異次元の彼方……そこに浮かぶ巨大なステーション。そうここがキオが務めているエーテリオンの総本部コロニー『エリュシュオン』。工業エリア、商業エリア、住宅エリア、ブレイドエリア、港エリアと言うサラ達のいる世界と同じ『楽園』であり、キオがいた世界では『新たな理想郷』とも言える場所であった。キオは任務を終え、キース艦長から休暇の許可がおり、商業エリアのカフェに来ていた。キオは端末を見ていると、ある事を思い出す。
「そう言えば……俺が助けた二人と、学校のみんな何しているんだろう?」
数日前にアルゼナルがある海域でドラゴンから助けたあの新人二人とエーテリオンに所属する前までの学園仲間事を思い出すキオ。ぼーっとしているキオにある人物が尋ねる。
「おや?キオさん♪」
「ん?ルーさん」
現れたのは人間と違い、青肌と2本の垂れた角が特徴の人物。彼はブレイドエリアでアーマーの追加品を販売している店の店長であり、キオの相談相手にもなっている。ルーの他に、セリカやロック、マ・ノン人やタツと同じノポン人、バイアス人(大樹の一族)、オルフェ人、ラース人、ザルボッカ人、アービターが率いるサンヘイリ人やハンターと言った様々な種類もいる。キオはルーに学園の友達の事を相談する。
「……要するに、会いに行きたいのですか?」
「うん、父さんと母さんが捕まる前まではみんな仲が良かったからなぁ。数日間もこうやってエーテリオンで活動しているから、アイツ等が無事か心配なんだ……」
「ふむふむ……なら、会いに行けばどうですか?」
「え?」
「いつ会えるか分かりません。ですが、行動すれば会える♪これぞ故事に言う“一か八か”です♪」
「……やってみます。あ、それとルーさん、何か奢りましょうか?いつも相談相手としてくれているから♪」
「良いのですか?ありがとうございます♪」
二人は仲良くカフェのメニューから料理を注文するのであった。
その頃、偽りの世界にある孤島……タスクは食料確保の為、パートナーであるヴァサラと一緒に釣りをしていた。
「ふぁ〜〜」
「だらし無いぞ、主よ」
「あ、ごめん」
タスクがだらけていると、ヴァサラの竿に動きがある。
「引いてる」
「まだだ。」
ヴァサラは何かを待つかのように竿の動きの様子を見る。
「良し!」
ヴァサラは竿を持ち、引き上げる。引き上げたのは大きな魚であり、直ぐに陸に引き上げる。食料調達を終えたタスクとヴァサラは洞窟に戻ろうと砂浜を歩く。
「いや~大漁大漁♪これでしばらくは食料に困る事はないな」
「ですね♪」
無人島でタスクはヴァサラに釣ってもらったたくさんの魚を獲る事ができて上機嫌だ。ふと、彼はある事を思い出す。
「どうしたタスク?」
「……え?嫌、何でもない」
「本当か?」
「本当だって♪」
「そうか、なら良いんだが……」
「……(何やってんだ俺……他の生き物の命を奪って…生きて……何の…ために?)」
タスクは不安げな心を感じながら歩いていると、砂浜にある物が打ち上げられていた。それは全身が純白に満ちた機械の天使であった。
「主……あれって。」
「あれは……ヴィルキス…!?」
数時間前、
「!!」
「あ。目…覚めた?」
「あ…え…あ…(ええ〜〜〜〜っ!?)」
タスクも顔を赤くし、アンジュから離れると机に置いてあったポットの水をコップに入れる。アンジュが辺りを見回すとすぐ近くに自分が着ていたライダースーツが置いてあった。
「君はどうしてここ、にぃ!?」
アンジュに尋ねようとしたタスクは床に落ちていたビンに足を取られ、バランスを崩す。そして、アンジュの股間や胸に顔や手を突っ込む様にして転んでしまうのだった。これにはアンジュも顔が羞恥で真っ赤になる。
「ご、ごめん!これはわざとじゃ「いやあああぁぁぁ!!!」ぐえっ!」
タスクが弁解する前にアンジュは彼を足で殴り、思いっきり蹴り飛ばす。そして、手首を縛っていたロープを力づくで千切るとライダースーツを持って浜辺の方へ逃げていった。倒れたタスクは起き上がり、焦る。
「ヴァサラ、俺何かした?」
「(充分した…)」
ヴァサラは呆れながら、タスクに説教する。そして説教を終え、タスクは彼女を追う。見ると砂浜に打ち上げられているヴィルキスに点検しながら、何かで怒りながら“それ”を踏みつけていた。タスクは彼女に問う。
「酷いじゃないか、君は命の恩人になんてこと──って!?うわぁ!!」
突然彼女がホルスターからハンドガン取り出し、タスクの足元目掛けて撃つ。タスクは慌ててそれを回避する。
「それ以上近づいたら撃つわ!」
「お!落ち着け! 俺は君に危害を加えるつもりはない!それに君はもう撃ってるし…!」
「縛って脱がせて抱き付いておいて…!」
「嫌…あ、あれは…」
タスクは流石にあの事には何も言えず、顔を赤くし、彼女は銃を握りしめながら睨む。
「目覚めなかったら、もっと卑猥で破廉恥なことをするつもりだったんでしょう!」
「もっと卑猥でハレンチ!?....ハァ、女の子が気を失っている隙に、豊満で形のいい胸の触感を味わおうとか、無防備で、体隅々まで触ろうとか、女体の神秘を存分に観察しようとか、そんな事をするような奴に見える....」
男は火に油を掛けるような言葉を放ち、彼女はさらに顔が赤くなり、銃を構える。
「そんな事をするような奴だったの!!!?何て汚らわしい!この変態っ!!」
「ご!誤解だ! 俺は本当に君を助けようと!!」
タスクは弁明しようとしたが、彼の足元にカニがいて、タスクの足を挟む。
「痛ああああああ!!!」
突然の痛さにタスクは驚き、彼女の方に倒れ込んで。彼女の股に埋まってしまう。
「はぁ!!!」
男はすぐに離れるも、彼女は真っ赤な顔で男はを睨みつける。
「うわあああああああああああああ!!!!」
タスクが叫んだと同時に銃声が鳴り響いて、しばらくすると…。
「変態!ケダモノ!発情期!!」
怒りながらタスクを蔓で簀巻き状態にして吊して去って行く彼女。
「あの~もしも~し、今のは事故…」
タスクの弁明に、彼女の耳には届いてなかった。一人ぶら下がって残されたタスクはため息を吐くと、茂みの中からヴァサラが顔を出す。
「主、大丈夫か?」
「ヴァサラ、いつの間に……」
「本部であるエリュシュオンから、キオ達が通信が入った。」
ヴァサラはタスクに通信モニターを見せる。モニター画面にはキオ、リン、タツ、エルマ、イリーナ、グイン、ジョンソン、アービター、ヴァンダム、さらにパスファインダー部隊隊長のラオとアヴァランチ部隊隊長のダグが映っていた。
《タスク/タスクさん!》
「皆んな!?」
タスクは彼女の事を話す。するとキオ達の表情がしける。
「え?何で皆んなそんな顔に?」
『そりゃ、怒りますよ!』
「え?」
「最低〜」
「えぇっ!?」
「それは良くないと思うわ…」
「えぇ〜〜っ!!」
リン、イリーナ、エルマの順でそう言われ、タスクは唖然する。キオも呆れながら注意する。
「お前バカじゃねぇのか?」
「え?」
「まぁ良い……それよりタスク、インフィニティが襲われかけた。」
「え!?」
キオは説明するインフィニティにデウス・コフィン超弩級戦艦であるカタストロフィーとフォルトゥラーが一気にインフィニティに攻め込んできて、キオや爆撃部隊の活躍のお陰で何とか振り切ることが出来たが、最強の戦艦であったインフィニティがとてつもなく被弾しており、エーテリオンの戦力もかなり減少してしまったと……。
「そんな…!」
「事実だ……幸いにも撃沈はされていないが、修理に物凄く時間が掛かる。」
「良かった……」
「本当…大変だったからなぁ……お。」
「どうしたのですか?」
「未来視が発動した……今日、雨が降るぞ」
「え?でも天気は──(ピトッ!)え?」
タスクの鼻に雫が落ちる。そして空が薄暗くなり、雨が降り注ぐ。
「ほらね♪」
「あ〜……」
「……女の子は丁重に扱うんだぞ♪じぁあ♪」
キオはそう言い、皆んなも通信を切る。
「女の子は丁重にか……ん?」
するとタスクの元にさっきの女の子がずぶ濡れで現れ、倒れふ。
「あの…大丈夫?」
「?」
よく見ると、彼女の顔がちょっとだけ真っ赤になっており、その女の子が吊り上げられているタスクに助けを求める。
「たすけ…て…」
「!」
手を男の方に伸ばした直後に意識を失い、その様子にタスクは急いで蔓を切り、女の子の元に向かい抱きかかえて容体を調べる。
太腿に蛇にかまれた所を見つけ、蛇にかまれたことを知り、急所口で傷口から毒を吸い出して処置をする。
そしてタスクは女の子を隠れ家に抱いて連れて帰って、泥で汚れた身体を拭いていた。
その時にアンジュの指輪を見て、自分の幼い頃の事を思い出す。
紅蓮の炎が破壊された街を覆い尽くし、一体の黒い天使と赤いエナジーウィングを展開する堕天使。彼方此方に破壊されたパラメイルとバラバラになったメイルライダーたちの姿もあった。
そしてそこに両親も息絶えて、幼い頃の自分は泣いていた。
《父さん…母さん!》
泣いている自分は違う方向を見ると、片腕を無くして歩いてくる黒髪の女性と女神のオブジェがついていた白い機体が目に映った。
「…ヴィルキス」
呟きながらタスクは呼吸が安定し寝ている女の子を見る。
何故彼女がヴィルキスに乗っているのか、何故あの女性の機体を彼女が受け継いでいるのかそう思う男であった。
夜となり、彼女が目を覚ます。気が付くと、最初に目覚めた洞窟だ。
「無理しない方が良いよ? 毒は吸い出したけど痺れは残ってから」
タスクが彼女にそう言い、彼女が身体を起こす。っとライダースーツじゃなくワイシャツ姿を見て気付き。思わずタスクを睨む。
「言っておくけど、動けない女の子にエッチな事なんてしてないからね」
タスクはそういいながら、煮込んでいたスープを器に盛り付ける。
「もう少し治療が遅かったら危ない所だったんだ。これに懲りたら迂闊な格好で雨の森に入ったらダメだよ」
「…余計なお世話だわ」
彼女は頼んでもいない顔をしながら明後日の方向を向き、タスクはスープの具をスプーンにのせてアンジュに向ける。
「はい」
「…え、何?」
「食事、君何も食べてないだろ?」
「いらないわよ! そんな訳の分からい物!」
女の子はそう言うが腹が空腹で鳴っている。身体が正直なのが彼女は恨めしくなってきた。
「変な物は入ってないよ、ほら」
渋々と口を開けて、食す。
「…不味い」
そう言いながらも口をアーンッとあける彼女。
男はクスリッと笑う。
「気に入ってもらえてよかったよ、ウミヘビのスープ」
ウミヘビと言う言葉にギョッとし、一気に飲みこむ彼女。
「少しは信用してくれた?」
「…」
女の子はまだ信用出来ない様で男見て、男は少し困った表情をする。
「出来ればもう殴ったり撃ったり、簀巻きにしないでくれると嬉しんだけど…」
「考えとく…」
そう言いながらまたアーンッとし、食べる。
するとある言葉を思い出す。確か、蛇にかまれた部分は…。っと少しばかり頬を赤くする。
「どうしたの?痛む?」
タスクは心配そうでアンジュに言う。
「さっき、毒を吸ったと言った…?」
「うん、そうだけど…」
「口で?」
「うん…ハッ! そ!それは…!」
タスクは気が付き弁明するが……。
ガブッ!!
「いだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ!!!!」
「噛まないとは言ってない!!!」
何処を噛まれたのかは知らないが、何やら良い雰囲気な様子だった。
一方、エリュシュオン上層ブレイドエリアの格納庫では、キオが夜食にリンシェフの特製チキンカツカレーを食べながら、収納されているセイレーン・デバイスに新たな武装や追加パーツ、装甲やバーニア、スタビライザー、そしてマーキングを追加していく。
「良し……後はっと!」
キオはスプレーを持ち、セイレーン・デバイスの右肩に向けて赤き狼のエンブレムと左肩に向けて青き双頭の大鷲のエンブレムをペイントする。
「最後は……ドールに必要なギアを搭載して──……出来た!(これとタスクのアレスのギアと共鳴させれば、デウス・コフィンのカタストロフィーに対抗できる!)」
キオが喜ぶと同時に、ツインアイのカラーが赤から青へと変色するのであった。
次回…タスクのドールであるアレスとキオ専用にカスタマイズした新たなセイレーン・デバイスが輪舞します!!