

 

「はっ!?」

 

アウローラでそういった事態がが起こっているのと同時刻、アンジュはとある場所で目を覚ました。上半身を起こして周囲を見渡す。

そこは、見たこともないとある部屋の一室だった。そして自分はベッドの上にいて、その身にはアルフォンスに拉致られた時に着ていたものと同じドレスを身に纏っていた。

 

「……」

 

自分の状態を確認したのち、目の前にこの部屋のドアがあることにアンジュが気付いた。アンジュは急いで靴を履くと、そのドアを乱暴に開けて廊下へと踊り出す。そして左右に首を振り、外の光が見える方向に向かって走ったのだった。

 

「!」

 

やがて外の光景が目に入って来たアンジュが言葉を失う。何故ならそこは墓地だったからだ。が、アンジュが言葉を失ったのはそこが墓地だからではなかった。良く知っているからだ、目の前に広がるその墓地の光景を。

 

「まさか、ここ…」

 

誰に聞かせるでもなく呆然と呟く。が、

 

「アルゼナルだよ」

 

その呟きに答える者がいた。アルフォンスである。上空から、アンジュの許に向かってヤルダバオトの肩に乗ってゆっくりと降りてきていた。

 

「本来在るべき、オリジナルの…ね」

 

そしてアルフォンスはそう続ける。確かに目の前に広がる墓地の光景はアルゼナルそっくりだったが、その先に見える光景が違っていた。海ではなく、星空が広がっていたからだ。それも水平線がなく、本当に星空だけが広がっていた。

 

「アルフォンス!!」

 

「初めてかな、僕は君の先祖であり、君の高祖父だからね。」

 

「誰が高祖父よ!!」

 

「無理もない…この女の体を借りなければ、僕は真の力を抑えれない。だから協力してくれ、孫娘よ。僕……嫌、僕と君となら、永遠不滅の物語を創れる。本来の皇位継承者はあの愚かなジュリオや傲慢なシルヴィアではなく…勇ましき孫娘であるアンジュリーゼに継がせる。」

 

「冗談じゃないわ!私は貴方みたいな高祖父の言うことなんて聞かないわ!!」

 

「無駄だよ、ここは君のが知るアルゼナルではない。少し昔話をしてやろう。エンブリヲ様がこの素粒子研究所である実験をしようとしていた、それは多迷宇宙…その次元に飛ぶ為に奴はある物を使った。

【有人次元観測機ラグナメイル】…、彼はそれを使って新たな大航海時代への幕開けと考えた。しかし実験の最中で発生した局地的インフレーションにより奴は次元の最中へと消えた。

同時にここはエンブリヲ様の隠れ家となり、時空が止まった世界で彼は僕等の創造主となり自分の思う世界を作り、理想の女を探し出したのだ…」

 

食堂へ逃げるアンジュとサラは既に先回りしているアルフォンスが待ち構えている事に驚き、アルフォンスはそれを気にしないまま言う。

 

「だけど……僕はそれに争い、幻想大地“ウル”へと追放された。そこで、ティオルの父“アデル・オルド”と出会った……。」

 

「え!?」

 

「彼はアルストで暴走したメツを封印し、旅をし続けこの世界へとやってきた。僕とアデルは友となり、そしてウルの先住民の姫であるレイナス達と出会った。レイナスはアデルに惚れるが、僕にとってそれは嫉妬でもあった。僕はエンブリヲを倒す力とゾハルに触れ、魔神へとなり、復讐の力を手にした。だけど、友であったアデルが僕をランプルの中に封印した。百年後、僕は復活を果たすが、レイナスがまた僕を封印した。そして100万年の時を経て僕の体は執念体へとなり、擬態であるヴァラク皇帝陛下の死体を使って復讐を誓った。」

 

「それが何なの、結局はジルと同じ復讐者じゃない!」

 

「確かに……だけど僕は決心したんだ。堕落したミスルギ皇国はこれからどうなるのか?そこで決めたんだ。ノーマでありながら、世界を壊し、世界を救うと言う孫娘に皇位を継承しようと。」

 

「あなた…何を言っているのよ!」

 

「だからアンジュリーゼ。力を貸してくれ……お願いだ。」

 

アルフォンスがアンジュに手を差し伸べる。

 

「お断りよ!!」

 

アンジュはアルフォンスを叩こうとするが、アルフォンスは昔の戦法でアンジュの手首を捻り、身動きを取れなくする。

 

「僕は争い事が嫌いでね。君が素直に聞き受け入れたら離してやる。」

 

「くっ!!誰が!!」

 

アンジュは必死に争い、アルフォンスから手を振りほどき、その場から逃げるのだった。

 

 

一方、キオ達の方は、アウラの情報でアンジュ達が居る場所が特定できたのを知り、ヒルダがその居場所の事を問う。

 

「時空の狭間?」

 

《そう、あらゆる宇宙から孤立した特異点からもたどり着けない場所…》

 

「んな所どうやって行きゃ良いんだよ?!」

 

《ヴィルキスとグノーシス。次元跳躍システムが使えるこの二機なら…あぁっ!!》

 

その時、艦体に揺れが起こる。デミウルゴスがバリアを張っているアウラに目掛けてビーム砲を放っていた。

 

「デミウルゴスめ!」

 

誰もが絶望したその時、アウラの頭上からワームホールが開き、現れたのはレイナスであった。

 

「本当の母さん!!」

 

レイナスはデミウルゴス目掛けてエーテルストームを放ち、攻撃する。

 

『ティオル、私が時間を稼ぎます!彼に最強の力を授かりなさい!』

 

「授かる?」

 

「儂だ。」

 

キオ達の背後から声が聞こえ、皆んな後ろを振り向く。

 

「爺ちゃん!?」

 

アレクサンダーが笑顔で現れた事に皆んなは驚く。

 

「お父さん!肩に抱えている人は!?」

 

「ミレイだ、アルフォンスの呪縛から解放してやった。」

 

ミレイを担架に乗せると、アレクサンダーがキオに言う。

 

「キオ…儂はついに見つけたぞ。」

 

アレクサンダーが手からあるものを出現させる。それはアレクサンダーやチャールズ、そしてアルフォンスが長年に探し求めていた物。黄金に輝くプレート『ゾハル』であった。

 

「これが……“ゾハル”」

 

「…………ゾハル、儂は願う。」

 

「?」

 

「……キオ達に神の子 アルフォンスと互角に戦える力……“血戦鬼”を!!」

 

「血戦鬼?」

 

“血戦鬼”と言う言葉に首を傾げるキオ達。するとゾハルが光りだし、プレートから禍々しい赤黒い闇が溢れ、キオ達へと迫り、呑み込む。

 

《キオ!!?》

 

他にも、オスカーとオリバー、ノアとアリアンヌ、アンにも闇が呑み込む。そして闇が晴れると、キオ達の服装が一変していた。オリバー達の服装が赤黒いスーツを模したデバイススーツと黒いコートを身に付けていた。さらに彼等の頰には血の筋が浮かび上がっており、鋭い爪、紅き瞳、尖った牙になっていた。

 

「爺ちゃん……これ?」

 

「……それこそが、神に争いし吸血鬼【血戦鬼】だ!!」

 

アレクサンダーが大声で言うと同時に、吸血鬼を模したマスクが装着され、キオ達の目が獣の如く鋭い瞳、血の色をした目を光らせる。デミウルゴスが腕部の荷電粒子砲を放とうと迫る。

 

「キオ!ここは俺達に任せろ!お前は姫さんを!」

 

「愛の為に、囚われのお姫様を救い出せ!!」

 

「サラちゃんを連れて帰らなかったら、承知しないからな!!」

 

オリバー達はそれぞれのデバイスに乗り込み、デミウルゴスと相手をする。

 

《時間がありません。私が時空融合を抑えている間に……強き思いと意志を…》

 

「俺達の…思い」

 

「アンジュへの強い思い…」

 

それを聞いたヒルダとナーガが言う。

 

「…タスク。もうお前でも気づいている筈だよ? アンジュを…あいつを思う気持ちはアタシが思っている以上に強い事を…」

 

「ヒルダ」

 

「キオ、お前もだ。先ほどの様子、お前はサラマンディーネ様の事を我々以上に思っている…頼む、アルフォンスからサラマンディーネ様を救ってくれ…」

 

「っ、ナーガ」

 

あのナーガが認めると言う事に鬼は驚き、それにはカナメも驚きを隠せない。

 

 

そしてアンジュは何とか逃げ回るもアルフォンスが先回りをして待ち伏せされ、それにアンジュは足を止める。

 

「ヴィルキス!!!ヴィルキス!!!」

 

「無理だよ、指輪わ置いてきた。頼む…力を貸してくれ。斑鳩家の伝承歌とウーシアと、ロゴス、そして君とこの娘の持つプネウマでゾハルを呼び出してくれ。」

 

「このっ!!」

 

アンジュが蹴りを入れようとした瞬間、アルフォンスがアンジュを睨む。するとアンジュの体が動かなくなる。

 

「ぐっ!!どうなってるの!?」

 

「神経との接続を停止し、体の各部を硬直させた。」

 

「何なのあなたは!!?どうしてサラ子や私を使ってゾハルって言う物を呼び出したいの?」

 

「…………永遠不滅の皇国を築き上げる為だよ。この世は穢れに満ちている。幾年が過ぎていく内に科学は進歩するが、人の心は進歩するか?貧富の差は広がり、紛争は絶えず、弱者は強者に虐げられ、むき出しの欲望が世界を覆い尽くす。いずれにせよ世界はまた滅ぶ、僕はその穢れと傷みを止める為に、ゾハルの力を使い、新たな理想国家を築く。その為には同士となる物が必要……だからアンジュ、君こそが真の皇女となるだろう!私は道具にしても構わない!誰もが夢見た理想の世界…皆や民が平等であり、怒りと悲しみの連鎖を断ち切り、永遠不変の皇国想像が!!」

 

アルフォンスの野望を知ったアンジュは怒鳴る。

 

「あなたは逝かれてるわ!!その為に世界を壊して、新たなミスルギ皇国を創る!?冗談じゃないわ!そんなくだらない事でエンブリヲを利用して!!」

 

「うるさい!!僕の心なんて君には分からない!!500年前の第7次世界大戦によって、僕の友!兄妹!父母!祖父母!親友!親戚!皆!どれだけの人が悲しんだと思う!?ノーマや堕落した人間以上だ!!!!」

 

アルフォンスは涙を流しながら、電撃を放ち、それにアンジュはくらい悲鳴をあげる。

 

「きゃあああああああああああ!!!!」

 

「早く歌ってくれ……ゾハルは孫娘に託す!もし君の子孫が過ちを犯しても、僕は復活し、その子孫を正しき導師へと指導し、新たな理想国家を築き上げる!!」

 

アルフォンスの言葉はもはや、人間のプライドとエゴと傲慢差を感じるとアンジュは歯を食いしばりながら思う。

 

 

 

 

キオとタスクはグノーシスとヴィルキスのコックピットに座りアンジュの指輪を持ち、サリア達はキオ達の機体のコックピット前に集まって見ていた。

 

「頼む、ヴィルキス……俺に力を貸してくれ………ヴィルキス!!」

 

「グノーシス…お願いだ。サラを助けたい…このままだとサラが奴の虜になってしまう……頼む!!!!グノーシス!!!!」

 

「「目を覚ましてくれ!!俺に力を!!!貸してくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」

 

「(……タスク!)」

 

《…………(助けて…キオ!!)》

 

「「っ!!」」

 

タスクとキオの心の中で助けを求めるアンジュと体を乗っ取られたサラの悲痛の声が聞こえた。

 

そしてタスクの涙が零れ落ちた瞬間、それぞれ持っていた指輪と宝玉がそれに答えるかのように反応して光り出し、キオとタスクは見る。

 

「見ろ!!」

 

っとラオが指差した方にキオ達は見ると、ヴィルキスが突如色を変化させて、それにサリアが驚く。

 

「ヴィルキスが…!?」

 

「すげぇ~!!」

 

「おい!こっちも凄いぞ!」

 

っと今度はダグが指を差した方向を見ると、グノーシスの機体が光り出すと同時にセフィロトとハウレスが結晶体の中へと包み込まれ、グノーシスと合体する。さらにサラの焔龍號にも異変が起きていた。機体の各部が膨れ上がり、四枚の光の翼を持った焔龍號に模した生身の真紅のドラゴンへと変身した。

 

「焔龍號が!!」

 

「ドラゴンに!?」

 

そしてグノーシスとプトレマイオス、セフィロトとハウレスの四体が合体し、何十メートルもある巨大なロボットへと変わり、音声が鳴り響く。

 

【グノーシス・ゼノン! クロスオーバー!!】

 

翡翠と真紅、黄金と白銀の翼と装甲、そしてハウレスと思わしき部分がグノーシスの頭部と合体しており、王冠を思わせていた。

 

「グノーシスが……進化した。」

 

「うぉぉぉぉ〜〜!!!」

 

グノーシスはフォートレスモードへとなり、キオは新しくなったコックピットに乗り込む。

 

「基本システムはグノーシスのままだ。」

 

モモカとカナメがすぐにキオとタスクに言う。

 

「キオさん!サラマンディーネ様をどうか…!」

 

「タスクさん!!アンジュリーゼ様をお願いします!!」

 

それにキオとタスクは頷いてコックピットを閉める。

ヒルダの元にクリスが指輪を渡しに行く。

 

「ヒルダ!私のラグナメイルで行って!!」

 

「…ああ!」

 

そう言ってヒルダはクリスのテオドーラに乗り込む。

サリアがクレオパトラの準備をしている所にヴィヴィアンが声援を送る。

 

「サリア!ファイト!!」

 

「…ありがとう」

 

『サリア!帰ったら勝負の続きだ!忘れんなよ!!』

 

「……アン。分かったわ!」

 

グノーシスとヴィルキスのカメラアイを光らせ、周囲に電磁波を発生させて磁場を作り、ココ達は敬礼しながら言う。

 

「皆さん、帰りを待っています」

 

「どうかご無事で…」

 

キオ達はそれを聞いて笑みを浮かべ、ヴィヴィアンが皆に向かって叫ぶ。

 

「頑張ってけ~~~~!!!!」

 

グノーシスとヴィルキスはとサリア達を連れて時空の狭間へと跳躍するのであった。

 

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