…………《二年後》…………
日が昇る昼……サラは都内を歩いていた。周りにはノポン、マ・ノン、バイアス、オルフェ、ザルボッカ、ラース人、そしてB.B.ユニットから解放され、蘇った人類もいた。男性型ドラゴン達やテレシアだったエルダー族はゾハルの力で人型にもなり、楽に街を歩く。商店街を通ると、工事をしているジョンソン軍曹やスパルタン達が誰かを叱っていた。
「コラァッ!!貴様!!」
「す、すいません!ジョンソン軍曹!!」
「謝って済むか!!」
怒られていたのは人として教育し直されたアンジュの兄 ジュリオであった。どうやら工事で皆んなに迷惑を掛けるようなことをしたのであろう。
「罰として、うさぎ跳びで町の周りを50周!!」
「ヒィーーーーッ!!それだけは〜〜〜〜!!」
するとサラの目と鼻の先にエルマが歩いていた。
「だいぶん再建が進められているね。」
「はい!エーテリオンの技術にエルダー皇国のテクノロジー。この二つならドラグニウム除去装置が出来る!そうすれば、共鳴連鎖爆発は起こらない!正に凄いテラフォーミングマシーンの完成ですよ!」
リンは興奮しながらエルマに言う。
「エルマ殿」
サラはエルマに声を掛ける。
「あら?サラじゃない。」
「あ!サラさん!」
「キオは何処にいらっしゃるのですか?」
「キオさんなら、オスカーさん達と何処かへ行きましたよ。」
「そうですか、感謝いたします。」
「あ、サラさん!無理しないでくださいね。」
エルマ達は穏やかな表情でサラを心配する。
展望台へと上がるサラ、そこには自分の妻であるミリーナと成長したフェイト、そして彼の胸には産まれたばかりの愛娘を抱いていた。
「何だ?……ティオルならここには居ないぞ。」
「凄いですね、やって来ることが分かるなんて。何を見ていたのですか?」
「……特に何を見ていたのではない。強いて言うなら…これから先、俺達を待ち受ける未来――かな?」
「まぁ、それはカッコ良すぎますよ。義兄様」
「そうか?義理の妹の問いに率直に答えたが…」
「でも、分かります。色々ありましたからね。」
「あぁ…あったな。」
フェイトは穏やかな表情でミリーナとともに街を見下ろす。
「お前達には感謝している。お前達と共に歩まなければ、俺は何も知らないまま絶望に落ちていた。けど、今は愛するミリーナと愛娘である“レイナス”と共に生きている。」
「えぇ…それこそが生きる事です。田を耕す父、子を産む母の様に。ありがとうございます、義兄様……そして、キオと共に、これから先も…」
「あぁ……これから先も。」
ウルの砂浜、オスカー達は今夜の魚を取ろうと釣りをしていた。
「オスカー!食いついたぞ!頑張れ!」
「オスカー!あそこ!」
「頑張って!オスカー!」
オリバー、ノア、アリアンナ、アンがオリバーを応援する。
「どりゃ!!」
「「「うぇっ!?う、うわぁぁぁっ!!」」」
オスカーが力任せに引き上げた直後、バランスを崩してしまい、手助けしようとしたアンとノア、オリバーを巻き込んで海に落ちた。
「ちょぉぉっ!!!?」
「え!?皆んな大丈夫?」
アリアンナが心配する中、オスカー達が泳ぎながら、近くの砂浜へと上がる。
「甘すぎ!ウルの海域の海水が“甘い”なんて聞いたこともねぇ!」
「オスカー!何やってんだよ!今の怪魚めっちゃ大きかったのに!」
「何だよ〜、じゃあ今度はお前が釣れよ!」
「良いぜ!やってやろうしゃないの!」
「おう!」
オスカーとアンはずぶ濡れになりながらも、釣りの競争をする。そして吊り橋の近くの砂浜にキオが立っていた。
「ここに居たのですね。」
「サラ…」
「気持ちいい風です……」
サラはウルから見える海を眺める。彼女の姿は長髪だった髪をショートヘアにし、大きくしたお腹をしていた。そう、サラはキオとの間に出来た子供を妊娠していたのであった。その証拠にキオとサラの薬指には水晶でできた結婚指輪を付けていた。サラは海を眺めているキオを見る。
「何?」
「いえ、雰囲気が変わった思いまして。」
「そう?」
「あ、それとキオ……見せたい場所があります。」
サラがドラゴンになろうとしたが、キオが慌てる。
「無理するなよ、俺が送ってやる。」
キオはテレシア化し、サラの案内される。サラに案内された場所……そこはかつて、キオとサラが出会った草原であり、周りには姫蓮草が咲いていた。
「覚えていますか?この場所を。」
「あぁ、俺とサラが初めて会い、次第に仲良くなった場所。そしてこうして今、こうやって一緒になれて来た。懐かしい…」
キオは姫蓮草を取り、空を見上げる。
「まだ……会えるかな?」
「会える?誰と…?」
「……俺の爺ちゃんだ。」
「まぁ、お爺様に?」
「うん…約束したんだ。今度俺たちの子を会わせてやるって。けど、もう亡くなったからなぁ。」
「……本当は、生きていると言いたいのですね。」
「いつから知ってたんだ?」
「ずっと前からです♪」
「……さすが、俺の若奥様だ。」
「どうなるのでしょうか……私達。」
「どうって?……きっと、色んなことが待っているんじゃないかな?」
「色んなこと?」
「これから先、どうなるかなんて分からない。もう俺には未来視と因果律予測は使えない。けど、師匠から受け継いだ思考は受け取れた。だから、色んな想像が出来るし、目指す目標が出来ると思うんだ。」
「そうね……そうですね!」
「昨日の夜……夢の中で、爺ちゃん……嫌、カオス様が別れ際に行った事を覚えている?」
「えぇ、勿論ですわ。私もその夢を一緒に見ていましたから。」
ーー回想ーー
『キオ…………お前の選んだ世界は、我々以上の無限の広がりを持っている。そこには、お前達だけではない。様々な生命が芽吹くだろう……そして、そこの龍の姫の身に宿し新たな生命は、何か凄い事を起こすだろう。何故なら、その子はいずれ、全てのが手に取り合い、未来に向けて、歩んでいく姿が……。』
ーー回想終了ーー
「俺さ……いつか、会ってみたいと思うんだ。師匠達の他にもいる色んな世界に生きる人達と。」
「私もです。会えます、きっと…」
「あぁ……会えるさ。未来を目指して歩いていけば、必ず!」
「あ。」
「どうした?」
「今!お腹の中で赤ちゃんが動きました!」
「え!ほんとに?楽しみだな……俺たちの子。」
「えぇ……早く会いたいです。私達の子に。」
二人は幸せそうに手を繋ぎ、崩壊し、ウルの大地の上に立ったまま絶命したデミウルゴスの姿を見上げるのであった。
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幾年が過ぎ、二人の少年と少女がある物を見つける。
「ねぇ!これ見て!」
黒髪の男の子は黒髪の女の子にある物を見つける。
「これ…誰のお墓なんだろう。」
森の奥深く、草原が広がるウルの大地に姫蓮草の花が咲き乱れており、姫蓮草の花畑に二つの墓跡があった。
「もしかして……お爺ちゃんが言ってた、曾祖父母のお墓じゃないかな?」
「分からない。けど、何だかこのお墓に眠っている二人……仲よさそう。」
女の子は二つの墓を見て呟く中、二人には見えてはいないが、二人の白き勇ましき男性と紅き美しい女性が優しそうに二人の少年と少女を見守っていた。
クロスアンジュ 因果律の戦士達 ──── END